ScreenKiss Vol.187

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Vol.187

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>☆ C O N T E N T S ☆−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−☆<   □キング・イズ・アライヴ   □吠える犬は噛まない   □燃ゆる月 >☆−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−☆S_c_r_e_e_n_K_i_s_s☆< >>☆1☆キング・イズ・アライヴ☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     The King Is Alive     2000年/デンマーク/108min/カラー/35mm     監督・脚本:クリスチャン ・レヴリング     出演: ジャネット・マクティア、ジェニファー・ジェイソン・リー     第13回東京国際映画祭・コンペティション     日本公開予定  飛行機の故障でバスで砂漠を通ることになった観光客。コンパスの故障で方向を  過った上にガス欠。砂漠で援助を待つ羽目になった11人は、「リア王」の芝居を  始める。極限状況におかれた彼等は、次第にエゴを剥き出しにして・・。  監督は<ドグマ95>の創始者の一人で、これはその4本目の作品。ゲストにはよく  通る声の監督と、ヘソ出しルックがお茶目で、映画よりずっと若く奇麗だった女  優のジャネット・マクティアさん。180cmはあろうかという大柄な2人だった。  砂漠に住む老人の目から見た(らしい)、バス乗客の「観察日記」のようなナ  レーションが客観的状況を、『リア王』の台詞が乗客の心理とシンクロして、2  方面から彼等を理解出来る仕組みになっている。更に限られた空間と登場人物と  いう制約が、あたかも舞台劇のようで、これまた2重構造になっている。よく練  られた脚本である。  長年本音を言えなかった夫婦、修復不能にまで冷えきった夫婦、人を見下す事で  威厳のつもりだった老人、破天荒な生き方に疑問を持ちつつ方向を見失っていた  女性・・ここに来て、彼等のある者は愛を、ある者は命まで失う。しかし、最後  に生き存えた人は決して今迄とは違う人生観を持つ事になるが、その辺が、全て  を失いつつ最後に自分を見つける『リア王』との接点を見い出したのだそうだ。  撮影は話の順番通りに進行したので、俳優は乗客の段々に追い詰められていく心  理が掴みやすかったという。が、撮影には6週間かかり日焼けや砂に悩まされたそ  う。実際ナミビアの昔のダイヤモンド鉱山町でのロケだったが、周囲にはほとん  ど店もなく、電話はかかりにくい、TVはない、という生活で撮影後もこのアフリ  カ時間?にすっかり慣れてしまったとか。  一方監督は、感情の発露のシーンが難しく何度も撮りなおしたそうだ。帰りに  メールマガジンの読者へのメッセージを聞いたら「ハリウッド映画だけでなく  ヨーロッパのいい映画を見なさい」との事だった。実はこの映画、今夏アメリカ  のテルライド映画祭(screen Kiss Vol.172~173参照)でも上映されていて、見よ  うと何度かトライしたのにいつも満席だったひとつ。日本でお目にかかれるとは  感激でした。                                 鳥野 韻子 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆2☆キング・イズ・アライヴ☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     The King is Alive     ★★★★☆     デンマーク/2000/108分/スタンダード     監督:クリスチャン・レヴリング     出演:フェニファー・ジェイソン・リー、ロマーヌ・ボーランジェ、        ジャネット・マクティア     第13回東京国際映画祭コンペティション  舞台はセネガル辺りだろうか。砂漠を隣町まで走るバス。コンパスの指す方角を  ひたすらまっすぐ走るドライバー。夜が明け、コンパスが動いていないことに気  がつく。そして、ガス切れ。乗客とドライバーのサバイバルが始まる。狂気を避  ける為、悲劇「リア王」を演じることになるが、次第に極限状態に近づく。  「セレブレーション」「白痴」「ミフネ」に続く、『ドグマ95』第4弾。規制を  自ら作り、それに従った形で映画を製作していく。規制があるために自由な撮影  ができないが、それを逆手にとることで本来の映画のよさを取り戻そうする。  自然光が原則。夜間や室内など暗闇では十分な光量を得られない場合はシングル  ライトで撮影しなくてはならない。昼間は砂漠の明るさが幸いして、撮影に問題  はないし、部屋の暗さは明るさの対極として芸術的だ。一方夜の撮影は、星空し  か光のない世界の暗さを知っている人にとっては、リアルな色合いの映像を楽し  めるだろう。他の映画では決して見られない画面の暗さが楽しめよう。  ドグマの「純潔の誓い」と言われる十戒を逆手にとった脚本がここには存在し、  極限状態という設定だからこそこの十戒が適切であったようだ。