ScreenKiss Vol.095

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Vol.095

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>☆ C O N T E N T S ☆−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−☆<   □ベルリン国際映画祭レポート4   □マグノリア   □ダブル・ジョパディー   □遠い空の向こうに   □ゴッド・アンド・モンスター   □PFFシアター2月レポート >☆−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−☆S_c_r_e_e_n_K_i_s_s☆< >>☆1☆ベルリン国際映画祭レポート4☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛  既にお伝えした通り、ベルリン国際映画祭の「グランプリ」的賞、金熊賞は「マ  グノリア」が受賞した。これは概ね予想通りの結果で、映画祭期間中、新聞では  連日「金熊賞の行方」について批評家数人により予想が掲載されていたが、最後  まで「マグノリア」が最有力候補であった。  「去年『恋に落ちたシェイクスピア』が金熊賞を取ると皆思っていたのに結果は  『シン・レッド・ライン』だったから、予想はあんまり当てにならないよ」とい  う話を何度か耳にしたが、結果は予想通り。しかしこの作品、プレス間ではかな  り賛否両論だった。期間中、「今日は何を見るの?何が良かった?」がお決まり  の挨拶なのだが、「マグノリア」はベスト作品の一つに挙げるか、「好きじゃな  い」と一括するかのどちらかの両極端な反応で、つまりは「アクの強い」作品、  という意味なのだろう。(ちなみに私は前者で、ベルリン・ベスト3の一つであ  る。)  監督のポール・トーマス・アンダーソンと主演のジュリアン・ムーアが記者会見  に臨んだが、アンダーソン監督は「ものすごおおおおおおおおおおおく」饒舌な  ヒトです。質問をさえぎって話し始めるおしゃべりぶりはタランティーノと互角  に闘えるくらいかも。それだけ言いたい事があるヒトってことでしょう。驚くこ  とにまだ29歳。(「監督はまだ30なのに、、、」という質問に、「まだ  29!」と訂正して会場の笑いを誘っていた。)独特の持ち味を多用に変化(へ  んげ)させつつ大御所への道を歩みつつある監督である。  「マグノリア」の以外の私のベスト3はアグネシカ・ホランド監督の新作「The  third miracle」とドイツ映画「Sonnenallee」('99レアンダー・ハウスマン監督  ちなみにこれが初監督作) であるが、やはり開催国ドイツ映画は数多く上映さ  れ、必ず英語字幕が付く事ゆえ(英語以外の作品はドイツ語字幕が多いので)見  る機会も多かった。  「Sonnenallee」に巡り合えたことは、この映画祭最大の喜び!のひとつだった。  今回、「ニュー・ジャーマン・フィルム」として映画祭の各カテゴリーとは別枠  で既に公開済みのドイツ映画も含めて上映しており、ドイツ映画の面白さを堪能  することが出来た。  「ラン・ローラ・ラン」が与えた影響はドイツ映画界にとって「事件」だったら  しい。「今のドイツ・カルチャーシーン」を前面に押し出した作品としては、初  めて世界で闘えた作品だったからである。その後、「ニュー・ジャーマン・フィ  ルム」なる言葉が定着したが、この「ニュー・ジャーマン・フィルム」の近年の  もう一つの代表作が「Sonnenallee(太陽通り)」である。  「どの作品がお勧め?」と尋ね、全てのドイツ人がこの作品を一番に挙げるので  (大袈裟ではありません。それだけ大ヒットかつ好評だったのです)見てみたの  だが、映画祭の楽しくともハードな日々、且つ直前に見たものすごく退屈な作品  2本(残念ながら日本映画)、午後10時半からの上映、そんな疲労困憊状態を  吹き飛ばしてくれた、楽しく、馬鹿馬鹿しく、キッチュな、私をわくわくさせて  くれた一本だった。  70年代の東ベルリンを舞台にしたコミカルタッチの青春群像なのだが、主人公  Michaとその友達の目を通した当時のGDE(German Democratic Republic=東ド  イツ)の状況が描かれている。社会主義教育、秘密警察、厚い壁(ベルリンの  壁)の向こう側。ハンドメイドの「Rock & Pops」と書かれたTシャツ、ベルボト  ムのジーンスを着こなしつつも、ミッシャの住む「太陽通り」は紛れも無く東ベ  ルリンであり、やみで手に入れるローリング・ストーンズのレコードの貴重さ  は、その時代を知らずしては理解出来ないのかもしれない。  