ScreenKiss Vol.033

バックナンバー

1999年 7月 22日 配信
ScreenKiss Vol.033

■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■

  ,.`☆
  .;^☆ S C R E E N K I S S
.’

Vol.033

■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■

  ■ 横浜フランス映画祭特集 ■
  フランスの映画監督のジャック・ドワイヨンとのインタビュー後半です。

  後半は最近公開された作品についてのレビューです。

┏━┓
┃1┃ジャック・ドワイヨン監督独占インタビュー 後編
┗━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 ◇今子供映画の専門家だと思われているみたいですよ
 前編では、ドワイヨン監督が子供を主演とした作品を多く撮る理由を伺ったら「
 子供には演技が出来ないと考えがちなフランス映画界に疑問を呈したからでもあ
 る」との答えが返ってきたところまでお伝えした。

 ところが今年の映画祭では、クロード・ミレールの「冬の少年」、ベルトラン・タ
 ヴェルニエの「今日からスタート」など、子供を扱った映画が目立つ。もしやフ
 ランスの映画界はドワイヨン監督の映画に影響を受けているのではないだろうか?

 そう質問すると監督は照れるでもなく、といって否定するでもなく、しかしやや
 身を乗り出して「自分のことを偉そうに言うつもりはありませんが、私が『ポネ
 ット』を撮っていなかったらタベルニエ監督も『今日からスタート』を撮らなか
 ったかもしれませんね」と言った。

 監督によれば、フランスでは子供を扱った映画は昔は少なく、この20年ぐらいで
 子供をテーマにする作品が増えてきたとのこと。「私の撮った映画はフランスの
 監督仲間の間ではよく知られていましたから、おそらく彼らも、子供を使って映
 画を撮るのがプロの俳優を使うのと同じぐらい楽しく喜びの持てる作業であると
 気付いたのではないでしょうか」

 そして「ポネット」が日本で大変ヒットしたことを伝えると、
 「フランスよりも日本での方が反響がありました。アメリカとカナダでも好評で
 した。でも、このヒットで逆に悪影響が出てきましてね(笑)。大人を使った映
 画が作りにくくなってしまったんですよ。

 「私が企画を持ち掛けると、いやいや、子供で撮ってくれないかと言われるので
 す。どうも、子供を扱う映画のスペシャリストだと思われてしまっているみたい
 なんですね(笑)」

 ◇日本で映画を撮ってもよいかも
 さて、取材時間のタイムリミットは残りわずか。最後に日本についての感想、日
 本とフランスの違いについて伺った。

 「『ポネット』が日本で配給されたことはとても嬉しいし、好評を得たのは素晴
 らしいことだと思います。ただ、日本とフランスでは言葉、文化の違いがあり、
 たとえば日本映画にもフランスで受け入れられるものとそうでないものがありま
 す。

 「しかし、まあ、それを気にしても仕方ありません。来日は5回目なので、まだ日
 本のことはよく分かりませんが、もし今後フランスで映画を作れなくなったら、
 日本で撮ってみるのもいいかな、と思っています」

 いい終わると監督は穏やかに微笑んだ。

 ◇後記
 背は高からず、やや猫背気味の痩身に、薄茶色のジャケット、黒シャツ、黒いジ
 ーンズ、黒いバスケットシューズ――と、一見とうの立ったロックンローラーと
 いったイデタチで現れたドワイヨン監督。

 その外見から、もしや相当個性が強くて、てこずらされるのではと思ったのだが、
 何の、会ってみたら意外にも物静かで親しみやすかった。インタビュー直前まで
 自室の硬い床に座って耐えていたという腰痛をものともせず、表情は終始にこや
 か。カメラに向かって愛敬を振りまいてみせるユーモラスな一面も見せてくれた。

 語り口がまた穏やか。しかも取材を受けることに慣れきった人によくあるお決ま
 りっぽいビジネスライクな話し方ではなく、質問に対して丁寧に答えてくれる。
 あれま、いい人じゃん、てのが正直な感想でアリマシタ。

 しかし考えてみると、わずか4、5歳の子供から世界をアッと言わせる名演技を
 引き出したのは、単に監督としての演出手腕のみならず、こうした人柄があった
 からだろう。

