ScreenKiss Vol.091

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>☆ C O N T E N T S ☆−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−☆<   □カール・クラリッサ・ノイベルト   □ティム・バートン監督来日トークショー   □カリスマ   □PFF(ぴあフィルムフェスティバル)シアター >☆−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−☆S_c_r_e_e_n_K_i_s_s☆< >>☆0☆チケットプレゼントの結果について☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛  PFFシアター2月のプレゼント企画に、たくさんのご応募、ありがとうございまし  た。プレゼントのご当選者の方々には、直接、ぴあ(株)よりチケットがお手元  に届いているかと思います。  今回は、特に2/27(日)6:30p.mの回(D:演出とは何か?「ロマンス」)が大人気  で、かなり高い倍率となってしまい、折角ご応募頂いた方々には大変ご迷惑をお  かけいたしました。  今後も読者の皆様には、色々な企画をご提供いたしていく予定ですので、今後と  も宜しくお願い致します。 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆1☆カール・クラリッサ・ノイベルト☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛  ScreenKissは、先日行われたドイツのベルリン映画祭への取材をする事が出来た  のだが、実際今まで行ったこともないために、色々な状況が分からず、知り合い  のドイツ大使館やスタッフの中で知り合ったドイツ人に問い合わせることになっ  た。  このスタッフの知り合いのドイツ人はドイツ大使館が紹介してくれた人と同一人  物「カール・ノイベルト」だったのだ。と言うわけで、彼にあって色々話を伺う  ことになった。  ドイツ大使館から紹介される訳だから、今回のベルリン映画祭の為だけではな  く、どのくらい映画業界に関わっているのかなど我々には色々な感心があった。  評判どうり日本語も上手で、少なくてもメールではきちんとした日本語を書いて  くるのだ。  彼は、ドイツの大学生時代に日本文化を学び、北海道大学に留学し日本語を学ん  でいる。もちろんそれだけではなく、もう7年も日本に住んでいるのだ。  彼は現在特定の会社に勤めているわけではなく、フリーで映画関係の事を行って  いるのだ。映画関係の事?と思われるかも知れないが、行っていることは一言で  は、語ることは出来ない。  まず映画祭の開催。これは大きな映画祭ではなく、インデペンデントな映画、短  編映画を紹介する目的で始めた「if」という映画祭だ。「if」の「i」は  「independent」を表すのだが、彼はこれを「inter-dependent」と言い表すの  だ。というのは、いくらインデペンデントであっても、人間同士の協力なくして  はあり得ないという彼の考え方だ。  また「NextFrame*1」と言うアメリカで始まった、世界の学生の映像フェスティバ  ルの日本開催もテンプル大学(日本)などの主催で行うプロジェクトにも関わっ  ている。  そして「Rodeo Film*2」と言う名前で映画制作を行っている。彼の出身地ミュン  ヘンはドイツでも映画製作では中心的な都市の一つで、ベルリンに次ぐ規模との  ことだ。例えば、「Uボート」や「ネバー・エンディング・ストーリー」などが  ここで制作された。また、ソフト面だけではなく、機材や技術の面でも色々な会  社があるという。彼もここで映画・映像関係の仕事、つまりアシスタントやプロ  ダクション・マネージャーなどをしていた。  ミュンヘンと言う所は、確かに映画産業は発展していて、ハリウッドでは費用が  かかりすぎる制作費を押さえる目的でも利用されているらしい。「ドイツ人」だ  から仕事はきちんとするため、結構国際的に映画産業の地として評価が高いと言  う。