ScreenKiss Vol.146

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Vol.146

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>☆ C O N T E N T S ☆−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−☆<   □L+R   □ホール・ナイン・ヤード(原題)   □あの子を探して >☆−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−☆S_c_r_e_e_n_K_i_s_s☆< >>☆1☆L+R☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     エドガー・ホネトシュレーガー監督(オーストリア)     エッセー・フィルム「L+R」     ジャンル:エッセイ・フィルム     35mm 75分     東京/ウィーン 2000     主演:工藤雪香・天本英世     監督・脚本:エドガー・ホネトシュレーガー     制作指導:クラリッサ・カール・ノイベルト     プロデュース:フィッシャーフィルム     出品歴:      ロッテルダム国際映画祭      シアトル国際映画祭      ストックホルム国際映画祭      マルセーユ国際映画祭     日本語・英語字幕付け  昭和天皇。アルファベットを読み上げる日本人少女。サラリーマン。三島由紀夫  と川端康成の対談。日本を語る日本人女性。富士山。鯉。  そして、外国人。英語。英語で話す日本人。  「あなたは日本が好きですか?日本人が好きですか?外国からみた日本や、外国  人からみた日本人について考えたことがありますか?」と我々日本人に問い掛け  てくるような映像。  断片的に紹介される日本、それは身近な日本だろうか?そうではないが、それで  も真実の日本に違いない。「外国人が好きですか?日本から抜け出したいです  か?」「日本と外国の違いを語る時、外国の悪い面を実感して考えることができ  ますか?日本人と外国人の違いは?」そして「日本人は日本人を理解しています  か?」とも問い掛けてくる。  外国人と日本人の関係を、一見ランダムに見えてしっかり組み立てようとしてい  る映像が並ぶ。それが結果的に成功しているとは思えないが、唐突に時代や舞台  が変化する映像はしっかり素材を集めて作られた映像に見えなくもない。  日本で自殺した外国人のロックさん。ロックさんが長期滞在していた宿の主人  は、涙ながらに彼の思い出を語る。「そんな日本人は嫌いですか?「寅さん」の  ような日本人は嫌いですか?そんな人はもういませんか?」実際にそんな言葉を  口にするわけではないが、それでも私は考えてしまった。  日本の何が嫌いで、あなた自身には当てはまることがないか、具体的に考えたこ  とがありますか?  この映画は我々がごく普通に言葉から想像する映画からはかけ離れている。映画  というよりも、アートだし、アートというジャンルにすっぽり収めるには物足り  ない。『映画=アート』という構図は忘れて、新しいテレビ・フィルム世代の為  のリアリズム表現だ。リアリズムは時たま不愉快に感じられ、汚くもあり、きれ  いすぎることもあり、そして見るべきではない、考えるべきではないものを映し  出す鏡のようなものでもある。そんな映像を集めている映画。  映画は「映画」という簡単な日本語では語ることのできない、広い世界をもって  いるようだ。                                 立野 浩超 第3回 if forum 上映会  2000年7月8日  会場:赤坂区民会館(赤坂4-18-13)  最寄り駅:青山一丁目駅(銀座線または半蔵門線)  開場: 6:30 PM  上映: 7:00 PM  入場無料 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆2☆ホール・ナイン・ヤード(原題)☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     The Whole Nine Yards     ★★★★☆     2000年/アメリカ(日本来年公開予定)     出演:マシュー・ペリー、ブルース・ウィリス、        ロザンナ・アークエット  今年3月にアメリカやオーストラリアで公開され数週間一位を飾ったクライム・  コメディー。雑誌などでは、『ブルース・ウィリス主演』と書かれているが、実  際は主演はTVの人気シリーズ『フレンズ』でブレイクした、マシュー・ペリーであ  る。  