ScreenKiss Vol.071

1999年 12月 24日 配信
ScreenKiss Vol.071

■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■

  ,.`☆
  .;^☆ S C R E E N K I S S
.’

Vol.071

■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■

>☆ C O N T E N T S ☆−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−☆<   □映画館で映画を見よう:シネフロント   □第3回アジア・フィルム・フェスティバル   □柳と風   □ワンダーランド駅で   □ファイトクラブ >☆−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−☆S_c_r_e_e_n_K_i_s_s☆< >>☆0☆お願い☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ ■スクリーンキスのホームページがリニューアルいたしました。  スクリーンキスは映画を愛して止まない人々のために、単なるデータや紹介文で  はなく、独特な記事を提供してきました。今までホームページは単なる看板、バ  ックナンバーの置き場所と化していましたが、メールマガジンでは表現しきれな  い部分や写真などを含めて紹介していくようになりました。  新しいコンテンツ  □映画祭  スクリーンキスの特徴である映画祭レポートを写真付きで紹介しています。また  映画祭で出会ったスターの写真を簡単な解説付きで閲覧できるようになりました。  □インタビュー  今までスクリーンキスで行ったインタビューを写真と一緒に見ることが出来ます。  □バックナンバー検索  今まで発行された記事を検索できるようになりました。 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆1☆映画館で映画を見よう:シネフロント☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛  渋谷"ハチ公口"を出て向かい側に立て替えられた新しいビルがある。1、2階は  スターバックス・コーヒー。その7階が映画館。  なんと全席が指定席で、日時指定で購入可能。当日受付の番号制ではなく、コン  サート同様のシステムです。普通の映画館にあるような指定席はここの場合"特別  指定席"となって存在しています。ど真ん中の列で、一番音響のいい場所ですが、  他の席も指定席といういことを考えると、よほど金持ちか混みあっている日に席  を取るときに使われるのだろう。(ちなみに筆者は指定席に座ったことはありま  せん。)  その為予定をしっかり決めて購入しておけば当日時間ぴったりに行けば並ぶ必要  も待ち時間も一切なし。  しかし、このシステムは確か当初シネ・アミューズ(イースト・ウェスト)でも  当初おこなわれていて、しばらくしいて取りやめたのではなかったでしょうか。  渋谷で映画をみる人達になじめるかどうかはまだ分かりませんね。  ここは東宝系で、売店は他の東宝系シアターとほとんど変わりがない。ジュース  数種類210円。コーヒーはプロントやドトールと同じような機械式の、ボタン  を押したらカップに抽出されたコーヒーが落ちてくるタイプで、自動販売機より  おいしい。ホットドックとサンドイッチもある。お菓子は定番のポップコーンか  ら、スナックまで充実している。  館内は、245席。座席は大きく深くゆったりと座れる。すでに常識となってい  るが、カップホルダーもあり、足元も広い。右前方に非常口があるが、映画が始  まるとあの走り去る人のマークは消灯される!画面はすこし高いところにあるた  め、前の人の頭が気になることはあるまい。  音響も最新のドルビーEXと、満足できる。                                 立野 浩超 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆2☆第3回アジア・フィルム・フェスティバル☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛  12月11日から19日(日)まで、赤坂の国際交流フォーラム(地下鉄銀座線・南北線   溜池山王駅 出口12)で開催されている、第3回アジア・フィルム・フェス  ティバルについてのレポートです。  スケジュール等詳細は、NHKプロモーション(03-5790-6424) ■アジア・フィルム・フェスティバルとは?  映画生誕100年、放送開始70年を記念してユ95年に、NHKと国際交流基金・アジア  センターが始めた映画祭。