ScreenKiss Vol.185

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Vol.185

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>☆ C O N T E N T S ☆−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−☆<   □どついたるねん   □リオ・エスコンディード   □リトル・ダンサー   □私が愛したギャングスター   □サディウス ・オサリバン監督記者会見 >☆−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−☆S_c_r_e_e_n_K_i_s_s☆< >>☆1☆どついたるねん☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     (公開時タイトル『どつかれてアンダルシア(仮)』)     Dying Of Laughter     1999年/スペイン/100min/カラー/ヴィスタサイズ     監督:アレックス ・デ・ラ・イグレシア     出演:サンティアゴ ・セグラ、エル・グラン・ワイオミング     第13回東京国際映画祭協賛企画     QFRONT東京国際ファンタスティック映画祭     2001年新春公開予定  借金だらけのブルーノと売れない歌手のニーノは、場末の酒場で出会ってコンビ  に。ひょんな事から、たまたまブルーノがニーノを舞台で叩いたのが大当たり。  人気は鰻上りでTVにも進出するまでになるが、この2人、私生活ではいつしか互  いに憎しみ合うように。そしてそれが頂点に達したとき、録画中に撃ち合っ  て・・・。  何とも物凄いタイトルである。実在の漫才コンビをヒントにしたというこの作  品、かなりのラテンなデフォルメがなされているものの、意外と笑いだけではす  まされないシリアス面も見せてくれる。  芸能人って人気者になると、下積み時代の糟糠の妻を捨てて愛人に走る人が多  い・・などという女性週刊誌的イメージがあるけれど、ここでは互いに孤独で、  ある意味社会性に欠けているからもっと始末が悪い。  貧乏から這い出したい!という同じ目標が達せられた途端、互いが強烈なライバ  ル。舞台は1970年代のスペインで、丁度人々がフランコ政権での閉塞的な気分か  ら抜け出そうとしていた、その波に乗れたという幸運の女神の後押しさえ忘れて  しまったのだ。(そう言えば1970年代という事でユリ・ゲラーがTVに写ってい  た)  実際にも、コンビの片方が単品で?ダントツに売れ出すと、相方が何時の間にか  影が薄くなってしまうような気がするのだが、裏では案外こういったつまらない  ライバル意識が高じていた・・などという事なのかもしれない。芸能界のクレイ  ジーさが充分伝わってくる。  幸運の靴下を験(げん)がいいと履き続けるところなどは、相撲の力士が髭を剃  らないのと似てて、世界共通だ、などと感心してしまった。(それにしても臭そ  うだ)2人の疑心暗鬼のエスカレートする樣も見物だが、ラストで殺し合った2  人が事もあろうに十八番の一手で息を吹き返すところは絶品。スペイン風吉本。                                 鳥野 韻子 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆2☆リオ・エスコンディード☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     Rio Escondido (Hidden River)      1999年/アルゼンチン/87min/カラー/35mm     監督:メルセデス ・ガルシア・ゲバラ     出演:パオラ ・クルム、ホアン・パロミーノ、パブロ・セドロン     第13回東京国際映画祭/シネマプリズム・ラテンアメリカ映画小特集  アナは6歳の男の子を持つキャリアウーマン。夫も多忙なビジネスマンで、経済  的には恵まれている方だ。ふとした事で夫宛の手紙に見知らぬ女性の名前を目に  する。どうやら子供に金銭的な援助をしているらしい。不安を解消する為にもア  ナは差出人の住所まで尋ねてみると、そこには父の出所を待つ8歳の男の子が、施  設の女性と暮らしていた。仮出所をして遠目にわが子を眺めるのは、夫の兄だっ  たが・・。  ある部分までサスペンスドラマの体裁をとりながら、夫が甥に援助をしている訳  も、兄が殺人で刑期を勤めている、その殺人の詳細も一切が明かされないまま映  画は終わってしまう。ちょっと昔のフランス映画風だ。  が、ここでは監督は、そうした物語の枝葉末節よりも人間心理にポイントを置い  ているのだ。夫宛の手紙に動揺したアナだが、今迄知らなかった夫の血縁、生ま  れ故郷等を初めて目にして、自分の知っていたのと別な世界に目覚める事にな  る。  タイトルは「河岸の樹木や草で覆われ、その存在がわかりにくい」ので付けられ  た、川の名を持つ地名で、夫の故郷。