ScreenKiss #009

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Vol.009

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■ 最新作品
   アベンジャーズ、マルセイユの恋、
   ワイルドマンブルース、トゥルーマン・ショー

 まずはそこそこ楽しめるものから。で、「アベンジャーズ」。米国での酷評を知
 りつつRファインズならとりあえず全部見たい私としては見てしまった。シリア
 スな役回りが多かった彼が小粋な英国紳士の諜報部員になって立ち回りも披露し
 ているが、この人とアクションの相性ははっきり言って良くない。おまけに相手
 役のユマ・サーマンの方がどうみても長身で2人並べた時の撮影に苦労が伺えた。

 話はジェシカおばさんが住んでいそうなのどかな田舎風景にマグリットの絵から
 抜け出たようなスティードと「探偵スルース」調の迷路庭のついた「薔薇の名前」
 風屋敷に住むS・コネリーの悪漢オーガスト。彼の仕業で凍ったゴッサムシティ
 みたいになったロンドンを救うべく、滝でのホームズとモリアティ教授との決闘
 宜しく対決してめでたし。

 今回の作品の売りは当時風ローテクと現代のハイテクの組み合わせの妙という事
 だが、007ほど高度でなくオースティンほどお馬鹿でなく本当に「妙」。ファ
 ッションも時代を意識した伝統的なスタイルとハイパーなユマのイルマ・ヴェッ
 プを思い起こさせるピタピタスーツ。(人間離れした?スタイルを際だたせて目
 に楽しい)

 随所でやや自嘲気味にしつこいほど「英国」を強調している点は笑えるが、とっ
 ておきはサー・オーガストの秘密会議。何しろ参加者は全員テディベアの着ぐる
 み着用なのだ。MRビーンの愛熊?風ながら一番渋いテディはオーガスト。あとは
 ピンクやブルーとポップなカラーが12色(人?)も揃っていて、ハードなイメ
 ージのビルに子供部屋があるみたいだ。

 着ぐるみのまま挙手をする表情をカメラが捉えるのだが、妙に手が短くて頭が大
 きくとぼけた顔が画面一杯になると会場から笑いが起こっていた。丁寧且つ上品
 な言い回しによるブラックユーモアは英語の勉強には良いかも。

 それと、「マルセイユの恋」今年のフランス映画祭横浜で最終日に上映された作
 品で、前売りは結構早く売り切れていた。原題は「マリウスとジャネット」。

 過去に辛い経験を持つ中年の2人が主人公だ。こう言うとメロドラマ風だが、庶
 民の逞しさにユーモアの味付けをしたなかなかの小品である。前半はジャネット
 の口うるささが鼻についてなかなか雰囲気に馴染めなかったが、中盤位から引き
 込まれる。

 どこにでもいそうな、ごく普通の人々の、下町風の人間関係とそれぞれの家庭の
 模様を冒頭にあるように“お伽話”風に綴っている。主に使われているのはヴィ
 ヴァルディの「四季」とパバロッティの歌う「オーソレミヨ」。これが主人公達
 の心を反映して実に巧く分かりやすく挿入される。飲んだくれた男3人がはしけに
 並んで横になるところを俯瞰でとるとシャツの色が丁度トリコロールに見えたり
 して色彩も面白い。

 マルセイユでマリウスとくれば、ついマルセル・パニョルの3部作を連想してし
 まう。コミカルでいて社会批判にも長けていて、その辺が嫌みにならない程度に
 軽い会話が交わされてなかなか笑わせてくれる。

 コミカルといえば渋谷で上映中の「パリの横顔」第3弾“味覚の街パリ”。中から
 何となく一番パリらしくなさそうで、未公開の「ファーストフード」を選んでみ
 た。田舎の純情青年が保護者の祖父を亡くし、自分の保護者になって貰おうと1度
 だけ関係した黄色い髪の女性を追ってパリに来る。とりあえず得たファーストバ
 ーガーでのバイトから順調に出世したが、やっと会えた女性に拒絶されて初めて
 自分の人生を歩み始めるという目新しさはないが非常に分かりやすい作品だった。
 短めのパンツを穿いたのっぽの青年は僕の伯父さんっぽい演出でそれなりに笑え
 はするが。

