ScreenKiss Vol.162

バックナンバー

■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■

  ,.`☆

  .;^☆ S C R E E N K I S S

.’

Vol.162

■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■

>☆ C O N T E N T S ☆−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−☆<   □リプリー   □マルコビッチの穴   □17歳のカルテ   □英雄の条件 >☆−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−☆S_c_r_e_e_n_K_i_s_s☆< >>☆1☆リプリー<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     The talented Mr.Riple     ★☆☆☆☆     1999年/アメリカ/140分     監督:アンソニー・ミンゲラ     出演:マット・デイモン、グウィネス・パルトロウ、ジュード・ロウ  比べちゃいけないと思いつつ、やっぱり不朽の名作『太陽がいっぱい』と比べて  しまう、これだけでハンディを背負っているとわかっていながらも、あまりに味  のなさ過ぎる作品。(ラストが明かしてあるため、ご覧になる予定の方は後から  読んで下さい。)  前半、ジュード・ロウ演じるディッキーの映画の言葉どおり『太陽』のような溌  剌とした魅力と、その演技の巧みさから目が離せないため退屈はしない。  しかしその『太陽』が消えてからはもはや睡魔との戦い。なにせ殺人のトリック  については既にオリジナルで割れているためハラハラしない上、唯一の軸となる  筈のリプリーの心理的葛藤もマット・デイモンの演技からも台詞からも読み取る  ことが出来ない。テンポが大切なサスペンスにしては時間も長過ぎ。  本来リメイク作品の魅力って、いかに違う味をかもし出すかにあるような気がす  るのに、決定的な違いとなる同性愛の部分もいかにも同性愛の世界を知らない人  がいい加減に描いた風で(まあ私も同性愛者ではないので言い切れませんが。)  わざとらしくイチャつかせたり裸にしているだけで深みがない。デイモン、色気  がなさ過ぎ。  『逮捕』という形でなく心の袋小路に立たされる、というダークな終わり方は悪  くないが、それも余計なセリフが入るため味が出ない。  どうせあれ程の作品にはかなわないんだから、いつも笑い者にされてる小心者モ  ノマネタレントがものまね武器に金持ちになりすます、ジム・キャリー版リプ  リーや、ライアン・フィリップ、ミナ・スヴァーリ主演の現代ティーン版リプ  リーなんていう方がよっぽど楽しそうである。                                MS.QT.MAI __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆2☆マルコビッチの穴☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     Being John Malkovich     ★★★☆☆     1999年/米(9月公開予定)     監督:スパイク・ジョーンズ     出演:ジョン・キューザック、キャスリン・キーナー、        キャメロン・ディアス  蛭子さんの不条理マンガの世界のような不思議な映画。  人形使いの青年(J・キューザック)はペットショップで働く妻ロティ(C・ディ  アス)と冷え切った生活を送っていた。ビルの7F半にある不思議なオフィスに職  を求めた彼はひょんなことから何と名優、ジョン・マルコビッチの頭のなかに通  じる穴を見つける。彼が一目ボレした美しい同僚マキシーン(K・キーナー)とマ  ルコビッチを軸にした不思議な三角関係が展開し・・。  まず感心するのが主人公夫婦演じる2人の汚さ。「ダサイとはこういうこと」とい  うのを体現したかのような服装、武将髭やとれかけパーマなど本当にリアル。マ  ルコビッチの穴から出た後の汚れた姿など匂ってきそうである。予備知識を持た  ずに見たら、誰が演じているのか解らないかも。  またあたかも本物のような動きをする操り人形や、家に陣取る動物達など小道具  の使い方も上手い。監督のディティールに対するこだわりが見てとれて、それだ  けでも楽しめる。  しかしながら、何故かいつもと違う役をやっただけで絶賛されているディアスは  ちっとも上手くない。詳細がうまく出来ている分、棒読みなセリフが鼻につく。  マルコビッチを通じて1人の女性を愛する複雑な役をやるには物足りない。意外性  をねらいたかったのは解るがやはりキーナーがこっちの役を演ったほうが良かっ  たのでは。  