ScreenKiss Vol.028

1999年 6月 8日 配信
ScreenKiss Vol.028

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Vol.028

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■ 横浜フランス映画祭特集

  ――監督に注目!

 その3.クロード・ミレール/クロード・ジディ

 第7回横浜フランス映画祭にむけてご紹介するフランス映画監督シリーズの最終
 回です。名前は同じクロードでも、かたやトリュフォーの弟子、かたやコメディ
 映画監督の代表格。

 そう、フランス映画と一口に言っても、実は監督のタイプもさまざまなら、映画
 のタイプもさまざまなんですね。

 ◇クロード・ミレール/Claude Miller
  上映作品 「冬の少年」

  1942年パリ出身。日本に紹介されたときは「小さな泥棒」を引っさげていたた
  め「トリュフォーの弟子」という点がやたらクローズアップされたが、ロベー
  ル・ブレッソンやゴダールの助監督もつとめた地金入りの映画人で、いい意味
  で職人気質を感じさせる監督だ。弱者や地味な存在に眼差しを向けるのが特徴。
  今回の出品映画も子供の世界を取り上げている辺り、彼らしいのでは?

  おすすめ作品
  1.死への逃避行(83)
    イザベル・アジャーニ/ミシェル・セロー/サミー・フレイ/
    ビデオ=廃版
    実はおすすめってわけではない。アジャーニが殺人を繰り返す話なので見
    ていてしんどいし。が、どちらかといえばさっぱりタイプのミレールでも
    こんな作品つくるのかと、監督の意外な一面は覗ける。それにアジャーニ
    がはまり役。

    トリュフォーの「アデルの恋の物語」といい、「殺意の夏」といい、彼女
    ってほんとに悲劇向きな女優なんですねえ。

  2.なまいきシャルロット(85)
    シャルロット・ゲンズブール/ベルナデット・ラフォン/ジャン・クロー
    ド・ブリアリ/ビデオ=カルチュア・パブリッシャ-ズ
    圧倒的に男性監督が多いせいか、思春期入口の少年の話は沢山あっても少
    女の話は少ないし、あれば性の目覚めのほうにテ-マが向き勝ち。その点、
    コロンブスの卵的存在なのがこの映画だ(ジャンヌ・モローも作ってはい
    ますがね)。

    ゲンズブールのシロウトっぽいけど下手でない演技には、ジェーン・バー
    キンとセルジュ・ゲンズブールの子、という七光りを払拭させるものがあ
    る。

  3.小さな泥棒(88)
    シャルロット・ゲンズブール/ラウール・ビルレー/ビデオ=廃版
    師匠トリュフォーの遺した企画を弟子のミレールが監督して話題になった
    作品。たしかにテーマはトリュフォーなんだけど、あのまったり絡みつく
    ような映像ではない。トリュフォーのファンには中途半端に感じられる映
    画かも。

  4.伴奏者(92)
    ロマーヌ・ボーランジェ/リシャール・ボーランジェ/
    ビデオ=フロムスクラッチ
    オペラ歌手のピアノ伴奏者という、自らは脚光を浴びることのない女性を
    取り上げ、彼女の心の動きを細やかに描く。ボーランジェも彼女としては
    珍しい「耐える女」役で健闘してます。

 ◇クロード・ジディ/Claude Zidi
  上映作品 「アステリクスとオベリクス」

  1934年、パリ出身。今ではフランス・コメディ映画の代表格といっていいだろ
  う。カメラマン、撮影技師を経て、監督に手を染めたのが1970年代前半。以来
  若干の例外を除きコミカル路線まっしぐらである。日本では「ザ・カンニング」
  シリーズで当たりを取った。笑いはアメリカ的で、ばかばかしいけど分かりや
  すい。シュワルツェネッガー主演「トゥルー・ライズ」の原作も彼とか。