「ブレア・  ウィッチ・プロジェクト」で感じるあの恐怖同様、不完全であるからこそ臨場感  が生まれている。  もしも、きれいな撮影、無数のライトで照らし出された夜、影の無い室内が映し  出されれば、この映画は砂漠で遭難することがいかに切迫した事なのかを気づか  せることがないだろう。  究極の映画製作環境が、究極の危機を映し出す面白さを感じる。効果音も排除し  た無音で「砂漠をひた走るバス」を差し込むオープニングは、ドグマのルールに  反するのではないかと思うが、物語の導入部分としては重要なショットになる。  カナナという謎の老人が回想しているかのような設定もドグマに反するようだ  が、微妙に違反することで、映画がすばらしくなるのであれば、ドグマの目的に  沿った事であろう。  「5日後に戻らなければタイヤを燃やせ」と言い残し救助を求めて砂漠に向かう  彼が実は非常に近い場所で死体で見つかるのは、ちょっと滑稽で必要のないこ  と。  それでも「リア王」とこのストーリーの融合がこの映画を非常に重たい物にして  いるが、その重さあってこそこのエンディング(おそらく釈然としない人も多  い)を素直に受け入れ、向かえることができるってものだ。  名作ではないが、シェイクスピア物というジャンルに入れる時、脚本のすばらし  さを感じる。                                 立野 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆3☆吠える犬は噛まない☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     Barking Dogs Never Bite     2000年/韓国/106min/カラー/35mm     監督:ボン ・ジュンホ     出演: イ・ソンジェ、バエ・ドナ     第13回東京国際映画祭・シネマプリズム  大学講師のユンジュは、うるさく吠える犬をマンションの地下に押し込めてしま  う。飼い主が尋ね犬(?)の貼紙をしたので、様子を見に地下に行ってみる  と・・・。マンションの管理事務所に勤めるヒョンナムは、相次ぐ犬の失踪事件  の最中、屋上から犬を遺棄する人をみて追跡するが失敗。が、別の日屋上で犬を  発見するが・・。  物語の基軸に犬の連続失踪事件を据えるものの、ユンジュの教授昇進に絡む賄賂  や、彼等夫婦の関係、犬の捜索に夢中になりすぎてクビになったヒョンナム等、  日常生活の中で「さもありなん」的な可笑しさが満載されている。  これについて監督は、「日常生活から観察した事を一つの物語にまとめた。自分  は漫画を読むのも描くのも好きなので、漫画的なリズムを映画に取り入れてみ  た。」と述べている。この作品は海外の映画祭でも好評だったようだが、笑いの  ツボが日本人の方がよく分かってくれた、と感じたそうだ。ただ、韓国での興業  成績はあまりよくなく、「多分大爆笑だけでない、アイロニー的な部分が受けな  かったのかも」と自己分析していた。  マンションの地下で、管理人が「ボイラーキムさん」の怪奇譚をするくだりは、  どことなく『トイレの花子さん』に共通する所があり、監督が「日本人には受け  た」と言うのが理解出来る。管理人は、実はドッグイータ−?なのだが彼の語り  口が独特で、つい聞きいってしまう。また、真面目で、どこかズレてるが憎めな  いヒョンナム役の女優は、これがデビュー。が、本人のキャラが役とほぼ同じら  しく、自然体で演じて貰ったそう。彼女の親友役の女優もなかなか強烈。  幼い頃、マンションの屋上で剥がされた犬の毛皮を発見した経験を持つ監督。韓  国では犬料理店とペットショップが混在するのも普通という。以前、知人の韓国  人が「朝遊んでいた犬が、晩御飯になってた」と笑顔で話してくれた時には半分  冗談かと思っていたが、これを見たらにわかに信憑性が強まってしまった。間延  びした音で使われている漫画「フランダースの犬」のテーマ曲も雰囲気にぴった  り。                                 鳥野 韻子 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆4☆吠える犬は噛まない☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     Barking Dogs Never Bite     ★★★☆☆     韓国/2000/106分/ビスタ     監督:ボン・ジュンホ     出演:イ・ソンジェ、バエ・ドナ     第13回東京国際映画祭シネマプリズム  韓国映画「江原道の力」を見た方は?あの設定、教授になりたい大学院生と先  輩。高層アパート、若い夫婦。今回も同様にそんな生活の中で、日々のストレス  が絡んで巻き起こる事件をコメディータッチで描いている。韓国ではこの設定自  体にユーモアがあるのだろうか?  しかし男女のからみはありませんから、韓国映画の異様に生々しい『からみ』の  シーンが苦手な人にもお勧めです。アパートの住民達が犬にからんだ事件が巻き  起こし、そこからいくつかの波紋が生じていくというドタバタ劇。そのくせシリ  アスな夫婦の会話があり、仕事の厳しさがあり、友情やらなにやらあいまいなも  のにも目を向けていく。「学校の怪談」ばりのくだらない怪談あり、奇人変人あ  り、妊婦もいて人物の幅が面白い。  