ScreenKiss Vol.081

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2000年 1月 29日 配信
ScreenKiss Vol.081

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Vol.081

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>☆ C O N T E N T S ☆−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−☆<   □トゥルークライム   □ロルカ、暗殺の丘   □嘘の心   □グレン・グールド 27歳の記憶 >☆−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−☆S_c_r_e_e_n_K_i_s_s☆< >>☆0☆おしらせ☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ □ホームページ  スクリーンキスのホームページでは、過去のバックナンバーの閲覧やその記事の  検索などが出来ます。また映画祭レポートやインタビュー記事などは写真付きで  ご覧になれます。  メールマガジンだけでは表現できない部分がありますので、こちらも併せてご覧  下さい。 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆1☆トゥルークライム☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛    1999/アメリカ/127分/ビスタ    監督・主演 クリント・イーストウッド    ホームページ:http://www.truecrimethemovie.com    銀座シネパトスにて上映中  クリント・イーストウッドである。実に41本の主演、そして21本の監督作と  まさに貫禄!!  ストーリーは、何かと訳ありな新聞記者スティーブ・エベレットが同僚の事故死  により、12時間後に迫ったある殺人犯の死刑執行を取材することになったのだ  が、次第に犯人が無実ではないかと直感し、執行までの残りわずかな時間の中で  その証拠を挙げようと奔走する・・・。  今回の作品、役どころが新聞記者なので拳銃は持ちません。しかしそこはクリン  ト・イーストウッドで、やはりただの記者ではなく、いい年して女遊びの絶えな  い元アル中で、何とも不器用だけれど、とても心の強い人間味ある男なのです。  それにしてもこういう男を演じさせると本当によくハマる。いやー、かっこい  い!!  死刑執行と話が重く、最近だと「デッドマン・ウォーキング」などが思い浮かぶ  けれど、そこはまたまたイーストウッド。観終わった後はテーマの重苦しさはな  く、ドラマというまさしく<映画>を感じさせ、さすがの一言。これはこれでい  いのです。  役者陣もしっかりしていて、特にジェイムズ・ウッズはいいです。新聞社内での  イーストウッドとのやりとりは最高。死刑囚役のアイザイア・ワシントンもいい  演技で注目。それと、イーストウッドの子供役で出ているのが、本当のイースト  ウッドの子供。これがまたとても可愛く印象的で、さすが血は争えない。ちなみ  に奥さんも出てます。  しっかりと魅力的に人物が描かれていて、とても好感が持てる映画。しかし、と  ても地味に上映されているので、気づいたら終わっていたなんてことも・・・。                                   ゆたか __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆2☆ロルカ、暗殺の丘☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛    1997年/スペイン・アメリカ/114min    監督・脚本・製作:マルコス・スリナガ    出演:アンディ・ガルシア、イーサイ・モラレス    日比谷シャンテ  グラスに沈んでいく血染めの銃弾。内戦のニュースフィルムに重なる、ロルカの  詩の一遍。1934年、内戦間近のスペイン。14歳だった少年、リカルドの運命を変  えたロルカとの出会い。そして20年後。新聞記者の傍らロルカの暗殺についての  著作の為、故郷グラナダへと向かう。そこで彼が体験し、掴んだ真相は・・・。  主演のA・ガルシアをはじめ、『雲の上で散歩』の時よりスリムになった、J・C・  ジャンニーニ、『タクシ−』でも殺人鬼だったE・ラサーロ等“濃い”系の顔が  揃っていながら、全編英語のダイアローグ。  