以来隔年で開催され、今年3回目。NHKとの共同製作に  よる新作は、今年から環太平洋地域を含めた5カ国の作品で、オープニングに  は、初の日韓共同制作作品となる『ペパーミント・キャンディ』が上映された。  新作の他に、国際交流基金としては、年毎にテーマを設け、第1回の「各国のも  う1本」、第2回の「蘇るアジア蔵シックス」に続き、今回のテーマは「東南ア  ジアのニューウェイブ」。ここでは4本の作品が上映された。 ■新作紹介 □『ペパーミント・キャンディ』1999年/韓国/135分   監督:イ ・チャンドン   出演:ソル ・ギョング、ムン・ソリ、キム・ヨジン   1999年プサン映画祭オープニング上映作品  20年振りに嘗ての仲間とのピクニックに赴いたキム・ヨンホ。カラオケを大声で  歌った後、急に鉄橋に登る。仲間の心配をよそに、背後には列車が迫ってくる。  が、彼の脳裏には、数年毎に過去の思い出が蘇って来る。そして、20年前の20歳  の時・・・。  監督のイ ・チャンドン、主演のソル ・ギョングが登壇。制作のジェイ・ジョン  も来日していた。監督からは、「人が純真だった頃の姿、人生に希望を託してい  た頃の姿を求める20 年間の時間旅行。皆さんも、この作品と共に時間旅行をして  下さい」とのコメント。  普通、映画は舞台と違って、物語の進行通りに撮影するとは限らないが、この作  品は、流れに沿って撮影もしたという。従って、役者は撮影の疲労が見え始める  頃、逆に若返っていかねばならず、結構きつい経験だったようだ。主演のソル ・  ギョングは、本人自体年齢不祥的な感じの人だが、各年齢を難なくこなし、なか  なかの演技力だった。  監督の言う「時間旅行」は、1人の人間の経歴に留まらず、韓国のこの20年の  歴史をも再現している。その点で、多少の韓国の現代史をおさらいしておいた方  が分り安いだろう。なかなか骨太の社会派の作品だ。日韓文化解放後、韓国でも  正式に公開する初めての共同制作作品という点で、プサン映画祭でもチケットは  即売だったようだ。韓国での一般公開は2000年1月1日。 ■『欲望の仮面』1999年/ネパール/105分    監督:ツェリン・リタール・シェルパ   出演:ガウリ・マラ、ミティラ・シャルマ、ラタン・スベディ  2人の娘と優しい夫に囲まれ、つつましくも幸せな家庭の主婦。待望の男児に恵  まれたが、数週間で亡くしてしまう。それを機に、姑との仲も険悪になり、願を  かけた女神の怒りに触れたせいだ、と思い込んだ彼女は悪魔祓いの巫女に傾倒し  ていく。巫女は彼女の夫に惹かれていき、やがて悲劇が起こる。  監督と、巫女役のミティラ・シャルマが来日。ネパールは宗教と伝統が未だ根強  い国だという。監督自身、保守的な環境で育ったが、ある時期、宗教観に疑問を  抱き始め、社会や自分の中の混乱を描こうとしたとのが、この作品となった。  一般にはネパールでは、インド映画が席巻していて、なかなか今回の作品のよう  な地味なものが公開されにくい、との事。本国での公開も未定らしい。ドキュメ  ンタリー出身の監督だけに、描き方もリアル。福岡での映画祭でドキュメンタ  リー作品が上映されたのを契機に今回の企画が決まった。  作品のヒントは2年前に小さく載った新聞記事で、ある女性が巫女に水も与えら  れず殺された、というもの。日本でも奇妙な宗教が新聞を賑わしているが、こう  した、ひたすら儲け主義に発する現代の宗教とはやはり性格を異にしている。ネ  パールでは、子供の時期に決められた結婚をし、伴侶の死に当たっては再婚が禁  止されているそうだ。そこで、未亡人の一つの生き方として「巫女」が存在す  る。  鬼気迫る演技のミティラ・シャルマさんも、素顔は古典舞踊の先生でもあり、民  族衣装が似合う素敵な女優さん。柔らかな笑顔が印象的だった。今回がネパール  映画の初体験となった筆者。その驚きを監督に話したら、今後も色々質問や感想  を聞いてくれるという事だった。  もし、ネパール映画やこの作品について監督に聞きたい事があったら、筆者まで  是非ご連絡ください。 ■『柳と風』1999年/イラン/85分   監督:モハメド・アリ・タレビ 脚本:アッバス・キアロスタミ   出演:ハディ・アリプール、アミール・ジャンファダ  学校の窓ガラスを割ってしまい、弁償するまで教室に入れないクーチェキ。降雨  量の少ない土地からの転校生は、雨が珍しくてたまらない。クーチェキの割った  窓からの雨漏りも平気だ。父からどうしても貰えなかったガラス代を、彼の父か  ら借りたクーチェキは、一人ガラスをはめる行動に移すが・・・。曖昧なサイ  ズ、学校までの辛い運搬、高い位置の窓、そして折からの突風・・と難問が続  く。  来日は、今回は脚本にまわっているアッバス・キアロスタミとエグゼクティブ・  プロデューサーのアリレザ・ショジャ・ノーリ。  監督とは、第1回目のアジア・フィルム・フェスティルでの共同制作の予定が流  れて、今回完成した。  