  おすすめ作品
  1.ザ・カンニング IQ=0(80)
    ダニエル・オートゥイユ/マリア・パコム/
    ビデオ=カルツア・パブリッシャーズ
    大学入試テストのバカロレアに合格するべく、あれこれカンニング作戦を
    展開するリセの学生の苦心惨澹?物語。そんなことやってるヒマに勉強し
    ちゃった方が早いんじゃないのと思わせるくらい大胆かつユニークなカン
    ニング方法を次々「発明」してくれる。今では風格が備わりつつあるダニ
    エル・オートゥイユが若くて笑えます。続編「ザ・カンニング2アルバイ
    ト情報」もあり。

  2.フレンチ・コップス(84)
    フィリップ・ノワレ/ティエリー・レールミット/ビデオ=廃版
    肩書をかさに甘い汁吸い放題の「悪徳警官」ノワレと、田舎から来た若い
    警官レールミットがおりなすドタバタ。二人の掛け合いときたら、頭はハ
    タき合うわでほとんどど突き漫才のごとし。しかしフランスの警察機構の
    実態を暴く、といったら大げさだが、案外、鋭く社会を切り取っている。

  3.ふたり(89)
    ジェラール・ドパルデュー/マルーシカ・デートメルス/
    ビデオ=日本コロンビア
    ウーッ。これがジディの作品とは知らなかった。なぜなら、シリアス系の
    恋愛ドラマだから。愛し合っているが結婚には踏み切れない二人。しかし
    女性の側には惨事が待ち受けていて……。ストーリーはややご都合主義的。
    ドパルデューの恋愛物に興味のあるヒトはどうぞ。

  4.アルレット ラスベガス恋物語(97)
    ジョジアーヌ・バラスコ/クリストファー・ランバート/ビデオ=JVD
    余命いくばくもないラスベガスの大金持が1度も会ったことのない娘に全
    財産を譲るという。側近たちは遺産欲しさにジゴロのランバートを使って
    娘バラスコと結婚させ、彼女を殺そうと目論見る――。

    美男と醜女(そこまでヒドくないですが)のありがちなラブ・コメディ。
    が、バラスコ勤めるトラック野郎相手のレストランの日々は、日本で紹介
    されないフランスを垣間見せてくれる。

   まだまだ紹介したい監督はいますが、今回はひとまずこの辺で。
   横浜フランス映画祭の報告記事もお楽しみに。

                              続く(quittan)

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                                    □

■ 第11回フランス映画祭横浜:スタッフ・キャスト紹介

<男優編>

●ピエール・ラジョ:『ヌーヴェル・イヴ』
 『SOUVENIRS SOUVENIRS』でセザール賞最優秀新人賞受賞。その後クロード・ソー
 テ『ギャルソン』等。舞台でも活躍。

●エマニュエル・ショッテ:『 ヒューマニティ』
 今年のカンヌ映画祭でグランプリ受賞のこの作品では、男優賞と女優賞も同時受
 賞。例年だと賞が重ならないような配慮がなされてきたカンヌでは異例のこと。

 女優賞のセブリーヌ・カネールも、冷凍野菜工場に勤務していたところをスカウ
 トされたというし、ショッテも映画出演までは失業中で、クランクアップと共に
 また失業という。ちなみに監督のブリュノ・デュモンは前作でもアマチュアを起
 用している。

●ジェラール・ドパルデュー:『アステリクとオベリクス』
 フランスを代表する俳優。もともと、少年院の問題児だったが、その才能を発見
 した教師に俳優を勧められたという。舞台で活躍していたが、映画は『バルスー
 ズ』以来注目を集め、カンヌ映画祭では『シラノ・ド・ベルジュラック』で主演
 男優賞。舞台版は来日公演も行った。

 『グリーン・カード』『仮面の男』等、最近はアメリカ映画にも進出している。
 なお、87年のカンヌでグランプリを受賞しながら賛否両論の嵐に見舞われた、
 モーリス・ピアラ『悪魔の陽の下に』でも主演の神父を演じている。

 『1942コロンブス』『愛の報酬/シャベール大佐の帰還』等のタイトルロー
 ル、『カミーユ・クローデル』のロダンなどコスチュームプレーや『隣の女』『
 終電車』といった恋愛物等、様々な役柄に挑戦してきている。

 アニエス・ヴァルダ『百一夜』で『ダントン』を演じた際のギロチンの撮影につ
 いてのコメントを述べているのも面白い。

 今回の作品は原作がコミックという事だが、マリー・ジランと共演した『さよな
 らモン・ペール』などのコミカルで可愛い中年、という役柄も得意とするところ
 だ。

 毎回来日を期待されては、このところ実現していない。東京国際映画祭のファン
 タスティック映画祭部門で上映された『俺たちは天使だ』の時は、来日がかなり
 確実っぽかったが、自家用機が墜落。どうも日本と相性が悪いんだろうか?

