ScreenKiss Vol.053

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1999年 10月 26日 配信
ScreenKiss Vol.053

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Vol.053

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>☆ C O N T E N T S ☆−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−☆<   □シックス・センス   □HEART(ハート)   □HEART(ハート)   □マトリックス   □バックステージ:原瀬 涼子 >☆−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−☆S_c_r_e_e_n_K_i_s_s☆< >>☆1☆The Sixth Sense(シックス・センス)☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛    ★★★★★(ほぼ完全に満足)  第六感とか、六番目の感覚とか訳せるこの題名。果たして6番目の感覚とは何か  といった問いかけは、すでにありとあらゆる媒体で文字となっているが、「死人  が見える」ということだ。  この不思議な感覚を持つ少年コールを主人公に、ブルース・ウィリス扮する小児  心理学者マルコム・クロウが中心となり、話は進む。相変わらず演技のできない  ウィリスを横目に、このコール役の少年ハーレイ・ジョエル・オスメントは現在  オスカー受賞有力候補と言われているほどの迫力と、恐怖心をあおる演技。  さて、見る前にどこでその演技の上手さがわかるのかを簡単に。少年コールの顔  のアップが多く写るが、その時の口元は必見。唇の横を震わせてみたり、頬の筋  肉を動かして緊張を表したり、目線もうまい。常に恐怖心の塊のような心情を表  現しているため、それ以外の感情が見えてこないが、それは我々が恐怖心で固  まっているためでもあるだろう。確実に彼は必要な演技をこなしている。まさし  く、あの歳ですでに大人の演技をしているのだ。子役の演技とは言えない。うま  い!  こうなると、「ピアノ・レッスン」のアンナ・パキンと比べてしまう。彼女の演  技には感情の広がりがあったが、まだまだ子供の表情だった。  映画に関して一つだけ不満な事は、始まってすぐに時間と場所に関して字幕が出  る点。あれを何とか映像で表現したら、もうすこし意味深いものになったと思う。  反面、少々難解になるということもあり、あのような単純な方法を取ったのだろ  う。  我々は1時間47分を見終わって、その"謎"に関して何度も考えるはめになるの  だが、もう一度見直すのが一番いい方法だろう。もう一度見直して、その謎に関  して詳細に検証したくなる。ドアノブ、会話、目線、粗探しともいえるが、そう  したくてたまらない。実際は無いに違いないその粗を探したくなる時点ですでに、  我々は見事に監督のマジックにはまり込んだのだ。(1ペニーのマジックとは訳  が違う。)  虐待に関しても重要なテーマとなっていて、その点でも単なる恐怖映画ではなか  ろう。虐待も一つの恐怖ではあるが。  帰宅してこの映画のホームページhttp://www.six-sense.com/ を開いたが、ここ  でふと思う。なぜsixth ではなく six なのか。http://www.sixthsense.com/ を  開けばすぐに分かることだろうが、このページも現在大ヒットしているに違いな  い。  今回もつくづく感じたのだが、アメリカで大ヒットした映画が日本に遅れてくる  場合、一切の粗筋に触れない方が楽しめる。私は見終わって各種媒体の粗筋を読  んでみたが、ほとんど最後まで粗筋が紹介してあるものがあったり、中にはひど  い物もあり重要なポイントを書き込んであったりもする。  もうすこし我慢して、一切読まないことを薦めよう。上述の内容程度であればい  いだろうが。  最後に一つ。この映画は、秋の落ち葉が風で飛ばされている道路、教会、犬とい  たるところに「オーメン」と「エクソシスト」の恐怖が盛り込まれているようだ。  あの映画は本当に恐かった。  …という訳で、その2本のビデオを借りました。                                 立野 浩超 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆2☆HEART(ハート)☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛    脚本の評価:★★★☆☆  「あんなもんじゃない? 」  周りからそんな感想が聞こえてきた。面白そうな予告編ではあったが、なんとな  くこの程度だろうなと思わせる雰囲気も感じていたし、その通りの感想になった  といえよう。  あの予告編や宣伝では血まみれの紙袋に入っている物、そしてその犯人と言うか、  それを持つ女性の行動を予想していた。つまり、女性が殺人を犯して心臓を切り  出したのだろうと思わせるし、なぜそこまで予告編で見せるのだろうかと反感を  抱いていた。しかしその予想は見事にはずれ、もう少し複雑なストーリーになっ  ていたことは評価される点だ。