キアロスタミ氏からは、「ここ数年のアジア映画を考えると、才能ある監督がた  くさん輩出されてきて、海外での評価も高まってきている。が、そうした才能を  サポートする機関があまりないので、今回のようなチャンスは大事。作品につい  ては、監督に任せるが出来上がりは上々なので、きっと喜んで貰えると思う」と  いうコメントがあった。ノーリ氏は「映画を通じてアジアの豊かさを伝えたい」  とコメント。  例によって、素人の出演者にして、驚くべき自然な演技(というか、彼等は彼等  を演じている)。広大な土地とあるがままの自然の優しさと残酷さ。タイトルの  「柳と風」はイランでは、弱いもの、怖いものをイメージする対語。大自然と社  会の中で、弱い存在である子供が、敢然と立ち向う。初めての雨に感動する子供  も、別の形での自然との対峙だ。  静かな語り口のキアロスタミ氏と、優しい眼差しのノーリ氏。優しくて強い作品  のチームが納得出来る。 ■『退屈なオリーブたち』1999年/オーストラリア/80分   監督:ベリンダ ・チャイコ   出演:サリバン・ステイプルトン、ライアン・ジョンソン、ミーガン・ドーマン  店長といい仲だった為にクビになった、ドム。ドムに童貞を馬鹿にされたミ−  シャ。ちょっと気になる存在のロバートが実はゲイだった、エリン。いつもハイ  で、現実逃避をしているステイシー。宅配ピザ屋と舞台に、そこで働く6人の若  者の、それぞれの一夜の物語。  監督とステイシー役のミーガン・ドーマンが来日。ミーガンはこの作品が初出演  の20歳。スリムでスラリとした美人ながら、切れてるステイシーとは正反対に落  ち着いた物腰。少しはにかみやの彼女に比べ、ハキハキとした監督は、飾らなく  とても親しみやすい人柄。今フェスティバルでオーストラリアの作品は初めて。  どこかで見た作風だと思ったら、ジム・ジャームッシュの『ミステリー・トレイ  ン』。一晩の出来事がループのようになって、最後に辻褄があう。「大人になり  たくない」というステイシーの叫びは、子供のままでいたい、という事ではな  く、大人への漫然とした不安を表しているのだと思う。  時間に逆らうように、それぞれが突飛な行動をしても、ラストシーンでステイシ  −とドムが交わす会話は、いたって古臭い。「結婚して田舎に住んで子供を育  て、一緒に年とって、互いの腕の中で眠るように死にたい」。が、人間の究極の  幸せって案外こんな事かも、と思える。  ロシアとキューバの合作映画『Soy Cuba』という作品に触発され、ラース・フォ  ン・トリアー監督の『奇跡の海』のハンディカメラの使い方にもヒントを得た、  という監督。全編夜のシーンに、室外と室内の明かりの対比はマグリット的な不  思議な世界を演出している。  「今回の共同制作をきかっけに、日豪の文化交流が進めば」とコメントを述べた  監督だが、オーストラリアはこのところ女性監督がいたって元気。ロビーで次回  作について尋ねたところ、「既に構想が出来ているけど、まだ、まとまんない」  のだそうだ。 ■『リトル・チュン』1999年/香港/115分   監督:フルーツ・チャン   出演:ユイユエ・ミン、マク・ウァイ・ファン  ヤクザや娼婦のいる界隈で、家の食堂を手伝う9歳の少年チュン。年の離れた兄  は、黒社会に染まって、父から勘当されていた。次男に期待するあまり、厳しい  態度に出る父に反抗して家出をするチュンだが、仲良しの少女ファンが不法入国  者として強制送還される日、彼女を乗せた車を必死で追い掛けるが・・・。  監督と、主演の子役2人が来日。この2人の発掘には大変苦労したとか。が、9  歳と10歳の遊び盛りの2人には、さしもの監督もてんてこまいだったようだ。  「香港では、次の作品の準備にかかり始めていたのですが、可愛い2人を皆様に  ご紹介出来て嬉しいです。また、独立系の映画を作れるチャンスがなかなかない  ので、とても嬉しい。が、子連れの旅は大変でした」とは、監督の言葉。  しかし、どう見ても3人並んだところは、親子。2人も監督にすっかりなついて  いた模様だった。最近日本でも希少価値?となった、所謂「子供らしい子」に出  会ったような感じ。  作品の内容については、未見の為差し控えます。  第2回目の映画祭から、見るようになったが、前回もウズベキスタン映画など、  なかなかお目にかかれない作品等が見られ、また、映画を通して、近くて遠い  国、アジアを知る事が出来て、以来この映画祭のファンになってしまった。  今回も興味深い作品が多く、是非劇場で、期間限定でもいいから上映して欲しい  ものだと思う。東京だけ、しかも、たった2回の上映でいきなりTV放映というの  も哀しすぎる気がしてならない。                                 