ScreenKiss Vol.097

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>☆ C O N T E N T S ☆−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−☆<   □『独立少年合唱団』記者会見   □ほんとうのジャクリーヌ・デュ・プレ   □氷の接吻 >☆−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−☆S_c_r_e_e_n_K_i_s_s☆< >>☆1☆『独立少年合唱団』記者会見☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛  本年度、第50回ベルリン国際映画祭で新人賞に当たる「アルフレート・バウアー  賞」を受賞した『独立少年合唱団』(Vol.92ベルリン映画祭レポート参照)のス  タッフ、キャストの記者会見が3月2日、銀座にて行われた。会見には緒方監督  はじめ、原作、脚本の青木研次、製作の仙頭武則、出演の香川照之、伊藤淳史、  藤間宇宙の各氏が出席した。(公開は2000年夏)  ベルリンでの受賞は「嬉しさ4割、恐れが6割」という緒方監督は、今迄TV畑で  の活躍が多かっただけに「TV番組は1度納品してしまえば終わり」で済むが、映  画では完成後も責任を持たねばならない点が、この6割の部分だと言う。  更に、「これでまた、映画から離れられなくなった」。というのも、今回は金  熊、銀熊の受賞ではなかったので、「次回来い!と言われたみたいな感じ」がす  るからだそうだ。実際、ベルリンで出会ったA・ワイダ監督やV・ヴェンダース監  督らにもそう言われたのだという。  今後も作家の心情の吐露的作品を避け、歴史の中での、国家対個人、あるいは日  本人とは?といった強い映画をつくっていきたい、と語った。  撮影中の困難な点を聞かれ、「今回はテーマがテーマだけに、合唱団をひとつつ  くる事になったのだが、現代っ子は“見事に”根性がなく、“演出”というより  “調教”!に近かった。そもそも合唱の練習は、体育会系で結構きつい。8ヶ月  の撮影期間とはいえ、2週間撮って2ヶ月休み・・という進行だったが、逆境で  の撮影中、子供達にとって楽しみ、と言えば仲間同士で“仲良くなる事”位じゃ  ないですか」  それを受けて、香川氏も「一昔前の何とかヨットスクールみたいでしたね。体育  館で寝てるとこなんざ、どっかの集団自殺みたいで(笑)。でも、学校に行きな  がらで、これだけの長丁場ですから、子供達も頑張ったと思います」と発言して  いた。  香川氏自身の大変だった事は、音楽の先生役だった為、30年ぶりにピアノの特訓  をしたり、大阪まで“自費で”指揮のレッスンに行ったりしたこと。手だけ別物  ではなく、「本当に弾いているの?」と思って貰う為にも、かなり頑張ったらし  いが、実際にはチラっとしか写っていなかったそうだ。  それでも「子供達に“撮影とは、こういうモノだ”と身を持って教えられて良  かった」とか。また、子供達には「歌は、日本人だけじゃなくて、外国の人も聞  くんだからな」と言っていた事が“嘘”にならずほっとしたそうだ。  また、生徒役の伊藤君と藤間君は、この日も学生服で記者会見に臨んでいたが、  「苦労した事は?」との問いに2人とも口を揃えて「ロケ地も宿泊も廃校だった  ので、ここでの撮影はまさに“サバイバル”。真夏のあつ〜い中、当然冷房もな  く、窓をあければ虫が入り、寝てるうちに虫に刺されてしまうし、大変だった」  今、作品と同じ15歳の2人は、まさに伸び盛り。撮影中に実際も「声変わり」し  たり、身長もぐんぐん伸びて顔立も変わったそうだ。2人にとって監督は「と  〜っても厳しい人で、普通の監督が無理目な要求と思われる事が“当たり前”な  のですが、今となっては感謝してます」(伊藤君)「こわそうだったけど、受験  生の僕に国語を教えてくれたりして、よかった」(藤間君)  原作、脚本の青木氏にとって、これが完成するまで5年の歳月がかかったそうだ  が、日本語の脚本が外国でわかるか心配だった、と言う。  が、プロデューサーの仙頭氏によれば、この作品は既にドイツでの公開も決定し  ているとの事だ。彼のプロデュース作品は、昨年立て続けにカンヌ、ロカルノ、  プサン等の国際映画祭で受賞しているが、「日本映画を輸出産業にしようと思っ  ている。映画祭への出品は、世界中の多くの人々に見てもらう“手段”であっ  て、それをきっかけに市場拡大を図ることが目的」と語った。  