その為か彼の関わった作品の中にも『めぐり逢えたら』などアメリカ制作の  物も見られるのだ。  しかしミュンヘンは閉鎖的な社会で、彼の話によると「堅い」と言うことらし  い。また有名であったりしないとなかなか受け入れてもらえない社会らしく、多  分その経験が彼が現在日本でインデペント作品を紹介する映画祭を開いている理  由なのかも知れない。  彼の制作した作品(監督)は多くの受賞をするほどの物だ。例えば、代表作品  「THE TURNS OF THE WHEEL」は半歌仙という日本の詩のリズムやスタイルにイン  スピレーションされたまったく新しい映像やサウンドを利用するファンタス  ティックでユーモラスなタッチのある映像作品である。  この作品は、1998年ベルリン映画祭の国際メディア・カルチャー祭トランスメ  ディアーレ準大賞受賞やシカゴ映画祭のインターコム国際コンペ大賞受賞など沢  山の受賞を受けている。こうした外国人の目で日本を紹介され評価されているこ  とは大変嬉しいことだ。  彼の活動はこれだけではなく、色々なテレビなどに出演もしている。中にはキャ  スティングとして理由の分からない物があり、例えば、『Das letzte Boot』準主  役:黒人とか『DasTal der Mythen』イタリア人歌手と言うものまである。  面白いのでもう少し、出演歴を上げていこう。『世界を結ぶ東レイの技術』(新  聞広告)イタリア人、『青春物語』カトリックの司祭、『暴力』日本人技師、  『スタッフ・サービス』(CM)悪党社員、『よみうりランド叫びフェスタ』  (ポスター広告)腹話術師、『キリン・ビール・ヨーロピアンシリーズ』  (CM)悪党ドイツ人などなど、、  ドイツ人のくせに「イタリア人」として出演しているは、非常に不思議と思うが  彼に会ってみれば、納得だ。僕らが思い浮かべるドイツ人のイメージよりもイタ  リア人に近い。  本当に良くしゃべる!!大概僕がインタビューをすると、どちらかというと、こ  ちらの方が良くしゃべってしまって、「インタビューなのか?」と言う状況に  なってしまうのだが、彼は話し出したら止まらない。もちろん映画関係の話題に  も非常に詳しく、長年経験を積んでいると言うイメージを受けた。  ドイツ語を習っている人には、周知のことかも知れないが、NHKのテレビドイツ語  講座にも出演している。イタリア語講座をジローラモが変えたように、彼はドイ  ツ語講座の雰囲気を変えた人間だ。また、フジテレビのドラマ『モナリザの微  笑』にエキストラで出演していた。  最後にこれだけは言っておかなければいけない。彼には女装する趣味があるの  だ。(プロフィールにも書いてある)これは彼にとって非常に重要なことである  らしく、この取材の後で、名前について彼が女装するときに使う名前「クラリッ  サ」と入れてくれと言うメールが届いた程だ。  前出のドイツ語講座にも女装して出演していることもあり、イベントで女装して  いることが多いらしい。女性に限って言えば、男性のような格好している人も多  く、それは市民権を得ている。だから男性が女装することを非難すれば逆男女差  別だ。「女装」と言う言葉を使うことも良くないかもしれない。  こんな感じで、非常にユニークな「変な外人」だ。(この「変な外人」というの  は、彼にとってほめ言葉であろう)  今後ScreenKissでは、カールと協力し色々なことを行っていきたいと考えている。 *1) NextFrame http://www.keitaro.com/nextfarme/ *2) Rodeo Film http://i.am/rodeofilm/                                中津川 昌弘 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆2☆ティム・バートン監督来日トークショー☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛  去る2月16日(水)HMV渋谷で『スリーピー・ホロウ』の宣伝に来日した、ティ  ム・バートン監督のトークショーが開催された。1週間前から配付された整理券  300枚は、10代、20代中心の人々を中心に3日前には完了し、当日は入り切れない  程の人数が集まったそう。