ScreenKiss Vol.186

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Vol.186

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>☆ C O N T E N T S ☆−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−☆<   □恋の骨折り損   □オー!スジョン   □鎗火   □ワン・モア・デイ   □バック・ドア >☆−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−☆S_c_r_e_e_n_K_i_s_s☆< >>☆1☆恋の骨折り損☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     Loves Labours Lost     2000年/イギリス=アメリカ/93min/カラー/スコープサイズ     監督・脚本・主演:ケネス ・ブラナー     出演:アリシア ・シルバーストーン、アレッサンドロ・ニヴォラ     第13回東京国際映画祭・特別招待作品     12月公開予定  1939年。ナヴァール国のプリンスは学業に専念するため、3人の学友と女人禁制、  食事制限などの厳しい誓いをたてた。が、病床の父王の代理でフランスからお供  の3 人の美女と共にプリンセスがやってくる事になったから、さあ大変。それぞ  れ、一目惚れした女性を前に4人の誓いは何処へやら・・・。  シェイクスピアフリーク?のケネス・ブラナーが、今度は喜劇をミュージカルに  してくれた。それもタイトルクレジットからしてレトロな雰囲気、歌われる曲も  「ショーほど素敵な商売はない」をハイライトに有名なミュージカルソングが目  白押し。当然、ファッションもメイクも昔風、と流石のケネス、凝りまくった。  最近のミュージカルと言えば、ウッディ・アレンの『世界中からアイ・ラヴ・  ユー』が記憶に新しいが、ここでも昔のように「歌えて踊れるスター」の為の映  画ではない。「よく頑張ったね」と言ってあげたくなるようなダンスと歌の主役  8人に、狂言まわしで登場するネイサン・レインとティモシー・スポールは筋金  入り。特にネイサンの舞台で鍛えた貫禄は十分。コメディ俳優としてのイメージ  が強いが、その身の軽さに加えて、なかなか声もいい。  来日予定だったケネス・ブラナーは仕事の関係でキャンセル。代わりに?製作の  デイビッド・バロンがビデオレターで「16世紀のシェイクスピアの言語で、20世  紀のロマンスを語る面白さ」などと言っていたが、これにちょっぴり第二次世界  大戦も盛り込んで、リアルさも。空港のシーンは『カサブランカ』っぽく、ラス  トは『ピーターズ・フレンズ』みたいなワイワイした雰囲気。  コミカルなシーンもレトロだけど、基本型で笑える。合わせて日本では、レトロ  調のポスターの色合いや、字体がいいです。しかし『アイ・ウォント・ユー』の  インパクトが強かったアレッサンドロ・ニヴォラがこんなに可愛い顔してたなん  て、初めて発見。ちょっぴり幸せな気分になれる映画です。                                 鳥野 韻子 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆2☆オー!スジョン☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     Virgin Stripped Bare by Her Bachelors     2000年/127min/カラー/35mm     監督:ホン ・サンス     出演: イ・ウンジュ、チョン・ボソク、ムン・ソンケン     第13回東京国際映画祭・コンペティション  TV局のライター、スジョンは監督の後輩で、今は画廊の経営者として成功してい  るジェフンと出会う。彼女はジェフンと密かに付合うようになるが・・・。前半  ではジェフンの側から、後半ではスジョン側から見た2人の関係が繰り返され  る。  「平凡なカップルの間の記憶のズレを再構成した形の物語」という事だが、同じ  ように見える出来事が、実は2人の思いやそれによる記憶の歪曲で、微妙に異  なった物語になった。つまり「どんな事柄も、それが人間の行動である限り『絶  対的な事実』というのは有り得ない」という事を表現したかったという。  また、「記憶」というイメージからと、細かな台詞が観客を捕らえるよう・・つ  まりカラーという情報が増えないように・・との考えから、あえてモノクロにし  たそうだ。  「1日中待つ」「たぶん偶然」「たぶん意図的に」等、各エピソードにたまに小  見出しが付いている。それに附随して出る大きな数字は「同じ事を比較するのに  便利。それに軽い内容に更に軽さを強調したかったから」。合間に少し間延びし  たようなエレクトーンの音が入る。この辺の演出が、当事者にとっては重大な事  でも実はありがちな男女のおはなし、という感じで面白かった。  男がコトの最中に別人の名前を呼んでしまう。当然女は怒る。寝言で不倫がばれ  るようなものだが、これも「記憶」を語るとき、名前の存在の大きさを表してい  るのだそう。でも、これって記憶の問題以前だと思ってしまった。  丁度、黒澤の『羅生門』を軽いノリで現代の出来事に置き換えたような感じがし  た。