カナダはモントリオールの郊外に住むアメリカ人歯科医(ペリー)は、カナダ人  で金第一の鬼妻(ロザンナ・アークエット)と姑に囲まれ、肩身の狭い生活を  送っていた。ある日、隣に見覚えのある男(ブルース・ウィリス)が越してくる  が、彼はなんと敵から身を隠すためにやってきたヒットマンだった。奇しくも彼  の美人妻と恋に落ちてしまうが殺し屋は妻の命をねらっており・・・  キャスティングが巧い。敢えて主役にTV俳優のペリーをもってきたことで優柔  不断で臆病な主人公のキャラが目立ち過ぎず、脇に殺し屋としてスター俳優、  ウィリスを持ってきたことで、主人公が彼に怯える姿になんともリアリティが出  ている。  最近映画に出過ぎな上に演技がイマイチなウィリスの欠点がプラスに活かされて  いる。「マヨネーズなんかの入ったバーガーが食えるか」とか、怒鳴り散らす姿  がなんともハマるのだ。  おまけに彼の子分役が、ウィリスの引き立てでグリーンマイルに大抜擢されたマ  イケル・クラーク・ダンカンで、この子弟関係が見ていて微笑ましい。この映画  での共演がきっかけで親友になったというペリーとウィリスだが、そういう楽し  い撮影現場の雰囲気が、まんま伝わるような感じ。  『北米のフランス』といわれるケベックを舞台にしたせいか、どことなくフラン  ス映画のコメディのような雰囲気が漂い、下品にならないのが小気味よい。また  犯罪映画としてのハラハラ感もそれなりに楽しめるので全く退屈しない。  ノートルダム寺院、モン・ロワイヤルのからの展望、ジャズ・バーなど観光名所も  随所に見られ、旅行好きの人、カナダに行きたい人にもお薦め。  余談だが、モントリオールは映画祭もあるし、ミニシアターも沢山ある上、英語  圏、仏語圏両方の映画が上映されるので映画好きにはたまらない町である。                                 MS.QT.MAI __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆3☆あの子を探して☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     NOT ONE LESS(一人がいなくても)     ★★★★★     1999/106分/ヴィスタサイズ/中国     監督:チャン・イーモウ     撮影:ホウ・ヨン     99年ヴェネチア映画祭金獅子賞  カオ先生の母親が病気でたおれた。見舞いにいく1ヶ月の間小学校に先生がいな  くなってしまう。そこで代理教員としてで13才の少女ウェイ・ミンジが連れて  こられる。きちんと勤めれば村長さんから50元、そして1人も人数が減ることが  なければさらにカオ先生から10元がもらえるという。しかし、親の借金の為、出  稼ぎに行ってしまった少年ホエクー。ミンジは彼を探して、学校に連れもどそう  とする。  この、素朴すぎるほど率直なメッセージを持つ映画。そこには丹念に社会批判  や、家庭的な問題が意識的に織り交ぜられている。  ドキュメンタリーのような撮影といえば皆さんがどのような想像をされるかわか  らないが、窓からさし込む自然の光、裸電球が照らし出す顔、教室のほこりっぽ  さや、道路の渇き具合は必見!。撮影が物語りを装飾するのではなく、人間の後  ろに常に存在しているものとして人間と融合させながら背景を撮り、そのままス  クリーンに投影させる。そんな原始的な考えに基づく撮影。  スクリーンから気温や渇きが伝わってくるばかりか、簡単な照明や自然光を利用  したその撮影に、映画の持つもう一つの面白さを見つけることができる。すべて  を計算して作りあげたセットでCGを組み入れることもすごいが、ロケーションを  探してそれを緻密に撮影することもすごいと実感。  教室での撮影はまるでライブのよう。「ドキュメンタリーのような」というよ  り、あの状況は確かに「ドキュメンタリーになっていた」のではないだろうか。  一人一人が演技をした結果というよりも、ストーリに合わせて子供達をそのよう  な立場におとしいれたよう。その状況に導いた監督達スタッフが見事だった。  素人を役者として使うことに不満を感じられる方もいらっしゃることでしょう。  私は中国人ではないから台詞が棒読みなのか、流暢にうまいのかはなかなか理解  できないが、体全身での表現は演技というより、日常生活の中にカメラが存在し  ていたというようだ。日本映画を見ていて、彼らが役者か?と疑うことが多い私  にとって、素人だろうが関係ない。  例えば最近ヒットし続けている日本映画「ナビイの恋」でも、プロの役者とそう  ではない人が一緒に演じていた。