ScreenKiss Vol.192

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Vol.192

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>☆ C O N T E N T S ☆−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−☆<   □ブード・ヤム   □スペース カウボーイ   □キリストの名のもとに   □バイバイ、アフリカ   □男と女 >☆−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−☆S_c_r_e_e_n_K_i_s_s☆< >>☆1☆ブード・ヤム☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     Buud Yam     ★★★★★     1997/ブルキナファソ/97分     監督:ガストン・カボーレ     第5回東京アフリカ映画祭     テアトル池袋にて、11月18日〜24日まで  村から追い出されそうになった青年ウェンド・クニ。そのとき、妹が謎の病に倒  れる。彼女を助ける唯一の方法は薬草「ライオン・ハーブ」を持つ呪術師を探す  こと。サハラを横断し、呪術師と共に村に戻るまでの困難な道が描かれる。  なんと面白い。感動的で、奥深い、印象的な映画か。ストーリーを子供に話して  聞かせるときこの話は冒険童話であり、大人にとっては寓話に変わり、映画とし  てジャンルを付けるならロードムービーだ。構成はネバーエンディングストー  リー。  ロードムービーの楽しみは、行く先々で起こる事件や出会いだが、この映画では  そのテンポの良いハプニングの到来に脚本のセンスを感じる。移動を主体として  描きすぎず、次々になにかが起こるから面白さが持続する。  夢としての映像かフラッシュバックか、時たま流れる主人公ウェンド・クニの過  去の映像は唐突すぎず、物語のリズムを壊さない程度に差し込まれ、編集のテク  ニックを感じる。おかげで口にしたくないはずの自分のつらい過去を観客の為に  説明するといったアホなセリフを必要としない。しかも白々しすぎない程度にセ  ピアカラーで、まるで画面サイズも小さくなっているかのようなコンパクトな印  象。上手い!  病気で寝ている妹ブネリ。そこは土で作られた質素な小屋にゴザをひいてあるだ  けの部屋だが、撮影に十分な光量を与えつつ、自然な色合い、絵画のような色合  いが見られる。真横から寝姿を捉えるあたり、看病している数人が両端に収まる  ショットはカメラと被写体の距離感がすばらしい。彼らの『立ち位置』も三角に  構図がとられ、見る目にやさしいのは監督のセンスか?  舞台になっている村には医者がいない。これはそのまま先進国へ向けたメッセー  ジとも理解できる。こうやって勝手にさまざまな解釈ができるという意味で、脚  本の奥深さと懐の大きさも感じではないか。  ロードムービーが好きな貴方、これを見ずして死ねるか?  ちなみに、これはブルキナファソ映画です。ブルキナファソはアフリカの中でも  最貧国と言われ、砂漠しかないような国。地図で探してみましょう。土地は狭く  はないが、砂漠ではなにもできない。暑さも半端ではない国で、観光資源にも乏  しく、屋内マルシェ(屋根付きグランドでの市場)くらいしか外国人の楽しみは  ない。(ちなみに私は行ったことがあります。)  「まさかあんな国で映画」と思ってしまいましたが、FESPACOといわれるアフリカ  最大の映画祭が毎年盛大に開催され、映画作りも盛んな国だとのこと。人は見か  けによらないどころか、国はみかけによらない。この映画があの国から来たなん  て、私には信じられませんが、満点をつけた今、映画を探して西アフリカに旅立  ちたい欲求に誘われます。                                 立野 浩超 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆2☆スペース カウボーイ☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     SPACE COWBOYS     ★★★☆☆     2000/分/スコープ     監督:クリント・イーストウッド     脚本:ケン・カウフマン     出演:クリント・イーストウッド、ドナルド・サザーランド、        トミー・リー・ジョーンズ、ジェームズ・ガーナー     http://www.spacecowboy-jp.com  年老いた飛行士は40年ぶりに宇宙に向かうチャンスを得る。任務は旧ソビエトの  遺産、通信衛星(?)の修理。「ダイナソー時代の遺物」と言われるほど古臭い  システムには、現代の優秀な科学者も歯が立たない。そのシステムを設計したフ  ランクとその仲間3人がわずか1ヵ月で訓練を終え宇宙で任務を遂行するが、衛  星には思わぬものが装備されていた。