今回、出席者全員が異口同音に言った事は「ベルリンと日本では、観客の笑うと  ころが全然違った」という事だった。ただ、見た人の中には、帰り際に『ポル  シュカ・ポーレ』を口ずさんでいた人もいたそうだ。  映画の冒頭の部分で、主人公、道夫の父が死の直前に『アレ、何だっけ?』とい  う謎の言葉を残すのだが、それぞれの『アレ、何だっけ?』を聞かれて・・・ 緒方監督  「毎回、映画の撮影中は“楽しい”と感じられた事はないのに、現場で何かの拍  子に・・・例えば、風が吹いたとか、空が晴れたとか・・・エクスタシーが走る  事がある。それが、いつも自分にとっての『アレ、何だっけ?』。それを確かめ  る為に映画を撮っているのだと思う」 仙頭プロデューサー  「ベルリン映画祭に行った時、トイレに行ったら僕の身長では便器が届かなかっ  たんです。ドイツ人が身ぶり手ぶりで教えてくれた、場所だと丁度サイズ的によ  かったんだけど、『アレ、何だっけ?』と、今考えると子供用のだったんじゃな  いかって」 香川氏  「今回ベルリンで受賞して、今日のような記者会見を催して貰って、この経験が  数年後に『アレ、何だっけ?』とならないようにしたいです」 伊藤君  「僕にとって映画そのものが『アレ、何だっけ?』です」 藤間君  「15年の人生しか生きていないんで、よくわからないんですが、いつもテストの  前に覚えた事を、本番で忘れちゃう時です。 『アレ、何だっけ?』って」 青木氏  「知人のお父様が亡くなる直前、『鍋が食いたい』と言ったんだそうです。家族  が『どんな種類?』と尋ねると『魚の』。で、あとで考えたら、その方は秋田の  出身だったんでハタハタだったんでは?と思った・・・という話がヒントで、あ  の台詞を入れました。」  「この作品では、父が息子に残した“謎”という意味あいで書いてみました」  ラフなスタイルに良く通る太い声、はきはきと切れのいいの監督は、さしずめ学  校の体育の先生といった風情だったが、堂々としていて、「新人」賞と思えない  貫禄。話しっぷりにも「俺について来い」的自信のほどが感じられる。この人な  ら筋の通った硬派な作品をつくっていってくれそうだと思った。  対して、原作者の青木氏は、終始穏やかな笑みを浮かべていたのが印象的だっ  た。  茶髪で登場の仙頭プロデューサーは、とても今回で通算36本もの映画をプロ  デュースしてきたツワモノには見えない、今風「若者」。が、同時に日本映画に  新風を吹込んでいるのもこの人だ。海外での日本映画のイメージを確実に変革し  ていって貰えそうだ。  出演者陣は、と言えば、詰め襟の伊藤君と藤間君が、まるで授業中の行儀のいい  生徒然としているのに対し、香川氏は時折、誰かの発言にちゃちを入れる程の余  裕で、キャリアの差を感じた。  ロビーで見た実際の賞のメダルは、金色で、やや小さ目のピザ位の大きさだっ  た。                                 鳥野 韻子 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆2☆ほんとうのジャクリーヌ・デュ・プレ☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛    HILARY and JACKIE    ★★★★☆    1998年/イギリス映画/121分    監督:アナンド・タッカー    出演:エミリー・ワトソン、レイチェル・グリフィス  好き嫌いで言えば3星の作品にするところだが、素直にエミリーの演技力を評価  したい。  エミリー、レイチェルともにアカデミー賞ノミネートされただけはあるこの演  技。迫力の2人に圧倒されながらも、少々凝った編集がさらに好印象。実際の  ジャクリーヌの生涯と比べると、年齢の表現が曖昧だが、映画脚本と考えれば絶  妙。  映画を見ても演技なんてよく分からないという方にはぜひ見てもらい、彼女達の  うまさを実感していただきたい。これが評価される演技だ。  こんな人生を送った女性がいたこと自体が驚きで、ジャクリーヌの人生がそのま  ま映画向きのストーリーだが、素直に感動するのではなく複雑に考えながら感動  させられるタイプの映画。ジャクリーヌの弾く『エルガー協奏曲』に圧倒されつ  つも音楽より姉妹の関係に重点がおかれ、同じ時間を姉と妹それぞれの視点から  描いてみせるといった演出もあり、部分的には素晴らしい。  逆にしつこさを感じることもあり、ごく普通に長回ししてゆったりと編集するよ  うな箇所がもっと欲しかった。  また両親の演技が平凡で残念。脇役の重要性は言わなくてもいいだろうが、2人  に負けないだけの演技を両親がしないと、家族だんらんが滑稽なだけ。  