あっぱれ、バートン人気!本当、ひとごみで、会場は  ムンムンしてました。  ぎっしりのファンがつめかけた中、登場した監督はイエローの地に小さな恐竜が  並んだデザインのシャツに、黒の右膝の抜けたジーンズ、縞柄の靴下という個性  的ながら、どこか可愛らしくもある?いでたちだった。フォトセッション用に笑  顔を絶やさず、皆に見えるように、あちこちの方向に向きを変え、なかなかサー  ビス精神旺盛。  さて、喋り出すとこれまた、通訳用の間を気にするなど、いい人発揮。監督の登  場前に写し出されていた、映画の一部のコワ面白い画面の雰囲気を覆す明るいノ  リでトークショーは進んでいったのでした。ただし、やはり、ここは何といって  もHMVの店内。後半、どうしてもサウンド関係の質問が多かったような気がしまし  た。  また、トーク終了後の監督サイン色紙&プレスキット付サントラ50名の予約は、  またたく間に完売だったとか。 ■インタビュー Q:  この映画製作のきっかけは何ですか? ティム・バートン:  昔からモンスター映画が大好きで、美しい映像とモンスターの作品、という事で  「首なし」の主人公を取り上げました。 Q:  この作品で一番伝えたかった事は何ですか? ティム・バートン:  世の中にはとても心理的な、不可思議な事が一杯あるが、こういう事に対し、  オープンは態度で臨んでいきたい、という事です。これを首なしのキャラクター  と、知識ばかりで頭でっかちな主人公、イカボッドを対比させる事で、表現しま  した。 Q:  今回、何か特に新しい演出はありましたか? ティム・バートン:  今回はむしろ古い手法を用いて作製しました。その為ブルースクリーンの前で演  じたり、という事を一切せず、全てセットを組み、その前でドレスを着て実写し  ました。 Q:  注目の俳優が起用されていますが、何かエピソードはありますか? ティム・バートン:  印象的だったのは、首なし騎士の役を依頼したクリストファー・ウォーケンで  す。彼にこの役を依頼したところ、帰ってきた言葉が「この役って、首もない  し、台詞もないよね。何で僕なの?それに馬にも乗らなくちゃならないし。」で  した。彼は、馬が大嫌いなのです。 Q:  演出される上で、特に御苦労はありましたか? ティム・バートン:  一番てこずったのは、馬です。走ってほしい時に逆に暴走したり、大変でした。 Q: サウンドと映画の関係については、どのようにお考えですか? ティム・バートン:  今回はサイレントフィルムのような気分で、この作品をつくっていったので、音  楽は特に重要です。台詞がなくても、音楽を聞くだけで、そのシーンが浮かぶよ  うに、とサウンドを依頼しました。ですから、この映画では、音楽も重要なキャ  ラクターの一人といえます。 Q:  音楽を担当したダニー・エルフマンは、監督作品を多く手掛けていますが、今回  の彼の起用について教えてください。 ティム・バートン:  とてもドラマティックな音楽をつくってくれて、それが感情のガイドラインとし  て作品に機能している。その辺が今回、彼に依頼したところだけど、実は彼も僕  も怪獣映画が大好きで、また、同じような時期に映画界で働き出したから、兄弟  のような気分なんだ。 Q:  サウンドをつける上で、特に注意した点はありますか? ティム・バートン:  オールドファッションな感じを出すために、男声、女声、子供等、様々な声の合  唱や、オーケストラ重要な位置を占めています。絵に音を合わせるのが夢です。 Q:  今迄、影響を受けた音楽はありますか? ティム・バートン:  今回、古典的な音楽を使ったように、作品に毎にそれに合った音楽を取り入れて  きましたが、基本的にはクラシックからポップス・・・全ての音楽が好きです。 Q:  ディズニー時代の影響は何かありましたか? ティム・バートン:  カル・アーツ時代の音楽の影響もありますが、実はディズニー映画に『Sleepy  Hollw』があるんです。とても美しいアニメで、中でも馬の追跡シーンが素晴らし  く、この作品の影響は多分に受けています。首なし死体の動きも優雅でしたね。 