 息子のギヨームは『めぐり逢う朝』『めぐり逢ったが運のつき』『嘘つきな彼女
 』等に出演。レオス・カラックス『ポーラX』が最新か?

●クリスチャン・クラヴィエ:『アステリクとオベリクス』
 リセのクラスメートだった、ミッシェル・ブラン、ジェラール・ジョニョー、テ
 ィエリー・レルミットと劇団スプランディドを旗揚げ。作家、演出家、俳優とし
 て活躍。フランスで大ヒットし、セザール賞候補にもなった『おかしなおかしな
 訪問者』等、ジャン=マリー・ポワレ監督とのコンビ多数。

 パトリス・ルコントの初期の作品『レ・ブロンゼ』のシリーズではジェローム医
 師役で出演。Tバックの水着が気味悪かった。『おかしなおかしな訪問者』ではジ
 ャン・レノの家来の役だったが、あまりにうるさく、しつこい演技には疲れると
 ころがある。

●ロベルト・ベニーニ:『アステリクとオベリクス』
 アカデミー賞はじめ数々の賞に輝いた『ライフ・イズ・ビューティフル』がヒッ
 ト中の話題の人。トスカーナ地方に生まれ、最初はスタンダップ・コメディアン
 として活躍。

 ベルナルド・ベルトリッチ、コスタ・ガブラス作品等に出演後、ジム・ジャーム
 ッシュ『ダウン・バイ・ロー』で国際的に有名になる。同監督の『ナイト・オン
 ・ザ・プラネット』ではイタリアのタクシー運転手、『ジョニーの事情』でもマ
 フィアとそのそっくりさんの運転手、フェリーニの遺作『ヴォイス・オブ・ムー
 ン』では詩人、と様々な役柄をこなす。

 イタリアのウディ・アレン、90年代のチャップリンと称され、名実ともに“イ
 タリアの宝”と呼ばれる地位を築いている。

 独特の喋りと軽い身のこなしが得意業。

●レジス・ロワイエ:『葡萄色の人生 ロートレック』
 『読書する女』に出演中をロジェ・プランション監督に見い出され本作の主演に
 抜擢された。

●サミュエル・ル・ビアン:『新しい肌』
 コメディ・フランセーズに在籍し『SALE COMME UN ANGEL』を機に映画界入り。『
 トリコロール/赤の愛』『フランスの女』等に出演。

 映画祭で上映された『コナン大尉』でセザール賞新人賞にノミネート。『たれ込
 み屋』等に出演後、今回上映作品『ヴィーナス・ビューティ』でジャン・ギャバ
 ン賞受賞。

●ファブリス・ルキーニ:『ロベールとは無関係』
 18才で出演した映画で演技が認められ、『クレールの膝』以来エリック・ロメ
 ール作品の常連に。『恋愛小説が出来るまで』でジャン・ギャバン賞受賞。

 『愛の報酬/シャベール大佐の帰還』『可愛いだけじゃダメかしら』『ボーマル
 シェ/フィガロの結婚』『愛と復讐の騎士』等出演作多数。

 その飄々とした演技もさることながら『ボーマルシェ/フィガロの結婚』での来
 日でのサービス精神も素晴らしかった。素顔は穏やかな素敵なおじさまでした。

●ジャン・ヤンヌ:『父の跡をたどって』
 ジャーナリスト、ミュージックホールの台本書き、ラジオ番組のプロデューサー
 を経て映画界入り。『インドシナ』でセザール賞助演男優賞にノミネート。