そのキーナーは『8mm』の地味な主婦役とはガラリ変わって小悪魔的女を巧みに  演じている。ちっとも美人じゃないのに1人で小奇麗にしているのでなぜか魅力的  に見えてしまう。  「自分らしく生きる事の大切さ」「名声と引きかえに失う自我」など、様々な  テーマがあり深みはあるものの、妻を動物の檻に監禁したり、妊婦を銃を持って  追い掛け回したりするシーンは単なるアクションものの痛くもないような暴力  シーンと違い、ぞっとさせられた。そういう意味で好きになれる映画ではなく、  またもう一度見たい映画ではない。                                 MS.QT.MAI __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆3☆17歳のカルテ☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     Girl, Interrupted     ★★★★★     1999年/米(9月公開予定)     監督:ジェームズ・マンゴールド     出演:ウィノナ・ライダー、アンジェリーナ・ジョリー  いつから自分はこんなに強くなったんだろう。些細なことでは「死にたい」と思  わなくなった。生きるのに必死で生きる意味を自分に問い掛けなくなった。大好  きな『ライ麦畑でつかまえて』を読み返す回数も減った。「変わっている」と言  われても、それが個性と思えるようにもなった。  しかしながら自分の中の影の部分というのは何かの拍子に鮮明によみがえってし  まう。例えば自分と同じように感じていた少女を扱った、こんな映画を見たとき  に。  消えない頭痛、漠然とした不安から多量のアスピリンとウォッカを服用し、精神  病院へ入ることとなったスザンナ(ウィノナ)。自分は異常なのか、それとも  狂っているのは世の中の方なのか、問いつづける彼女。  病院にはリサ(アンジェリーナ・ジョリー)という反逆児がいた。自分は病気と  開き直り、常に挑発的な彼女にスザンナは魅せられていく。  スザンナが宣告された境界性人格障害、この境界とは一体何なのか、異常と正常  の境目とはどこなのか。物語は心に影をもつ少女達と向き合うことで、問いかけ  続ける。空想癖が人より強いだけで、多数の男性とセックスしただけで果たして  精神異常なのか・・・。  自らも同じような悩みにぶつかっていたというウィノナとジョリーだが、ウィノ  ナがウーピー・ゴールドバーク演じる医師に口汚く啖呵をきるシーンや、クライ  マックスの2人の対決シーンはもはや演技とは思えない迫力。  このシーンでのスザンナの「どんなに世の中が狂っていても、そのなかで生きて  みたい」という真剣な眼差し、狂っている世界でなんとかやっていく術を見つけ  る事こそ「大人になる」ということではないのか。  万人受けする作品ではないだろう。しかし、たとえ一度でも「生きている意味」  について悩んだことがある人なら、ラストのスザンナの問いかけに胸」をしめつ  けられ、涙せずにはいられないであろう。そして未だに『境界線』にいる自分を  見つけて愕然とするかもしれない。                                MS.QT.MAI __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆4☆英雄の条件☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     Rules of engagement     ★★★★★     2000年/アメリカ     監督:ウィリアム・フリードキン     出演:トミー・リー・ジョーンズ、サミュエル・L・ジャクソン、        ガイ・ピアーズ  久々の硬派な映画である。最近はやたらと映像にお金をかけたりするだけで内容  が薄っぺらい映画も多いので、こういうオーソドックスながら、役者の名演技  と、セリフ一つ一つに重きをおく映画には好感が持てる。  原題の意味は『戦闘のルール』。裁判中繰り返し使われるこの言葉に毛色は全然  違うものの、『サイダー・ハウズ・ルール』を思い出してしまった。実戦で戦う  上で大切なことと、あくまでルールとして、戦争経験もないものによって作られ  た決め事、この落差が生み出す悲劇を描いた映画とも取れる。  戦争でのむごたらしい映像が伝えられるたび、やれ戦争はいけない事だ、罪もな  い人の命を奪うとは何たる事か、と誰もが思うだろう。  しかしながら平和な世の中でのほほんと暮らしている私達に100パーセント彼らを  非難する資格はあるのだろうか。目の前で友達が、家族が殺されたら冷静に全て  を判断できるのか。戦争という極限のなかではルールなど守れる筈もないのだろ  う。  そして同じにこうも語りかける。ある人にとっては英雄であっても、全ての人に  とって英雄であるとは言い難いと。  