予告編制作者の意図に、ぴったしはまっている。  (多少時期早々なのでまだネタをばらすことはしないでおこう。)  この映画はシネマスコープサイズで撮影されているが、同じくシネスコの「ウェ  イクアップ・ネッド」で感じたあの撮影の巧みさはこの映画ではまったくといっ  てほど感じることができなかった。シネスコを使いこなしているとはいえず、ビ  スタサイズでいいのではないかと思う。  もちろん結果論的になっているし、撮影前にはたしてどのサイズで撮影をするこ  とが適切なのかを的確に決めることも簡単ではなかろう。また、おそらく予算も  影響してそのサイズは決められているのだろうから、シネスコで撮りたくても撮  れない場合もかなりあるのだろうし、撮影監督や、カメラ回りのスタッフにシネ  スコの経験があるかどうかは調べているだろうが、反対に決定したスタッフにあ  わせて設定を変更するという訳にも簡単にはいかないだろう。  まずはサイズありきで、次に制作スタッフが決まっていくのだろうか?この辺り  は国によっても映画制作の順序がかなり異なるだろうし、作品や、制作会社の方  針などによっても異なっていくことだろうから、私もはっきりと分からない。  もちろん画質や、ライティングはそれなりにきれいで適切だと思う。しかしその  程度でしかなく、ビスタだったらもうすこし迫力のある映画になったのではない  だろうかと感じてしまうのだ。具体的に誰が悪いという訳でもなく、どこをどう  すればいいのかも良く分からないが。(この文章はかなり弱きな、曖昧なものと  なっているな。)  ストーリーもなかなかよくできているし、役者達も普通にいい。しかしコメント  に値する魅力がなく、それが欠ける具体的な理由をみいだすことができない。な  ぜだろうか。  映画を見るにあたって、なにを参考にするか。人によって様々だろうが予告編や、  チラシに始まり、テレビ番組、雑誌などなど。メールマガジンやインターネット  も最近では重要なファクターとなっている点は、アメリカで大ヒットしている  「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」が証明しているし、それこそ回りの映画好  きな友人の意見も大事にしているだろう。  私の場合毎週スケジュールチェックの為に購入している「Weeklyぴあ」や、ケー  ブルテレビも最近では随分役に立つ。  それにもちろん各種雑誌の映画評や、記事が加えられるわけだが、そこでも粗筋  には触れない様に注意している。またその記事の内容をすべて鵜呑みにすること  は決してない。つまりその記事を書く人や評価を下している人と、私自信の評価  が似偏っている人でなくては意味がないということ。過去の映画の評価を参考に  すれば、その人と自分がいかに似偏っているかどうかを判断できるだろうから、  そこでようやくその人の記事、評価を参考にできる訳だ。その逆であれば、たと  えばロードムービー好きな私が、ロードムービー嫌いな人の評価など参考にする  気はない。どんなに悪い点をつけていようが、自分の目で判断する為に映画館に  足を運んでいる。  今は亡き淀川永治さんの批評記事は随分参考になった。つまり、いい映画、わる  い映画の評価や価値観が共感できたということだ。また、昔からたまに"大ハズレ"  してはいるが おすぎ さんの記事もいい。  また、雑誌の中にはコーナーとして映画の記事を常に掲載しているものもあるが、  Newsweekの映画記事は好きだし、信頼がおける。10.20号では、「プリティ・ブラ  イド」が酷評されていた。ジュリア・ロバーツのファンである私でも初めから見  る気がなかった映画だが、この記事を読んで安心して見に行かないでいられると  いうものだ。  週末になるたび土・日曜日の映画を"ぴあ"を見ながら選んでいると、ふと疲れを  感じ、もう今日は映画を見るのをやめようかと思うことがたびたびある。  それでもやはり、週末2,3本を映画館で見ている。                                 立野 浩超 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆3☆HEART(ハート)☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛  この映画、またもや今人気のあるブリティッシュムービー。  監督は新人のようであるけど、脚本がジミー・マクガヴァン。チラシには「英国  きっての人気脚本家」と書いてある。その人の最新作である。  ジャンルで言えば、サイコスリラーになるようだが、いきなりショッパナで血だ  らけの女が電車の中を歩いてくる。なおかつ、その手に持っている血だらけの紙  袋の中身は心臓。何という始まり・・・。  そして話はそのいきさつに繋がるのだが、亡くなった最愛の息子の心臓を提供し  た母親。その心臓によって一命をとりとめる男。序盤で過去と現在の話をうまい  具合に展開させていく。  と、ここまではいい雰囲気だったのだが、先へ続くにしたがって徐々にその雰囲  気が弱くなっていく・・・。なぜだろう?  臓器提供された夫婦、その妻と不倫している男、という三角関係を話の中で出し  すぎたことで、逆によくある展開と言うか安っぽくなってしまったような。もっ  と、臓器提供した母親とされた夫婦の間でのやりとりに話を絞って見せてほし  かった気もした。  