都会の生活や、身の回りの事ごとに追われ  て今迄見えなかったもの、即ち川・・ここでは夫や彼にまつわる事・・が、彼女  に認識された、という事に繋がるのだろう。  また、何げに挿入されているTVからは「人間は皆それぞれに本来の音色を持って  います。それが行いと響き合わないと幸せではないのです」と流れている。アナ  はそれまでの生活に「何かが違う」と感じていたところがあったのかもしれな  い。夫とは感じ得ない何かを、義兄の中に見つけたのかもしれない。  女性らしい感覚の、風景も美しい秀作。                                 鳥野 韻子 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆3☆リトル・ダンサー☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     Billy Elliot     2000年/イギリス/111min/カラー/ヴィスタサイズ     監督:スティーヴン ・ダドリー     出演:ジェイミー ・ベル、ジュリー・ウォルターズ、        ゲアリー・ルイス     www.herald.co.jp/movies/little-dancer     第13回東京国際映画祭・特別招待作品     2001年正月公開予定  イギリスの小さな炭坑町に住むビリーは11歳。スト中の炭坑夫のパパと兄、  ちょっと惚け始めた元ダンサーのお婆ちゃんの4人暮らし。ひょんなきかっけでバ  レエに興味を抱いた彼は、天性の素質でメキメキ上達するが、最初はパパも大反  対。そのうち本気で応援してくれて、見事ロイヤル・バレエ学校に合格。そして  今やプリンシパルとして羽ばたく・・。  実は上映時に主演のジェイミー君が来日している筈だった。2000人のオーディ  ションから選ばれた彼は、カンヌ映画祭でも「一夜にしてスターに!」と大絶賛  されたといういわくつきの天才少年。巧く行けば?ステップの一つ、二つ見せて  貰えたかもしれない・・残念!彼のダンスは『フット・ルース』ばりのスピード  と強さがある。クラシックバレエの優雅さと、モダンな躍動感が備わっている。  炭坑町、不況・・とくれば『ケス』『フル・モンティ』『ブラス!』・・と今や  イギリスの十八番。ダンスが未来を拓くのが共通点とはいえ、『フル・モン  ティ』が半ばヤケクソだったのに対し、『リトル・ダンサー』は才能の開花だ。  家族との絆も英国流ユーモアのセンスが満載されている。  血は争えないというか、ビリーは隔世遺伝?でお婆さんと同じくダンスの才能、  親友マイケルは女装趣味の父にして立派なオカマになった。このお婆さんは最  初、徘徊や記憶減退が見られたのに、ビリーがダンスに目覚めた途端に治ってき  たような気がする。こ奇麗になって発言もまともだ。  スモーキーなリング、透明感のあるダンス教室、ブルーがメインのちょっと寂し  いビリーの家、茶系の外部・・と視覚的な美しさと、シーン毎にクラシックから  ロックまで取り込んだ音楽にも注目。思わずサントラが欲しくなってしまった。  そう言えば、ビリー、24歳役の本物のプリンシパル(アダム・クーパー)の白鳥  も実際見てみたいです。                                 鳥野 韻子 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆4☆私が愛したギャングスター☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     Ordinary Decent Criminal     1999年/アイルランド=イギリス/95min/カラー/シネマスコープ     監督:サディウス ・オサリバン     出演:ケヴィン ・スペイシー、リンダ・フィオレンティーノ、        ピーター・ミュラン     http://www.amuse-pictures.com/     第13回東京国際映画祭・特別招待作品     12月銀座テアトルシネマにて公開予定  子煩悩で人一倍家庭的なマイケル・リンチは、実は稀代の大泥棒。でも刑務所に  入るような証拠は決して残さない。彼が相手にするのは専ら体制側。銀行で「金  を引き出す」のは軽いもの。彼をとことん追うクイッグリー刑事は、彼の手の内  を知り尽くしているのに、いつも失敗ばかり。ある時出来心で?盗んだカラ  ヴァッジョの絵を巡ってIRAや囮の美術商、裏切り者まで出て事件は思わぬ方向  へ・・・。  マイケル・リンチのモデルは、アイルランドでは有名な実在の強盗マーティン・  カーヒル。1995年の東京国際映画祭協賛企画、英国映画祭で上映された『ザ・  ジェネラル』と同じ題材だ。この時のマーティン役はブレンダン・グリーソン。  スペイシーよりも大柄で愛嬌のあるとぼけた味を出していた。  今回のスペイシーのマーティンは、おとぼけというよりは自尊心が強く、頭がき  れて自惚れ屋。計算づくの自己演出に長けている感じが強い。そうした外の顔に  対し、家庭では妻とその妹の両方の夫にして家族思いの良き父。姉妹の男を巡る  確執はドラマに多いが、この2人は互いに夫の共有を認め合って仲がいい。