ScreenKiss Vol.163

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Vol.163

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>☆ C O N T E N T S ☆−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−☆<   □クリクリのいた夏   □しあわせ家族計画   □ホールド・ユー・タイト   □レンブラントへの贈り物 >☆−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−☆S_c_r_e_e_n_K_i_s_s☆< >>☆1☆クリクリのいた夏<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     Les ENFANTS DU MARAIS     ★★★☆☆     1999/115分/フランス/シネマスコープ     監督:ジャン・ベッケル     出演:ジャック・ガンブラン、ジャック・ヴィユレ、        アンドレ・デュソリエ、ミシェル・セロー  こんな素朴な映画は久しぶり。殺人もなく、犯罪といえばボクサーがバーで暴れ  るだけ。少女クリクリの沼地の思い出を回想するという設定ではあるがあまり重  点を置かれず、視線や物語はクリクリに関係ないことが多い。  しかし、上のデータを見て分かるようにこれはシネスコサイズですが、意味のな  いシネスコでした。ムダなサイズです。スタンダードで撮ればもっと古めかしい  郷愁を感じたことでしょう。  ジャック・ガンブラン演じるガリス。彼らが自由に生活する沼のほとりでの春夏  秋冬を追っていきながら、沼地に暮らす貧しいけれど自由な家族と裕福な家族の  あいだの交流や対立を映し出す。対立なんていうのは少々大袈裟かもしれません  が、時たま差別的な人がいるおかげで、コショウのように適度な味付けになって  います。  お金持ちの老人達が沼地の素朴な生活に郷愁を感じる気持ちは、我々が田舎の夏  休みになんとなく魅力を感じるようなものでしょうか。  不精髭と禿頭がアップで度々映り込み、少々見苦しいが雰囲気がでていたジャッ  ク・ヴィユレ演じるリトン。私の場合彼を見るたびにパトリス・ルコントの「ボ  レロ」という短編を思い出して笑ってしまいます。ちなみにこの短篇映画、最近  ではTOLLYWOOD(下北沢にある短編映画専門の映画館http:homepage1.nifty.com/  tollywood)で再映されていたから見られた方も多いでしょう。(こうやって、映  画館に足を運ぶ重要性を訴える私であった)  演技や演出、撮影が決しておろそかにされることもなく、子供向けの幼稚なス  トーリーでもない。邦題がやたらと幼稚だが、しっかり大人の映画。ヨーロッパ  映画の暗い部分ではなく明るい部分が好きな方にはお勧めしたい。                                立野 浩超 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆2☆しあわせ家族計画☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     2000年/日本(9月16日公開予定)     監督:阿部勉     出演:三浦友和、渡辺えり子     ヒューストン国際映画祭ファミリーチルドレン部門金賞     http://www.shochiku.co.jp.  このタイトルを聞いてピンときた人も多いはず。そう、これはTBSの人気番組に挑  戦したある家族の物語。  と、言ってもこれは退屈なドキュメンタリーでも、最近ありがちな、テレビ番組  の規模を拡大して映画化しただけの安易な劇場版でもない。既存の人気番組を題  材にしながらもオリジナリティ溢れる作品を作り上げたところにスタッフの力量  を感じる。  夫のリストラ、娘の不登校、父さん寸前の店・・・。トラブル続きの川尻一家に  大事件が起きた。息子が面白半分で出した人気番組『しあわせ家族計画』に出演  することになってしまったのだ。  番組が出した宿題をお父さんが一週間でマスターできればなんと300万円がゲット  できるというこの番組。わらをもすがりたい彼らだが、人並みはずれて不器用な  父に出された宿題は『ホーム・スイート・ホーム』を間違いなくピアノ演奏する  という難題で・・・。果たして賞金の行方は?そして家族は絆をとり戻すことが  出来るのか・・・。  長年にわたって山田洋次の助監督を務めていたという阿部勉は本作が初監督作。  『男はつらいよ』さながらの人間への暖かいまなざしは受け継ぎつつも、リスト  ラ、不登校などの社会問題を取り入れながらコミカルに描く様子はいかにも現代  的で新しさがある。  いかにもマスオさん的なキャラ、主人公富士夫を演じる三浦友和はもちろんハ  マッているが特筆すべきは妻を演じる渡辺えり子。彼女の夫や子供たちに対する  ビシビシとした姿勢や天然ボケぶりが、ともすれば甘いメロドラマ風になりがち  なホームドラマを引き締めるのに一役買っている。  妙に美人でしとやかな女性が多い日本映画の主婦像のなかでリアリティはピカイ  チ。  また脇役も魅力的で、なかでも富士男の義父を演じたいかりや長介は逸品。昔堅  気のガンコ親父なのだが実はダンディな男に憧れていたりしてカワイイのだ。  また、新人の平山綾を起用し、フレッシュな味付けも忘れていない。  ダメ男が家族のために大特訓に励むさまは、さながら日本版『フルモンティ』。  久々にお勧めしたくなる、笑えて泣ける日本映画の登場だ。                                 