Q:  ディズニー時代には、意外なものを楽器にしたりしていた事がありましたが、今  回も何か変わった楽器を使用されていますか? ティム・バートン:  昔風で不思議な感じを出すため、セラミンという楽器(SF的サウンドに用いられ  ることが多いそうです)やオルガンを用いました。重低音部分はオーケストラが  震えるような感じで雰囲気を出しています。 Q:  最後にこれから映画を見る方たちへ、何かメッセージはありますか? ティム・バートン:  とにかく楽しんでください。一番いいのは、僕が喋らない事ですから。 ■映画『スリーピー・ホロウ』について  2/26より東宝洋画系で公開  詳細:www.sleepyhollowmovie.com  原作:ワシントン・アーヴィング「スリーピー・ホローの伝説」  『スケッチ・ブック』新潮文庫 ノヴェライゼーション(徳間書店)  サントラ:エイベックス・トラックスから3/1より発売(税抜2,718円)  とにかく試写会は連日満席の大盛況、19日の先行オールナイトも大人気だったよ  うです。アメリカでは昨年11月の公開以来大ヒット。「バートンの最高傑作」と  いわれているとか。フィギュア、サントラ、グッズも大売れで、これらは日本で  も発売の予定だそうです。                                 鳥野 韻子 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆3☆カリスマ☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛    CHARISMA    1999年/カラー/ビスタサイズ/103min    監督:黒沢清    出演:役所広司、池内博之、風吹ジュン    http://www.nifty.com/charisma/    2月26日(土)よりテアトル新宿にて公開  「世界の法則を回復せよ」刑事、薮下が人質をとって立て篭る犯人から渡された  メモ。人質も犯人も救出出来ず、逃げるように迷い込んだ森で、彼が見たものは  1本の木。手厚く保護されたこの木を巡って、温存派と伐採派の対立に巻き込ま  れた彼は・・・。  (Vol.34 第21回ぴあフィルムフェスティバル レポート 参照)  残酷なまでに美しい画面と、得体の知れない空間。そして、常軌を逸しているか  に見える登場人物達に、どこか自分との共通点を見い出して、薄ら寒くなる。そ  うなったら、監督の手にまんまと引っ掛かってしまったのかもしれない。説明を  排除した乾いた残酷さ。薄っぺらい「エコ」や「平和」を声高に叫ぶ前に、1度  この映画を見てみるのもいいかも。  折しも「カリスマ」が昨年の流行語の筆頭になっていたが、この作品の企画自体  は10年も前からだったそうだ。ある意味、人を惹き付けてやまない不思議な力  を持つ木(映画ではミソハギ科の木とかって言ってますけど)という点では確か  に「カリスマ」だ。  しかしながら、昨年は3大映画祭を制覇してしまうし、パリではレトロスペク  ティブが組まれ、黒沢監督自体がフランスでは「カリスマ」的な人気のようだ。  そこで、ここでは昨年夏のぴあフィルムフェスティバルでの日本初上映の際、行  われた黒沢監督とのティーチ・インを再録しておく。 Q:  パンフレットに監督は「これは、そういう映画です」と書かれているのですが。 黒沢 清:  「ある人間と世界の関係」を考える時、色々な関係を設定するけれど、正解はひ  とつには絞れないのです。ただ、「どんな」関係かは、はっきりしないけれど、  確かに「ある」関係は持っているのだ、という点を描きたかったのです。 Q:  長いことあたためられてきた企画だそうですが。 黒沢 清:  そうなんです。それが、たまたま去年(ユ98年)急に実現化が決定しまして。以  前のシナリオに手直しをする時間が欲しかったんですが、「今撮らないと、一生  撮れないぞ」という気がしたのと、役所さんのスケジュールがこの時期しか取れ  ないぞ、という切羽詰まった状況だったんで、勢いで書いてしまいました。 Q:  その、役所さんですが、今回も「黒沢組」というか、常連さんが出演されていま  すね。意識してそうされたんですか? 黒沢 清:  自分の作品のテイストをすんなり分かって貰える人、という事で探したら、やは  りいつもと同じメンバーになってしまいました。 