ScreenKiss Vol.054

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1999年 10月 31日 配信
ScreenKiss Vol.054

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Vol.054

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>☆ C O N T E N T S ☆−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−☆<   □バックステージ:大九明子   □プリティ・ブライド   □リアル ブロンド   □ジャン・レノ   □ >☆−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−☆S_c_r_e_e_n_K_i_s_s☆< >>☆1☆バックステージ:大九明子☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛  9月中旬から2週間に亘りレイト公開された、『Four Fresh! '99+2』。今回はその  トップを飾った『意外と死なない』を監督、主演された大九明子さんにお話を伺  いました。『Four Fresh! '99+2』は映画美学校の生徒さんの作品ですが、内容に  ついてはScreenKiss Vol.44をご参照ください。 ?大九(億田)明子  1968年生まれ。神奈川県横浜市出身。大学3年の時に芝居に興味を持ち始め、明大  の学生劇団「実験劇場」に参加する。明治大学政経学部政治学科卒業後、就職す  るが、4ヶ月で退社。平成4年8月よりタレント活動を開始。  平成2年から5年までコントユニット「ビスタレビスタレ」でお笑いライブ活動に  励む傍ら、自らの旅行記を編集したものを、ビクターのビデオフェスティバルに  提出するなど映像制作も積極的に行っていた。  主なテレビ出演作に、火曜サスペンス劇場「警視庁鑑識課2」、「EXテレビ」  (NTV)等。舞台には「ズンドコべろんちょ」「異常の人々」があり、また「うま  いっしょラーメン」のラジオCMにも出演している。  『Four Fresh! '98』では伊藤晋監督の『死臭のマリア』で録音を担当。  作品の中では、颯爽と自転車を漕いだり、のびのびとした演技で、とても大柄な  イメージを思い描いていました。が、実際は画面より?美人。小柄ながら、よく  動く、くりくりした瞳が印象的な、スリムで元気な女性でした。 >ScreenKiss______________________________________________________________>
 まず、大九さんは、監督としてのお名前が「大九」で、出演者としてのお名前が
 「億田」になっているのですが、何か使い分けをされているのですか?ただし、
 ぴあフィルムフェスティバル(以下PFF)で、拝見した別の監督の作品には「大九」
 として出演されていらしたようですが。(『失跡-1998年の補足-』ScreenKiss
 Vol.43参照)

>大九___________________________________________________________________>>
 もともと、私は役者で、「億田明子」で仕事をしていたので、今回もあまり考え
 ずにそのまま使用してしまいました。他の学生の中には「脚本、監督、主演とす
 ればインパクトがあったのに・・・」と言う人もいて、「そういう考えもあった
 んだな」ってあとから考えました。

 今のところ、役者として出る時は芸名を使用しています。先日、黒沢清監督の映
 画(『大いなる幻影』12月公開予定)に出演した際はこちらの名前で出ています。

 PFFの別の作品に出演した時は、このあたりは曖昧になってしまいました。それに、
 実は私の声ではないんですよ。製作上の事情からリテイクを依頼されたのですが、
 今回のこの作品にかかっていて時間がなく、お断わりしているうちに、仕方なく
 アフレコになってしまったようです。でも、後で見てたまげました。何だか可愛
 い声になっていたし、外国映画の吹き替えみたいで。

>ScreenKiss______________________________________________________________>
 PFFの話題が出たところで、こちらのフェスティバルでの上映時には、観客の方か
 らはどんな質問がありましたか?

>大九___________________________________________________________________>>
 皆さん、とても好意的で嬉しかったです。質問は「演じてる事と監督してる事」
 に関する事が多かったです。同じ方が何回も質問されたり、出待ちとかもされる、
 熱心な方もいらっしゃいました。

>ScreenKiss______________________________________________________________>
 実は私もその辺を伺うつもりで質問を用意してきたんですよ。改めて伺いますが、
 大九さんは、女優さんとしてのキャリアが長いですが、今回監督として仕事され
 て、その辺の立場の違いに何か戸惑ったりされましたか?

 あまり違和感はなかったですね。すっごい斬新な事をやった、とか慣れない事を
 した!って感じもないし。困難等も含めて大体イメージしていた通りでした。想
 像を絶するハプニングもなかったです。

 むしろ、昨年の『Four Fresh! ’98』で、伊藤晋監督の『死臭のマリア』の録音を
 担当したんですが、その場合の方が違和感ありました。アマチュアでもプロでも、
 撮影現場で、初めてスタッフだけ、というポジションを経験したので、自分の中
 での切り替えが大変でした。

>ScreenKiss______________________________________________________________>
 撮影現場は楽しそうだったようですが。あえて、そういうムードを作られたんで
 すか?

