ScreenKiss Vol.167

バックナンバー

■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■

  ,.`☆
  .;^☆ S C R E E N K I S S
.’

Vol.167

■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■

>☆ C O N T E N T S ☆−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−☆<   □ベネチア映画祭情報 4   □シャフト   □ワンダーボーイズ   □イージー・ライダー >☆−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−☆S_c_r_e_e_n_K_i_s_s☆< >>☆1☆ベネチア映画祭情報 4☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛  イタリアでの映画祭であるからして当然なのだが、イタリア語が全く出来ない私  は情報収集に非常に苦労している。  映画祭側から毎日リリースされる情報誌は「biennle news」と「Film TV Daily」  の2つ。「biennle news」はイタリア語を基本に部分的に英語訳が掲載され、カ  ラー写真が鮮やかな「Film TV Daily」は全てイタリア語。しかし、フレンドリー  なイタリア人を捕まえては読んでもらい、それをきっかけに友達になるのも又楽  し、である。  この2つの情報誌には、上映情報や作品の概略、来場したスターについてかかれて  いる。直前まで来場が秘密にされているスターも多いのが困り者だが、「biennle  news」の"airport"の欄には、スターの到着情報掲載され、日々の話題になってい  る。  これまでに来場した「スター」はロバート・アルトマンの新作「Mr.T and the  Women」に主演しているリチャード・ギア、ロバート・ゼメキス監督の「What  Lies Beneath」のハリソン・フォード、ミシェル・ファイファー、「You Can  Count In My」のローラ・リニー、フランスからはイザベル・ユペール、エロ  ディ・ブーシェ等々多数。今後も大物が到着の予定。  サリー・ポッターの新作「The Man Who Cried」の上映には、監督をはじめ、クリ  スチーナ・リッチ、ケイト・ブランシェット、ジョン・タトゥーロと(ジョ  ニー・デップを除いた)メインキャストが勢ぞろいした。  ロシア系ユダヤ人のスージー(クリスチーナ・リッチ)を主人公に、1940年代、  戦争に突入して行くヨーロッパの暗い時代と差別を背景とした少女の成長物語で  あるが、驚く程に評価は真っ二つである。  上映の後「ブラボー」と歓声が上がり、拍手が長く続いたかと思えば、「くだら  ない」「意味なし」といった否定的なコメントもどれだけ聞いたことか。この作  品はコンペ出品作なのであるが、批評家13人による「Film TV Daily」の予想でも  最悪に近い点数が並んでいる。  私的にはこの映画祭でもっとも楽しめた作品の一つである。静かに重々しく流れ  てゆくストーリーに相応しく、音楽、衣装、映像全て木目細かに作られている。  主演のクリスチーナ・リッチの存在感は素晴らしい。危うい少女スター期を超  え、今後も必ずや勝ち残ってゆける女優に成長した。ジョン・タトゥーロやケイ  ト・ブランシェット等、演技力には定評のある俳優陣の中で互角以上に闘い、小  さな体から輝きを放っている。  ケイト・ブランシェットの1930〜40年代、アール・デコの時代を贅沢に反映した  衣装やメイクは豪華の一言。パリに生きるロシア系踊り子の役であるが、憂いの  ある彼女の演技は勿論見事。ジョン・タトゥーロの演技にも貫禄がみなぎってい  た。  しかし、前半の繊細かつ重厚に描かれた素晴らしさに比べ、後半、話の展開が不  自然なほど早過ぎるのだ。時間を計算してストーリーを掻い摘んだとしか思えな  い。本当に残念である。前半を考えれば2時間以上かけて綴られるべき物語を、途  中から流れを変えてとんとんと話を進め、結局97分に収めた、という感じであ  る。  「オルランド」を作ったサリー・ポッターであるからして、この後半の陳腐さを  考えると、やはりこの作品で金獅子賞を取ってはいけない気がする。サリー・  ポッターの実力はこんなものではないはずなのだから。  さて、この映画でジプシーを演じているジョニー・デップであるが、ジョニー・  ファンの皆様、この映画は必見です。ファンでなくとも好きになってしまいそう  な、とても美味しい役である。  寡黙で陰のある男の役なのだが、スージーをいつも優しく、とろけるような眼差  しで見守り、しかも白馬に乗ってる(笑)。