私事で恐縮だが、映画祭期間中、私は旧東ベルリン地区にある旧東ドイツ出身2  人の住むフラットに居候していた。旧東西についての話は驚くほどにオープン  で、ベルリンの街を歩く限りガイジン(わたくし)の目には9年前まで分割した  別の国だったとは信じられないくらいだった。しかし、同時に「ここは旧西のエ  リア、ここは旧東のエリア」という人々の記憶も鮮明である。東だったころの時  代を忘れてしまった若い世代も増えている一方で、その名残をまだまだ色濃く残  す部分も沢山あることも事実であり、その微妙な混ざり具合がベルリンを面白く  させてるのかもしれない。ベルリンは人も文化も生きている街であることは充分  に実感出来た。  「これは全て昔々の話だけれど、でもMichaが今語らなかったら、70年代のあの  頃、ベルリンの壁の影の向こう側、『太陽通り』の裏側がどんなものだったのか  皆知らずに終わってしまう」と解説(Film of the Federal Republic of  Germany Kino 1999/2000より抜粋)にも書かれているように、「ソビエトだけが  兄であり、他の国は皆敵」(同抜粋)だった、壁がなくなる前のGDRという  国、今までただミステリアスな遠い国でしかなかった国へ誘ってくれる作品であ  る。  日本での配給先も決まっているらしく、日本公開の可能性もあるので憶えておい  て下さい。サントラもチェックの価値あります。特にDynamo5というドイツのバン  ドの一曲「The letter」(歌詞は英語です)はこの時代、この作品の雰囲気満  点、。少しでも映像を、との方はホームページに行ってみてください。  

                                   hana

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                                    □

>>☆2☆マグノリア☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     magnolia     ★★☆☆☆     1999年/187分     監督:ポール・トーマス・アンダーソン     出演:フィリップ・シーモア・ホフマン、ウィリアム・H・メイシー、     トム・クルーズ他大勢     57回ゴールデングローブ賞最優秀助演男優賞     http://www.magnoliamovie.com/japan/  題名「マグノリア」は花の名前。物語の終盤に起こる「あれ」の意味とともに、  謎。監督いわく、「見る人が考える楽しみを残しておきたい」らしい。こういっ  た謎は永遠に明かさずにいてもらいたいものだ。たとえその謎の答えが冴えない  物であっても、それを知らないでいれば永遠に神秘的に感じるだろう。映画はテ  ンポよく始まる。3つのエピソードの後、いよいよ本題にとりかかる。  ハンドカメラが子走りに掛けまわる人々を追いかけたかと思えば、一気にスク  リーンをはみ出すようなアップ。その場その場でカメラの前の人物をしつこいく  らいに追い掛ける。  誰に関する挿話に主題がおかれているのかを探す我々をあざ笑うかのよう。主役  は誰だろうかと考える時間を与えない。とにかく我々も映画を追いかけていくし  かない。  各シーンは唐突に編集されたり、しごく自然につながれたり、それらの編集から  意味を見つけることができる点はこの映画の魅力だと思うが、それにしても話を  ごちゃ混ぜにしすぎたと思う。欲張りすぎた為の3時間は非常に長いし、見終わ  るとそれほど中身の詰まった内容には感じられない。一つ一つは面白い話で、各  人物にも奥行きがあるだけにもったいない。この映画から各人物を抜き出して、  後3、4本の映画が撮れそうだが、そちらの方が面白そうだ。  元天才クイズ少年ドニー・スミス(ウィリアム・H・メイシー)はタランティーノ  映画のように小さいおんぼろホンダに乗っている。タランティーノは、学生のア  ルバイトで買えるような超安い車の代表としてホンダを描いていたが、それと同  じ意図がそこに見られる。彼の生涯は役者メイシーの顔の印象そのままだったに  違いない。  現在の天才少年は、親の欲の犠牲にさらされている。ちょっとサリンジャーの  『グラ−ス家』の人物のよう。  フランク・マッキー(トム・クルーズ)はエロ講師としてとんでもないセリフを  まくしたてている。彼の人生はアメリカ的に言えば、少年時代の親からの愛情不  足がもたらした結果。  登場人物みんなが愛に飢えていて、内に秘めていたその愛に対する欲求がたった  24 時間でさまざまな形となり噴き出していく。  天気予報が映画のテンポを保ちつつ挿入されているのだが、これは好き嫌いの別  れる手法になるだろう。