>大九___________________________________________________________________>>
 始めに、助監督が「どういう現場にしたいか」と聞いてきた時に「太陽も笑って
 る、カメラも笑ってる、アスファルトも笑ってる、そんな現場にしたい」って冗
 談に言ったんですよ。皆にもそう言っていたんで、私もスタッフもそういう現場
 にしようと心掛けていました。

 やはり、そういう意味では一つのポジションだけでないので、私自身、大人にな
 らなければって思いました。実は結構、我侭って言われる事が多いので、かなり
 セーブしながらやったつもりですが、やはり一部のスタッフはサンドバッグに
 なってくれて・・・というか、無理矢理させて・・というところもありましたが
 (笑)、概ね楽しくやれたと、思っています。

>ScreenKiss______________________________________________________________>
 その撮影現場について、ですが、職員室の雰囲気が凄く良く出ていましたね。実
 は、私は小学校ではないのですが、講師をしていた事があって、職員室の感じが
 リアルで、結構笑えました。何かご体験があったんでしょうか?

>大九___________________________________________________________________>>
 私にとっての、職員室のイメージって、もろ、あの感じなんです。また、ロケハ
 ンで小学校を回っていた時、「君たち何してるの?」とかって言って出てくる先
 生の感じが、どこも一種独特の感じなんですよ。「う〜ん、手強いぞ小学校」っ
 て皆で話していました。

 あと、特に台詞のない先生の衣装には、気を付けましたね。普段、その役者さん
 が着慣れない服装なんだけど、似合わない服装はさせないっていうか。違和感が
 ないようにと。

>ScreenKiss______________________________________________________________>
 何故、主人公、月子さんの設定を学校の先生にしたんですか?

>大九___________________________________________________________________>>
 実は言い訳になるんですが(笑)、シナリオを一晩で書いたので、どこでそう
 なったか思い出せないんです。主人公のイメージは前から決まっていました。友
 人に過度の痛がりがいて、ピアスの穴も開けられないという・・・。その人の話
 を聞いていると、とても面白いので、痛がりの女性を描きたいっていうのがずっ
 とあって。

 シナリオにする時の、主人公の職業設定の際、OLは1度書いた事があったので、そ
 れ以外って考えているうち、何時の間にか小学校の先生になっていました。もし
 かしたら、予防注射のシーンをやりたくてそうなったのかも。

>ScreenKiss______________________________________________________________>
 実際の撮影に関してですが、シナリオはきっちり書かれてから、撮影に臨まれる
 のですか?それとも現場で結構変更される方ですか?

>大九___________________________________________________________________>>
 私の場合は、事前に役者さんに来て頂いて、ちょっとしたリハーサルをしてもら
 うんです。その上で、撮影しましたから、芝居の点ではほとんど変更はなかった
 です。台詞の言い回しを訂正する、などのちょっとした手直しはしましたが、テ
 ストの段階で固めていきましたから、結構慎重にやっていきました。

 週に1度の撮影でしたので、ウイークデーにスタッフを集める事が不可能だった
 のと、撮影場所が小学校だったので、期間が限定されていた事もあり、かなり慎
 重に進めました。

>ScreenKiss______________________________________________________________>
 「16mm作品を撮れる機会を虎視眈々と狙っている」と大九さんのプロフィールで
 読んだのですが、今後、何か是非撮りたい企画等はお持ちですか?また、次回も
 今回同様に、御自分が演じられるおつもりでしょうか?

>大九___________________________________________________________________>>
 「16mm作品を撮れる機会を虎視眈々・・・」ていうのは、実はギャグです(笑)。
 狙ってて、今回撮れてよかったね、って感じです。次回作というか、今日スカラ
 シップの発表なんですが(注:インタビューの日は、映画美学校の卒業式)その
 為に書いたシナリオがあります。チャンスや時期が揃えば、これからも撮りたい
 と思ってはいます。

 理想的には、また今度のスタッフで出来るのが一番ですが、経済的な面などを考
 え合わせれば、皆が無償で協力してくれたりして、今回のは本当にいい時期の、
 夢物語りだった、と思います。このような夢のような事は、将来まずないでしょ
 うけど。

 出演に関しては、新作のシナリオは、自分が演じるのを想定して書きました。
 『意外と死なない』について言えば、全く自分でない人をイメージして書いてい
 たんですが、自分で演じると、早く進む事を初等科で経験済みでしたので、知ら
 ない人にどこまで演出出来るかを考えたら、その方が楽でした。

