シネマノート

俳優

明けましておめでとうございます。昨年は結局 140 本位で打ち止めになったものの、昨年末から今年にかけては仕事に追われほとんど映画どころではなかった上に悲惨な事が…。

年末はせめて「ドクター・ドリトル」あたりで笑い納めでもしようとやっと抜け出して株主優待券を手に映画館へ向かい、開映時間だったので慌てて席についたところ様子が変。まさか年末の締めが「踊る大捜査線」になろうとは!しかし、邦画では結構長い間トップだったしまあ仕方ないか..と見てしまった。場内混雑しておりテンポも早くてそこそこ楽しめたけどビデオで充分という気も、、、で私の見たかったものはといえば、実は「私の愛情の対象」。

年明けに漸く念願叶ったばかりというところ。年はじめは「ルル・オン・ザ・ブリッジ」からで、これは切ないラブ・ストーリー。へんてこりんな石を巡って「記憶の扉」みたいな何だか不条理劇みたいな部分もあって「へぇ、これで終わっちゃうの」という少しの割り切れなさが。

「ジェイコブズ・ラダー」みたいな“やられた”感もあったりして。結末を言うと叱られるかもしれないが、キリスト教的解釈をするとイジーの死は前の方でセリアに言っていた「君の為なら死ねる」と関連していて、それほどの愛、、、という事か。

川に沈んだセリアが再生してニューヨークを歩いていたと考えればこれは輪廻転生ともとれるし。そのへんてこな石を持つと“色々な繋がりが感じられる”と言っているから本等は何の関連もない2人だがこうして知らないところでも力が働くこともあるのだよ...というのか。見た人の解釈で色々考えさせてくれる作品だった。

そういえば、もう1本の「私の愛情の対象」と「ルル・オン・ザ・ブリッジ」って何故かどちらも「雨に唄えば」がキーワードなのだ。前者ではゲイの主人公が好みを聞かれる時、そして後者では審問官のようなウィレム・デフォーがこの作品は偉大だとか、初めて君と意見が一致したとか言って、いきなりダンスをはじめてしまうところ。

さて、「私の愛情の対象」だが、あの「英国万歳」をかましてくれたニコラス・ハイトナー監督作品だったので期待していたら、別の意味である種の幻想を打ち砕いてくれた映画だった。

その幻想とは、、、実はここ数年ゲイと暮らす、あるいは彼等と良い関係を築いている女性が出てくる映画を見ては結構そうした関係に密かに憧れていた。折角良い人間関係を築いていたのにそこに恋愛感情が入ってくるとどうしても元の関係に戻れなくなり、まして性的関係何か持ったらもっと変わってしまう。お互い同じ気持ちならまだしもこれが一方的だともっと悲劇。そこで、これぞ理想の形と思い込んでいたものだ。

“いい人”と思うとその世界の方が多かったし。私事ながら仕事柄その手の方々とお会いする機会が多くて(注:怪しい商売ではありません)「イン&アウト」ではないけれど確かにセンスが良くてスマートな人が多かった。アル・パチーノとミッシェル・ファイファーが出ていた「フランキー&ジョニー(恋のためらい)」でファイファーの隣人がゲイのカップルで大工仕事から彼女のデートでの服装までチェックしてくれる。

セドリック・クラピッシュ監督の「猫が行方不明」でもヒロインのルーム・メイトは優しくて用心棒にもなるゲイだったし、「ベスト・フレンズ・ウェディング」のジュリア・ロバーツの良き相談相手はゲイのジョージ。(邦画でもゲイについている女性を描いた「おこげ」っていうのもあったような)子供好きで優しく繊細な今回の主人公の名前もジョージ。