そして、事故に見舞われ、運命を賭けた選  択をする。  1958年、若かりし飛行士の勇士はセピアの白黒で描かれる。そして現在のNASAの  姿に切り変わる。「Present Day」とキャプションが出なければ何年前の映像だろ  うかと考えてしまいそうなほど、まったく新しさを感じない現在のNASAの映像は  おもちゃのように見える。あれはセットなのか、ロケーションなのか?  ジェリーは飛行士を引退し、今はジェットコースターの設計をしているが、この  アイデアは面白い。映画初出演の職業ではないかな?(他の映画があれば誰か教  えてください。)  他に、教会の牧師と現役プロペラ機のパイロットという職業はハリウッド娯楽映  画的すぎて興醒めだが、単なる娯楽映画だから許すべきか。ホーク(パイロッ  ト)の腕に輝くブライトリング(時計)は時計好きにはたまらない小道具。それ  でも台詞が中途半端に途切れるシーンには不満が多いね。例えば、牧師の説教が  飛行士時代の昔話に変わるシーンはもう少し長引かせて感動を誘う脚本が書けな  かったのかと残念だ。軍隊映画には必ずでてくるバーでの喧嘩だとか、みんなに  強引に恋愛をさせて女を付けるなんて、時代遅れの脚本。  その点、「パーフェクト・ストーム」の脚本の方が自然に見えたのは、恋愛相手  が適切で、必然的な相手同士であった為だろうか。  宇宙に飛びたつ理由が英雄的なものではない点は白々しくなくて好きだし、60  才を過ぎた飛行士という設定はこれからのNASAで現実になる実験だから、映画的  すぎる物語ではない。もちろんあれだけ短期間の訓練で飛びたてるとは思えない  が、2人の若くて優秀な飛行士がつきそいでいるから安心だ。ロシアから十分な  説明もないまま衛星の修理にスペースシャトルを出すアメリカなんてありえない  だろうが、ロシアにだまされたと考えればいい。  それでも余計なシーンが追加されすぎる為、どこをとっても歯抜け。宇宙に行っ  てまでも、若い飛行士が問題をおこしたりする。もっと雄大に泳ぐ宇宙遊泳の  シーンが長くても予算に影響なかっただろうに。問題が起こった時も「アポロ  13」のような緊張感はなく、淡々と成り行きで行動しているかのようだ。NASA  の官制室は見ているだけ。  これが今年一番の映画?好みの問題ですか○○さん!?                                 立野 浩超 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆3☆キリストの名のもとに☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     Au Nom du Christ     ★★☆☆☆     1993/コートジボワール/90分     監督:ロジャー・ニョアン・ムバラ     第5回東京アフリカ映画祭 テアトル池袋にて、11月18日〜24日  新興宗教の誕生と破滅を描いた風刺的な作品。  村でしいたげられている豚飼いの男がある日神の啓示を受ける。それは単なる幻  か。彼は狂人の女を治し、乱暴な男をあっという間に信徒にするという奇跡を見  せる。その噂から次第に教徒を増やしていく。宗教は次第に彼自身の欲望を満た  す道具になる。そして自己暗示からか、彼は自ら十字架の上で死を選ぶ。  好感もてるのはその描き方で、男の一人称で語られる話ではなく、三人称で時に  は遠くから、または傍らから眺めているような雰囲気。宗教の力が及ぼす人への  影響力があまり滑稽に描かれることなく、宗教が必要な人たちとその指導者に対  して同情的になることもない。世の中に星の数ほどあるだろうこの現実を端的に  まとめ、説教くさくならないのもいい。しかしその反面、物語の面白さにはかけ  る。退屈してしまうし、指導者の感情の変化が分かりにくい。  最初は彼を信じる我々だが、彼のトリックを暴くシーンや性的な行動から、もし  かしてインチキな奴かと疑問を抱くわけだ。もちろんどちらが本当かという答え  は明確に示されない。映画としてはその手法が私は好きだが、この映画ではあま  りに真面目になりすぎて楽しめない。  さて、映画よりも問題だったのは、スクリーンの横にプロジェクターを用いて日  本語の字幕を映し出している装置。途中これが止まってしまうハプニングがあっ  た。その後もしばらく字幕がずれていて、話し言葉はフランス語だけに、かなり  不都合。映画の後にこれに対するお詫びがない点が残念。こちらはお金を払って  きているのだから、少しは客にたいして敬意をはらうべきでしょ。この映画祭が  商業的でないという証拠かな?  もちろん私はそれに怒りを覚えている訳ではないが、映画館としても上映する以  上その程度の心使いが必要だろう。映画好きの中にもうるさ方(私のように?)  がいるし、これが1本目の人であれば次の作品を見る気が失せるのかもしれない  よ。無料ならまだしもね。                                 