ScreenKiss Vol.130

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Vol.130

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>☆ C O N T E N T S ☆−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−☆<   □   □   □   □   □ >☆−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−☆S_c_r_e_e_n_K_i_s_s☆< >>☆1☆インサイダー☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛    The Insider    1999年/アメリカ/シネスコ/158分    監督:マイケル・マン    撮影:ダンテ・スピノッティ    出演:アル・パチーノ、ラッセル・クロウ  実話を基にした、しかも実名を用いている、この作品。  ストーリーは、アメリカ3大ネットワークの1つ、CBSの人気報道番組「60ミ  ニッツ」のプロデューサーであるバーグマンが、タバコ業界の不正を告発すべ  く、B&W社を解雇されたワイガンドと共にタバコ・メーカーに立ち向かっていくの  だが・・・。  実話を基にしているだけあって、非常にしっかりしたストーリー。そして、映画  的ドラマの盛り上がり、ラストへとつながっていくエンタテイメント性もうまく  盛り込まれた質の高さ。その一方で、作品の前半部分がやや淡々とした印象では  あるが、中盤あたりからはが然盛り上がってくる。  この映画で特に目を引くのが、アル・パチーノとラッセル・クロウの演技。とに  かく素晴らしいの一言。ラッセル・クロウはオスカーにノミネートされたくらい  だからあえて言うことはなし。そして、アル・パチーノ。この人の存在感という  のは群を抜いている。今回のような役には彼以外には考えられないくらい、とて  もパワフルで、とにかくカッコいい。60歳になっても老けた部分を感じさせな  い、まさに千両役者である。さらに感じるのが、法廷での宣誓証言における弁護  士の迫力の演技を筆頭に、マイケル・マンの演出力というのも絶対に見落とせな  い。  あと撮影に関しては、手持ち撮影が多用されているのだが、個人的には手ぶれの  少ない、どっしり構えた映像で観てみたかった気もした。音楽については、要所  要所で挿入されている感があったが、映像にとてもマッチしていて作品を上手く  盛り上げている。  クールでありながらとても熱い。今上映されている「オール・アバウト・マイ・  マザー」が女性の映画なら、こっちはとにかく骨太な男(マン)の映画である。                                   ゆたか __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆2☆小さな赤いビー玉☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     UN SAC DE BILLES     1975年/フランス/100min/カラー/1.66ヴィスタ     銀座テアトルシネマにてレイト公開     監督:ジャック・ドワイヨン     出演:リシャール ・コンスタンティーニ、ポール=エリック・シュルマン        (日本初公開:1977年6月)     http://www.cinemacafe.net/theater/gtc  1941年、ドイツ占領下のパリ郊外で理髪店を営むユダヤ人、ジョッフォー家。ナ  チスのユダヤ人迫害が強化され、両親は子供達を非占領地区の南仏へ疎開させる  決心をする。4人兄弟の下の2人が兄達に続いて子供だけで旅をする事となっ  た。時に反発し、時に助け合いながら辿り着いたものの、ここで後から合流した  父が逮捕されてしまう。そしてパリ解放。実家の理髪店で4人兄弟は父のいない  記念写真を撮った。  この作品はドワイヨンの長編2作目、32歳の時のものだそうだ。日本では『ポ  ネット』の印象が強い監督だが、そこでも感じられた、子供の視線を通した社会  の矛盾に対する原点が見られる作品だ。  いかにも悪戯っ子の風貌のジョゼフと、澄んだ目を持つ兄のモーリス。しかし、  これに騙されてはいけない。ユダヤ人である事は死を意味する事、そして「兄弟  だって油断するな」とジョゼフに言い含める父。『ライフ・イズ・ビューティフ  ル』の父親と対称的だ。  それに答えるように、甘えん坊のジョゼフも咄嗟の気転がきくようになり、兄も  又生来の?要領の良さで生き延びる事が出来た。一緒にいれば反撥しあう彼等も  苛酷な経験を通じて愛を確認する。捕虜となり、どんなに拷問に遇っても迎えに  来た兄には「毎日こんなもんさ」と食堂の下働きをしながら答える弟。  ここで登場する、偽洗礼証明書を発行してくれた神父はまるで『スリーパーズ』  のボビー神父のようだ。作品では、こうした「正義」が、ごく自然に描写されて  いる。  モーリスも心の命ずるままに、同胞を救う為危険を侵す。が、これを特別にク  ローズアップする事なく、淡々と話が進行していく。呆気なく途切れさせられる  人の死も、流れの上に並べられているだけだ。ここにドワイヨンの強さがあるよ  うな気がする。  