鳥野 韻子 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆3☆柳と風☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛   イラン映画としての評価:★★★★☆   脚本:アッバス・キアロスタミ   監督:モハメド・アリ・タレビ  日本で公開されるイラン映画と言えば子供が主役。例にもれずこの映画も子供が  主役で、このパターンは日本人に多少飽きられてきたといえるが、それでもしっ  かりした映画なので一連のイラン映画を好きな人はぜひお薦めしたい。  さて、この題名は風に揺れる柳と、その風。つまり、風が物語に重要な要素を与  えている。  イラン北部の雨の多い地域の村。雨の降らない町から引っ越しいてきた転校生レ  ザーは雨が珍しく授業に身がはいらない。同じクラスのクーチェキは、ボール遊  びで教室の窓ガラスを割ってしまい、先生から「弁償して直さなければ学校に来  なくていい」と言われる。クーチェキの父親は友達から借金をしているようだ。  お金がある訳でもない為か、弁償するつもりがない。クーチェキはせっぱつまっ  て、レザーからお金を借りてガラスを買いにいく。歩いて30分以上はなれた村  の丘の上のガラス屋から大きなガラスを買って、大雨大風のなか学校に向かう。  はらはらさせながらも何とか学校に着いたはいいが、窓ガラスは随分上にある。  今となってはイラン映画の定番、学校で先生にきつく叱られるシーン。子供が一  人ではらはらさせられるシーン。お金をなんとかして、何かを買う(手に入れ  る)シーン。いつものイラン映画にお決まりのストーリだが、今回はエンディン  グが違う。ガラスはなんと砕け散ってしまう。しかし、この後のエンディングが  最高だった。ガラス屋のお爺さんは7時まで待ってあげるといっていたから、後  30分ある。走っていくのはきついが、途中でバイクに乗った同級生に会うし、  ガラスは2500リアルだった。借りたのは5000リアルだったから、お金も  足りる。そして、夕焼けをバックに、バイクに2人乗りして走り去る。このぴ  りっとしたエンディングパターンは魅力的で必見。  イランと言えば砂漠の国と勘違いされてる方にも必見の場面があります。授業の  中で先生が「イランは地域によって3つの気候がある」と。今回の舞台は、冬に  は雪がふる、日本の北国の様なイメージ。学校の中も教室だけではなく廊下がう  つっている。風に吹きっさらしの廊下に落ち葉が舞うシーンは、なんとなく建築  様式も理解できるのでは。水の冷たそうな小川、落葉樹、広がる丘の峰、ほんと  にきれいな自然を感じることができます。  ちなみにこの村は風力発電の実験施設がある田舎町。「石油の国で風力発電?」  と思った人がいるでしょうから一言。イランでは原油を輸出して精製された石油  を購入しているのです。つまり、国内に自国消費の為の精製施設がないというこ  とです。まったくないのか、容量不足なのか、細かい点は教科書を探しましょ  う。精製プラントを作る技術も、お金もないし、原油を購入している国に管理さ  れているようなものですね。中近東なんてどこも似たりよったりで、いかにオイ  ルは『メジャー』と呼ばれる一握りの会社によって管理されている構図がよく分  かりますね。  それに、たとえイランといえども環境問題は深刻です。また、田舎町に自前の発  電設備を置くという重要性もよく分かるでしょう。                                 立野 浩超 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆4☆ワンダーランド駅で☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛   監督・共同脚本・編集:ブラッド ・アンダースン   出演:ホープ ・デイビス、アラン・ゲルファント、ヴィクター・アーゴ   1998年 /アメリカ/カラー/97min   1998年 第14回サンダンス映画祭正式出品作品   1998年 第24回ドーヴィル映画祭グランプリ、観客賞受賞 ■ストーリー  夜勤明けのエリンが家で見たものは、まさに出ていこうとしている政治活動家の  彼の姿。残されたビデオには、「君とやっていけない理由」を延々と述べる彼が  写っていた。男性はこりごりの心境のエリンに、夫の死後、派手な男性遍歴を重  ねる毋は、勝手に新聞に恋人募集記事を掲載してしまう。  一方配管工のアランは水族館のボランティアをしながら、海洋生物学者を目指し  て勉強に励んでいる。水族館を巡る汚職事件にはエリンの元彼が参加していた  り、募集記事にはアランの弟が仲間との賭けで応募してきたり、2人にはくつか  の接点がありながら、出会う事がない。そんな中、ワンダーランド行の地下鉄  は、2人に共通の通勤電車だったが・・・。  全編に流れる粋な音楽、そして洒落た台詞。