ScreenKiss Vol.062

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1999年 11月 8日 配信
ScreenKiss Vol.062

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Vol.062

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>☆ C O N T E N T S ☆−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−☆<   □東京国際映画祭:大佐に手紙は来ない   □東京国際映画祭:コンペティション受賞結果 >☆−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−☆S_c_r_e_e_n_K_i_s_s☆< >>☆1☆東京国際映画祭:大佐に手紙は来ない☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛    総評:★★☆☆☆  映画を見ていると、この映画を演劇で見たいとることがある。イギリス映画界で  は多い事だが役者が演劇出身であったり、ロケーションがほとんど1ヶ所であっ  たり、セリフ重視の作品であったりする場合だ。そんな映画だった。 ◆ストーリー  どうやって食べていけるのか分からないくらい貧乏な老夫婦。軍隊の恩給(年  金)を待ちわびているのだが、一向に通知がこない。最愛の息子は闘鶏場で殺さ  れた。その息子が飼っていたシャモを唯一の心の糧として生活する大佐と、その  事が心の傷となっている妻。  生活苦の為にそのシャモを闘鶏に出す事や、終いには売ってしまうことまで考え  るが、結局息子の影を手放す事ができない。そして物語は大佐のプライドが貫か  れることにより終わりを迎える  勿論、このストーリーにたいしても見方が違う人がいるだろう。さて、ガルシア  =マルケス原作で"大佐"という言葉、物語の雰囲気でいえば政治色が強い印象が  あるが、実際は政治・体制批判的なものを感じなかった。この映画の主題は老夫  婦の尊厳。 ◆役者の演技に関して  大佐は不幸な境遇に立たされていても希望を感じさせる役柄。それを明快なセリ  フ回しとテンポいい動きで演じている。ベージュのスーツをサスペンダーで着込  み、こぎれいにしているのだが、背中の曲がりぐあいや動作も明確でテンポがい  い。一方、妻の演技はねっとりして、表情が暗く視線もきつい。子供に嫌われる  タイプの嫌な老婆そのままだ。髪型もばさばさの白髪が気味悪く伸びていて、ブ  ラシをかける時も美しさを感じない。彼女のその表情により役柄を意図的に演技  じきっている。  しかし、回りを固めなくてはならないはずの役者の演技は悪かった。娼婦役のサ  ルマ・ハエックは婦人に食料品を手渡そうとするシーンと最後の闘鶏を見に来て  いるシーンで表情に適切な感情が表れていないようだ。つまり、手渡すシーンで  はセリフを読むのに必至になりすぎて表情をコントロールできていないし、闘鶏  ではそれまでの彼女の立場を無視するような明るい笑顔だけを見る事ができる。  動作も映画的ではなく舞台で演じているかのように体を回したり、足を踏ん張っ  てしっかりとその場に立ちすぎている印象。  背中が痒くなるくらいにじめじめした家、一貫して暗い映像にはそれなりのリア  ルさがあるのだが、途中で飽きがくる。朝日に映える大佐のベージュのスーツ  は、撮影において適切なレンズ/光源の選択であったと思う。  映画としてはぱっとしなかったのだが、ぜひ舞台に場所を変えてみてみたい。                                 立野 浩超 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆2☆コンペティション受賞結果速報!!☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛  16:30〜17:15 オーチャードホールにおいてコンペティション部門の結果が発表  された。受賞結果は以下の通り。  