3時間もの上映時間と、複雑ではないのだが登場人物の  人数と、それぞれに起こるハプニングを考えると、天気予報は物語を整理するた  めの間合いをとるには効果的だった。  また、鍵が印象的なのだが、とくに意味はないだろう。隠喩でもない。  この映画、誰が主演で誰が助演といった区別はできないが、少なくとも12人は  みんな主演としてとらえても問題ない。トム・クルーズの事が一番話題になって  いるが、彼ら12人以外の脇役の方が上手かった。弁護士のさりげない好演は格  別印象的。  なぞ解きではないが、マグノリアの花は、芳香はよいが、花弁は1日で渇変して  脱落します。結局は一時の変化でしかないのかもしれませんね。                                 立野 浩超 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆3☆ダブル・ジョパディー☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛    DOUBLE JEOPARDY    ★★☆☆☆    監督:ブルース・ベレスフォード    出演:アシュレイ・ジャッド、トニー・リー・ジョーンズ    http://www.doublejeopardymovie.com/  アシュレイ・ジャッドは端正な顔立ちで嫌みのない美人。私は特に好きなタイプ  ではないが、こんな美人がなんという運命だろう。  しかし、トミー・リーを保護観察官トラビス役にしてしまったり、アシュレイの  逃げ回りながら息子を捜す方法が単調で、どうしても「逃亡者」と重なってしま  う。  問題は脚本にある。逃げ回り、追いかけるという点に重点を置きすぎたため、単  純なサスペンスになって、せっかく子供と再会しても、感動しない。もうちょっ  とどんでん返しを期待していたが、この程度のアイデアしかなかったか。  アシュレイの演技だけは誉められているようだが、私にとってはそうでもなかっ  た。ちっとも小汚くならない姿には逃亡中のリアルさがないし、子供への愛情も  臭い演技。船の中が血まみれになって驚く時も大袈裟な態度でピンとこない。刑  務所暮らしの6年間も苦労が滲みでない。  時間つぶしの2時間としては適当な時間が過ごせるが、映画好きの方で他にも見  たい映画がある時はどんどん後回しにしよう。                                 立野 浩超 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □                                      >>☆4☆遠い空の向こうに☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛    October Sky    ★★★★☆    1999年/108分    監督:ジョー・ジョンストン    出演:ジェレイク・ギレンホール、クリス・クーパー、クリス・オーウェン    http://www.octobersky.com    原作:「ロケトボーイズ」草思社刊  これが実話かと思うと、素直に楽しめる。ライティングがクッキリハッキリしす  ぎている点や、父親の演技が臭い点なんか忘れて、「ロケット・ボーイス」達の  成功を見守ろう。  ホーマー少年がソ連の人工衛星『スプートニック』を眺めた時からロケットへの  情熱に目覚めるくだりや、努力しながら設計に工夫を重ねて毎日も嫌みなく受け  入れられる。ライリー先生の協力も、彼女の人生が真実だからこそ感動してしま  う。  ケープ・コールウッドのロケ地の見事な雰囲気と、格好悪い衣装が妙に現実味を  感じる。  ホーマーと父親との対立、兄貴思いなホーマー、ヴァレンタインとの出会いも感  動を助長させている。  宣伝の雰囲気からして「Born to be ワイルド」(原題:Wild America)に似てい  たが、そのときの素直な感動と同様、自分の夢に関してこの歳でもまた考えたく  なる、そんな作品。                                 立野 浩超 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆5☆God and Monsters(ビデオ)☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛    God And Monsters    ★★★★★    1998年/アメリカ(日本劇場未公開)    監督:ビル・コンドン    出演:イアン・マッケラン、ブレンダン・フレイザー、       リン・レッドグレーヴ    1998年アカデミー脚色賞ほか  アカデミー賞を含め、各国映画賞で絶賛されながらも、何故か劇場公開されな  かった作品。