Q:  この作品は(ユ99年)カンヌ映画祭に出品されましたが、現地での反応は如何で  したか? 黒沢 清:  コンペではなく、監督週間という部門に出品したのですが、途中退場もなかった  ようです。他の海外での映画祭でも同じような反応でしたが、監督週間への作品  はマニアックなもの、変な映画、という前提で見ていたんでしょうね(笑)。 Q:  では、概して評判はよかった訳ですね。 黒沢 清:  上映の翌日に出る評判は良かったらしいです。もっとも悪い評判は、耳に入れな  いのでしょうけどね(笑)。一般に、皆、この翌日の評というのは気になるもの  なんですが、他の映画祭に比べ、カンヌでは特に気にしてるみたいです。  この評により、観客動員数にも影響があるようなんです。これって、ジャーナリ  ズムへの信頼がかなり強いって事でしょうか。逆に怖い気もしますね。それに比  べると、日本では新聞評がそれほど影響していないようで、良かった。 Q:  ロケ地とその場所の選択について教えてください。 黒沢 清:  これは、全く経済的な理由でロケーションを決定しました。で、東京に近いとい  う事で富士山周辺と栃木です。撮影はユ98年12月からほぼ1ヶ月でしたが、日帰  り出来る場所を選んだのです。  冬期の撮影で、日照時間が短いのですが、ロケ地は昼間でも陽が斜めに射すの  で、対象が立体的に見えるので良かったです。夏だとこういう光は撮れなかった  でしょう。 Q:  背景には常に音があるような気がするのですが。 黒沢 清:  音を敢えて入れていないシーンもあります。画面で見られる絵と音は、そのフ  レームの中だけに限られてしまいますが、実際は色々な音がしている訳です。で  すから、画面以外の世界もある、という点を音で表現したりしています。その為  に現場の音も録音したりしましたが、逆に世界と切り離したい時は、わざと無音  にしてあります。 Q:  殺人に使われる道具には、ピストルと刀がありますが。 黒沢 清:  刀は、憎悪など、ある感情にまかせて人を殺すため、相手に接近する、という点  で有効です。もっとも実際は知りませんが、映画の話として、ですよ(笑)。そ  れに比べて、ピストルというのは、離れたところからでも使えるので、とても事  務的に殺人が犯せる、という違いが出せます。 Q:  1本の木を巡って2者が対立する・・・という構図はとても西部劇風な感じがす  るのですが。 黒沢 清:  『用心棒』などにも見られるような、古典的アクション映画の構造を取り入れて  みました。 Q:  では、お好きな西部劇はありますか? 黒沢 清:  あまりに分りやすい構図でない方が好きなのですが、例えばサム・ペキンパーの  『ビリー・ザ・キッド』などです。 Q:  ラストに一発の銃弾で完結するなど、クローネンバーグ監督の影響以外に、カリ  スマの燃焼シーンが今迄の感じと異なるような気がするのですが。何かちょっ  と、『もののけ姫』的な気さえします。 黒沢 清:  最終的には「全て皆で仲良く生きていこう」という『もののけ姫』に対し、「そ  んなに巧くいくかな?」という疑問があります。共に生きていく為に殺す事も必  要な時がある、全てが生きるという事はあり得ないと思うのです。そんな事をし  たら、何も食べることが出来なくなって、全部が全滅してしまう事になります。  共に生きていくのに都合のいい「グループ」というのは、考えられます。ただ、  そのグループにとって邪魔なもとは殺されてしまうわけです。つまり「共に生き  ていこう」という考えは、嘗ての共産主義に似ているのかもしれないけれど、反  面、非常に怖い考え方だといえます。  ラストでカリスマが燃えてしまう、というのは,大切だとはいえ、この争いの元凶  がなくなれば共存も可能だ、という事です。                                 鳥野 韻子 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □                                      >>☆2☆PFF(ぴあフィルムフェスティバル)シアター1月レポート☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛  去る1月28日(金)〜30日(日)有楽町の東京国際フォーラムにてPFFシアター・  1月が開催された。