それにしても、1996年の東京国際映画祭で上映された『豚が井戸に落ちた  日』の暗く重たい作風が、随分と変わった感じがした。作中の「監督」は、いつ  も資金源に悩んでいて「インディペンデントなら自由に撮れる」などという台詞  もあり、つい監督本人にダブって見えてしまいました。                                 鳥野 韻子 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆3☆鎗火☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     The Mission     ★★☆☆☆     1999/81分/スコープ     監督:ジョニー・トゥー     出演:アンソニー・ウォン、フランシス・ン、ジャッキー・ロイ     第13回東京国際映画祭協賛企画 香港映画祭  ロイ、シン、グワイ、フェイ、マイク。ボディーガード兼殺し屋の5人が同じ仕  事に雇われる。彼らは時に反発し、時に同調しながら殺し屋から社長を守って行  く。仕事を終え、あるルールを破った仲間を処理しなくてはならない。それは仲  間への裏切りか、男同士の友情か、自らの命をかけた選択を迫られる。  名作「ロンゲスト・ナイト」もこの度の香港映画祭で再映された、名監督ジョ  ニー・トゥー。前売り券も早々に売りきれ日本での人気も上々だが、実際は前や  両端に空席が目立つし、関係者席は半分も埋まらない。どうやら、興味のない相  手に招待券を配りすぎているよう。  東京国際映画祭は映画によって非常に空席が目立ち、国際映画祭としての迫力に  かけるし、映画祭としてチケット管理が粗雑に思われる。やはり全てとは言わな  いが前売り券が売りきれる作品くらいは、90%席がうまるように工夫しないと観  客とゲストに失礼ではないかな。  さて、映画の感想は★★。迫力?ありません。アクション?期待できません。ス  トーリー?ひねりがありません。役者の魅力?これだけは十分に映されて満足で  す。  音楽はシンセサイザーの軽い冴えない曲でシーンの重厚さを消し去る。銃撃戦に  は説得力がなく、場当たり的だ。単に、「このへんでアクションを見せないと」  とか、「このシーンで銃撃なんて格好いいでしょ」とでも言っているよう。  ショッピング・モールで銃撃される中、立ち向かう5人は黒いスーツを着こみ、  動きも少なく、ひたすら拳銃を向けている。一見格好いいが、アイドル映画か?  これは。  クライマックス! テーブルを囲み仲間に拳銃を向け会う5人。彼らの銃口がどこ  に向いているのかが重要だが、ちょっと映像では分かりにくいぞ。だからアイデ  アを込めたストーリーが引き立たないし、ここからを本編にした方が面白いので  は?と思ったら終劇。うーん、残念でした。  やはりジョニーと言えども毎回名作を生み出すことはできないってこと。                                  立野 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆4☆ワン・モア・デイ☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     Yek Rouz Bishtar     ★★☆☆☆     イラン/2000/73分/ユーロビスタ     監督:ババク・パヤミ     出演:ライラ・サーディ、アリ・ホセイニ     第13回東京国際映画祭コンペティション  小雨降る中、女と男がすこし離れてバス停のベンチに座る。そして同じバスに乗  りこんでいく。交わす会話は極端にすくないが、どうやらお互いに惹かれあって  いる様子。男女の席が区切られた車内で向かいあって座り、時たま視線を交わ  す。そしてまた窓の外に目をやる。この男は実は投獄されているが、言い訳をし  て外出許可をもらっているらしい。女は兄と暮らし、病院で働いているよう。互  いに求め合う2人だが、社会がそれを拒絶している。宗教や慣習が2人をひきさ  いていく。  恋愛映画というにはあまりにもせつなく、極端に説明を省いたストーリーは2人  の恋心さえも台詞で現されることがない。我々はひたすら想像し、画面に答えを  求めるが、監督はそれを用意していない。  2人を映し出すキャメラが少しずつズームしていくと、恋愛映画の始まりを予感  させるが、そのストーリーはページの抜けた小説のように消化しきれない。  男いわく「僕には妻がいた」。女いわく「私は結婚していた」。その言葉がイラ  ンという国で持つ重みは、我々には想像できないほど大きい。  もしかしてこの2人が夫婦なのではないだろうか?映画の中のヒントをどのよう  に解釈するかでストーリーが変わってくる。ここまで細かい点を伝えない映画も  珍しいが、その為に誰の解釈も決して間違いだとは言えなくなる。そこが監督の  ねらい目だったようだ。  題名の通り「もう1日だけ会いたい」その純粋な気持ちだけを描こうとした映  画。残念ながら楽しめるほどではないが、実験的な試みで、多様なイラン映画界  を垣間見た。また、明らかに検閲に引っ掛かりそうなこの映画だが、最近の検閲  は多少緩やかになっているという噂は本当のようだ。  質疑応答で監督は、シーンの説明を求めた観客に「主題は男女の抑制された環  境。なぜ刑務所に入ったというような細かい点を伝える必要がない」と説明し  た。イランの検閲制度に関しては政治的な発言を避けるためだろうか、コメント  しなかった。