精神的にも共鳴しなくては寝ません、、、とかって言っておいて子供の父親とは生活出来ないとか、男が恋しくなったら連れてきて良いと言いながらいざそういう状況となると怒り出すニーナの言い分はかなり勝手だが、どこかでその気持ちもわからないではない。ゲイ2組との夕食会で「この中で君だけがストレートだ。みんなは誰か良い相手をみつければそちらに行ってしまう。君だけが置いていかれるんだぞ。」と忠告する年輩格ゲイ氏の言葉に背筋が寒くなった。

「恋人達の予感」ではないけれどどんなに友情麗しい関係の男女でも性的な意識はどこかにあるだろうし、それはゲイとの間でもないとは言い切れない。但しかなり一方的だろうけど。そうなると新しい家族関係とだけ、きれいごとではすまなくなってくる。ゲイ氏は女の嫉妬やら何やらに付合わされ、女はかないっこない相手に翻弄され、結局こうしたカップルも破局..かもしれない。

「ウェディング・バンケット」の中で無理矢理子供を作ってしまった偽装結婚の男女と男の3人家族の、子供が生まれてからのその後を是非アン・リー監督に作って欲しいと思っている。ところでジョージの教え子が先生がゲイだと聞いて一瞬驚く場面がある。でも、それだけ。学校の職員も彼がゲイである事を前提に話しているし。この辺が「イン&アウト」で大騒ぎとなったのに比べ都会を感じてしまった。

蛇足だけど笑おうと思って多大な期待を抱いて見に行った「ドクター・ドリトル」の結果は..と言うと、ベイブの半分も笑えなかった。ターゲットは一応子供だと思うのだけれど唯一私が受けたのは犬のラッキーを保健所から救出しに施設に入った時。収監されてる連中が別の映画のパロディで、「斧で殺してやる」は「スリング・ブレード」、「ユージュアル・サスペクツ」のカイザー・ソゼや「デッドマン・ウォーキング」まで出る始末。でもこれって子供にはどうかと。

今春公開予定のベイブは柳の下状態でないことを祈りつつ。

公開予定といえば昨年 11 月に日比谷の東商ホールで休憩を抜いて約3時間半、トーキョーシネマショー ’99 というのを見てきた。洋画普及協会が通産省の後援を受け、約 20 社の主に今春公開予定の予告編を「エンタティンメント部門」と「アート部門」の2部構成で約 100 本見るものだ。主に配給会社の人が中心に見に来ていて、私のような一般客は 200 名位だろうか。

実は私は予告編に弱くて映画館は予告編から見るのが楽しみな位で、タイトルだけみていた時は見るつもりがなかったのについその気になってしまうという、配給会社の方が聞いたら喜んで下さりそうな客なのである。

そこで予告でさえ、先取りしたくて見てきたのだが、これが本当に良く出来ていておいしいところを巧くつないでいる。既にサスペンスなら「レッサー・エヴィル」「ストックホルムの黒い夜」、「アリスとマルタン」コメデイなら「ラ・ヴィータ・エ・ベーラ」「ミュージック・フロム・アナザー・ルーム」ドラマなら「愛する者よ、列車に乗れ」「天使のような子供たち」と唾をつけている。

この催しもその前の年に比べかなりサービスも良くなり見易くなったパンフとともにTシャツなどのおまけもついていた。

前年は1部が終わるとかなりの人数が脱落していたのに大分人数が残っていたのにも驚いた。必ずしも全部公開するとは限らないが、今年も結構色々な作品が期待されそうだ。

最後にウサギ年に因んで。

カートゥーンネットワークでは元旦はバッグスバニー 24 時間オン・エアしていたけれど、最近で印象的だったうさぎさんは「ネネットとボニ」の中でボニが可愛がっているふわふわのウサギさん。

名無しだったけどこれがボニの心情を映し出す小道具になっていて。ウサギが主人公の映画では「ハーヴェイ」何かはお奨め。アニメでは「ロジャー・ラビット」でしょうか。他にもお奨めがあったら是非教えて下さい。

良い1年となりますよう。

鳥野 韻子