 締めは「ワイルドマンブルース」と「トゥルーマン・ショー」。前者はすぐにレ
 イトショー化してしまうので焦って見たわけで、私などがWアレンを語ると怒る
 人がいるのであまり言いたくないが、終わり近くで登場する彼の両親が天然ぼけ
 でおかしい。特に96才の父の発言は爆笑もの。ドキュメンタリーとしても一級
 の出来だ。続く「地球は女でまわっている」も楽しみ。「トゥルー…」の方は連
 日試写会場は混雑という噂だし、あのP.ウイアーというので期待してた。マスコ
 ミの養子が30才位迄人工の人生を送っていたという発想は確かに現代を風刺し
 ていて面白いし、スポンサーの製品をその中でさりげに宣伝したりする着想や、
 舞台が「シザーハンズ」みたいに可愛いく、Jキャリーも得意のゴム顔でなく演
 技で勝負してたし、文句ない出来なのだ。だが、内容の割には何だか今一つパン
 チが利いていなくて手放しで絶賛出来ない、何とも言えない脱力感が残ってしま
 った。

 次はこわい作品。先の「トゥルーマン…」がラストで人工島から勇気を持って脱
 出するのと反対に「砂の女」的な空しさが残る「CUBE」。六本木で上映中は大混
 雑の上に朝から全ての回の整理券を配布してしまうので見れず、渋谷でやっと実
 現。雨天を狙って行ったのに座布団組だった。視覚的に気持ち悪い映画は見ない
 主義の私でもぎりぎり正視出来る画面だが、心理的にこわい。場内しーんとして
 皆の緊張感が感じられた。対し怖そうで全然期待はずれだったのが「ダイヤルM」
 元祖ヒッチコック作品のリメイクだがさすがに..を回せとはこの時代つけられな
 かったようでこの邦題である。プロットが甘い。ポワロ役者が老練な刑事になっ
 ているのはご愛嬌。随所に登場する絵画はデニス・ホッパーの提供とか。「大い
 なる遺産」に続き絵描きに縁のあるG.パルトロゥのながーい首を見るのは楽しい
 かも。M.ダグラスといえば過激なシーンが多いが、流石に子供の頃から知ってい
 る彼女との絡みは避けてもらったとか。いよいよ23日からは英国、今月末から
 は東京国際映画祭が開催されるが、今年は一部チケットの発売が遅れたりしてゲ
 ットするのに結構苦戦。映画祭の様子は順次レポートする予定。

                                鳥野 韻子

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■ ビデオでシネマ

  このコーナーは見損なった作品、もう映画館では見られそうもない作品、ある
  いは未公開の作品に出会えるビデオのご紹介がてらの勝手な感想をお送りしま
  す。

 2「恋人たちのポートレート」

 「ミナ」のマルティーヌ・デュゴワゾン監督の作品と聞けば見てみたいと思う人
 もいるはず。何を隠そう私もその一人で、ロードショーを見逃したためビデオが
 出るのを手ぐすね待っていたんですね。で、見た感想は、フランス映画にしちゃ
 あんまりフツーで、ちとガッカリ。もっとも、口当たりいいし分かりやすいから、
 パリの空気が恋しいとき見るには手ごろかな。