これ  は、マイケルの人柄だ。手下にも裏切りには凄惨な制裁を加えるものの、逆に忠  実な者への信頼は強い。  つまり、何とも憎めない奴なのだ。子供には「やるべき仕事は手を抜くな」と教  え、横槍を入れるIRAに対しては、自分達を「正しくまっとうな泥棒」を胸を張る  (この辺が原題の由来かも)。慢性的な不況下での体制相手の彼の活躍?ぶりは  一般市民にとってちょっぴり胸のすくような、そんな時代だったのだろう。  マーティンの心を反映してキリストに不遜な笑みが浮かぶ、カラヴァッジョの絵  「キリストの逮捕」がまた傑作。『ナッシング・パーソナル』から一転、楽しい  娯楽作品に仕上がっている。                                 鳥野 韻子 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆5☆サディウス ・オサリバン監督記者会見☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛  ブルーのシャツ、ブルージーンズで現れた監督は、シルバーヘアに優しい瞳のア  イリッシュ。今回、実在のマーティン・カーヒルを題材にした訳から語り出し  た。前作『ナッシング・パーソナル』はヴァイオレンスもあり、ハードだったの  で、この作品では犯罪よりは、むしろ彼の面白い人柄・・権威や、警察、法律と  いった体制に対しての彼の姿勢や、ギャングの持つ危険なイメージと同時に軽い  面も合わせ持つ・・にスポットを当てたいと思ったからだそうだ。  また、ケヴィン・スペイシーの起用については「そうしたカーヒルの複雑な人間  性を、自身持ち合わせていたのが彼だった。彼位の年齢の役者が欲しい時、筆頭  にあがる俳優はスペイシーしかいない。彼へのオファーが難航したが、脚本を気  に入ってくれて、この難役をこなしてくれた。彼はとてもプロ意識が高く、仕事  がやりやすかった。」  スペイシーは、冒頭で記者達に向かってお尻を出すシーンに、インターネットで  も流れるかと思うとどーしても嫌だと言って、とうとう本人立ち会いの下、「素  敵なお尻」のスタンド・インを選んだとか。彼は『アメリカン・ビューティ』の  後、撮影に入った。  やはり同じ題材の『ザ・ジェネラル』(ジョン・ブアマン監督/1998年)は、当  初オサリヴァン監督のプロジェクトの方が先で、原作の権利を入手していたが、  このまま映画化は困難と諦めて権利を放棄したところ、ブアマンが購入して、先  に仕上げてしまった。ただ、同じ題材でもブアマンのはかなり伝記的だ。  ブアマンが製作している間、オサリヴァンチームは、専ら資金集めに苦労してい  たらしい。結局製作費は米ドルで約1,000万ドル、スペイシーへのギャラは100万  ドル、そして監督本人は25万ドルしか入らなかったという。しかも本人曰く「全  部使っちゃったから、今は破産状態」。  今回音楽を担当したのは、人気バンド「ブラ−」のデーモン・アルバーン。彼は  『フェイス』で俳優としてもデビューしているが、伝統的、また既存のスコアを  使いたくなかったという監督の希望から、彼に託された。サントラの売れ行きも  好調。  次回作は1930年代の英国上流社会の話と、児童文学からのストーリーの映画化の  2本を検討中とか。今回で3度目の来日になるというオサリバン監督。忙しくて  どこにも行けないのが残念そうだった。                                 鳥野 韻子 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ ┏━┓                       I N F O R M A T I O N ┃i┃登録・解除・お問い合わせなどについて ┗━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◇◇星(★)の意味___________________________◇ ◇   このメールマガジンで表示されている星は5つが最高で、1つが最低です。 ◇◇メールアドレス変更・解除______________________◇ ◇   このメールマガジンの購読解除は、ご登録された発行元のホームページより出   来ます。こちらでの作業は一切しておりません。   まぐまぐ   (http://rap.tegami.com/mag2/m/0000007585.htm)   マッキー!  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QT MAI               吉田 浩二 ◇◇ScreenKissについて_________________________◇ ◇   映画に関して、「人物」「作品」「映画祭」「制作」と言った観点から紹介・   論評するメールマガジンです。   Copyrights(C), 1998-2000 ScreenKiss  掲載された記事はいかなる形式であれ許可なく転載は禁じられています。 ┼                                   ┼