ScreenKiss #005

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Vol.005

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■ Paris TOP 10             (10/7-13)
                     Source: Cine Chiffres.

 1 Il faut sauver le soldat Ryan (2週目)
 2 Place Vendome (1週目)
 3 Meurtre parfait (1週目)
 4 Le Poulpe (1週目)
 5 Godzilla (4週目)
 6 Le Petit monde des Borrowers (1週目)
 7 L’Homme qui murmurait… (6週目)
 8 La Vie reve des anges (4週目)
 9 Chat noir, chat blanc (2週目)
10 Conte d’automne (3週目)

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■ US TOP 10              (10/9-11)

 1 Antz (2週目)
 2 Rush Hour (4週目)
 3 What Dreams May (2週目)
 4 A Night at the Roxbury (2週目)
 5 Holy Man (1週目)
 6 Urban Legend (3週目)
 7 Ronin (3週目)
 8 There’s Something About Mary (13週目)
 9 One True Thing (4週目)
10 Saving Private Ryan (12週目)

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■ 第六回フランス映画祭~ランベール・ウィルソン

 ゲストの来日はフランス映画祭の楽しみのひとつだが、ミーハーな私にとってこ
 のところ毎年誰かしら“マイヒット”なゲストが来ている。1作目で一目惚れの
 C.クラピッシュ監督、子役時代から唾つけてました..のG.コラン、子供の頃から
 お慕いしてました..のB.ジロドー等なのだが、

 今回ご紹介するのは3つ目のパターンのランベール・ウィルソン。この8月で確か
 御年40才。「恋するシャンソン」で鼻持ちならない不動産屋マルクを演じている。
 この中で「僕は女の子達が好き」を口パクしており、映画祭でも舞台挨拶でちょ
 っと声を披露したが実際、れっきとしたバリトン歌手でもある。「ピーターと狼」
 等のナレーションやクラシックからポップスまで数枚のCDも出している。大感激
 の私をよそに映画祭での写真を見せると「一応…二枚目だけど…知らない」と
 いうのが大方の友人達の感想だが、私が最初に魅了されたのは実は“声”だった。

 「ヘルマン夫人ですか?2等4号車の甥のフランツです。貴方の誕生日にジュリア
 さんから..」『ジュリア』におけるこの数秒の台詞が映画初出演。後にこれは丁
 度英国で演劇を学んでいた時に出演したという事を知ったが、この綺麗な発音の
 “イギリス人”俳優が気になった。誰だか分かったのは数年後で、何と「ラ・ブ
 ーム」のヒットを知らなかった私は破滅的なキャラクターを演じた「ランデブー」
 や「私生活のない女」でフランス語も喋れるんだ….と感心していたものだ。実
 際はイタリア語も堪能とか。「悪霊」でA.ワイダ、「建築家の腹」でP.グリーナ
 ウェイ、そして今回のA.レネ(以前、監督に出演希望のラブレターを書いたとい
 う)等個性的な監督との仕事が多く、好青年から詩人、ジゴロ、テロリストと役
 柄も様々だが(出演作が多い割に日本であまり馴染みがないのはそのせいかもし
 れない)最近では「恋する..」や「妻の恋人、夫の愛人」のようにちょっと嫌み
 で割を喰う自称プレイボーイの洒脱な演技が結構はまっている。

 「恋する…」は口パクとはいえ現場は歌いながらの撮影だったというが、数年前
 からは本格的に声楽でもプロを考えていたらしい。1度聴いてみたいと思っていた
 ところ、昨年東京国際映画祭に続き京都映画祭でも「女優マルキーズ」のプロモ
 ーションで来日。その際東京と2箇所でリサイタルを開催した。’96年にリリース
 し、翌年パリ公演を行ったアルバム「悪魔と奇跡」の内容のリサイタルはモノト
 ーンの衣装にベレー、ジャケットで変化を凝らしながら「突然炎の如く」に始ま
 り父の主演作「かくも長き不在」まで一気に約1時間半。映画の中のシャンソンと
 いう宣伝のせいか客層は思ったより年齢層が高く静かだった。プログラムがなく
 次々に歌われて行くのだが、冒頭で流れる映画のワンシーンの音から、台詞の感
 じと船の汽笛等から「望郷」だな…とか、全ての曲を知らなくても映画が推測出
 来る。とはいえヌーベルバーグ以前の古い映画が多くフランス語音痴の私にとっ
 てはカルトクイズだった。東京での最初のステージは声も心なしか硬い感じがし
 たものの徐々に馴染んできて、上背を上手に生かした表現力豊かな動きと共に本
 来の幅のある響きになった。他にもR.ベリ等フランス映画界には意外な歌える俳
 優がいるのだが彼の父(ジョルジュ)もその部類だったようだ。

