ScreenKiss Vol.149

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Vol.149

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>☆ C O N T E N T S ☆−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−☆<   □ブルームーンカフェ   □OVERTONE   □わらってあげる   □ムカデロデオ   □アンゴウ   □最愛の夏   □チュンと家族 >☆−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−☆S_c_r_e_e_n_K_i_s_s☆< >>☆1☆ブルームーンカフェ☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     1999年/25min/カラー/β-cam     監督:神酒大亮     出演:河村竜也、木内さとこ、佐金志摩     第22回ぴあフィルムフェスティバル:Eプログラム  浮気中の男。突然帰宅した同棲相手。咄嗟に浮気相手をソファの下に隠したま  ま、彼女と・・。だが、喧嘩した後彼の不在中に薬を飲んで・・。  『愛情萬歳』の中でコトの真っ最中のベッドの下にいる、間抜けな男のシーンが  あったけど、これはその反対。間抜けな男はベッドの上。どっちともしたい、い  い加減で本能な男と、明らかに上の女が薬を飲んで危ないのを知りながら、何も  しない下の女。そして彼が全ての処置を済ませた時、やっと順番が来たとばかり  に男を誘う。それをこの大事に、断われない男。そして何も知らない狂言自殺未  遂の女。男の視線がいい。陣内孝則みたいなこの役者の目が利いている。                                 鳥野 韻子 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆2☆OVERTONE☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     1999年/28min/カラー/16mm     監督:嘉悦基光     出演:福津泰至 、榎本愛     第22回ぴあフィルムフェスティバル:Eプログラム  冷たくなった恋人。彼女は持病の心臓病で、彼との1ヶ月の生活だけで逝った。  どうしても忘れられない彼は、生前と同じに彼女をモデルに粘土で像をつくりは  じめる・・そして・・。  OVERTONEとは「倍音」。更にドイツ語でTONEは粘土の事なのだそうだ。卒業製作  でつくられた作品のようだが、とてもよくまとまっている。ピグマリオン的な構  想だが、別荘のようなアトリエで彼女が甦る様は光の取り入れ方が奇麗だ。最初  はモルグのような部屋が、生命を息吹きを帯びる。  そしてラストの海辺での別れ。粘土の積み重ねの出来る素材から、全て無になっ  てしまう砂へと移行させて主人公の心理を投影させている。室内の暗い場面か  ら、一転外部の、空間を感じさせる演出もなかなかだ。                                 鳥野 韻子 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆3☆わらってあげる☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     1999年/48min/カラー/16mm     監督:小沢和史     出演:小幡啓斗     第22回ぴあフィルムフェスティバル:Eプログラム  手首を切る事数回。自殺未遂の原因も、よくわからないまま繰り返した友人。治  療中の彼を訪ねる友人である、監督。彼等のぶつかりあいのドキュメンタリー。  教科書通りのような「きれいごと」を並べては「愛の映画を撮るんじゃなかった  の?」と言う小幡。画面の彼は時に「啓子」になり、彼に戻ってもひ弱な感じが  拭えない青年だ。マリア様が大好きでキスで他人とつながりたくて、自分の使命  が何なのか見付からず、ひたすら石を友達に愛情を注ぐ。  そんな小幡に時にいらつき、焦り全裸に水鉄砲で水を浴びせる「荒療治」までし  てしまう監督。自分も裸になって彼に水鉄砲を持たせてみたり。監督の苛立ち  は、みている観客もつい、一体になっている。優しいだけでは、小幡の精神は進  歩がないのかもしれない。しかし、彼の態度は攻撃的でこそないが、最近の「切  れる」高校生と裏返しの一致ではないだろうか。  最期にロングニットのカーディガンの端をテグスに引っ張られつつ、星の王子様  のような姿で走る彼。この時、彼の頭には何が渦巻いているんだろう。                                 鳥野 韻子 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆4☆ムカデロデオ☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     1999年/32min/カラー/16mm     監督・脚本:有馬顕、市川啓嗣     出演:山本浩司 、白石亜希子、八木康友     第22回ぴあフィルムフェスティバル:Hプログラム  新聞勧誘の男を追っ払おうとしている貧弱な青年。彼は、3年前に彼のGパンを穿  いたまま出ていった彼女を奪還すべく、日々トレーニングに励んでいる。綿密  な?計画をたてた、彼女の結婚式当日・・・。  「貧乏臭い」を絵に描いたような青年が、彼女奪還に取り憑かれたように計画を  練っていく過程が妙に可笑しい。スカパラなどの音楽を騒々しく?取り入れ、倉  庫らしき建物の外壁の黄色、教会の白い壁、真っ赤な車・・・とちょっとモダン  アートのような配色と、下からのアングル。