「男だってちょっとくらっときちゃ  うねえ、あんな目でみつめられたらさ」と言っていた男性記者がいたが、まさに  その通り。このジョニー・デップを見るだけでも作品の価値は充分あるとみた。  来場したクリスティーナ・リッチはショーとカットの髪がキュートで本当に可愛  かった。ジョン・タトゥーロもクリスチーナもルーツはイタリア系。その事を質  問されると、ジョン・タトゥーロはイタリア語をちょっと話してみせ、クリス  チーナは「イタリア系なのは分かっているんだけど、イタリアの何処がルーツな  のかは分からない」と答えていた。(「リッチ」という名字はイタリアではとて  もポピュラーらしく、映画祭関係者に24人の「リッチ」がいるとのこと。)  豪華キャスト・お金の掛かった作品ゆえ、ある意味非常にハリウッド的いう意見  も多く、特にイタリア人への評判が悪い。しかし前半すっかり酔わせてもらった  私としては、後半の粗さが返す返すも残念である。日本でも必ずや公開されるは  ず。ぜひ憶えておいてください。                                  hana __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆2☆シャフト☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ Shaft ★★★☆☆ 2000年/アメリカ(日本公開今秋予定) 監督:ジョン・シングルトン 出演:サミュエル・L・ジャクソン、クリスチャン・ベール、トニ・コレット http://www.shaft-themovie.com 全米公開時1位(6/16) 黒人青年が路上で殴打され死亡する事件が起こる。彼の恋人の証言から、事件の直前 に青年が、名門の息子ウォルター(クリスチャン・ベール)にからまれていた事を 知った刑事シャフトは、彼を逮捕するも決定的証拠がない上、金も権力もある彼はま んまと釈放されてしまう。唯一の手がかりになる女性(トニ・コレット)も姿をくら ましてしまい・・。 とにかくサミュエル演じる正義の味方、シャフトがクール。 弱きを助け、悪を憎み、美女にはメがないという人情味溢れるキャラはあたかもハリ ウッド版寅さんかいな、という感じだが、スラリとした長身にスキンヘッド、黒のレ ザーコート(しかもアルマーニ!)で決め、颯爽と歩く姿にはホント惚れ惚れ。まさ に『黒いパンサー』といった感じ。"what's my name"など決めゼリフがあるのもヒー ロー作品ならでは。テーマ曲も良い。 また人種偏見主義者のいけすかない男を演じたクリスチャン・ベールがいかにもイイ トコの坊ちゃん系で何ともハマる。『太陽の帝国』の無垢な子供がこんな曲者俳優に なろうとは。 そしてトニ・コレットがまたまた納得の名演技。出番こそ少ないが、彼女がシャフト に事件の真相を打ち明ける場面ではアクション映画とは思えないエモーショナルで繊 細な演技合戦が見られる。良い俳優、女優というのはどんなチャンスも無駄にしない のだなあと感心。 と、キャラクターには魅力があるも、ストーリー自体がありがちで新鮮味がない。一 応仲間の裏切りがあったり、現代のNYらしくラテン系のギャングとの抗争なんかも絡 んでくるのだが、展開が読めるため、盛り上がりに欠けるように感じられた。 とはいえラストは意外に衝撃的で、人種問題や正義の意味について考えさせられる部 分もあり、ただの娯楽映画に終わらないあたりに監督のポリシーのようなものを感じ た。(ちなみに『ボーイズン・ザ・フット』の監督さんです。)                                 MS.QT.MAI __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆3☆ワンダーボーイズ☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     Wonder Boys     ★★★★☆     2000/アメリカ     監督:カーティス・ハンソン     出演:マイケル・ダグラス、トビー・マグワイア、        フランシス・マクドーマンド(ファーゴ)  「2001年オスカー最有力候補!」なんて文字を目にする今日このごろです。信用  ならない宣伝文句ですが、この映画はなかなかいける。  主役でストーリー・テーラーのマイケル・ダグラスはこの映画の中でもっともマ  ズイ演技。彼をつかったことがこの映画の唯一の欠点。  一方ジェームズ役トビー・マグワイアはいい演技。彼の天然サイコキラー的風貌  は多くの映画で利用されているが、「サイダーハウス・ルール」の彼はきれいす  ぎてどうもなじめない。やはりこのくらい怪しい役柄がぴったし。この役で強烈  なのは、自殺したの俳優の名前と手段を覚えている点。