 スクリーンでも背と鼻の高さは印象的だが、実物に会ってみると189cmの身長は
 想像以上に大きくがっしりしていた。クロージングの日、名前を聞いてサインし
 ながら「歌も演技も可能性を試したい」と流暢な英語で答えてくれる姿には誠実
 な印象を受けたが、舞台挨拶時のタキシードからうって変わってこの日はスウェ
 ット? にスニーカー、クラーク・ケント風の眼鏡という超ラフないでたち。よく
 言えば飾らない…見方変えれば無頓着な…感じにこれ又この装いにはやや不釣
 り合いなトワレ(香りそのものは爽やかで良いのですが…会場でサンプル配って
 たYSLのJAZZ? )を纏ってちょっぴり前屈みでホテルへ戻る背中は少々お疲れ気
 味でした。

                                 鳥野院子

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■ オスカーとルシンダ

 今回は、フランス映画ではないのですが、興味深い1品に対する2人の批評を比
 べてみてください。偶然評価が分かれたのですが、その捕らえ方を比べると、や
 はり映画も多面性のある芸術ということです。それぞれの文章の長さもこの映画
 に対する思い入れの差でしょうか。

 「オスカーとルシンダ」===厳しい評===

 プルミエール誌の評価はなかなかのものだったが、そのわりにいまいちの映画。

 ただ、終盤のガラスの教会が川を上るシーンは名場面。さらに、この教会が沈
 む場面がこの映画の主題を全て語っているかのようだが、最後に陸へ引き上げ
 られ、朽ちた教会を出してしまっては興ざめ。

 いくつかのキリスト教的教訓を映画のメッセージとして捕らえても、人間関係の
 浅さと、その意味の曖昧さにはついていけない。主題の一つであるガラスの意味
 があまりにも単純で、賭け事の意味する表裏とガラスの果敢なさとの繋がりも感
 動しない。役者の選択もぱっとしない。もっとくせのある主役を使ってほしい役
 ではないか。なんだかんだ言っても、俳優によっては客がさらに入らなくなるか
 もしれないし、人気俳優をつかって無理やり客足を掴んでも、くだらない内容に
 は変わりないだろうし。もちろん客の入らない映画は赤字となるし、そうなれば
 映画産業が縮小されるようでつらい。どちみち脚本のつめの甘さがこの映画の大
 失敗点。撮影はいいから、その為にみる価値はある。

                                立野 浩超

 「オスカーとルシンダ」===評価高し===

 物語の始まりの、ルシンダへの父と母からの誕生日の贈り物「涙ガラス」。この
 映画の手掛かりはここから始まっているのではないだろうか。(注釈:「涙ガラ
 ス」はなにか伝統的な意味がありそうだが、私には分からない。)どんなことを
 しても割れないと言い張る父親と母親。ルシンダはペンチで試してみるよう言わ
 れ、ペンチで「涙ガラス」の中ほどに力を込める。なにか不安そうにペンチに挟
 んだルシンダ、その瞬間粉々に跡形もなく割れてしまうなんて思いもつかない。
 そのプレゼントは一瞬の内に砕けてしまうのだ。「割れる」「割れない」信じる
 ものは二つに一つ。ストーリーの入口のこの「賭け」、そしてそれはこの話のル
 シンダの生き方を暗示している。一方、自分の将来の進むべき道を石を投げて決
 定しているオスカーも同じく「賭け」ることから彼の行動が始まる。この言葉が
 この物語(脚本)の映画に対する「賭け」だったのだろう。