(プログラムはVol.73参照の事)今回は99年山形国際ド  キュメンタリー映画祭での上映作品から『ネオ・アジアン・ドキュメンタリー』  と題して上映。そのうち4本についてレポートする。  なお、今回上映されたドキュメンタリー作品を含む山形国際ドキュメンタリー映  画祭の主な作品は、4月29日(土)〜5月12日(金)BOX東中野にて公開される。  (03-5389-6780) ■あんにょんキムチ  1999年/日本語・韓国語/ビデオ/52min  監督:松江哲明  1999年韓日青少年映画祭監督賞、1999年山形ドキュメンタリー映画祭アジア千波  万波特別賞&NETPAC(最優アジア映画)特別賞  初夏BOX東中野にて公開  日本映画学校での卒業制作作品。日本国籍ながら、れっきとした韓国人の血統を  持つ監督は子供の頃、祖父の臨終間近の呼び声に応えず、「哲明バカヤロー」を  最期に息を引き取られた経験がある。最近になって、日本人として生き、家紋ま  でこしらえ、子供には帰化をすすめ、だが自分は韓国籍のまま死んだ、祖父を  もっとよく知ろうと、この企画を考えた。  ティーチインに登場した監督は、「松江君」と呼びたくなるような、若く、そし  てとてつもなく性格のいい感じの青年。彼のキャラクターがこの作品に大きくプ  ラスになっている。  在日韓国人の問題というと、どこか暗いイメージがあるが、この作品はまさに  「あっけらかん」としていて、現代っ子らしい感覚だ。本人もその、いい意味で  のか軽さを狙ったという事だが、そもそも、親戚中でキムチがダメなのは彼一人  というところから、このタイトルになったという。  祖父のルーツを辿って、韓国まで訪ねるが、ここでもキムチを始め、料理が口に  合わずほとんどをカロリーメイトでしのいだ、というから筋金入り?だ。  まったく日本以外に考えもつかない妹と、ちょっとこだわる兄、哲明君との会話  や、祖母、両親、伯母たち、そして妹へ自分の意識する国を国旗で提示してもら  う、というラストが面白い。全体によく練られた構成で飽きさせず、ドキュメン  タリーの枠を超えたアイデアの勝利だ。  実はこの作品には後日譚がある。彼は今回の韓国取材で、そこの女性に一世一代  の一目惚れ。初夏に公開するBOX東中野では、この体験をもとに編集した作品が同  時上映されるらしい。なお、この劇場は監督のアルバイト先でもある。ひょっと  して、彼に会えるやもしれず、是非この夏、足を運んでみて頂きたい。 ■新しい神様  1999年/デジタルビデオ/99min  監督:土屋豊  1999年山形国際ドキュメンタリー映画祭国際批評家連盟特別賞  7月末より渋谷ユーロスペースにてレイトロードショー  天皇依存型の日本の民族派パンクバンドのメンバーにデジタルカメラを預け、彼  等の日々の思考を、時に監督本人を交えての話し合い風景も混ぜながら構成した  作品。反天皇制思考の監督と対極にある彼等との接点は・・・。  監督は1997年に『あなたは天皇の戦争責任についてどう思いますか。靖国編』を  発表。その上映会に、スクリーンを切り裂く目的で出掛けたバンドメンバーの女  性、雨宮氏。そこから、彼等の不思議な関係が生まれていった、という。  ビデオでは、主に彼女の独白が延々と続く。右翼団体に入り、北朝鮮に元赤軍メ  ンバーを訪ね、舞台で日の丸を掲げて「天皇陛下万歳」を叫ぶ彼女。しかし、よ  く見るとそこには、なんら政治的な確固たる信念も、将来への展望もなく、彼女  にあるのは「誰かに依存したい」という願望だ。  結局、彼等は右翼団体から脱会し、ラスト近くになって初めて『ライブを聞いて  くれる人の事を考えるようになった』と言う。そこで初めて「自分」という実態  を掴めた訳だが、聞き手あってのステージという、基本的なところが抜けていた  とは・・・。  当日は監督と、雨宮氏が登壇したが、彼女の発言を聞いていると、ビデオの中よ  りは、いくらかしっかりしたとはいえ、どうもまだ、「ただの出たがり娘」とい  う感じが拭えなかった。  さらに会場からは、この作品が今年のベルリン映画祭の正式招待作品という点か  ら、様々な意見が飛び交い・・・曰く「このまま出品したら、日本を誤解されて  しまう」、曰く「いや、手を加えたりしたら、作品として別物になってしま  う」・・・と監督の意図を無視したような感じで、聞いていても気分が悪かっ  た。  