 それに、今回来日したベテラン監督の多くが大企業の重役然としたスタイルだっ
 だのに比べて彼の格好がラフだったのも、商業ベースに乗らず翻弄されず、本当
 に作りたいもの、作らなければと考えるものだけを撮り続ける監督の、映画作り
 に対する姿勢の現われかもしれない。

 時間が短くて突っ込んだ質問まで至らなかったのが心残りだが、腰痛とタイトな
 スケジュールをおしてインタビューに応じて下さったドワイヨン監督に感謝!そ
 してアポを取って下さった映画祭広報事務局の方にもこのページを借りてお礼を
 申し上げます。

                                 Quittan

__________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____
                                    □

┏━┓
┃2┃ムーンライト・ドライブ
┗━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 ★★

 10 日にシネマライズで観たのだが、当日は「π」の初日で限定Tシャツの販売が
 あるとのこと。正午には列が十数人。映画とあまり関係ない人気の為の列だが、
 シネマライズの商売の上手さはこんなところにある。宣伝効果は高いだろうから。

 さて、この映画はあまり人の入りがよろしくないようで、上映3週目にして土曜
 日の昼の回ががらがらだった。これが映画のつまらなさをかたっているのだろう
 か。

 しかし、評価すべきはこの映画のエンディングだろう。カウボーイの乗った車を
 パトカー2台が追っていくのだが、それが偶然同じ方向へ走っていくだけのよう
 にも捕らえられる。解決してここで終わりという閉めのシーンではなく、予断を
 残すといったところ。しかもここで「真夜中のカウボーイ」の主題歌でもある
 ”EVERYBODY’S TALKIG'”が流れ、カウボーイを送っていくのだ。この曲はエンデ
 ィングタイトルまで続き余韻をうまく引っ張っている。

 おおげさな演技と、おおげさな演出、それこそ撮影もおおげさで、同じテンポに
 飽きがくるが、このエンディングでそれはやわらいでいく。

                                立野 浩超

__________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____
                                    □

┏━┓
┃3┃インディアナポリスの夏
┗━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 ★★★★

 4つの★には評価が高すぎるという声も聞こえてきそうだが、全体像でとらえる
 と欠点がすくない映画であり、青春物という言葉に鳥肌がたたなければ観るだけ
 の価値は十分ある映画。

 7月10日から始まったこの映画は初日の昼すぎの回で約30人程度と、このま
 までは早々に打ちきられるのではないかと思う程人気がない。あきらかに宣伝が
 まずい。チラシの写真はいいが「明日へ走れ」の文句は最低だった。またこのチ
 ラシ、「死にたいほどの夜」にイメージがそっくりだ。ちなみに「死にたいほど
 の夜」は 97 年のサンダンスに出品されている。

 同じ年「インディアナポリスの夏」はサンダンス審査員特別賞をとっている点を
 考えても、どちらが見る価値のある映画かわかるはずだ。サンダンスの賞取り映
 画には、はずれが少ないというもっぱらの評判。

 映画館で流しているコマーシャルのイメージは、50 年代のアメリカの青春映画と
 いう雰囲気を前面にだしすぎているし、たいしてスタイリッシュなイメージでは
 ないのに「スタイリッシュな青春ラブストーリー」なんて言葉に反応する人も今
 時いないのではなかろうか。これは「2人の男の友情と、女遊びの映画で、自分
 探しのロードムービー」とでもいうべきではなかったか。事実この映画はロード
 ムービーではないが、そうとも言えるだけの展開がある。

 実際は古臭いストーリーの青春映画ではなく、斬新ではないが現代タッチの成り
 行きには関心するし、新鮮味すら感じる編集のテクニック、ソニー(ジェレミー
 ・デイヴィス)が見る幻惑のシーンのユニーク、程よいコメディータッチの行動。

 さらに全体のストーリーは映画の途中でソニーがつぶやく「ライ麦畑でつかまえ
 てのホールデンの様にはなれない自分」からもわかるように、その小説にそった
 展開をむかえる。またその言葉が最後の列車のシーンを引き立てている。(列車
 にぴんとこない方は小説を読みましょう。)

 ガナー(ベン・アフレック)との崩れそうな友情には途中いつも不安を感じるの
 だが、エンディングを迎えるとその反動で大きな安心感に包まれていく。これが
 観客にも素直にソニーを見送るような気持ちよさを与え、実にすっきりした嫌み
 のないハッピーエンドとなる。このストーリー上無理のない終わり方には脚本の
 素直さを感じるはずだ。