また、夫が妻を美しいと映画の中で言うが、きれいな人だとは個人的にどうも思  えない。それがつらい。ラストについても、驚きのラストとあったがそれほどの  インパクトを感じられず。  84分の間、この映画の世界に浸ることが私には出来なかった。が、とても惜し  い。臓器を提供する側、それをされる側という臓器移植の題材には、とても興味  深いものがあるのに。                                   ゆたか __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆4☆マトリックス☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛  観念が映画を作るのは当然として、提示された内容は現代社会の焦点を鋭く捉え、  先端理論・歴史・宗教を踏み台にし、新たな価値観を生み出している。監督は前  作の映画「バウンド」の主題をさらに押し進めて、この映画を完成させた。  「バウンド」の主題は、本質を表すことはない属性の否定。二人の女性が出てく  るが、彼女たちはレズの設定であり、女性性と男性性が与えられる。一般的には  男役が女役をリードすると考えるだろう。しかし、男役に表面上マッチョな役割  を演じてもらうのだが、全てを仕掛けるのは女役である。男性と女性ではなく、  男性性と女性性を女性を用いて等価に表現することで、「性」と言う目に見える  モノ=属性の消失を分かりやすく表現している。  監督は属性の消失を、「バウンド」で表現し、映画「マトリックス」では、身体  も人間の属性の一部だから、そこにはすでに存在価値が無く、形に見える事物は  価値を失い、頭脳(精神)のみが人間存在を支えると言う主題である。  設定では彼が生きる社会は2199年で、感覚として感じる事物は、コンピュー  ターが支配するマトリックスの世界と知る。その世界への導入は、不思議の国の  アリスを引用した「白いウサギを追いかけろ」からであるが目覚めることのない  世界に踏み込んでいくという暗喩である。もちろんその世界とは現代社会であり、  「目覚めても現実との区別が付かない。そんな感覚はないか?」と主人公ネオの  冒頭セリフはヴァーチャルな仮想世界がトランスする浮遊感漂う現代を表す。  戦う場所は肉体と精神が分離される仮想空間。人型のエージェントと戦うことか  ら、主人公ネオは現実の意味を知る。キャッチコピーである「なぜきづかない!」  は、あらゆる属性に縛られた僕ら現代人に対して、属性から遊離した主人公ネオ  が問いかけるセリフだろう。全てのモノが属性の固まりと認識するとき、映画の  表現上、鉄砲の玉はよけるモノではなくなってしまう。極論になるのだろうが、  とてもわかりやすく、カッコイイ映像であった。  予言者・裏切り・奇跡・死・復活から、大まかなストーリーは聖書の引用である  が、救世主ネオが救うモノは肉体を含めた人間ではなく、精神面だけである。  (肉体に価値が無くなってしまったから、その救済は何よりも望まれる。)同様  に主人公が最後「俺はネオだ!」と言い放ち飛んでいくシーンは、肉体を含んだ  人間を意味せず、頭脳だけが自己の存在証明になっていくことを表現している。  映画の主題として一貫しているが、かっこよくもありまた寂しいエンディングで  あった。  仮に「ネオ」=「新たな人類」を意味するとすればこの映画は非常に危険な思想  とも感じるが・・・・                                Shinya SUGITA __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆5☆バックステージ:原瀬 涼子☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛  今回は、前回ご紹介した、映画美学校の生徒さんの作品『Four Fresh! '99+2』の  作品から+2のひとつ『薄羽の蝶』の監督をされた、原瀬涼子さんにお話を伺い  ました。(作品については、ScreenKiss Vol.47参照)  なお、上映期間中は連日満席の大盛況だった、という事です。  お話を伺った日は、丁度映画美学校の卒業式に当たり、お忙しい中、式の少し前  にインタビューをさせて頂きました。とても華奢な、ちょっと恥ずかしがりで、  可愛らしい方でした。 ■原瀬涼子  1974年東京生。北海道育ち。高校時代から映画制作を行いたいと、文教短大卒業  後、イメージフォーラムに1年間通う。この間に撮った8mm作品が評価され、同校  の特待生になるが、16mmを学ぶ為にそれを蹴り、ニューヨーク・フィルム・アカ  デミーに学ぶ。  同校の最終課題で提出した10分の短篇映画は4人という少人数のスタッフ構成で撮  り、彼女は監督、脚本、撮影の3役をこなす。昨年の「Four Fresh! '98」では松  本知恵監督の『はるのそら』で照明を担当。 >ScreenKiss______________________________________________________________>
 今回のタイトルの「薄羽の蝶」は実際、電車の中で席を譲ったお爺さんが作って、
 くれた、という監督ご自身のご経験からという事ですが、作品では、あと、どの
 位までがノンフィクションなんですか?