しかし、こうした硬派な場面だけではない。さりげに挿入された末っ子の心情  や、ジョゼフの淡い初恋、そしてモーリスの性への興味などは、トリュフォーの  『思春期』を彷佛させる。どんな状況下でも子供は逞しく成長していくものなの  だろう。  タイトルの『赤いビー玉』は、ユダヤ人に配付されたダビデの星を「カッコイ  イ」と、コレクションの一貫としてビー玉と交換してしまうイタリア人の男の子  とのやりとりからだ。これは原作者のジョゼフ・ジョッフォの自伝というから、  子供の世界ではそんな事もあったのかもしれない。人種差別や戦争の馬鹿らしさ  を考えさせられる場面だ。  軽快な音楽と共に始まるタイトルクレジット、それに呼応するエンディングの音  楽。その間は場面展開にフィットした音楽が流れ、とても効果的だった。レイト  ショーに止めておくのは残念な作品だ。                                 鳥野 韻子 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆3☆エリン・ブロコビッチ☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     ERIN BROCKOVICH     ★★★☆☆     2000/131分/アメリカ     監督:スティーブ・ソダーバーグ     出演:ジュリア・ロバーツ、アルバート・フィニー  ジュリアのおっぱいばかりが話題になっていました。やっぱし彼女のおっぱいば  かりに目がいってしまった・・・というわけではありません。本編もしっかり見  せるストーリーで、もちろんご存じの通り実話に多少の脚色を加えている訳です  が、実話ならではの納得感が得られます。  映画紹介で書かれていた「サクセス・ストーリー」という言葉も、初めはなぜ訴  訟で勝つことがサクセス?と思っていましたが、エリンの以前の生活とその後の  生活を考えると、たしかにサクセスでした。  実際のエリンは、別れた旦那に訴えられたり大変なようですから、後編をつくっ  ても面白いのかもしれません。しかしまあ、エリンがお金をつかんだら、その過  去をほじくり返して彼女を訴えてしまうなんて、それが訴訟大国アメリカですか  らしかたない。でも日本の場合、訴訟が難しすぎるのも問題ありますよね。  しかし、実際あの大企業からこんなに明確な証拠を得られれば、日本でもこのく  らいの金額を勝ち得ることができるのでしょうか?最近は和解金の金額が高騰し  ているとか、和解金の為に企業が倒産するとか言われますが、そんな企業が今ま  でに株主や取締役に対して払ってきた高額な報酬に関してはなにも言われないの  ですから、住民は正当な金額を勝ち得たのでしょう。  もちろん、そのお金をもらっても、私はあの被害者と同じ病気にかかりたいとは  思わないです。  ジュリア・ロバーツの為の脚本、彼女の為の役がまたしても回ってきた、という  ような映画でした。彼女がどうやってこの役にめぐりあったか、本当のことは知  りませんが、本物のエリンと同様に大変なことだったのでしょう。  水質調査で、カエルを拾うシーンは最も印象的。彼女のワイルドな面と、キュー  トな面があり、幼子を抱えて訪問する姿には、本当に子供でもいるような錯覚を  覚えます。今産まれかわれるならば、ジュリアの子供がいいですね。  彼女の肩に筋肉がもりあがっていましたが、気のせいでしょうか?やはり、最近  のハリウッド女優は体を鍛えているのでしょうね。  引き続き彼女の映画は楽しみです。でも決してスプラッターやホラー、SFなんて  出演しないでください。それだけは似合わない気がしますから。  最後にちょこっと一言。カメラワークは手持ちによる手ぶれをタイミングよく使  い、BGMのない映像が雰囲気でています。この手の映画だと、あまり撮影に関して  コメントされる機会がないけど、この映画は結構撮影がいいですよ。                                 立野 浩超 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆4☆西ベイルート☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     West Beyrouth     1997/91分/レバノン     監督:ジアド・ドゥエイリ     地中海映画祭     The Mediterranean Film Festival 2000  ますます政情が悪化するベイルート。  少年ターレクとオマルは近所で同じフランスミッションスクールにかよう。学校  が引けると、オマルの8mmカメラでなにやら撮影しては遊びほうける。  ターレクの母はこの現状に我慢しきれず国外脱出を望む。一方、父は厳格だが力  なく、故国に固執して留まることを望む。少年達は引越してきた近所の娘マイと  3人で、ベイルート市内を走りまわり、次第に激化する内戦で身の危険を感じる  ようになる。  監督は83年にアメリカに渡り、タランティーの映画制作の中で、カメラマンのア  シスタント等をした経験をもつ。アメリカに渡りあらためて故郷を思い出したと  き、「いい思い出もある」と感じ、それを脚本にした作品がこれ。  少年達の視線で激化する内戦の現状を目撃していくという映画だが、無謀な態度  で町を走りまわる姿は思わず子供達の行動を止めたくなるほど。