東京グランプリ:『ダークネス&ライト』  審査員特別賞:『虹鱒』  最優秀監督賞:マーサ・ファインズ(『オネーギン』)  最優秀女優賞:マリア・ガリアナ(『アローン〜ひとり』)  最優秀男優賞:カルロス・アルバレス=ノボア(『アローン〜ひとり』)  最優秀芸術貢献賞:『ルナ・パパ』  東京ゴールド賞:『ダークネス&ライト』  (35mm長編映画3本以内の監督対象/賞金1,000万円)  東京グランプリ、東京ゴールド賞には、東京都知事賞が併せて授与された。 ■審査委員紹介  上記の結果は、以下の審査委員の選考によるものである。  審査委員長:カレル・ライス(映画監督)  挨拶より  「審査に当たる委員は、年齢、性別、出身地等が実によいバランスで選出された  と思う。このバランスで委員の頭と心に響いた結果はとても良いものだった。ほ  とんどの大事な決断に関しては、満場一致を見たが、その他では互いに論議を重  ねた。我々の仕事が皆さんにも、同感と思って頂けると嬉しい。」  審査委員:  マリルー・ディアス=アバヤ(映画監督)  ペーター・オールベック・ヤンセン(プロデューサー)  フリオ・メデム(映画監督)  松坂慶子(女優) ■受賞者会見 ◇リー・カンイ(『ダークネス&ライト』女優)  「もし何かに選ばれたら、観客と選考委員の皆さんに感謝の意を述べなさいと監  督に言われていました。」と舞台でも2度、監督の代理を務めた可愛いリーさ  ん。実は、この作品、昨日のアジア映画賞も受賞しているので(ScreenKiss Vol  参照)、実質3冠に輝いた事になる。  その後監督に電話で、受賞の事を伝えると、「これで借金が返せる」と言ってい  たとか。  「俳優達の演技が自然だったが、監督からはどのような指示があったのか」とい  う問いに、「撮影にかかった2ヶ月のうち、半分は俳優同士のコミュニケートに  費やされました。盲人、知的障害者の方もいたので、時間をかけて行ったので  す。また、スタートの合図なしに、カメラを回していることもあり、そこが、自  然な感じに撮れているのかもしれません」 ◇パク・チョンウォン(『虹鱒』監督)  「近くの国で、しかも自分が好きな日本での受賞はとても嬉しい。寒い季節の撮  影はとても大変だったが、それが報われた気がする。東京国際映画祭では、前作  『永遠なる帝国』も上映された事があり、2年前はそれまでの3作品が東京と大  阪等で上映されている。  日本での韓国映画の市場はまだ狭いし、日本映画を韓国で見れる機会もまだ少な  いので、これからはもっとそういうところがオープンになっていく事を望んでい  る。個人的には日韓合作映画など撮れたら、と思っている。」  韓国の映画産業について、という質問には「3年前から大手企業が撤退を始め、  銀行系が参入している。ハリウッドのような大作派(80%)と、作家主義の作品  (20%)の2派に大きく分かれるが、前者の製作費が約30億ウォン(約300万ド  ル)に比べ、この『虹鱒』は3億ウォン。作品の完成前に、ビデオ版権を売却し  たり配給会社から出して貰って資金調達をした」と、涙ぐましい話も。 ◇ベニート・サンブラノ   (『アローン〜ひとり』監督。最優秀女優賞、マリア・ガリアナと、最優秀男   優賞、カルロス・アルバレス=ノボアの代理として)  「俳優さん達のお陰でこうして、賞を頂けました。日本の方々へ彼らからキスを  贈ります」と挨拶。  各賞には宝飾のミワより、パール製の蝶ネクタイとネックレスも贈られたが、  ネックレスの値段が、約100万と聞いて「今度から監督を辞めて、俳優しようかな  〜」とお茶目な事を。  そして、「自分の表現したい事を俳優を通して行うので、彼らはとても重要。ア  ンダルシアと東京はとても離れているが、センチメンタルな部分が伝わったこと  が嬉しい。」と述べた。  こうして、俳優が二人も受賞した作品であったが、当初は2人とも監督の考えて  いたキャラクターとは多少異なっていたようだ。マリア・ガリアナはイメージが  異なっていたが脚本を読んで貰った後、1週間後にテストしたら、他の俳優との  間に独特のムードを作っていて起用することにしたそうだ。  また、カルロス・アルバレス=ノボアは、唯一アンダルシア出身でなく方言が出  来なかった。が、彼の提案でアストゥリアス地域のアクセントを採用したとこ  ろ、とても良くなったという。 ◇バフティヤル・フドイナザーロフ(『ルナ・パパ』監督)  大柄な身体に優しい顔が乗った、監督。「作品に注目して貰ったのは、とても嬉  しい。