>ScreenKiss______________________________________________________________>
 今回の作品のネタはお友達のお話だったようですが、作品と映画としての手法的
 な部分等で特に影響を受けた作品や、人はありますか?今回の作品にこだわらな
 くても結構ですが。

>大九___________________________________________________________________>>
 普通のOLの友人とかに比べたら、映画を見ている方かもしれませんが、この学校
 ではド素人なんですよ。他の人は凄いんで、そこから見ると影響を受ける程には、
 まだまだ勉強不足だと思います。

 ですから、無意識に影響を受けている世界観はあったにせよ、撮り方にまで影響
 を受けたか、というと、そこまではないと思うんです。世界観という点では、私
 はカウリスマキ監督が好きなんで、無意識にそんな感じが出ているかもしれませ
 ん。『マッチ工場の少女』等に見られるブラックユーモアが大好きです。あと、
 『浮き雲』のハートウォーミングなラストも好きですね。

 あとは、映画ではないんですが、「ザ・シンプソンズ」というアニメ(1989年よ
 り放送のFOX TVの人気アニメ。作者はマット・グーニング。人間離れしたキャラ
 も御愛嬌)が大好きです。あれは、私のバイブルであり、オアシスといってもい
 いかもしれませんね。(笑)

>ScreenKiss______________________________________________________________>
 大九さん個人としてお好きな俳優、監督、作品があったら教えてください。

>大九___________________________________________________________________>>
 好きな監督というと、やはりカウリスマキになりますが、あとはキアロスタミ監
 督です。『友達のうちはどこ?』を何気なく、期待もせずに見に行ったんですが、
 もう凄い!!って思いました。実は、私、子供嫌いなのに映画館を出る時、もう
 にっこにっこしてたりして。『オリーブの林をぬけて』なんかもたまらないです
 ね。ぐっと来ますね。あすこまで想われたいものだ、って一観客として思います。

 ファンとしては、ジョニー・デップです。ちょっと恥ずかしいですが・・・。マ
 イク・マイヤーズも大好きで、私的には『オースティン・パワーズ』が昨年のベ
 スト1だと思っています。今年のデラックスの方のは、ちょっとがっかりでした
 が。

>ScreenKiss______________________________________________________________>
 可能なら御自分の作品に出演して欲しい、という俳優さんはいますか?

>大九___________________________________________________________________>>
 加賀まりこさんです。若い時の彼女の手の届かない輝きと違って、ご本人ももっ
 と色々な役をされたいって思っていらっしゃるんじゃないかって思うんですけど。
 あの位の年齢の方をメインにした、作品ってあんまりないじゃないですか。女優
 さんて30代が限度みたいな、そんな風潮がある中で、あんな濃い、面白いキャラ
 を生かせる作品があったらいいなぁって思って。

>ScreenKiss______________________________________________________________>
 最後に、ScreenKissの読者の方にメッセージがありますか?

>大九___________________________________________________________________>>
 作品としてつくったからには、多くの方に見て頂きたいので、もし感想や質問が
 あれば、是非御意見をおよせください。

 今日はお忙しい中をありがとうございました。

 インタビューの中盤位から、丁度卒業式に集まり出した生徒さんや、ご関係者で
 ロビーがごった返す中、ひとつひとつ言葉を選びながら丁寧に答えてくださいま
 した。ロビーに声が反響するわ、時間が迫るわ、で何となく「もっと聞きたかっ
 た」と消化不良気味の感はありましたが、またの機会?に楽しみにとっておく事
 にします。

 最後に大九監督も話されている通り、監督への質問等はScreenKiss,鳥野韻子まで
 是非およせ下さい。

                                鳥野 韻子

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                                    □