棒読みのセリフは気になるが、流暢にセリフを  読み上げていても体中の表現力では満足できない役者が多いなか、表情が絶品の  素人さんの方がよほど映画になじむものだ。  牛や鶏の鳴声が常に聞こえ、エンジン音といった騒音のない田舎、それと対照的  な騒音にまみれた都会。その極端な場面の変わり目で「前半」「後半」の間合い  がとれることで、単調になりそうなストーリーでもまとまりを感じる。2コマ漫  画のようなものだ。  字幕では、「コーラを飲んでしびれる」とか、「食べものを恵んでもらった」こ  とは忘れない」など、読み上げた瞬間にホットするセリフがいくつかある。  1日2元の為に働く出稼ぎの子供達。1人でいる子供を気にも掛けてくれない大  人。露天のおばさんがそっと子供に手渡す饅頭や、皿洗いのかわりに食事を暮れ  るおばさん。現実的な優しさと社会的な厳しさが場面をかえて交互に映されるこ  とで、ますます映画にはまる。  僻地の村から都会へ、ミンジはなぜそこまで大変な思いをしてまでもホエクーを  探しだそうとするか。60元の為だ。13才の彼女にとってだけではなく、田舎の彼  らにとっては大金に違いない。言うまでもなく(ただ念の為)、彼女がそのお金  を貰えたからといってゲームを買うのではなく、家族が生きていく為のお金だ。  どこまでも貧乏暮らしの苦労がにじみでて、子供達の活気とけだるさが同居した  チャン・イーモウの傑作。  +++ ちょっと一言 +++  イランと中国、今この2国で作られる映画は最近、ヨーロッパ、アメリカのみな  らず日本でも安定した人気を獲得している。素朴な感動と、貧乏が生み出す感動  や異国の慣習、生活がひきつける要因だろうか。  しかし、それらの映画の中には社会的な厳しさ、現実がきちんと折り混ぜられて  いて、この2国独特の表現の制約にも関わらず容易にメッセージや主張をとらえ  ることができる。監督や脚本家の力量はすさまじいものだ。  一方、そんな国でも単なる娯楽や簡単なアクション映画もたくさん作られている  点は忘れてはならないだろう。べつに特別な国ではない。ただそんな映画はなか  なか公開される機会がないだけで、それが映画好きにとっては残念だ。最近ヒッ  トした「ムトゥー、踊るマハラジャ」のように、なじみのない国の映画にも隠れ  た傑作がまだまだ存在していることに間違いはない。  配給会社の方々にはいっそう頑張ってもらうこととして、観客としても映画館で  映画を見るといった事がいつのまにか映画業界に貢献しているということを忘れ  ないでいたいものだ。  最近はシネマコンプレックスが乱立され、環境のいい中で心地好く映画を楽しめ  るようになってきた。ようやくこれまでの形態から脱皮しはじめた映画館では、  椅子はゆったりとしたものに置き換えられ、館内を改装し、競争に生き残りをか  けている。  まだまだ日本の映画産業も捨てたもんじゃない。唯一問題はそんなシネコンでは  短館系を上映するのが難しいことだろう。有名役者出演作、大作専門になりがち  だ。それもしかたがないことではあるが。  私は引き続き、映画館で映画を見ることを強くお勧めします。                                 立野 浩超 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ ┏━┓                       I N F O R M A T I O N ┃i┃登録・解除・お問い合わせなどについて ┗━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◇◇星(★)の意味___________________________◇ ◇   このメールマガジンで表示されている星は5つが最高で、1つが最低です。 ◇◇メールアドレス変更・解除______________________◇ ◇   このメールマガジンの購読解除は、ご登録された発行元のホームページより出   来ます。こちらでの作業は一切しておりません。   まぐまぐ   (http://rap.tegami.com/mag2/m/0000007585.htm)   マッキー!  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QT MAI               吉田 浩二 ◇◇ScreenKissについて_________________________◇ ◇   映画に関して、「人物」「作品」「映画祭」「制作」と言った観点から紹介・   論評するメールマガジンです。   Copyrights(C), 1998-2000 ScreenKiss  掲載された記事はいかなる形式であれ許可なく転載は禁じられています。 ┼                                   ┼