>原瀬___________________________________________________________________>>
 祖母とは遠く離れて住んでいたので、ほとんど会う機会がなかったのですが、病
 院でボケた祖母を見た時のショックがとても大きかったのを覚えています。それ
 が、ボケた祖母に会う、最初で最後の機会でした。

 脚本を書くにあたって、ボケたお婆ちゃんを持つ友人にボケた人はどんな行動を
 するのか聞くうちに、ある友人から、オムツを嫌がってむしってしまう人がいる、
 という話を耳にしました。その時に、フワフワと雪のようにオムツが舞っている
 イメージが涌いて、それをやってみたいと思いました。

>ScreenKiss______________________________________________________________>
 おばあちゃんが登場するシーンはとても印象的なのですが、あの降ってくる雪
 (実はおむつ)が光に映えてとても美しいですね。でも、とても苦労されたとか。

>原瀬___________________________________________________________________>>
 そうなんです。ここのシーンは私も大好きです。おむつ撒き機も、色々改良して
 いって。これは美術部の人と相談して「どうしたら、雪に見えるだろうか」って。
 全部手作りなんですよ。綿をちぎってやってみたりしましたが、最終的には和紙
 が一番奇麗に見えるのがわかって。ただ、カットが変わって、現実に戻った時に、
 床に落ちているのは綿です。

>ScreenKiss______________________________________________________________>
 シナリオについては、大分御苦労があったようですが、シナリオは基本的に完璧
 に書かれてから撮影に臨まれるのですか?それとも、撮影されながら、手を入れ
 ていかれるんですか?

>原瀬___________________________________________________________________>>
 さっきお話した、ボケた人はどんななのかという事を、老人介護の本を読んだり
 しました。由美子の心の移り変わりに関しては、自分自身が同じ位の年齢である、
 という事もあって、あまり変えたりはしなかったのですが、はじめのシナリオの
 弱い部分を補強するように直していきました。

 ラストカットの、お婆ちゃんが若かりし頃の友人の名前を呼んで、由美子がそれ
 に答えてあげるところは、あとから書き足した部分です。

 ラストをどうしようか、と悩み続けていたのですが、アルバイトの最中に急に思
 い付いたんです。思い付いた途端に、ああ、これなんだ、これなんだ、ととても
 嬉しかったです。

>ScreenKiss______________________________________________________________>
 現場で変更という事はありましたか?