米国との合作で、売り込みにも英語の方が便利という点が否めないが、何となく  最後まで違和感があった気がする。多分、作品で多用されるロルカの詩のせいだ  と思う。英訳したものだからだ。  初日、1回目の上映前に天野英世氏による「ロルカ熱唱トークイベント」なるも  のが催され、(その模様はラストでご紹介します)そこでロルカの13のアンダ  ルシア民謡から4つの歌を“熱唱”してくれた。勿論スペイン語で。それを聞い  てしまったから余計英語への違和感が深まったのかもしれないが。  さて、ロルカの死の真相に取り憑かれたリカルド。観客は彼とともに謎解きをし  ていく訳だが、どうもそちらにばかり力が入ってしまって、ロルカの人物像が中  途半端になってしまった。  内戦の犠牲者としての、早すぎる死。一旦はニューヨークにまで行きながら、危  険な時代に敢えて帰郷した彼の意図も不明だが、その死後もリカルドを、そして  多くの人々をこれほどまでに惹き付けるロルカの魅力は何なのだろうか。謎を散  らし過ぎた上に「暗殺」部分だけに力を込めているので、何となく全体がぼけて  しまったような感じがした。もっとも、それほど多くの日本人がロルカに詳しい  とは言えないという点で、印象が異なるのかもしれないが。  スペイン内戦といえば、ピカソの「ゲルニカ」や映画『大地と自由』を出すまで  もなく、歴史の悲惨な1ページだ。こうした歴史を経験してきたスペインの人々  は、この作品をどんな風に解釈するのか是非感想を聞いてみたいものだ。また、  監督はプエルトリコの出身だが、ここはスペインの知識人の多くが内戦を逃れて  きたという。それだけに思い入れが強いに違いない。  それにしても「グラナダ」といえば、かの3大テナーも好んでメドレーに使う曲  で、若い娘と太陽と血の街〜などと歌っていて明るいイメージが先行していただ  けに、今回の作品では考えさせられるところが多かった。  蛇足ながら、ここでもどちらかと言えば悪役M・フェラーはJ・クルーニーの従兄  弟ながら、どうしてこうも明暗が分かれてしまうのでしょうね。ついでに言え  ば、昨年オランダ映画祭では初監督作品を引っさげて来日した、エローン・ク  ラッベ。ここでは珍しく「半」悪役。素顔は結構優しい人だっただけに、最近は  どうも彼の存在が目に付いて仕方ありません。 ■天野英世氏による「ロルカ熱唱トークイベント」  茶の革ブーツ、グレーの上下にトレードマークのキャップを被り、黒いマントを  羽織って、颯爽と舞台に登場した天野氏。何でもフード付きのモロッコのマント  に、スペインのベストとバッグなんだそうで、20分という制限時間を気にされ  つつ充実した舞台を見せて下さいました。  ロルカの有名な「13のスペイン民謡」から、「4人のロバ追い」ロンダの古い  民謡「アンダ、ハレヨ」、子供の歌う「タララ(妖精の意)」、ピカソの生地マ  ララのジプシー男の歌「カフェ・チニータ」の4編を、ステージで「熱唱」。  そして、最後はロルカが10年後のその死を予感したかのような詩、「メメント・  デスペリータ」を「ロス・モソス・モンレオン」の歌にのせて日本語とスペイン  語で朗読。  僕が死んだら、僕のギターと一緒に砂の下に埋めてください。  僕が死んだら、オレンジの木の間に埋めてください。  僕が死んだら、飾りの中に埋めてください・・・。  天本氏は、最近「日本人へのメメント」という本を出版された。このタイトルも  ロルカの詩からの引用という。ご自身の遺言的な気持ちで書かれたという、この  本は、内容はよくわからないが、「こんな事を書くと、右翼に刺されるかもっ  て、思いましたが・・」と言って笑いを誘っていた。(1/27には銀座福屋書店で  サイン会有/問:03-3574-7181)  スペイン映画祭等では、よくお見かけしていたが、独特の雰囲気で背の高い  「かっこいいおじいさん」というイメージであった。幅のある響きのある声で、  アカペラの歌も身体を揺さぶられるような感じがしたが、やはり朗読がとても素  敵だった。昔、ちょっと齧っただけのスペイン語だが、あの独特の「音」が何と  も心地よい。  初日で、しかもイベントあり、なのに、のこのことぎりぎりに到着したので、当  然「立ち見」の憂き目に。落ち着いて場内を見渡すと、意外と年齢層の高い観客  が多かったような気がした。                                 鳥野 韻子 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆3☆嘘の心☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛    1999年/フランス/113min    監督・脚本:クロード・シャブロル    出演:サンドリーヌ・ボネール、ジャック・ガンブラン    キネカ大森  画家としての仕事の傍ら、子供に絵画を教えているルネ。