彼の為に言うが、殺人鬼  をそろそろ演じてもらいたい。次世代のクリストファー・ウォーケンをめざし  て。めざしたくないかな?  さらに、ハナ・グリーンを演じたケイティ・ホルムズはクリスティーナ・リッチ  やソーラ・バーチを超えた魅力的な女優。3人とも丸顔ですね。「アイス・ス  トーム」ではリッチと共演していた。主演よりも、主演女優をくってしまう癖の  ある助演女優として活躍してもらいたい!ライバル2人には先を超されてるが、  まだまだ挽回の余地あり。なにせ次回作はキアヌ・リーブス主演の「ザ・ギフ  ト」です。  ストーリーは丁寧に描きすぎた為にしつこさを感じるが、冬のピッツバーグの寒  さや車窓からの青みがかった夕方の風景の撮影はみごと。また、EX-WIFEエミリー  があえて登場しない演出はうまい。中年カップルの誕生といったサマリーには原  作のよさを感じる。おもしろみに徹したサービス精神ではなく、リアルなストー  リーが好感をもてる。だいたい誰もが若い教え子と不倫をする訳でもあるまい。  「アイス・ストーム」をみのがした人はぜひお勧めだ。どっちがいいか悩む。  おっと、忘れちゃいけない、犬のポーとサウンド・トラック。どちらも映画にと  けこんでいます。                                 立野 浩超 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆4☆イージー・ライダー☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     Easy Rider     1969/アメリカ/95分/カラー     製作・脚本:ピーター・フォンダ     監督・脚本:デニス・ホッパー     出演:ピーター・フォンダ、デニス・ホッパー、ジャック・ニコルソン  アメリカン・ニューシネマ特集2回目は『イージー・ライダー』。第164号でご紹  介した『俺たちに明日はない』同様必ずアメリカン・ニューシネマの代表作とし  て取り上げられる作品。以下、本文に続く。  麻薬で一儲けしたキャプテン・アメリカ(P・フォンダ)とビリー(D・ホッ  パー)が南部を目指すロード・ムービー。旅の途中、ヒッピーの暮らす部落に立  ち寄ったり、ニュー・オーリンズの謝肉祭を見たり、酔いどれ弁護士のジョージ  (J・ニコルソン)と出会ったりしながら旅を続けるが、保守的な南部の空気に  息苦しさを感じる。  この作品は、全篇に渡りバイクと麻薬の連続なのでそればかりが目立つがそれだ  けでは無い。傑作と誉れ高いが、当時のアメリカの病める姿を徹底的に暴いた内  容だけに、当時を意識して見ると奥の深い作品だと感じ取る事が出来る。表面的  ないわゆる視覚的な部分だけで見た気になって欲しくない作品。  製作された年が1969年。この年は、音楽に詳しい人ならピンとくると思うが、  ウッドストックというロック・フェスティヴァルが開催された年。音楽も一時代  前のサウンドから変貌し始め、映画同様に新しいスターが出てきた頃だ。『イー  ジー・ライダー』にはふんだんに音楽が使われていたが、最も有名なのが上に述  べたウッドストックにも参加したジミ・ヘンドリクス。この作品は音楽だけでも  時代を強く感じる事が出来る。その他にも、バーズ、ザ・バンド、ステッペン・  ウルフといった音楽史上無視出来ないアーティストも参加している。ちなみに、  バーズはあのビートルズにも影響を与えたグループ、ザ・バンドはジミヘンと同  じくウッドストックに参加し、エリック・クラプトンとも親交があったグルー  プ。ステッペン・ウルフは、この作品のテーマとも言える「ワイルドに行こう」  Born to be Wildという曲で有名。  さて、音楽だけでなく出演者もご紹介したい。主役のピーター・フォンダは名優  ヘンリー・フォンダの息子であり、姉に名女優ジェーン・フォンダを持つ名家の  生まれ。ちなみに、彼の娘はブリジット・フォンダ。デニス・ホッパーは近年悪  役としてならし、K・リーヴスの『スピード』に出ていた。ジャック・ニコルソ  ンは言わずと知れた名優。怪優と言ってもいいが・・・。前述の2人は、『イー  ジー・ライダー』以降アル中になったりと泣かず飛ばずなので、この作品が代表  作となるがニコルソンは違う。脇役で出演していたのもあるが、彼は3度もアカ  デミー賞を受賞するにいたる名優にこの作品以降飛躍して行く。また、このニコ  ルソンと数年後共演する事になる女優が出ていた。娼館の背の高い女を演じた人  だ。名をカレン・ブラックと言い、『ファイブ・イージー・ピーセス』でニコル  ソンと共演しアカデミー助演女優賞にノミネートされたり、ヒッチコック監督の  『ファミリー・プロット』やR・アルトマンの『ナッシュビル』にも出ている70  年代に活躍した人だ。  時代にあった音楽がある。