>>☆2☆プリティ・ブライド☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛    ★★☆☆☆  う〜ん・・・ま、始めから、ジュリアちゃんのプロモ的映画だろうとは予想して  ましたが。ストーリーが薄っぺら過ぎる。「ノッティング・ヒルの恋人」の後だっ  ただけに、脚本と脇役陣の演技力の差が歴然と表れてしまったよう。  まず、作品の方向性そのものが定まっていないような気がする。コメディ?にし  ては笑えないし。ラブ・ロマンス?の割に、どうもジュリア扮する花嫁と、ギア  演じるジャーナリストが何故そんなに急に惹かれあうのか説明不足。ラスト近く  のとってつけたようなマンハッタンの夜景をバックにしてのラブシーンには、あ  まりのクサさに、笑いが・・・  2人をとりまく友人達も、いかにも最近のイギリス映画を意識してますって感じ  の、エキセントリックなキャラクター(の、つもり)を出しているのだが、脚本  が良くないせいかゼンゼン笑えない。ジュリアの親友役のショーン・キューザッ  クも「アダムス・ファミリー2」や「イン・アンド・アウト」のときのようなキレっ  ぷりを生かしきれていないし。  結局、「花嫁が逃げる理由」についても今一つ説得力不足。これだけ個性の強い女  の子が男のいいなりになるっていうのも変だし、普通なら式にいたる前にマリッ  ジ・ブルーになったりするだろうし、そのときに考えるのでは?挙式途中、カメ  ラのフラッシュが引金となり逃げ出すシーンに至っては、「お前はグレムリンのギ  ズモか?」という突っ込みを入れたくなりました。主人公のキャラも魅力不足で、  ジュリアの可愛さに頼り切っているだけで、何故そんなにモテる女なわけ?って  感じ。ただの変わり者にしか見えない。  本当なら一つ星で充分さっ!と思うのですが、ジュリアの可愛さとファッショ  ン・ショーとしての娯楽性が残っている部分でかろうじて二つ星にしてみました。  バービー人形で着せ替え遊びをするのが好きな方にはオススメです。                                  MS.QT.MAI __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆3☆リアル ブロンド☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛  ニューヨークに住む人間模様を描いているが、この映画にかんする限りストー  リーは、あまり重要ではない。女性と男性が等価になった社会での戸惑いという  この映画の主題は、とても今日的である。ヒーローに関しては特別なものはない  が、注目すべきはヒロインのメアリーである。メアリーの心理には、自立に戸惑  う女性の困惑感が良く現れている。  美人は美人と言われ続けて、美人と思うようになる。美人と言われてこなかった  人間が、突然に美人と言われてもからかいとしか受け取れず、むしろ否定的な対  応にならざるを得ない。美人でスタイルの良いと言われてきた女性なら、男から  口笛を吹かれたり、お尻の形を誉められたりしても、当然と受け止めることがで  きる。しかし、メアリーはそれほど性的なアッピールがある方ではない。普通の  女性である。その彼女が、道行く男からお尻の形がいいとか、胸が格好いいと言  われると、性的なからかいにあっていると感じてしまう。  美人が美人としてもてはやされるのは、男性が養う対象として女性を囲い込める  モノとしてみる視点があるからだ。女性を経済力を持った生活者としてみれば、  美人であることはあまり得点が高くはない。この世では美人のほうが、稼ぎが良  いなんてことはないのだ。モデルなど見られる対象としての職業をのぞき、通常  の社会では美人はちやほやされるだけで、美人であるだけで高給取りとはなり得  ない。映画の女優だって最近では、美人よりも頭脳の優秀さが求められている。  男女が等価な社会で要求されるのは、男女ともに肉体的な美醜よりも、まず労働  力があるかどうかである。  男女差別が少なかった農耕社会では、肉体労働が優位していたから、まず肉体的  に健康であるかどうかが問われた。美人よりも、頑健な肉体をもった女性が好ま  れた。美人であることはせいぜいが、側室になることぐらいしか売りはなかった。  いまや男女が等価になりつつあり、しかも頭脳労働が優位になりつつある。そう  した社会では、美人よりも頭脳の優秀さが大切にされる。にもかかわらず、いま  だに工業社会の呪縛から自由になれない女性たちは、どうしても美人とかスタイ  ルが良いと言った尺度で自分を測りがちである。肉体労働から頭脳労働への転換  期の今、男女の関係もちょうど過渡期にある。  キャスリン・ターナーとシティーブ・ブシュミがでており、そこそこに力を入れ  た映画なのかも知れないが、映画としてみると平凡である。しかし、主題に敬意  を表して、星一つを付ける。この映画は、男女の役割が等価になりつつあるアメ  リカでしか、作ることはできなかっただろう。わが国では、頭脳労働への転換が  まだそれ程進んでないから、男女の役割分担の意識が強固に残っている。だから  この映画の男女の悩みは判らないだろう。必然的にこの映画は、日本では理解さ  れず、人の話題になることもないだろう。  ティム・ディチロ監督、1997年のアメリカ映画。                                  匠 雅音 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆4☆ジャン・レノ☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ rfi musique  パリ・セーヌ局より、今週はジャン・レノ、アリエル・ドンバールの2人のフラ  ンス人俳優のインタビューをお送りします。第1回目はジャン・レノ氏です。 ■ジャン・レノ > rfi >>
 フランスの俳優で、アメリカ映画界で活躍を続けている人は決して多いとはいえ
 ません。それというのも、フランスは必ずしもアメリカをターゲットとしてない
 からです。その中で活動を続けているジャン・レノ氏にお聞きします。