>原瀬___________________________________________________________________>>
 若い役者さんですと、それも可能だったんですが、年輩の役者さんだとそれが少
 し無理だという事が、リハーサルしている時にわかったんです。で、彼らには前
 もって、少なくとも前日には、台詞を渡して本番までに覚えてきて貰うという形
 にしました。

 由美子役の上野さんは、本当に勘のいい方で、ここをこうしてみて、と言うと、
 すぐに巧くやってくれるんです。その上、決して間違えたりしない。演じるのが
 初めて何て、嘘でしょう、という位。

 上野さんて、何でも出来ちゃう凄い人なんだ、と思うんですよ。どっしり構えて
 いて、人の気持ちまで楽にしてしまうところがあって、スタッフも、他の役者さ
 んも救いになっていた部分があるんじゃないでしょうか。男性スタッフは、皆、
 上野ファンになっていました。

>ScreenKiss______________________________________________________________>
 ところで、役者さんのお話が出たところで、あの電車のお爺さん役の方(児玉数
 夫/映画評論家)は、顔に惚れ込んでくどかれたそうですが。

>原瀬___________________________________________________________________>>
 そうなんです。本当にお顔が好きで。この人がじゃないと嫌だって位。最初は断
 わられそうだったんで、「とにかくお顔が好きなんです」って事をたくさん言っ
 て。やっぱり、人ってほめられると嬉しいじゃないですか。多分それで、受けて
 頂けたのかと。彼の経歴などは、全然存じ上げなかったんです。

 他の役者さんに関してもそうなんです。上野さんも、ぱっと見て、この人は、私
 がまだ分かってない部分の由美子を持っている人だって思いました。

 お母さん役の辻本さんも、児玉さんとお会いした会場で、一目惚れして出て頂い
 たんです。ぱっと見で、この人だ!と思い込んだ方ばかりで、クランクイン前や、
 クランクイン直後は、初演技の方々に、ちゃんと演技指導出来るだろうか、ちゃ
 んと演技して貰えるだろうか、と正直なところ、不安は大きかったのです。が、
 皆さんにやって頂いて、本当によかったと思っています。

>ScreenKiss______________________________________________________________>
 今、振り返ってみて、どんな事が印象的でしたか?

>原瀬___________________________________________________________________>>
 苦労とかって、終わってみると忘れてしまって、いいことばかり思い出されます
 が。自分の中で、映画を作っていくという事にとまどいがありました。10人から
 のスタッフでやっていくというのも初めての事でしたから。そのスタッフと、ど
 うやってコミュニケーションをとり、自分はどう采配していけばいいのか、とい
 う事で悩んでしまいました。

 役者さん、スタッフ、作品と自分との距離がわからなくなった時もあります。そ
 れが一番辛かったかと思います。

>ScreenKiss______________________________________________________________>
 それは、どのようにして、御自身の中で調整されていったのですか?

>原瀬___________________________________________________________________>>
 皆が心配してくれて、とりあえず、中断して落ち着くまで休みをとってみようと
 いう事になりました。その後からは、スタッフとも話あって落ち着きました。

 何が不安だったかというと、学校の課題で撮っている訳ですから、スタッフも、
 本当にやりたいと思ってくれてるのか、とか、自分の要求をどこまで彼らに求め
 ていいのか、とか。

 彼らが、心配してくれてるのが分かってからは、色々注文も出せるようになって
 巧くいきました。

>ScreenKiss______________________________________________________________>
 では、もう次回からは大丈夫ですね。次回も監督をされたいという事でしたが。

>原瀬___________________________________________________________________>>
 そうですね(笑)。今回みたいに気の合うスタッフがいてくれれば、と思います。

>ScreenKiss______________________________________________________________>
 この作品は今年7月のぴあフィルムフェスティバルでも上映されていますが、そ
 の時の反応はどうでしたか?

>原瀬___________________________________________________________________>>
 一番驚いたのは、結構大きい会場(有楽町、国際フォーラム)だったのですが、
 お客さんがいっぱいで。ちゃんとした会場で上映するのは初めてだったので、興
 味をもってくれるのか心配だったのです。

 会場からの質問は、あまりなかったんですが、「チョウチョは何で、青いんです
 か?」とか。

>ScreenKiss______________________________________________________________>
 何故、青かったんですか?

>原瀬___________________________________________________________________>>
 実際貰ったチョウチョが青かったのと、美術部が黄色いのや、ピンクのとかを
 作ってくれたんですが、青が一番奇麗だったんです。

>ScreenKiss______________________________________________________________>
 ご自身が経験された事、という事でしたが、実際はどんなシチュエーションだっ
 たんですか?心境的にも由美子さんのような葛藤はあったんですか?