 サンダンの審査員特別賞をとったこの映画はサンダンスを評価している映画ファ
 ンにはかならず観ていただきたい一品。

                                立野 浩超

__________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____
                                    □

┏━┓
┃3┃ラン・ローラ・ラン
┗━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 ★★★

 一言でいうと実に面白い作り方をしている。音楽のスピード感と画面のスピード
 感が一致している点は強く評価できる。また走っているローラを追いかけたり並
 走するカメラワークもスムーズで、同時にローラの表情もいい。大して美人では
 ない(美人には写っていない)ローラ役のフランカ・ポテンテは走りながらも顔
 で演技を続けていて、息か汗でもかかってしまいそうだ。同時に自分が息切れて
 しまうような錯覚に捕われるほど。

 これは99年サンダンス観客賞を受賞しているだけあって、観客が一様に驚きと
 興奮を感じることは確かだ。

 ストーリーは20分の出来事を3回繰り返すのだが、各回ともに多少の違いで笑
 いを誘いながらその内大きな結果の違いが生じて行く過程は楽しめる。

 ドイツ、オランダ辺りの最近の映画は独特の雰囲気がある物が多い。明らかにそ
 の他の国でとられた映画とはストーリー展開や人物の特徴が違い、この映画も同
 様にテクノ、又はサイバーパンクSF的な印象が強い。ローラの赤髪も目を引く
 ものがある。走り去っていくローラにとって、目立ちすぎるほどの真赤な髪は常
 に観客の目を釘付けにするために必要な小道具といったところか。監督のコンセ
 プトをうまくまとめた映画だった。

 ただし、3回も繰り返されるとさすがに変化しない繰り返し部分は飽きがきて、
 退屈さを感じる。変化しない部分を時間的に短縮してさらに凝縮することができ
 なかったのだろうか。走り続ける事でスピード感を常に保っていたという事は、
 その重要性を感じてのことだろうが、81分という時間が十分なスピード感を保
 つことができる時間とは思えない。81分以下にすることができない理由があっ
 たのではなかろうか。

                                立野 浩超

__________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____
                                    □

┏━┓                       I N F O R M A T I O N
┃F┃登録・解除・お問い合わせなどについて
┗━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

◇◇メールアドレス変更・解除______________________◇

  このメールマガジンの購読解除は、ご登録された発行元のホームページより出
  来ます。こちらでの作業は一切しておりません。

  まぐまぐ   (http://rap.tegami.com/mag2/m/0000007585.htm)
  マッキー!  (http://macky.nifty.ne.jp/servlet/FreeMailServlet/
          mail_backnum?freemail_id=412)
  フライヤー  (http://flier.jcss.net/itiran/00000095.html)
  メルポット  (http://melpot.net-planning.co.jp/) ID:0000000008
  ココデメール (http://mail.cocode.ne.jp/) ID:0200300007
  ClickIncome  (http://clickincome.net/mg_lt/mag/m00000031.html)
  Pubzine (http://www.pubzine.com/detail.asp?id=1547)

◇◇サービス______________________________◇

  ホームページでは過去に記事を参照できるようになっています。
  http://www.ScreenKiss.com/

  Backnumber.toを利用したバックナンバー再送信サービスもあります。
  http://backnumber.to/list.asp?userid=10007585

◇◇広告募集______________________________◇

  ScreenKissでは、広告を募集しております。
  詳しくは、webmaster@ScreenKiss.comへ

◇◇協力・提携_____________________________◇

  AntenneFrance(http://www.antennefrance.com/)
  Le Petit Bouquet日本語版(http://www.metamondes.com/PetitBouquet/)

◇◇お問い合わせ____________________________◇

  色々な情報やアイディアや感想などありましたら下記のアドレスまで投稿をお
  願いします。そのほか編集に協力して下さる方も募集しています。
  mailto:webmaster@ScreenKiss.com

◇◇スタッフ______________________________◇

  【編集長】      【記事執筆】      【編集】
   中津川 昌弘     鳥野 韻子       山下 裕
              立野 浩超

◇◇ScreenKissについて_________________________◇

  映画に関して、「人物」「作品」「映画祭」「制作」と言った観点から紹介・
  論評するメールマガジンです。

  Copyrights(C), 1998-1999 ScreenKiss
 掲載された記事はいかなる形式であれ許可なく転載は禁じられています。

┼                                   ┼