いつ殺されても  不思議ではない状況にハラハラしてしまう。  スークを歩くターレクとオマルの姿や自転車にのっている3人の姿はほっとする  のだが、その後にはしっかりと事件が用意され、展開も面白い。  少年や老人に対しても容赦なしに銃口を向ける兵士(過激派)の姿を織りまぜ、  日々の生活の姿を描いているのだが、この緊張感がなかなかいい。  画質をおとしたままのオマルの撮影した8mm映像を挿し込んだり、BGMもタイミン  グよく流れたり、小細工の効いた味のある仕上がりだ。  監督いわく、「この映画の成功で、パラマウントやミラッマックス、コロンビア  からも引き合いがある」とのこと。アメリカ映画がしきりにインディペンデント  を模索する今、彼のようなしっかりとした手腕をもつ監督はチャンスなのだろ  う。                                 立野 浩超 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆5☆砂漠の方舟☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     L'Arche du Desert     1997/90分/アルジェリア     監督:モハメッド・シュウイック     地中海映画祭     The Mediterranean Film Festival 2000  サハラ砂漠のオアシス。そこに異なる部族の村が隣あっている。  青年アミンと娘マルヤムは互いにひかれあい、寄り添っているところを見つか  る。それが原因で部族は対立してしまう。マルヤムは調べられ処女と報告される  のだが、マルヤムの部族は、「民族浄化を防ぐ」として長老の命令もままならぬ  まま怒りを激化させる。  アミンは責任から村を追い出され、隣の自由な生活をする村におかれる。  その事はマルヤムの叔父にも知らされ、ラクダに乗った兵士をひきつれた叔父が  馬にまたがりやってくる。マルヤムは叔父の決めた結婚相手と無理矢理結婚させ  られるのだが、初夜に夫を殺してしまった。  アミンが手を差しのばすが、「あなたの為に人を殺し、体中血にまみれている」  といって思わず拒絶してしまう。  さらなる事件を知った叔父は兵士を引きつれ、3つの村人を皆殺しにしてしま  う。  生き残った子供は、「大人はみんな狂っている。子供の殺されない平和な地を探  す」と1人砂漠の中を旅だつ。  最近みた映画の中でも最も余韻の長引く、考えさせられる結末だった。僕らはこ  の映画をみて、あの子供に理想の地を示す事ができるだろうか。私にはできな  い。日本でもないし、心辺りがない。「民族浄化」なんてつい最近もヨーロッパ  の辺りで聞いたばかりだし。  映画は常に子供の視線が挿し込まれ、その視線が目撃する大人達の行為を恥ずか  しく感じる。オフ・ビートで退屈するが、メッセージの真剣さを感じとるのには  十分な演出で、単なるドラマではない点に気付いた時点で目が離せなくなる。  サハラの暑さ、砂漠の乾き、オアシスの水源、村の中心のモスクも描かれアフリ  カ好きにはたまらない。  作品の内容とは話が離れるが、監督が上映後のティーチインで話していた。今ア  ルジェリアでは年間5、6本の映画が作られているそうだ。ちなみに、昔はエジ  プトに次ぐ映画大国だったらしい。  今はモロッコが年14本程度でアフリカ一の映画大国。次いでエジプトが約12  本。昔は毎年100本を超えていたとのことだからそれも驚きだ。国からの補助がで  なくなったことが衰退の原因。  アフリカでは政府がお金をだしてくれなければ映画産業が成り立たない。何とか  してあげたいもんだ。その価値ある感性が眠っている。                                 立野 浩超 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ ┏━┓                       I N F O R M A T I O N ┃i┃登録・解除・お問い合わせなどについて ┗━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◇◇星(★)の意味___________________________◇ ◇   このメールマガジンで表示されている星は5つが最高で、1つが最低です。 ◇◇メールアドレス変更・解除______________________◇ ◇   このメールマガジンの購読解除は、ご登録された発行元のホームページより出   来ます。こちらでの作業は一切しておりません。   まぐまぐ   (http://rap.tegami.com/mag2/m/0000007585.htm)   マッキー!  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QT MAI               吉田 浩二 ◇◇ScreenKissについて_________________________◇ ◇   映画に関して、「人物」「作品」「映画祭」「制作」と言った観点から紹介・   論評するメールマガジンです。   Copyrights(C), 1998-2000 ScreenKiss  掲載された記事はいかなる形式であれ許可なく転載は禁じられています。 ┼                                   ┼