>> Jean Reno >>>>
 これは自慢にもなりませんが、私が渡米した頃は、アメリカでのフランスへの評
 判は何かと良くなかったのを知っていました。何でも不満を言い立てて批判する
 ばかりという事で、ですが。

 そこで、私は例えば「ケチャップ」についての批判は出来ないなと、自分に言い
 聞かせました。私は「ケチャップ」を食べないですが、それは、単に私が「ケチ
 ャップ」の味があまり好きでないからなのです。

 私は白ワインもあまり飲みません。こうした実にこまごましたもの…私が何を嫌
 いであるかなど…を私が 10 年来変わらず一緒に仕事をしているスタッフやマネ
 ジャー、弁護士などは少しずつ理解してくれました。彼等は私がボルドー酒を飲
 むという事を今では知っています。ただ、私はこれらの事を性急に分かって貰お
 うとはしませんでした。

 それは、アメリカ人達への一つの敬意なのです。言い換えれば、彼等に正面から
 ショックを与えないという事なのです。何故なら最初はそうでないとしても、最
 終的には、アメリカ人は心の底からフランス人を好いてくれるのだという事を忘
 れてはいけないからです。

 最初、ハリウッドで、アメリカ人以外の俳優、たとえばフランス人、が頭角を現
 すのはとても難しい事のように思えました。しかし、時と共に、あきらめない我
 慢強さと、少しの才能で、アメリカ人と肩を並べるようになれるのです。それこ
 そは、私が発見した事で、決してマジックを使った訳ではないのです。

 いい人達と出会い、たゆまず英語の勉強に励み、辛抱強く目標に向かっていく事
 が必要なのです。そして『ミッション・インポッシブル』や『ゴジラ』の間でも
 自分を見失わずに、ストーリー毎に新たな役を作り上げていく事が大切なのです。

 確かに「存在感」というのは学んだからといって、たやすく身に付くものではあ
 りません。それは明らかな事です。しかし、誰もがそれを培おう努力すれば、1
 度は備える事が出来ると思います。それは、俳優の天職の一部を成すものです。

 私は今は、それを身につけようとはしていません。何故なら既に私はそれ(存在
 感)を持っている事を知っているからです。しかし、今は、私は心や感情を豊か
 にしようと努力しています。その為私は、「真実の映画」と取り組むのです。

 実際、私はこの映画(*1)に惹かれ、サインしました。が、当初、ロバート・
 デ・ニーロとの共演という情報だけでは、彼と友情関係を成立させられるか、と
 いう点がとても心配でした。そこで、私はデ・ニーロとどんな風に役に取り組も
 うか、自問しました。その結果、私は彼との良い関係を築く事に成功したと思い
 ます。私にとってそれは面白い体験でした。

 約一週間は、いつものようにじっくり観察しました。それは、トム・クルーズ、
 マシュー・ブロデリック、ケビン・クラインとの共演の時と同じでした。

 そして、一週間後には、合意のようなものが生まれ、何も言わなくても視線で分
 かりあえてきました。

 もし、彼がワルツを踊れたら、私は少年時代の憧れの俳優と一緒に踊っているの
 です。これは、とても素晴らしい気分です。

 デ・ニーロは 17 歳の時、ヨーロッパを横断し、ヨーロッパの事は良く知ってい
 るし、大のフランス贔屓で、料理も芸術も絵画も大好きで、彼の父は画家だった
 …というような事も私に話してくれました。

 しかし、彼はそれ以上の何かを確実に持っている人でした。経験も豊かで、本当
 に素晴らしい人だと思いました。

 さて、この映画には、ホラーとサスペンスの監督、ジャン・ピエール・メルヴィ
 ル(*2)の作品に見られるような、非常に興奮するものがあります。ストーリ
 ーは、ひとつのスーツケースを見つける為に雇われた傭兵達がいて冒険が始まり、
 心理的な動きや、アクション。そして、この使命と向かい合った男達が感じる、
 サムライ的な孤独、殺人と向かいあった時の孤独感が描かれています。

 何かを新たに作り上げる為に、人間が他の何かを破壊しようと懸命になるという
 事は恐ろしい事です。これはやはり、そう、メルヴィルの世界観ですね。

(*1)『RONIN』(’98年/ジョン・フランケンハイマー監督)
    今春日本でも公開。共演は他にショーン・ビーン、ナターシャ・マケルホ
    ーン。

(*2)ジャン・ピエール・メルヴィル
    フランスの監督。ヌーヴェルヴァーグの先駆者と言われ、アメリカ映画に
    も精通。代表作に『恐るべき子供たち』(’49年)、『仁義』(’70年)等。

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