(公開を待っていたらビデオになってしまった。)タイトルだけ聞  くとホラーのようだが、渋い心理ドラマである。  『フランケンシュタイン』の生みの親でありホラーの鬼才で知られる伝説の監  督、ジェームス・ホエールの半生を描いた作品。ティム・バートンはじめ多くの  監督が影響を受けている人物である。実は同性愛者であった彼を演じるのは自ら  もゲイを公言する英国の俳優、イアン・マッケラン。  引退後、病で倒れて以来、幼い頃の貧困の思い出や、戦友(恋人)の死など孤独  な苦い想い出にさいなまれるようになったジェームス(マッケラン)。そこへ粗  野で無教養だが心優しい海軍上がりの青年(ブレンダン・フレイザー)が庭師と  してやって来る。彼に献身的に使えながらも同性愛者であることを軽蔑している  メイド(リン・レッドグレーヴ)にジェームスがゲイであることを知らされたク  レイは嫌悪感を覚えながらも知的な彼の会話に魅せられ、奇妙な友情を育んで行  く・・・  物語は彼の過去の幻影と彼の過去の作品を重ね合わせながら進行するのだが彼の  生み出したモンスター達と彼自身の孤独をダブらせる構成が見事。回想シーンも  ただ出来事を伝えるのではなく、あくまで幻想的で美しい。  また、中心となる3人が3人ともハマリ役で、キャスティングが功を奏したとも  言えるだろう。マッケランの紳士的な装いと、青年を見つめる目が印象的。リ  ン・レッドグレーヴは『シャイン』のときの上品で小奇麗なイメージとはうらは  らに地味なメイド役をこなしている。このベテラン2人に関しては文句のつけよ  うがない。  そして最も驚いたのがフレイザーの演技。すっかりB級コメディー俳優のイメージ  が板についていたのだが、自分の魅力に気づいていない、ぶっきらぼうな美しい  青年を見事に演じている。ジェームスに対する嫌悪感と好意という二つの感情を  行き来する様子を見事に表現。これが本当に『ハムナプトラ』の俳優なのだろう  か。「やればできるじゃん。」という感じ。マッチョな体プラス童顔も役には  まっていて、この役は彼にしか出来ない!とまで思えてしまった。恥ずかしなが  らファンになってしまいそうな予感。  これだけの作品が何故公開されなかったのか本当に残念。是非とも劇場で観た  かった。                                 MS.QT.MAI __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆6☆PFFシアター2月レポート☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛  2月25日(金)〜27日(日)に有楽町の東京国際フォーラムで催された「PFFシア  ター2月」。今回は映画講座の第3弾として、斎藤久志監督を迎えて行われた。  (詳細はVol.85)特に人気が高かったのは、最終日の最後のプログラムで、当日  券も瞬く間に完売したそうだ。筆者は、今回『夏の思い出』の上映回に参加して  みた。  ■2/27(日)『夏の思い出』+映画講座「自己と他者の作品評価のズレとは何か」    『夏の思い出』    1995年/VTR/80min    出演:鈴木卓爾、諏訪太郎、唯野未歩子  平凡なカラオケボックスの店長。実は裏では、女子高生連続暴行殺人を繰り返  す、という顔を持っていた。が、現在は逮捕され、連日2人の刑事の尋問を受け  ている。15人の犠牲者を出しながら淡々と、質問に答える犯人。やがて、移送さ  れる日が来るが・・・。  始めの頃から、女子高生への暴行シーンが延々と続き、見ている側には(自分が  女性のせいかもしれないが)結構辛いものがあった。犯人の罪の意識のなさは、  新潟の監禁男みたいだが、何より、しゃらーっと喋り続ける鈴木卓爾のどアップ  ほど怖いものはなかった。特殊な筈の犯人が、隣にいる見知った人間に近いよう  な錯覚になってしまうからだ。  犯人と刑事の奇妙な心理的関係と、取調室の落ちの部分は背筋が寒くなる程だ。  『カリスマ』で心に入り込みすぎた刑事が、犯人の射殺後にも、その後釜になっ  ていくが、そんな人間の脆さ、怖さが単純な形で示されている。これだけだと、  後味のわる〜い映画になってしまうところが、ラストの女子高生の屋上でのさり  げない会話によって口直し出来るところがいい。  ■映画講座:「自己と他者の作品評価のズレとは何か」  斎藤久志監督&宇田川幸洋氏(映画評論家)&ぴあの応答を再構成してみる。  この作品の作製時、監督は、殺人犯の心理など到底判らない、と途方に暮れた。  原作は山本直樹の漫画(大久保清事件がモデルらしい)だが、これを大幅に書き  換えた脚本となった為、原作者からクレームがつき、それでも脚本通りに作って  しまった。