欲張りな脚本が幸いしてか、この作品は韓国では興行的にはかんばしくない結果  とのこと。ところがどっこい、日本人に非常に近い文化がある韓国だからこそ、  そのまま日本で受け入れられるギャグや間合い、主人公達の行動に親近感を覚え  ることができる。と言いつつも、犬を食する文化のない日本にとってその行動の  異常さが際立つ為、笑いの対極にある恐怖に近い感覚がこの映画の魅力ではなか  ろうか。  日本でも短館系としての上映なら十分ヒットしそうだが、映画館の方々はどう見  る?  「フランダースの犬」が韓国で流行ったのかどうか知らないが、主人公はカラオ  ケで歌い、BGMとしてジャズ調、ヘビメタ調となって流れる。このこと自体が日本  人にとってはギャグです。  日本人のつぼにはまる映画でした。監督はこの後6時50分の成田エクスプレスで  成田空港へ向かい、ロンドンの映画祭でも上映されるこの映画の為にイギリスへ  出発されました。                                  立野 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆5☆燃ゆる月☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     The Legend of Gingko     2000年/韓国/カラー/35mm     監督:パク ・チェヒョン     出演: ソル・ギョング、キム・ユンジン、キム・ソックン     第13回東京国際映画祭・特別招待作品     2001年公開予定  太古の韓国。メ族とファサン族は争いの末、メ族は荒野へ追いやられた。部族再  建にはファサンの王族の血が必要で、その為ハンを誘惑したスは娘、ピを出生し  た。ピを「天剣」の生け贄にし、神山の呪いを逃れようとしていたのをハンが助  けたため、ピはファサン族の地で育つ。そこで同い年のタン、ジョク、ヨン等と  共に成長していくが15年経ち「天剣」の目覚める日、再びピを巡って争いが始ま  り・・。  『シュリ』でスマッシュヒットを飛ばしたカン・ジェギュが、今回は製作にまわ  り、彼のもとで脚本、助監督を長年勤めてきたパク ・チェヒョンを監督に起用し  た。  今回上映時間が記載されていないのは、実はまだ監督が韓国で最後の編集作業に  当たっているからだ。今回の上映が韓国に先駆けて行われた、いわば「東京国際  映画祭バージョン」。そこで監督に代わりカン・ジェギュ氏が来日した。  撮影に9ヶ月、膨大なオープンセットは国内初の映画テーマパークとして保存され  るというから、かなりのスケール。神山が暴れる度に家のセットが見事なまでに  崩壊する。『火の鳥』と『もののけ姫』が合体したようなものか。神山のパワー  はディダラボッチのようだ。しかし、部族抗争が絶えない中、ファサン族の主要  な仕事が紙梳きというのも面白い。  原題は『タン・ジョク・ピ・ヨン・ス』と主要なメンバーの名前が並んでいる。  「名前の響きがよかったので、タイトルにしてしまった」そうだが、各俳優は、  韓国で今一番ホットな人ばかり。今回はヨン役で、『シュリ』に続きまた華麗な  アクションを見せるキム・ユンジンと、優しいタン役のキム・ソックンが来日し  た。  キム・ソックンは眉毛が凛々しくハンサムな、礼儀正しい好青年。紅一点のキ  ム・ユンジンは表情豊かなスリムな美人。ただし、劇中では古代の狩人のような  服に身を包んでいる。ある種の三角(正確には四角か?)関係や、個と部族の葛  藤、抗争等が混在しているものの、根底は「愛」がテーマのコリアン古代コス  チュームドラマ。                                 鳥野 韻子 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ ┏━┓                       I N F O R M A T I O N ┃i┃登録・解除・お問い合わせなどについて ┗━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◇◇星(★)の意味___________________________◇ ◇   このメールマガジンで表示されている星は5つが最高で、1つが最低です。 ◇◇メールアドレス変更・解除______________________◇ ◇   このメールマガジンの購読解除は、ご登録された発行元のホームページより出   来ます。こちらでの作業は一切しておりません。   まぐまぐ   (http://rap.tegami.com/mag2/m/0000007585.htm)   マッキー!  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QT MAI               吉田 浩二 ◇◇ScreenKissについて_________________________◇ ◇   映画に関して、「人物」「作品」「映画祭」「制作」と言った観点から紹介・   論評するメールマガジンです。   Copyrights(C), 1998-2000 ScreenKiss  掲載された記事はいかなる形式であれ許可なく転載は禁じられています。 ┼                                   ┼

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