かなり工夫しているがまとまりがな  い。  ストーリーも単純で漫画的な面白さを狙っているのかもしれないが、惜しむらく  は台詞がよく聞こえない点だ。                                 鳥野 韻子 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆5☆アンゴウ☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     1999年/74min/カラー/DV     監督:古本恭一     出演:高井純子 、平出龍生、古本恭一、川相真紀子     第22回ぴあフィルムフェスティバル:Hプログラム  タクシー運転手、島は妻の運転する車の事故で幼い娘2人を亡くした。事故で失  明した妻を迎えに行く。ラジオからは北見発電所の事故を告げるニュースが流れ  ている。図書館から妻の借りた本の返却を求める電話が入った。その本には暗号  と思われる紙切れが挟まっていた・・。  非常に完成度の高い作品である。ハイライト気味に撮られた屋外の風景は、原作  の坂口安吾風な世界が匂ってくるし、モノクロで撮影された室内や妻の着ている  浴衣姿が少し現代は離れした雰囲気を醸し出している。そこには、夫婦の時間と  空間がある。  役者も実に巧い。失明を娘達の命を奪った刧のように感じて、辛い日々を過ごし  ている妻、やはり途中失明で眼科の患者の中でも異端な存在の男。どこか謎めい  た図書館の男と本の暗号に、妻の不倫を疑いつつも献身する島。心に傷を抱えた  彼等を自然体で演じているのがいい。(しかも皆美形なんだ、これが。)監督自  身も出演しているのだが、上映前に登場した彼は、キャップを深々と被り、とて  もシャイな感じがしたのだが、画面ではとても押さえた演技が利いている。  交通事故による、夫婦の心の様子と、北見発電所の事故騒ぎをうまくオーヴァ−  ラップさせて結局どちらも「思い過ごしだった」と、持っていくあたり。また、  最後までアンゴウの意味を曖昧にしつつ、ミステリー的要素も盛り込んで観客を  惹き付けて行く演出も見事だ。是非入賞を期待してます・・・。それにしても、  PFFの作品って年々質が向上しているような気がする。                                 鳥野 韻子 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆6☆最愛の夏☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     チャン・ツォーチ監督ティーチ・イン レポート     第22回ぴあフィルムフェスティバル:中国語圏映画最前線  ゲストで来日した監督のチャン ・ツォーチの『チュンと家族』に引き続き、『最  愛の夏』上映後のティーチ・イン。  この作品で一番伝えたかった事は「絶対的と決められないものを撮りたかった」  という事。例えば「死」は一般的に別れという概念があるが、一方で情緒的には  「旅立ち」という概念もある。つまり、ひとつの事として括れない、分類出来な  い事を表現したかったのだそう。  作中では、台湾語や中国語が混在していて、この「言語」に関する質問が多数出  ていたが、字幕でもかなり悩むところだという。  監督は、共通語としての中国語がある、というのはコミュニケーションを持つ点  でとても大事だと思う一方、方言も大事に思っている。大体、台湾の共通語自  体、たたの一票差で、中国語に決定したし、勿論政権の問題も関係しているし。  ただ、映画を「見る」事で言語の問題を越えて理解して貰えれば嬉しい、との  事。(実は筆者には、言語の判別さえ不可能なので、、勿論画面で判断しており  ました。逆に言えば、判別出来る耳を持っている方の方が、悩んでしまうようで  す)  カンイの部屋の畳は、勿論日本統治下の名残りだそうで、スペアルームのある家  では大体畳の部屋があるとか。1枚は機会織りで約3,200円だが、余裕のない家は  お古を貰い受けて使っている。実はアクション映画などでは、スモークがたきや  すかったりして、よく使われているのだそうだ。  蛇足ながら、韓国と同様、台湾でも全盲の人しか原則的にマッサージ業に就いて  はいけないのだとか。(でも「特殊な人もいるけどね」とは監督の弁)  「これで借金が返せる」・・・これは昨年の東京国際映画祭でグランプリを受賞  した際、監督の代理で挨拶した主演のカンイの言葉(Screen Kiss Vol.61~62参  照)。結構切実な言葉だったのかもしれないが、ご本人は釣りが大好きで、これ  だけ認められても天狗にならずに、また慌てて新作に取り組んだりせずに、(何  故か?)じっくり大工仕事に専念している・・・という御仁。  「日本映画は見ますか?」の問いに「う〜ん、最近は『ゴジラ』をTVで見まし  た。実は、私はあまり映画を見ないタイプなんです。」「カンイの部屋のレース  のカーテンは、とってもフリフリしてましたが、監督の趣味ですか?」と聞かれ  て「少女らしい感じにしてみました。でも、撮影後はしっかり我が家で活躍して  ます。僕の趣味かって?・・・そうです」  ・・・と、時折英語混じりで答えたりして、とってもお茶目な監督。この作品の  字幕翻訳をされ、また監督とは10年来の付合い(つまり侯孝賢監督の助監督時代  から)という小坂さん曰く・・・「義理人情に厚いタイプで、奥さんは結構大変  だったかも。今は資金の苦労が少なくなったけど、「じゃあ、今のうちにどんど  ん撮らなきゃっていうタイプではなくて、むしろ、もっと低予算でも出来ると考  えるような人」だそうです。                                 