誰もが敢えて避けて通りたいだろう重い題材をここまで退屈させずに引きつける  脚本の見事さと、俳優達の非のうちどころのない演技には感服。特にその目つき  一つで全ての感情を表現できるサミュエルの演技は本作だけでなく目をみはるも  のがある。  『LAコンフィデンシャル』に続きストイックで頭脳明晰な青年を演じるガイ・ピ  アースも何ともクールである。  サラリーマンでいうところのベテランと窓際族、そして頭脳明晰な新人、といっ  た感じの解りやすいキャラクター設定も良い。  途中、脚のない少女の使い方や、負傷した子供達のシーンも生ぬるくなくて良  い。例えば『プライベート・ライアン』的なナルシスズムに陥らないようにする  のに1役も2役も買っている。  それにしても、この映画といい、『マーシャル・ロー』等といい中東問題を、早  速映画でエンターテイメント化し、お金に替えてしまうあたり、いかにもアメリ  カ的である。                                 MS.QT.MAI __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ ┏━┓                       I N F O R M A T I O N ┃i┃登録・解除・お問い合わせなどについて ┗━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◇◇星(★)の意味___________________________◇ ◇   このメールマガジンで表示されている星は5つが最高で、1つが最低です。 ◇◇メールアドレス変更・解除______________________◇ ◇   このメールマガジンの購読解除は、ご登録された発行元のホームページより出   来ます。こちらでの作業は一切しておりません。   まぐまぐ   (http://rap.tegami.com/mag2/m/0000007585.htm)   マッキー!  (http://macky.nifty.ne.jp/servlet/FreeMailServlet/           mail_backnum?freemail_id=412)   メルポット  (http://melpot.net-planning.co.jp/) ID:0000000008   ココデメール (http://mail.cocode.ne.jp/) ID:0200300007   ClickIncome  (http://clickincome.net/mg_lt/mag/m00000031.html)   Pubzine (http://www.pubzine.com/detail.asp?id=1547)   emaga (http://www.emaga.com/music/intro/film.html) ◇◇サービス______________________________◇ ◇   ホームページでは過去に記事を参照できるようになっています。   http://www.ScreenKiss.com/   Backnumber.toを利用したバックナンバー再送信サービスもあります。   http://backnumber.to/list.asp?userid=10007585 ◇◇広告募集______________________________◇ ◇   ScreenKissでは、広告を募集しております。   詳しくは、webmaster@ScreenKiss.comへ ◇◇協力・提携_____________________________◇ ◇   AntenneFrance(http://www.antennefrance.com/) ◇◇お問い合わせ____________________________◇ ◇   色々な情報やアイディアや感想などありましたら下記のアドレスまで投稿をお   願いします。そのほか編集に協力して下さる方も募集しています。   mailto:webmaster@ScreenKiss.com ◇◇スタッフ______________________________◇ ◇   【編集長】      【記事執筆】      【ヨーロッパ支局】    中津川 昌弘     鳥野 韻子       hana               立野 浩超               ゆたか               MS. QT MAI               吉田 浩二 ◇◇ScreenKissについて_________________________◇ ◇   映画に関して、「人物」「作品」「映画祭」「制作」と言った観点から紹介・   論評するメールマガジンです。   Copyrights(C), 1998-2000 ScreenKiss  掲載された記事はいかなる形式であれ許可なく転載は禁じられています。 ┼                                   ┼