MS.QT.MAI __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆3☆ホールド・ユー・タイト☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     Hold You Tight     1997年/香港/93min/カラー/ビスタ     監督:スタンリー ・クワン     出演:チンミー・ヤウ 、クー・ユールン 、サニー・チャン     1998年ベルリン映画祭アルフレッド・バウアー賞     www.ponycanyon.co.jp/     9月9日(土)よりシネマスクエアとうきゅうにて公開  香港啓徳空港。よく似た2人の女性が台湾に向かう。一人は離婚したてのロー  ザ、もう一人は出張のムーン。飛行機事故で妻ムーンを失ったワイ。失意の彼を  トンが慰める。ワイに惹かれた青年ジェイはムーンと関係していたが、ある日ワ  イとトンが彼の働くバーにやってくる。酔いつぶれたワイを送ったジェイは、  ムーンに贈った香水を彼にふりかける。台湾に戻ったジェイはムーンそっくりの  ローザと付合うが・・・。  登場人物達のアイデンティティの困惑と、ヤ97年の香港返還が人々に与える困惑  とを重ね合わせ、更に倒序形式を採用した複雑な作品だ。だが、根底に流れるも  のは人は人との繋がりの中に生きている動物だ、という事。全ての人物がそれぞ  れに心の中に痛みを抱えながら、少しでも人との温もりの中でそれを癒そうと、  また自己の存在理由を求めようとする心の動きがスタイリッシュに描かれてい  る。  ムーンとワイ。ワイとジェイ。ジェイとロ−ザ。そしてトン。一見別々の物語が  最後には見事に一つに繋がる。それぞれが、夫や妻や恋人といったもっとも身近  である筈の人間を実はよく理解していない。失って初めてそれに気付いたりす  る。その愚かさともどかしさは誰もが経験している事のように思えて胸が痛くな  る。  気持ちを表に出しにくい性格のワイとジェイ。彼等にはその分、目やちょっとし  た仕種の演技が、また緩衝剤的役割のトンにはその体躯のようにソフトで、包み  込むような優しさが、そしてローザとム−ンの2役はその性格の違いが、それぞ  れ求められるが、俳優達はまさにはまり役だったと言える。登場人物はほとんど  監督の分身だという事だが、併せてPFFでのティーチ・インレポートも参照して欲  しい。                                鳥野 韻子 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆4☆レンブラントへの贈り物☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     Rembrandt     1999年/フランス=ドイツ=オランダ/103min/カラー/ヴィスタ     監督:シャルル ・マトン     出演:クラウス ・マリア・ブラウンダウアー、ロマーヌ・ボーランジェ     2000年セザール賞美術賞     http://www.alcine-terran.com  全てを失い人生の黄昏に立って一生を回顧するレンブラント。1631年。アムステ  ルダムへ移住した若きレンブラントは画商オイレンブルフの元で順調な画家生活  に入る。やがてモデルだった画商の姪を結婚するが、子供たちを次々に失い、や  がて最愛の妻、サスキアとも死別する。次第にサロンとも縁遠くなり浪費癖がた  たって事実上の破産。内縁の妻ヘンドリッキエとの間に娘をもうけるが、彼女も  死去。晩年まで筆をとるが、失意のうちに死亡する。  ・・・と、荒筋を追うと悲惨な作品のように見える。確かに彼の作品はたとえ美  術に無関心な人でも1度は見覚えのあるものばかりだろう。そして、彼はまた  「光と影の画家」として有名である。ただ、作品と同様に彼の人生そのものも、  この光と影に彩られていたのだ。作品の冒頭で、失意のレンブラントが「見えぬ  者は光に嫉妬する」と言っている。サロンの花形で光り輝いていた時期は、周囲  の嫉妬の目に囲まれつつも私生活では子供を失うなど、常に影が一体となってい  た。  この作品の見どころは、呆れる程作品に酷似したモデルや時代の色彩である。薄  暗い室内、上流貴族達の華やかな衣装、派手な食器・・彼のほとんどの作品の背  景のセピアっぽいダークな感じが画面を覆っている。監督が自身画家である事に  も起因しているのかもしれない。ちなみに脚本は奥さん、音楽も近親のようだ。  一般に偉大な画家=立派な画家、的なイメージが出来てしまうが、このレンブラ  ントはどちらかと言えば破滅型な人間だ。原題はただ「レンブラント」だが、こ  れに彼への贈り物、即ちそんな彼への愛を惜しまなかった女性達(ミューズ)と  いう付帯的邦題の付け方は、かなり巧い。  古くは『モンパルナスの灯』から『エゴン・シーレ』『サバイビング・ピカソ』  『カミーユ・クローデル』等芸術家を描いた映画は数多い。丁度今、国立西洋美  術館で「レンブラント、フェルメールとその時代」という展覧会を開催している  (9/24迄)。この映画の公開までに1度見ておくのも一興だろう。                                 鳥野 韻子 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ ┏━┓                       I N F O R M A T I O N ┃i┃登録・解除・お問い合わせなどについて 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QT MAI               吉田 浩二 ◇◇ScreenKissについて_________________________◇ ◇   映画に関して、「人物」「作品」「映画祭」「制作」と言った観点から紹介・   論評するメールマガジンです。   Copyrights(C), 1998-2000 ScreenKiss  掲載された記事はいかなる形式であれ許可なく転載は禁じられています。 ┼                                   ┼