さぞや、お洒落でロマンティックな  ストーリーかと期待すれば、ちょっと違うかもしれない。  恋人に去られ、孤独が好きと強がりを言っても、やはりどこかでロマンスを求め  てしまうエリン。が、ひとたび現実の男達に会ってみれば、ひと皮剥けばどれも  同じ「男性」という生き物。恋にどっぷり身を任せられる程の年齢でもないし。  リン・ヴァウスとの共同脚本のせいか、監督が男性というのが不思議な位、この  年頃の女性心理が的確に描かれている。一方、男性はやや自虐的に?単細胞に描  かれていて可笑しい。  エリンが無差別に開く本の一節が、そのままチャプターのように進行する展開も  面白いが、この遊び、やはりこの年齢の女性を描いた『キャリア・ガールズ』に  も登場している。また、繰り返し引用される「愚かさな頑固さは狭量の表れであ  る」(R.W.エマソン)。各場面でスパイス的役割を果たしていて、なかなか面白  い。  日本ではあまり馴染みのない、恋人募集広告だが、映画ではよく使われているよ  うだ。こわーい犯罪を招く例もあれば(『シー・オブ・ラヴ』)この作品と同じ  ように、都会の孤独に耐えかねた男女の接点としても・・この場合精神科医も  セットで登場する事が多いが・・(『ニューヨーカーの青い鳥』)小道具として  活躍している。  だが、恋人を探すという事は、つまり自分探しなのだ。日本でも、よく「赤い  糸」などと言うけれど、結局は「自分の生き方」や「考え方」が人を結び付けて  いて、つまり人生の舵取りは、自分自身がやっているという事に気づく。勿論、  それにちょっとした偶然はつきものだけど。年齢がいっても夢を実現しようとす  るアランの生き方が、その体現だろう。  時にコミカルに、そしてテンポよく進むストーリーに、新鮮な俳優が揃ってい  る。知的美人のエリン役、ホープ ・デイビスは舞台出身だけあって芸域の広さを  感じるし、堅物アラン役のアラン・ゲルファントは、目元や口元がどこかリ  シャール・ボーランジェの若い頃を彷佛とさせ、印象的。(偶然にも彼の父親  は、実際、海洋生物学者なんだそうです)  脇を固める人々も、一時エリンの心を捕らえるブラジル人(ホセ・ズーニカ)は  アダムスファミリーのパパみたいだし、繊細なゲイ(ジョン・ベンジャミン)か  ら、果ては水族館のアイドル、バルーンフィッシュのパフまで個性的な面々だ。  セクシーな中に乾いた感覚を秘めた、ボサノヴァ音楽の使用もこの作品の見どこ  ろ(聞きどころ?)。甘過ぎず、クール過ぎず大人のラヴストーリーにぴったり  です。                                 鳥野 韻子 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆5☆ファイトクラブ☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛    総評:★★★★★  結末は実にあほくさいが、それまでを評価することだけで十分満足してしまっ  た。久しぶりにハリウッドの映画としては強い灰汁を感じた。  主人公ジャック(エドワード・ノートン)のナレーションとともに始まる彼の日  常生活が説明される場面では、ちょっとした演出が目新しく面白い。いかにもア  メリカといえるその映像はコメディーのようだ。  エンディングのせいで強く自信を持ってまでは皆さんにお薦めできない映画なの  だが、男性の為の映画といえよう。  女性にはやはりブラッド・ピットと格好良さと、エドワード・ノートンの最高の  演技が楽しめるだろう。特に、エドワード・ノートンは、今後日本で公開される  98年映画「アメリカン・ヒストリーX」で99年アカデミー最優秀主演男優賞ノ  ミネートを受けていて、その後の映画になるこの作品では確かな実力を確認でき  る。(同年受賞したのはライフ・イス・ビューティフルのロベルト・ベニーニ)  一方、主演女優:ヘレナ・ボナム・カーターは好きな役者なのだが、相変わらず  ここ数年の演技は情けなく感じる。どの映画も同じ顔つきで、幅の狭い演技に飽  きを感じてしまった。適役探しをしっかりとして出演してほしい。  ファイトクラブという、素手で血だらけになるまで殴りあうことを目的としたア  ンダーグランドのクラブ。ここでは男としての野生、本能に目覚める。  巷の評判では、この暴力シーンを批判する動きもあるが、たいして問題のある  シーンではない。あくまでもやりたいやつら同志が殴りあっているのだから、ボ  クシングやプロレスのようなものだ。  同性愛嗜好とか、道徳が問題だとか言われるが的はずれ。同性愛をいうなら、男  同士で組み合うスポーツ全てがそう見なされているということだし、道徳?この  程度が?  またこの映画には、もしかしたら"おりこうさん"が見た後、ボクシングにはまっ  てしまうのではないだろうかという魅力的な殴りあいがある。実際にはめちゃく  ちゃ痛いのだろうが、その痛みよりも恍惚感の方が強く描かれているためだ。