 『ボーマルシェ/フィガロの結婚』、映画祭で上映された『ならず者の子どもた
 ち』等出演作多数。

●ギヨーム・カネ:『父の跡をたどって』
 11才の時からサーカス学校の講師に招かれ、4本の舞台、TV映画に出演。短編
 映画『SANS REGET』では監督も。パトリス・シェロー『愛する者よ、列車に乗れ
 』、最新作はレオナルドディカプリオと共演した『ザ・ビーチ』等に出演。

 映画祭で上映された『バラクーダ』ではジャン・ロシュフォールを相手に、彼に
 監禁され、悪夢の様な体験をする青年を演じていた。来日が楽しみな一人。

●フィリップ・トレトン:『今日からスタート』
 コメデイ・フランセーズに在籍しながら『ランジェ・ノワール』『ひとりぼっち
 の狩人たち』等に出演。タヴェルニエ『コナン大尉』ではセザール賞最優秀男優
 賞受賞。フランスではジャン・ギャバンに人気を比べられる程とか。

●ヴァンサン・ランドン:『ベル・ママン』
 『ベティ・ブルー/愛と激情日々』の人の好いおまわりさん、『セ・ラ・ヴィ』
 での主人公の不倫相手、『ガスパール』の心に傷を負った男性等役柄も様々。『
 女と男の危機』や映画祭でも上映した『フレッド』『パパラッチ』等ではちょっ
 とくたびれた中年も。昨年上映した『肉体の学校』ではゲイの役で、いつも男っ
 ぽい役が多いだけに、なかなか美しかったのは以外?

 第一回の映画祭(『女と男の危機』)と昨年(『肉体の学校』『パパラッチ』)
 と二回の来日をしている彼、日本語を喋れるふりをするようなお茶目なところも
 あるらしいが、実際は英語、イタリア語もOK。監督業にも意欲的で、脚本にも着
 手している模様。内容は政治家になりたがってる男の話とか。

 演技派の彼だが、どうも大勢の前では緊張するのか、舞台挨拶でチック症気味に
 なってしまうのが気の毒だった。なかなか眼光鋭い、意外にマッチョな感じの人
 でした。

●リシャール・ベリ:『カジモド』
 コメディ・フランセーズでの舞台経験を積み、アヌーク・エメを相手に主演デビ
 ュー。その後映画界でも活躍、『愛しきは女/ラ・バランス』のヒットで脚光を
 浴びる。クリスティーヌ・パスカル『小さな王子様が言った』でセザール賞主演
 男優賞にノミネート。パスカルとは『不倫の公式』でもコンビを組む。今回の作
 品でコンビのパトリック・ティムシットとは『ペダル・デゥース』でも顔合わせ
 している。

 エイズ撲滅のメッセージを30人3分間で描いたオムニバス映画では、初の監督
 に挑戦した。

 刑事、アクション、シリアスドラマまでこなす彼だが、もうひとつの才能は音楽。
 ジャック・ドゥミのミュージカル『都会のひと部屋』では、歌とダンスを披露。
 歌ではCDも発売されているとか。幼少時の音楽学習の経験から引き受けた『無伴
 奏「シャコンヌ」』では、クレーメルのビデオで猛練習を重ね、ヴァイオリニス
 ト、アルマンを演じた。

 『不倫の公式』で来日した時の彼は、黒い地味な服に身を包み、ぼそぼそと話す
 低音の声はなかなかセクシーだった。飾らない、職人的なアーチストという印象
 だった。彼にアテンドした、ある配給会社の方によれば、ダンディながら、実は
 とても茶目っ気たっぷりの人で、”oiu”という発音がとても魅力的だったそうだ。
 (声の魅力に弱い筆者は、以来根強い彼のファン。彼のCDをみつけた方御一報く
 ださい)

●オリヴィエ・ピ:『幸せな日々』
 ローダン・ベネギ『パリのレストラン』で主人公の友人の一人を演じ、またセド
 リック・クラピッシュ『猫が行方不明』ではギャランスと同棲するホモの青年を
 演じていた。舞台演出家、俳優、自作の戯曲も上演するたくさんの顔を持つ人。

                                鳥野 韻子

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