とにかく、音楽重視の映画ではなくストーリー重視で、音楽家の映画が苦手な人  にも受け付けやすい。  上映2週目にしてはあまりに客が少なかったが、上映館数が多いことを考えれば  しかたないのかもしれない。単館上映だったら混み合っていたことだろう。大き  なスクリーンで、良質の音響設備で見られたことは嬉しい。  某音楽教室では、ピアノの映画が流行ると、その後ピアノのレッスンにくる人が  多くなるとのこと。この映画を見てチェロをやってみたくなった人も多いことだ  ろう。                                 立野 浩超 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆3☆氷の接吻☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛    eye of the beholder    ★★☆☆☆    1999年/アメリカ映画/105分    監督・脚本:ステファン・エリオット    出演:ユアン・マクレガー、アシュレイ・ジャッド  ステファン・エリオットは「プリシラ」の監督・脚本。あの作品とは趣を変えて  登場。  ユアンとアシュレイの演技がどうのこうのと言うよりも、単にこの脚本がつまら  ない。邦題「氷の接吻」も、「氷の微笑」から考えたのだろうか?確かに冷たい  イメージはあるし最後の舞台はアラスカだが、それでもひどい邦題だ。この原題  も直訳しづらい題名で、ユアンの役はアイという英国諜報部員だからそれに掛け  ている。  簡単にこの映画のストーリーを説明しよう。  アイは上司の私的理由で上司の息子の女ジョアンナを調査し始める。数年前に妻  と娘に蒸発されたアイは、後悔からか娘の幻影を見続けているが、ジョアンナの  中になにか自分と同じ物を見たアイは、彼女に引かれていく。  ジョアンナは冷酷に罪を犯すのだが、その証拠を影ながら消してしまうアイ。彼  は調査を超えてストーカーと化していく。  その犯罪の為に次第に追いつめられるジョアンナ。アイは、最北端のレストラ  ン・バーで働くジョアンナの前についに姿を現わす。そして一気にせつない結末  を迎える事に。  魚座(占い)がどうの、英国諜報部がどうの、コニャックとジタン(たばこ)が  なんだと、常にセンスを良くしようとしながら、それが映画をだいなしにしてし  まった。  たしかにセンスのいい映画っていうのもジャンルとしてあるが、決して安易な展  開ではその評価を得る事ができまい。おたくっぽいストーカー役のユアン・マク  レガーは十分恐いが、なにせこんな主題とこの程度の内容では無理がある。  評価の高い「プリシラ」で味をしめたせいか、ロードムービー的に場所を転々と  してしまう点も、この映画では余計なこと。1ヶ所、1都市での物語とした方が  よかったのではないだろうか。                                 立野 浩超 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ ┏━┓                       I N F O R M A T I O N ┃i┃登録・解除・お問い合わせなどについて ┗━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◇◇星(★)の意味___________________________◇ ◇   このメールマガジンで表示されている星は5つが最高で、1つが最低です。 ◇◇メールアドレス変更・解除______________________◇ ◇   このメールマガジンの購読解除は、ご登録された発行元のホームページより出   来ます。こちらでの作業は一切しておりません。   まぐまぐ   (http://rap.tegami.com/mag2/m/0000007585.htm)   マッキー!  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QT MAI ◇◇ScreenKissについて_________________________◇ ◇   映画に関して、「人物」「作品」「映画祭」「制作」と言った観点から紹介・   論評するメールマガジンです。   Copyrights(C), 1998-2000 ScreenKiss  掲載された記事はいかなる形式であれ許可なく転載は禁じられています。 ┼                                   ┼

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