殴  りあいをしている連中の姿には男として憧れを感じる。  私がこの映画を楽しめる理由は、ファイトへの憧れと、反社会的な行動への憧れ  だろうか。  終わりに近づけば近づくほどストーリーが強引に、おおげさになっていく。これ  はハリウッド映画の癖か、病気か。映画に意味を持たせようとする努力のせい  で、だいなしだ。なぜ素直に終われないのか。いっそのこと、終盤20分をカッ  トしてしまったほうが神秘的だったろうに。  まあ、それでも評価したい映画だった。                                 立野 浩超 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ ┏━┓                       I N F O R M A T I O N ┃i┃登録・解除・お問い合わせなどについて ┗━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◇◇星(★)の意味___________________________◇ ◇   このメールマガジンで表示されている星は5つが最高で、1つが最低です。 ◇◇メールアドレス変更・解除______________________◇ ◇   このメールマガジンの購読解除は、ご登録された発行元のホームページより出   来ます。こちらでの作業は一切しておりません。   まぐまぐ   (http://rap.tegami.com/mag2/m/0000007585.htm)   マッキー!  (http://macky.nifty.ne.jp/servlet/FreeMailServlet/           mail_backnum?freemail_id=412)   メルポット  (http://melpot.net-planning.co.jp/) ID:0000000008   ココデメール (http://mail.cocode.ne.jp/) ID:0200300007   ClickIncome  (http://clickincome.net/mg_lt/mag/m00000031.html)   Pubzine (http://www.pubzine.com/detail.asp?id=1547)   emaga (http://www.emaga.com/music/intro/film.html) ◇◇サービス______________________________◇ ◇   ホームページでは過去に記事を参照できるようになっています。   http://www.ScreenKiss.com/   Backnumber.toを利用したバックナンバー再送信サービスもあります。   http://backnumber.to/list.asp?userid=10007585 ◇◇広告募集______________________________◇ ◇   ScreenKissでは、広告を募集しております。   詳しくは、[email protected]へ ◇◇協力・提携_____________________________◇ ◇   AntenneFrance(http://www.antennefrance.com/)   Le Petit Bouquet日本語版(http://www.metamondes.com/PetitBouquet/) ◇◇お問い合わせ____________________________◇ ◇   色々な情報やアイディアや感想などありましたら下記のアドレスまで投稿をお   願いします。そのほか編集に協力して下さる方も募集しています。   mailto:[email protected] ◇◇スタッフ______________________________◇ ◇   【編集長】      【記事執筆】    中津川 昌弘     鳥野 韻子               立野 浩超               山下 裕               MS. QT MAI               hana ◇◇ScreenKissについて_________________________◇ ◇   映画に関して、「人物」「作品」「映画祭」「制作」と言った観点から紹介・   論評するメールマガジンです。   Copyrights(C), 1998-1999 ScreenKiss  掲載された記事はいかなる形式であれ許可なく転載は禁じられています。 ┼                                   ┼

スポンサーリンク
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Evernoteに保存Evernoteに保存
スポンサーリンク