巡回の医師をしながら  夫を助けている妻ヴィヴィアンヌ。ある日ルネの教え子が帰宅途中に殺される。  最後の目撃者ルネに目を向ける警察。この小さな町は噂で持ちきり。そんな中、  売れっ子ジャーナリストのデモがヴィヴィアンに接近し、彼もまた死体となる  が・・・。  『男と女、嘘つきな関係』『聖な嘘つき』『君が嘘をついた』・・・と「嘘」を  題材にした映画が多いような気がしていたところ、今回はまさに原題の直訳で、  これ、ちょっとどうにかならなかったものか、っていう感じもした。確かにこの  作品では実は誰もが「嘘つき」。些細なものから重大なものまで、この狭いコ  ミュニティに様々なパターンが凝縮している。  最初は、いかにも閉鎖的な海辺の町の事、所謂「よそもの」としてのルネ夫婦が  村八分になってしまうのかと思っていた。が、思わぬ展開が待っている。どこ  か、アガサ・クリスティ臭い人間関係だ。しかし、シャブロル監督、それだけで  は終わらない。お馴染みのダルなトーンと時に耳障りな効果音。今回は主人公が  画家という事も手伝って徹底的に、色にはこだわっている気がする。ルネの家自  体、「だまし絵」だったりするところも凝っている。  偶然爆弾事故に遇って、脚が不自由になり全てに懐疑的になってしまった上に、  さらに2件の殺人事件の容疑者になる、気の毒な男ルネ。対し女なら、誰でも自  分になびくと思っている、自意識過剰なプレーボーイ、デモ。  健気に夫を支えつつ、ついデモに惹かれてしまうヴィヴィアン。本来なら色の専  門家である筈の夫でなく、デモの薦めで服の色を変える、というところは、妻を  死ぬ程愛してる「筈」のルネの心の隙を捉えているようで面白い。  いつもはフェミニンな役柄の多い、ヴァレリア・ブルーノ・テデスキが珍しく刑  事を演じている。これがコロンボの女版みたいに、慇懃無礼に聞き込みするキャ  ラクターだが唯一、この町公平な目を持つ役割だ。が、第二の殺人に関しては、  彼女はまだ決断していない。  観客としては、まだ疑問符で一杯の頭に、ルネが妻にだけ、自分の犯行だと告白  する台詞を聞く。しかし、この結論はあまりに単純すぎるような気がして、つい  不可読みしたくなってしまうのだ。  彼女を不倫は走らせたのは、自分のせいだ。デモと彼女の情事を描いた事で、彼  女は充分傷ついたはずだ。だから、今度はもっと重い罪を告白して、2人だけの  秘密をつくる事で自分達の絆が深まるに違いない・・・などと考えたのではなか  ろうか・・なんて。更にラストの意味深な台詞を、御覧になったあなたはどう思  われるでしょうか?  エンディングロールを見ていたら、やたらに「シャブロル」姓の人が多いと思っ  たら、やはりファミリーでした。音楽、スクリプト、それに役者としてそれぞれ  活躍しているようです。  2年前に映画祭で来日していたデモ役、アントワーヌ・ドゥ・コーヌ氏は、この  作品では自惚れやで、中身の薄い嫌な男。でも、実際はとても知性的な印象の役  者さんでした。自身、人気ジャーナリストだったそうで、自分のパロディを楽し  んだのでは、という感じがしました。  なお、この作品の上映に伴って、モーニングショー(連日10:45~)でクロード・  シャブロル特集を上映している。『従兄弟同士』『二重の鍵』『沈黙の女』『ふ  くろうの叫び』『愛の地獄』等7本を上映の予定。詳細はキネカ大森(03-3762-  6000)。  P.S.  久しぶりの「公開初日」での観映のせいか?映画館入り口でトワレをくれるわ、  アンケートを書くとジュースをくれるわ、の大サービスでした。ちなみに、私が  引き換えたジュースは台湾産の「ココナッツジュース」。こんな缶ジュース置い  てるの、この映画館位なもんじゃないでしょうか。                                 鳥野 韻子 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆3☆グレン・グールド 27歳の記憶☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛    テアトル西友にて、ロングラン上映決定  レイトショー上映  連日21:20〜(終映22:30) 土日祝10:00〜(終映11:00)  一般\1500 学生\1300 (水曜・シニア\1000)  昨年11月20日〜本年3月17日(金)にて終了  モーニング上映は2月6日(日)までとなります。 _______________________________________________