私が喋るより、作品が語ってくれるので」と言葉少なかったが、ドイツ人  のモーリッツ・ブライプトロイさんを俳優として起用した点については、「自分  はいつも気心の知れた人としか組まないし、彼の事はよく知っていたので」と話  していた。  それを受けて、同席した俳優のモーリッツさんも「タジキスタンでの撮影は極め  て大変だったが、出演して良かったと思っている」と述べていた。 ■エントリー全作品紹介  今年は52カ国から457作品の応募があり、数次に亘る予備選考通過の16本を対象に  各賞が選出された。対象作品は以下の通り。コメントは司会進行の襟川クロさん  のものから抜粋。(□付きの作品は東京ゴールド賞対象作品) □『ミッドナイト・アンド・ハーフ』  キューバの映画学校の同級生二人の作品。幻想的でゲーム的感覚の作品。 □『オネーギン』  マーサ・ファインズ初の長編作品。兄レイフはプロデューサーと主演。兄妹で1  度も喧嘩することなく完成させたそう。 □『破線のマリス』  予測のつかない展開でパワフルに見る者を引き付けていく作品。TV界のマジック  による恐怖。 □『ナン・ナーク〜ゴースト・イン・ラヴ〜』  タイで最も有名な伝説をファッショナブルなホラー映画に仕立てた。 □『アローン〜ひとり〜』  キャラクターと俳優のコラボレーションが良い。毋の愛、存在感を感じる作品。 □『ママ』  実際のハイジャック事件をベースにした作品。息子役の俳優達は、人気の美形俳  優達で女性観客を喜ばした? □『虹鱒』  個性的な俳優陣が揃っていた。人間の本性が垣間見られる作品。 □『マリアの息子』  コメディアン、ハミド・ジェペリの初監督作品。ほとんどがアマチュアの出演  者。少年の目を通しての展開が良かった。 □『ツイン・フォールズ・アイダホ』  ちょっぴりシニカルさのあるラブストーリー。 □『スプリット・ワイド・オープン〜褐色の町〜』  インドのマサラムービー盛況の中、ショッキングで現実感のある社会派の作品。  人間にとって大切なものは何かを考えさせられる。 □『アーベントランド〜さすらい〜』  孤独なカップルをカメラが追っていく、独特な作風。 □『ダークネス&ライト』  優しさと寂しさのある、家族の物語。監督はワンシーン毎に釣りをしては、プラ  ンを練っていったとの事だった。 □『大地と水』  監督の自伝的要素が強い作品。 □『ルナ・パパ』  撮影現場はとても国際的でいつも賑やかだったそう。哀しいのにコミカルな不思  議な作品。兄役の俳優が飛び入りで舞台挨拶をしたりして、場内を賑わしてい  た。 □『真夜中まで』  和田誠監督4作目。真夜中の2時間を同時進行させていく変わった手法で観客  引っ張った。 □『クリミナル・ラヴァーズ』  先の読めない展開と、2つの話をラストでひとまとめにした手腕は、まさにオゾ  ンワールド。                                 鳥野 韻子 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ ┏━┓                       I N F O R M A T I O N ┃i┃登録・解除・お問い合わせなどについて ┗━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◇◇星(★)の意味___________________________◇ ◇   このメールマガジンで表示されている星は5つが最高で、1つが最低です。 ◇◇メールアドレス変更・解除______________________◇ ◇   このメールマガジンの購読解除は、ご登録された発行元のホームページより出   来ます。こちらでの作業は一切しておりません。   まぐまぐ   (http://rap.tegami.com/mag2/m/0000007585.htm)   マッキー!  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QT MAI               hana ◇◇ScreenKissについて_________________________◇ ◇   映画に関して、「人物」「作品」「映画祭」「制作」と言った観点から紹介・   論評するメールマガジンです。   Copyrights(C), 1998-1999 ScreenKiss  掲載された記事はいかなる形式であれ許可なく転載は禁じられています。 ┼                                   ┼