これで、監督生命の終わり、と覚悟したところ、思ったより評判がよ  かった・・そんな経験が今回の映画講座のテーマとなった。 斎藤監督  ご来場の皆様に。レンタルビデオで安く借りられるのに、わざわざお越し頂きあ  りがとうございます。スマップの1時間半のビデオ『初めての夏』(これはセル  ビデオのみ)が、初めて収入になった作品ですが、その時カメラを引いた画面が  多く、スマップファンからブーイングが来た経験から、今回の作品では、思いっ  きり「寄りっぱなし」にしてみました。何しろ撮影期間6日、1,000万以下の低予  算という枠もありましたし。 ぴあ  監督自身は、この作品を「失敗した」と思われたそうですが。 斎藤監督  そうなんです。男を他者として見た場合、面白いな、と感じられた俳優が主演の  鈴木卓爾だったのですが、作品の付加的要素として「連続殺人鬼」というものが  あった為に、演技が「くさく」なってしまい、本来の彼のキャラクターを生かし  きれなかった、と思ったからです。 ぴあ  ところが、評判がよかった、と。その時はどう思われましたか? 斎藤監督  主演の鈴木卓爾の演技が評価されたのかな〜と思いました。そして、100%自分の  思い通りの作品が必ずしも「いいもの」とは限らないんだなって。それに、評価  される箇所にも驚き、一瞬方向性がわからなくなりました。  オリジナルの冒頭は、刑事の質問の声に、ただにやついている犯人のどアップが  6分間・・というものだったんですが、「ビデオは頭の6分で決まる」と言われ  て、事件のダイジェスト的な部分を持ってきました。 ぴあ  これで監督生命も終わりだ、て思われた時はどの時点でですか?また、監督がだ  めなら、どんな職業に鞍替えされようとしましたか? 斎藤監督  撮影現場においてです。編集段階では立ち直っていましたが。その頃は「監督」  という自覚がなかったので、単に「これでフィルムをとれなくなるな」と。で  も、ラッシュを長崎俊一氏に見せたら、「面白い」と言ってくれて。それで、彼  が面白いと感じるものを撮ればいいんだなって。 宇田川  僕は今日、映画見に来たんだけど、引っ張り出されてしまった。監督の作品は、  最近のは見てますが、初期の頃のを拝見出来てよかったです。この作品では、犯  人の演技も所謂この手の作品にしては「普通っぽい」し、諏訪太郎の汗かいてる  ラストの方のシーンなんか、とても山本直樹っぽくて面白いと思います。それ  に、ある意味、ジャンルムービーとして判りやすかったのでは? 斎藤監督  枠がある方が判りやすいんでしょうかね。でも、ラストで1度夢落ちを作ってお  きながら、最後に屋上での女子高生の会話が入る点は賛否両論でした。自分とし  ては、この部分に全精力を注いだんですけど。殺人、レイプのジャンルとして  も、この作品では1度も殺戮のシーンはないんです。それ、やっちゃた時点で  嘘っぽくなるでしょう。 宇田川  この作品では刑事2人に犯人1人、といった人と人の間(ま)が面白いですね。  長回しの間のいきさつは、どうなんですか? 斎藤監督  カメラを構えて撮る「芝居」はほんの2〜3分で終わってしまうんです。でも、  そのままカメラを回していたら、俳優が勝手な動きや台詞を始めるんです。その  瞬間が良かったりした経験があったものですから。  勿論、偶発的な場合と意図的な場合はありますが。例えば『サンデイドライブ』  の塚本監督、彼は普段早いテンポなので、ストーリーとなると、日常から離れて  しまう・・と言っていました。  唯野さんとの仕事は増えていくにつれ、彼女との「息」が合ってきて、段取り  が、何かの拍子に緊張感などにズレが出てくる、その辺の瞬間がわかるようにな  りました。まあ、カット撮りは、予算で決まってしまいますが。 ぴあ  さて、宇田川さんは、映画評論家な訳ですが、監督はご自分の作品への評価は必  ず読みますか?また、その中でご自身の方向性を変えたようなものはありました  か? 斎藤監督  出来る限り読みますね。誉めてくれた人は好きです(笑)。私の作品はメジャー  な位置にはないので、わざわざ取り上げてけなす、という事はないんです。気に  入ってくれた人だけが書いてくれるので、掲載されただけでも嬉しいです。 宇田川  まぁ、けなされるのも、メジャーの証明ですよね。 会場  取調室での落ちは、どのように解釈すればいいのですか?また、その部分は原作  ではどうなっているんですか? 斎藤監督  まず、原作は「夢」です。ただ、ここでは単にそれだけでなく、相棒の刑事も同  じ夢を見たのかもしれないし、「夢」と本人が思っているだけで、実際はそうで  はなかった・・と考えてもいいんです。 会場  常連の俳優、スタッフとの仕事が多いようですが、常連さんにこだわっての事で  しょうか?また、俳優さん達とはどのようにして信頼関係を築くのですか? 