しかし「イランの検閲で通った部分がこの73分間だ」と。言いたい  ことは十分分かりましたよ、監督。  監督は1979年からカナダに暮らし、最近イランに戻ってこの映画にでてくるよう  な2人に出会ったとのこと。テヘランの今が見られます。  ちなみに、30日(月)20:35の上映は、がらがら。これが日本一と言われる映画祭  の現実です。                                  立野 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆5☆バック・ドア☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     Pisso Porta (Back Door)     2000年/ギリシャ/104min/カラー/35mm     監督:ヨルゴス ・ツェンベロプロス     出演:コンスタンティノス・パパディミトゥリウ、ハリス・ソゾス     第13回東京国際映画祭・コンペティション  1966年、アテネ。父の急死を境に、周囲の状況が一変したディミトリス、13歳。  売春宿での初体験、ドラッグ文化、毋の再婚・・・。そしてギリシャも体制が変  わろうとしていた。  ゲストはヨルゴス ・ツェンベロプロス監督、脚本のデニス・イリアデス、主演の  コンスタンティノス・パパディミトゥリウの各氏。ちょっぴり色黒の監督はユー  モアたっぷり。コンスタンティノス少年は、映画の中より子供らしいが恐ろしく  小顔。可愛い笑顔で人気を集めていた。  1966~7年は丁度ギリシャの変革の年。国王を擁した民主主義が1967年の下士官た  ちによるクーデターで軍の独裁政治がその後7年続いた。そんな国の「変化=思春  期」を少年の思春期とシンクロさせるのが、この作品の狙いだという。  監督の言う思春期とは、頭をあまり使っていない・・ここでもラストで少年は軍  の改革のプロパガンダに使われ、古代ギリシャの戦士の格好でパレードに強制的  に参加させられている・・ひたすら「武勇」を押し出す政治を指している。な  お、クーデター時のシーンはドキュメンタリーフィルムと巧くミックスして作成  したそうだ。  ギリシャでは最近まで映画はビデオ、TVにとられてあまり盛んではなかったが、  昨年あたりからTV局も映画投資を始め、その中でスマッシュヒットを放ったもの  も出て、年間27本位製作されるようになった。東京国際映画祭ではコンペ作品で  日本の作品に非常に共感を覚えた、という監督。「映画は世界共通語。あまり台  詞に頼るのは作りたくない」そうだ。  主演のコンスタンティノスは、「思春期である点は主人公と共感出来る点も多  かった」そうだが、監督は撮影に入る前約8ヶ月に亘り彼と話し合いをしたので、  いざ撮影に入った時は周囲のスタッフとの関係なども含めて楽だったという。彼  は、この役を探していた監督の目に止まって今回の出演となったが、5人兄弟の  うち彼だけが「演技に興味がなかった」そう。  上映後にロビーで「今後は俳優を続けるの?」と聞いたところ「わかんないけ  ど、多分やらないと思うよ」という答えが返ってきた。舞台では監督にギリシャ  語通訳をして貰っていたので、英語が通じるか心配だったが、なかなか流暢な英  語で、話振りが結構大人っぽかった。また、監督にこの映画のギリシャでの反応  を聞いてみたところ「丁度同じ時期に公開中なんだ。まずまずのところかな。」  とか。  タイトルはラストの歌詞に出てくる「心の裏口」の意味だろうか。微妙な問題を  扱いながら、知的な笑いもあってなかなかの佳作。                                 鳥野 韻子 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ ┏━┓                       I N F O R M A T I O N ┃i┃登録・解除・お問い合わせなどについて ┗━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◇◇星(★)の意味___________________________◇ ◇   このメールマガジンで表示されている星は5つが最高で、1つが最低です。 ◇◇メールアドレス変更・解除______________________◇ ◇   このメールマガジンの購読解除は、ご登録された発行元のホームページより出   来ます。こちらでの作業は一切しておりません。   まぐまぐ   (http://rap.tegami.com/mag2/m/0000007585.htm)   マッキー!  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QT MAI               吉田 浩二 ◇◇ScreenKissについて_________________________◇ ◇   映画に関して、「人物」「作品」「映画祭」「制作」と言った観点から紹介・   論評するメールマガジンです。   Copyrights(C), 1998-2000 ScreenKiss  掲載された記事はいかなる形式であれ許可なく転載は禁じられています。 ┼                                   ┼

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