鳥野 韻子 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆7☆チュンと家族☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     忠仔/CHUNG ZAI     1996年/台湾/98min/カラー/35mm     監督:チャン ・ツォーチ     出演:劉勝忠、ルー・イン、ホー・ホァンジ、ツァイ・ミンショウ     第22回ぴあフィルムフェスティバル:中国語圏映画最前線  父に犯され家を出た姉、離婚はしないが8年も別居している毋、チャルメラが得  意で鳩の好きな祖父、そして知的障害を持つ弟と暮らすアチュン。家族の不幸を  神の力で良くしようと、アチュンを八家将(パカジャン)の踊り手にしようと練  習させる毋だが、事態は一向によくならず・・・。 ゲストに監督のチャン ・ツォーチ。  先に2作目の『最愛の夏』を見てしまっていると、この作品との共通点に驚かさ  れる。主人公が青年という点だけで、舞台もキールン、少し混乱した家族と、そ  れに絡むヤクザの登場。そして殺人事件。  「水辺」にこだわる理由を尋ねられると、監督曰く「別に港町で育ったわけでも  なく、逆に川辺では暴力的な光景を目にした印象が深いせいか、どうもその辺り  で殺人事件が起こってしまう。確かに時分は釣りが好きだけど、それとは関係な  いような気がするし、何故水辺にこだわってしまうのかが判るまで、きっと撮り  つづけるだろう」  この作品は台湾政府からの400元と機材関連の会社である、アロン社からの400元  を資金に(合計で約3,200万円)作成したそうだが、当時は作品が悲劇的すぎるか  らと、将来性をなかなか認めて貰えずに大変な思いをしたようだ。ただ、独立系  の作品も、低予算でもつくれるという事は大事な事だそう。  キャスティングに関して言えば、主人公の青年は既にモデルを決めていたが(彼  は監督が『非情城市』で助監督をしていた当時、雑務をこなしていた青年だとい  う)、脚本の段階から「知的障害」という条件がついていたアギイ役の発掘には  困難を極めたそうだ。どこの家庭でもこのような子供の存在を他人に知れたくな  い、という事からなかなか表に出てこないからだ。(この子は知的障害者の学校  で発見した)  一般に、アギイのような障害を持った人間は「重荷を背負っている」と考えがち  だが、実は本人達は、もしかしたら普通の人以上にカラっとした生き方をしてい  るのかもしれない、と思っているそうだ。確かにこの作品でも、2作目の『最愛  の夏』でもアギイの存在は大きい。他の家族達がトラブルでトゲトゲしている時  も、この子の出現で、空気が和む気がする。  また、この作品でアギイと同様の円滑剤的存在が祖父だ。年中喧嘩ばかりしてい  る毋の怒りをよそに、喧嘩のタネである「放り込まれた首なし鶏」とさっさと調  理してしまったり、アギイがアチュンにせがんで捕ってきた蟹(夜中の捕獲作戦  で家は大騒ぎになった)を騒ぎをよそに満喫してしまう、祖父。そんな祖父の  チャルメラに合わせて暢気に歌うアギイ。  そんな祖父がいそいそと孫を連れて、里帰りした後急死してしまうが、その最期  の言葉が「鳩を逃がしてやれ」。しかし、翌日には鳩達は戻ってくる。これは厄  介な家族の束縛から、アチュン達を放してやれ、という感じもするし、また、も  し一旦家を離れても必ず戻ってくる、という暗示のような感じがしてならなかっ  た。事実、最後にアチュンは祭りに毋と参加している。  アチュンが習わされていた、八家将(パカジャン)という踊りは、元々宗教儀式  のひとつで、神様の露払い的な役割をする8人の手下の事を指すものらしい。作  品ではかなり、マゾ的な痛そうな踊りで、自分を傷つけて神に認めて貰うような  意味あいがあるみたいだ。近年は単なる宗教行事から祝い事などで、度々踊り手  が呼ばれるなどして、ビジネスとして成り立っている。そこで、そのビジネスを  仕切る形でヤクザが参入してきている、という事だ。  台湾文化の知識が皆無な私としては、結構「文化」として捉えても面白かった。  この作品と『最愛の夏』がペアで鑑賞出来ると、ベスト。                                 鳥野 韻子 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ ┏━┓                       I N F O R M A T I O N ┃i┃登録・解除・お問い合わせなどについて ┗━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◇◇星(★)の意味___________________________◇ ◇   このメールマガジンで表示されている星は5つが最高で、1つが最低です。 ◇◇メールアドレス変更・解除______________________◇ ◇   このメールマガジンの購読解除は、ご登録された発行元のホームページより出   来ます。こちらでの作業は一切しておりません。   まぐまぐ   (http://rap.tegami.com/mag2/m/0000007585.htm)   マッキー!  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QT MAI               吉田 浩二 ◇◇ScreenKissについて_________________________◇ ◇   映画に関して、「人物」「作品」「映画祭」「制作」と言った観点から紹介・   論評するメールマガジンです。   Copyrights(C), 1998-2000 ScreenKiss  掲載された記事はいかなる形式であれ許可なく転載は禁じられています。 ┼                                   ┼