斎藤監督  例えば『フレンチドレッシング』では丹治匠君は、若い頃の鈴木卓爾にそっくり  で、兄弟役として使ってみたかった。また、彼等と唯野さんの演技はよく似てる  んです。紋切り型の演技ではない、100%出し切らないというか、水面下の表現が  出来るんです。逆に言えば、その時々で言ったアドリブのコントロールが出来な  かったりします。  信頼関係については、例えば『人間合格』での哀川翔さんの演技。これは、『勝  手にしやがれ』シリーズで培われた黒沢監督との信頼関係の賜物だと思うんで  す。同様に、唯野さんらとは、彼等が勝手にやってくれた演技をこちらで選択出  来るところがあります。 ぴあ  監督は、今度芝居の演出をなさいますね。芝居と映画の違いって何でしょう? 斎藤監督  今『お迎え準備』という芝居の演出をしているんですが、出演も鈴木卓爾等なの  で、公演中、彼等が変化するような、あまり「演劇的」でない「芝居」にしたい  と思っています。1度しか出来ない演技を定着させるのが映画だとすれば、芝居  は必ずしも毎日一律でなくていいんです。また、演劇という分野だったら、ある  種の難解さも受け入れて貰えるのでは、と思っています。 宇田川  それにしても、監督は8mm〜35mmまであらゆるフィルムを撮っているのは凄いこと  だと思います。メジャーになった途端、つまらなくなる監督もいるからね。 会場  宇田川さんは、いつから「映画評論家」として、御自分を意識されましたか?ま  た、宇田川さんの考えられる「映画評論」とはどんな事でしょうか? 宇田川  自己認識したのは、税務署で申告の際の職業欄に「映画評論家」って書いた時で  す。また、「映画評論」ですが、これは自分の目で見た事しか書けません。つま  り、映画には観客も重要な要素な訳で、その観客の目の表現の一つとして、自分  なりに書いています。  感動を言葉に置き換えないと、「見ただけ」になってしまい、記憶も薄らいでし  まいます。だから、その作品毎の意味や意義を伝えていくのが仕事だと思ってい  ます。また、評論にも色々ありますが、情報整理としての役目もあるでしょう。 ■斎藤志監督ひとくちメモ 1) 最新作『サンデイドライブ』は渋谷のユーロスペースでレイト公開中。  塚本晋也監督と主役に迎え、彼演ずるビデオ店の店長と、殺人事件に遭遇したア  ルバイト店員のおかしな逃亡劇。上映期間中はトークイベントなどもあるそう  だ。問03-3461-0211 2) 初演出の『お迎え準備』はサードステージプロデュースで、劇場MOMOオープニン  グフェスティバル参加作品。出演は鈴木卓爾、唯野未歩子、井口昇 他。公演は3  月10日(金)〜20日(月) 問03-5485-1721  監督には講座の終了後、お忙しい中、無理を言って写真撮影をさせて頂きまし  た。チラシに掲載されていた、ちっちゃい顔写真より、ずっと個性的な方でし  た。それに話振りや、仕種がとても真面目な雰囲気で、好感がもてました。今度  は役者さんとしてもメジャーデビューしたら、面白い動きをされるのでは、と密  かな期待をしています。                                 鳥野 韻子 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ ┏━┓                       I N F O R M A T I O N ┃i┃登録・解除・お問い合わせなどについて ┗━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◇◇星(★)の意味___________________________◇ ◇   このメールマガジンで表示されている星は5つが最高で、1つが最低です。 ◇◇メールアドレス変更・解除______________________◇ ◇   このメールマガジンの購読解除は、ご登録された発行元のホームページより出   来ます。こちらでの作業は一切しておりません。   まぐまぐ   (http://rap.tegami.com/mag2/m/0000007585.htm)   マッキー!  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QT MAI ◇◇ScreenKissについて_________________________◇ ◇   映画に関して、「人物」「作品」「映画祭」「制作」と言った観点から紹介・   論評するメールマガジンです。   Copyrights(C), 1998-2000 ScreenKiss  掲載された記事はいかなる形式であれ許可なく転載は禁じられています。 ┼                                   ┼

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