監督が一人、落ち着いていたのは、せめてもの救いだったような気がする。 ■ハイウェイで泳ぐ  1998年/中国語/ビデオ/49min  監督:ウー・ヤオドン  1999年山形国際ドキュメンタリー映画祭アジア千波万波賞・小川紳助賞  HIV感染の友人を被写体に、彼との対話をもとに心境を辿っていく作品。  手持ちカメラで手ぶれも多く、暗い場面も手伝って、やるせない気分になってく  る。特に、被写体の男性自身も嘗てドキュメンタリー作品を手掛けていたらしい  事がわかると、さらにどんよりとしてきてしまう。台北と台南を行き来する中、  ハイウェイがまるで生と死を繋ぐラインのようなエンディングにしばらく席を立  てなかった。 ■美麗少年  1998年/台湾/ビデオ/63min  監督:ミッキー・チェン  10代のゲイ少年たちの日常をオムニバス形式で綴る。台湾では興行的にもヒット  した作品。  家庭で、学校で、10代のゲイ達はどのような位置にいるのか・・・。この作品  では、意外にもあっけらかんとして、特に学校では大凡の予想に反して?虐めも  なくゲイである以外は他の子供と何ら変わることのない生活をしている。  ほっとする反面、こうした幸せな(本来はこれが正しい姿の筈だが)子供に比  べ、陰で苦しんでいる子供の存在にも考えさせられてしまう。  家中でそうした子を応援している家族の言葉がよかった。「だって、そういう子  になったのは、此の子だけの責任じゃないでしょ。親にも責任あるし。ゲイと  いっても息子には違いないんだから」と言って、この父親は経典を取り出した。  「人間には『善』と『悪』の2種類しかない。菩薩様だってゲイを非難していな  いんだ」  その子供も、そうした家族の愛を痛い程感じている。女装コンテストの番組出演  した際(にちにこの番組は“幼児に性についての感覚を混乱させてしまう”とい  う理由で深夜枠に移行してしまうのも笑える)「誰も応援に来ていない人が多い  中、僕には友だちや家族がたくさん来てくれて、それだけでも気分が楽になっ  た。僕はとても幸せだと思う」  「学校で教える事の中に、ゲイについてもないのがおかしいと思う。きちんと教  えてくれないから、一人で悩んだりしてしまう。もっとゲイについて、ちゃんと  教えるべきだと思うよ」  ラストの彼の言葉、正しいと思いませんか?                                 鳥野 韻子 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ ┏━┓                       I N F O R M A T I O N ┃i┃登録・解除・お問い合わせなどについて ┗━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◇◇星(★)の意味___________________________◇ ◇   このメールマガジンで表示されている星は5つが最高で、1つが最低です。 ◇◇メールアドレス変更・解除______________________◇ ◇   このメールマガジンの購読解除は、ご登録された発行元のホームページより出   来ます。こちらでの作業は一切しておりません。   まぐまぐ   (http://rap.tegami.com/mag2/m/0000007585.htm)   マッキー!  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QT MAI ◇◇ScreenKissについて_________________________◇ ◇   映画に関して、「人物」「作品」「映画祭」「制作」と言った観点から紹介・   論評するメールマガジンです。   Copyrights(C), 1998-2000 ScreenKiss  掲載された記事はいかなる形式であれ許可なく転載は禁じられています。 ┼                                   ┼

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