 ストーリーは単調に進んでいくのでつまらない。しかしオスカーとルシンダの一
 つ一つの場面が交差していくに従ってなんとなく一定のテーマがあるようで、
 「賭け」に対する推察が正しい事を感じ始める。ルシンダがオスカーに出会うシ
 ーンにしても二つあるドアを「どっちにしようかな、神様の言うとおり。」で決
 めている。もしももう一方のドアを開けていたらオスカーに出会っていなかった
 だろう。

 物語の中には二者択一的な「賭け」がちらちらと現れ、「運命」(人生)は、
 「賭け」(偶然)の連続で、支配されていることを示唆している。このことは後
 のオスカーの台詞からもわかる。「天国に行けるかどうかなんてわからない、神
 に賭けているようなもの」と言う。「賭ける」ことを罪とする神、しかし人は天
 国に「行けるか」「行けないか」誰も結果の分からない、保証もない死後に賭け
 て思い思いの神に祈る。「運命」には「賭け」が関わっていることを、この極端
 な話の人物をとおして観客が考え始めていた。「賭け」の結果は常に不安定要素
 であり、誰も予期することはできない。人間は「賭け」という不安定な「運命」
 にまた運命づけられている。ルシンダもオスカーも私欲のために「賭け」(ギャ
 ンブル)をするのではない、不安定さに支配された「賭け」のなかで見出した彼
 らの「運命」だったということに皮肉っぽい面白さを感じる。ギャンブルを愛す
 るルシンダは同じく不安定で一定の形を持たないガラスを愛す。ふわふわと水に
 身を任せて浮かぶルシンダ、ときどき現れるこのシーンにもまた、不安定に彼女
 の生き方を描き出していることが分かる。

 この話から一般の善と悪の定義は実は不確かなもので、罪の根底となるものが本
 物の悪を秘めていないときに受けるべき罰は何なのか、ということを考えさせら
 れた。人間が「正しい」と定義づけた生き方、行為は一体どこから来たものであ
 り、そして人間はその根底にある「正しさ」をきちんと身につけて進歩してきた
 のかという深い問いかけを感じる。

 ガラスの教会を無事に届けられるかという賭けにオスカーは自分の最大の財産で
 ある愛と命を賭けて出発する。形を成せば硬いが、不安定な性質を持っているガ
 ラスで出来た教会。神への侮辱と非難されるが、その教会を新たな勇気を携えて
 旅に出る。教会と共に地獄に落ちるか、天使の集まる教会を建てられるか。教会
 を無事に届けることができるかということは、ギャンブルをしてきたが今まで私
 欲はなかったと誓うオスカー、一方、神に対しては罪と認めて良心の呵責に悩ん
 でいるオスカーにとって、彼が今まで罪と認めたものの底に「罪」があったのか
 という人生すべての「賭け」も含んでいる。神を侮辱するといわれるが、神を尊
 んで作られた教会を命がけで届けることで神が認めてくれるのかを賭けている。

この話の結末がどんなものになるか予想が付かなくてさらに興味がわいた。ガラ
スの教会がちょうど オープニングに出てきた父親たちの教会と対比されている。
そのまま父と息子の生き方の対比にもとれる。この美しい場面に全てが集約され
ているように思われた。

 はかなく、不安定なガラスに囲まれ一人座るオスカー、ガラスは今にも壊れそう
 で崩れるガラスの破片が彼の上に降る。人間はこの不安定な危険な「賭け」の真
 っ只中に一人一人が生きている。

 私としてはこの印象を残して静かにTHE ENDになるほうが気持ち良かったのだが、
 彼は最後まで「運命」に振り回される。神に祈り懺悔している間に逃れられない
 死を迎えることになっていた。人を殺すに至る罪に内在する核心の善、この懺悔
 からドフトエフスキーの「罪と罰」でも問題となっている疑問も思い起こさせた。
 (興味あれば一読されよ)人間は自分が生きるに必要な「賭け」から生じる「運
 命」に翻弄される。そしてカオスの「運命」に賭けて前に進んでいく。

 まるで伽話のようにオスカーの息子に語られるこの物語は子供には分からない難
 しい映画である。

                      三田(立野 の友人の映画マニア)

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