>原瀬___________________________________________________________________>>
 少し混んだ電車に乗っていた時、前の席が空いたんで座ろうと思ったら、お爺さ
 んがじ〜っとこっちを見ているんです。座りたいんだな〜て思って席を譲りまし
 た。そしたら、鋏と薄い青い紙を鞄から出して、何かやってるんです。

 「この人ちょっとボケているのかな〜」って思って嫌な気分になりました。多分、
 亡くなった祖母の事を思い出したからだと思います。そのお爺さんが、新宿に着
 いた時に作っていたものをくれて、それが蝶だったんです。何だか感動してし
 まって。

 その頃はアルバイトをしていて、「これからどうしようかな〜」という事は考え
 ていましたね。何となく生活していて、これからどうしよう、という不安をその
 蝶々が救ってくれたんだと思います。

>ScreenKiss______________________________________________________________>
 影響を受けた監督などはいますか?

>原瀬___________________________________________________________________>>
 余裕もなくつくっていたんですが、あとで考えると、監督より、結構漫画の影響
 が強いんではないのかなって。例えば大島弓子とか、岩館真理子とか、そういう
 透明感のある線の細い作品の影響はあるんじゃないかと思います。

>ScreenKiss______________________________________________________________>
 ご自分では漫画は描かれないんですか?よく監督さんは絵コンテ描かれるでしょ
 う?

>原瀬___________________________________________________________________>>
 それが、描かないんです。下手だし(笑)。絵コンテも顔は丸で胴体はこんな
 で・・・(胴体っぽい感じを指でなぞってみせる)

>ScreenKiss______________________________________________________________>
 監督ご自身が、御自分の作品に出演される予定はないんですか?

>原瀬___________________________________________________________________>>
 それは、ないです。それに演技が下手なんです。カリキュラムにも役者としての
 課程はないし。自意識が強いのか、凄いあがっちゃって。

 人を観察するのは好きなんですが、自分が観察される側は恥ずかしいんです。本
 当はこうして話するのも恥ずかしいんです。

>ScreenKiss______________________________________________________________>
 次回作の構想は決まっていますか?

>原瀬___________________________________________________________________>>
 恋愛ものをやりたいんです。こないだ書いたのは夫婦の話なんですけど。試写会
 で、ベルトリッチの新作『シャンドライの恋』という映画を見て、恋愛映画って
 いいなぁ、と思って。単純なんですけど。

 やはり、体験とか身近な事からしか思い付かないので。あまりに自分と懸け離れ
 たところでは頭がついていかなくて。

>ScreenKiss______________________________________________________________>
 今日は卒業式だそうですが、今後のご予定は?

>原瀬___________________________________________________________________>>
 監督としてやっていきたいんですが、どうなるのかな、と。特に野心とかがなく
 て。コンペで受賞したりすれば、その後の制作がやりよくなるとか、あるかもし
 れませんが、撮りたい時に撮りたい作品が撮れればって。まぁ、一番我侭なのか
 もしれませんが(笑)。

>ScreenKiss______________________________________________________________>
 もし、配給会社から、あまり原瀬さんが気が向かない題材ながら、“是非撮って
 下さい”というオファーが来たらどうしますか?

>原瀬___________________________________________________________________>>
 う〜ん、一応考えてみますけど。やりたい主題なら受けるかもしれませんが。私
 は結構臆病なので、周りに安心できる人がいないと出来ないんですよ。頭も回転
 しなくなってしまうし。

>ScreenKiss______________________________________________________________>
 この学校へ入学する以前と入学後のイメージの差はありましたか?

>原瀬___________________________________________________________________>>
 特に凄い期待もしてなかったので、そんなにギャップはなかったです。ただ、と
 りあえず1本撮れれば、と思っていましたので、それが現実になったわけですか
 ら。とりあえずの目標は達成しましたね。

>ScreenKiss______________________________________________________________>
 最後に我々のメールマガジンの読者へのメッセージがあれば。

>原瀬___________________________________________________________________>>
 見て頂けるのでしたら、気に入っていただけると嬉しいです。落ち込んでいる時
 に、友達に手を握られたり、抱き締められると、素直に泣けたりするじゃないで
 すか。そういう些細な優しさみたいなものが、少しでも伝わるといいなぁと思っ
 ています。

 〜今日はお忙しい中、ありがとうございました。〜

 *原瀬監督への質問等はScreenKiss 鳥野韻子まで御寄せください。

                                鳥野 韻子

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              MS. QT MAI

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