また時代を感じさせる音楽もある。映像も同じかもし  れないが、音楽ほど一瞬にして人を熱くさせたり、リラックスさせたりは出来な  いと思う。それに中学、高校、大学、結婚、出産とか、恋人と聴いた、または喜  び、悩みの日々といったその時の自分を思い出させてくれる。リアルタイムの音  楽を当時使用した映画『イージー・ライダー』。若い世代が、自分が生まれる前  の映画を見て親は当時何をしていたのかを、映画を通じて話し合うのもいいので  はないだろうか。今もって若者に支持される『イージー・ライダー』。勿論この  作品でなくてもいいが、リアルタイムの音楽との結びつきという観点から書いた  事をお忘れなく。  最後に、この作品は1969年度のアカデミー助演男優賞、オリジナル脚本賞の2部  門にノミネートされた。                                 吉田 浩二 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ ┏━┓                       I N F O R M A T I O N ┃i┃登録・解除・お問い合わせなどについて ┗━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◇◇星(★)の意味___________________________◇ ◇   このメールマガジンで表示されている星は5つが最高で、1つが最低です。 ◇◇メールアドレス変更・解除______________________◇ ◇   このメールマガジンの購読解除は、ご登録された発行元のホームページより出   来ます。こちらでの作業は一切しておりません。   まぐまぐ   (http://rap.tegami.com/mag2/m/0000007585.htm)   マッキー!  (http://macky.nifty.ne.jp/servlet/FreeMailServlet/           mail_backnum?freemail_id=412)   メルポット  (http://melpot.net-planning.co.jp/) ID:0000000008   ココデメール (http://mail.cocode.ne.jp/) ID:0200300007   ClickIncome  (http://clickincome.net/mg_lt/mag/m00000031.html)   Pubzine (http://www.pubzine.com/detail.asp?id=1547)   emaga (http://www.emaga.com/music/intro/film.html) ◇◇サービス______________________________◇ ◇   ホームページでは過去に記事を参照できるようになっています。   http://www.ScreenKiss.com/   Backnumber.toを利用したバックナンバー再送信サービスもあります。   http://backnumber.to/list.asp?userid=10007585 ◇◇広告募集______________________________◇ ◇   ScreenKissでは、広告を募集しております。   詳しくは、webmaster@ScreenKiss.comへ ◇◇協力・提携_____________________________◇ ◇   AntenneFrance(http://www.antennefrance.com/) ◇◇お問い合わせ____________________________◇ ◇   色々な情報やアイディアや感想などありましたら下記のアドレスまで投稿をお   願いします。そのほか編集に協力して下さる方も募集しています。   mailto:webmaster@ScreenKiss.com ◇◇スタッフ______________________________◇ ◇   【編集長】      【記事執筆】      【ヨーロッパ支局】    中津川 昌弘     鳥野 韻子       hana               立野 浩超               ゆたか               MS. QT MAI               吉田 浩二 ◇◇ScreenKissについて_________________________◇ ◇   映画に関して、「人物」「作品」「映画祭」「制作」と言った観点から紹介・   論評するメールマガジンです。   Copyrights(C), 1998-2000 ScreenKiss  掲載された記事はいかなる形式であれ許可なく転載は禁じられています。 ┼                                   ┼