 おハナシは、女3人男4人のグループに女が一人飛び込んできて、恋愛がちょっく
 ら入り組んで友情もあって、という日本のトレンディドラマじゃ使い古した筋立
 て。メインキャラクターのアダを演ずるヘレナ・ボナム・カーターの職業がファ
 ッション関係、友人のマリー・トランティニャンと男たちが映画関係って設定も、
 それぞれの業界をしっかり描いてくれていないから魅力ない。まあ、“グループ
 交際”は万国共通、マンネリこそが大前提ってことか。でも、もしエリック・ロ
 メールが撮ったらもっと皮肉っぽくておもしろくなっただろうにと、途中でつい
 つい余計なこと考えたりしたものだ(その代わり、登場する男はみんなお喋りで
 女々しいんだろうね)。

 ただし、よい部分もありました。女性監督だけあって女友達の関係がわりにうま
 く描けているのだ。たとえばやり手で姐御風のトランティニャン、仕事熱心でし
 っかり者のカーター、うだつが上がらず恋人もいずどこか抜けてるエルザ・ジル
 バースタインという3人の女友達のつるみ方。ほら、3人のうち2人がしっかりして
 いる場合、何にかにつけて2人が額を寄せ合ってヒソヒソやり、ボケ役は「あんた
 は黙ってなさい」って言われるケース、よくあるでしょ。といって2人は彼女を嫌
 っているのではなく、むしろ憎めない妹扱いしている、みたいな。そんな女友達
 の関係性の勘どころと呼吸をうまく捕まえている。前作の「ミナ」は、若い時期
 の女友達の関係にありがちな打算、駆け引き、自己中心、意地の悪さに目を向け
 た点がおもしろかったが、この作品も女友達物として見た方がおもしろいかもし
 れない。

 そう思えるのは女性の方が性格付けがよくできているせいもある。この映画、男
 はパターンだし、ほんと冴えない。俳優も男どもより女優陣の方が健闘してます。
 意外や意外、ヘレナ・ボーム・カーターがいい。これまでの彼女は癇が強かった
 りキツい役が多く、ドラマの主人公にはよくてもお友達にはしたくないタイプだ
 ったが、今回は身近にいそうな普通の女性を好演。圧縮器にかけたような容貌と
 小柄な体躯のせいで、イギリス、アメリカ映画じゃ特異な雰囲気になっちゃう彼
 女も、やはり小柄でアクの強いフランス人女優の間だと普通に見える点が良く作
 用しているんだろうか。とにかく彼女の才能に対する認識を新たにしました。

 マリー・トランティニャンも他の映画じゃとんでもないエキセントリックぶりを
 ご披露くださっているが、この作品では愛敬たっぷり。男っぽくてツッパラかっ
 てるくせに、自分の愛人とカーターが夜中になっても戻らないと気を揉んでジタ
 バタ。これが茶目っ気あって笑わせてくれる。この人、コメディやったら絶対い
 い。

 ところで、マリー・トランテイニアン扮するキャリアガールはイヴァン・アタル
 演ずる映画監督と長年同棲して赤ちゃんもいるが、二人は結婚も入籍もしていな
 い。フランスでは未婚で子供を産みその父親と独立した関係を保ちつつ自分のキ
 ャリアを続けていく生き方が、多くはないにしても女性のライフスタイルのひと
 つとして定着している。だから女友達が何人か集まる際にこういうタイプが1人ぐ
 らい混じるのは設定としてごく自然なのだろう。

 さて、実はここが日本のトレンディドラマと違う点なんですね。日本にも彼女み
 たいな女性はいるもののまだ少数派。一般に十分認知されていない。ゆえに日本
 のドラマでは、不倫中のOLや離婚した女性は普通に登場するが未婚の母は典型
 的キャラクターとしては出てこない。この違い、日仏のお国柄や社会的背景の違
 いによる現象ではある。けれどむしろ日仏の女性の意識の違い、人生観や結婚観
 の違いの現われじゃないのかな。私はこの作品見ていてつくづくそう思った。つ
 いでながら、原題のPortrait Chinoisって決まり文句? ご存知の方があったらぜ
 ひ教えてください。

                                 quittan
                          quittan@screenkiss.com

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