立野 浩超 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆4☆バイバイ、アフリカ☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     ByeBye Africa     ★★★☆☆     1998/86分/チャド     監督:マハマート=サレー・ハルーン     第5回東京アフリカ映画祭 テアトル池袋にて、11月18日〜24日  パリからチャドに戻った映画監督ハルーン。内戦で荒れ果てた街と、壊れたまま  再建されることのない映画館をビデオカメラで撮り始める。それはチャドの経済  状態を語る映像だ。故郷の街にいるハルーンの友人と親族、そしていたずら好き  な甥っ子。甥っ子はハルーンのビデオカメラにあこがれ、ブリキでカメラを作  る。ハルーンは故郷の街で映画「バイバイ、アフリカ」の撮影を進めるがプロ  デューサーは見つからない。そしてフランスへ戻る日、彼は甥っ子にビデオカメ  ラを託して故郷を後にする。  アフリカ映画祭のオープニングに「バイバイ、アフリカ」を持ってきた事に主催  者のしゃれっ気とメッセージを感じる。素晴らしい企画ではないか。このストー  リーのメッセージもそれに適合して、映画祭が単なる娯楽で企画されているので  はないと理解できる。  ハルーンがカメラでとった映像はそのままドキュメンタリーとして、白黒の荒い  映像が時折挿しこまれることで映画のリズムを正してくれる。そのハルーンの姿  はしっかりと他のカメラで撮影されている訳だが、その撮影もあえてドキュメン  タリータッチだ。ハルーンは「人生を撮る」といって「バイバイアフリカ」の撮  影に挑む訳だが、なかなか重たい台詞で印象的。  街でオーディションを開くが、そこに集まる人々は表情がいい。映画の中で映画  を作ったり映画館が取り上げられたりすると、トルナトーレ監督を思い出してし  まうのは私だけではなかろう。イタリア映画「明日を夢見て」などで見られる  オーディションに集まる顔ぶれと、この映画で見られる顔に違いはない。純粋に  映画が好きだという眼差しであふれ、「ニュー・シネマ・パラダイス」をチャド  でリメイクしても面白いのではないかと思う。リメイクする事に意味があるので  はなく、脚本が世界的に認められる内容であれば、チャドでも世界的なヒット作  品が生まれるだろうということ。  宝クジでアメリカ行きのチケットを当てた友人は、アフリカに「バイバイ」する  訳だが、実際に旅立つことはしなかった。フランスに戻るハルーンはチャドの映  画をこうやって完成させた訳だし、彼がカメラを子供に譲るのは、次世代への継  承ということか。  エンディングで映画館を地域に作るために署名運動を集め始めた友人。この映画  は最後まで映画好きな監督の熱意を感じさせる。ハルーンはフランスに逃げ帰っ  た訳ではなく、異国でなら作れる映画を作ろうとしているのだろう。  欠点の多い映画ではあるが、監督の映画への熱意を感じて★を増やしてしまっ  た。                                 立野 浩超 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆5☆男と女☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     Un Homme et Une Femme     1966/フランス/104分/カラー     監督・脚本・撮影:クロード・ルルーシュ     音楽:フランシス・レイ     出演:アヌーク・エーメ、ジャン・ルイ・トランティニャン     1966年度アカデミーオリジナル脚本賞、外国語映画賞     1966年度カンヌ映画祭グランプリ  映画館でのリバイバル上映、またビデオや衛星テレビ等で観る事が可能な過去の  作品群を、ご紹介しているが、今回は公開当時世界中で大ヒットした、大人の恋  愛映画の代表的作品『男と女』を取り上げる。以下、本文に続く。  妻に自殺されたレーサーの男(J・L・トランティニャン)と事故で夫を失った女  (A ・エーメ)の2人が、過去の辛い思い出に悩まされながらも、惹かれ合って  いく物語。  冒頭から流れるあまりにも有名なF・レイのテーマ曲。繰り返し使用されていて印  象的だが、テーマ曲を始め、全篇を彩る音楽はボサ・ノバ。セリフの中にも、ア  ントニオ・カルロス・ジョビンなどのボサ・ノバ・ミュージシャンの名前が何人  か挙げられていた。  音楽だけでなく映像も秀逸で、ビデオだと分かりにくいと思うが、カラーだけで  なく、セピアやモノクロ映像も多用され、2人の心理においてに存分に効果を挙  げている。監督自らが、カメラを握っているという点も非常に稀なケースで興味  深い。  主演のJ・L・トランティニャンとA・エーメは、フランスを代表する俳優。今作の  A・エーメは、大人の女の雰囲気を存分に表現し、色気や美しさに溢れている。ラ  スト近くの、ちょっとしたけだるさの様も完璧。外国語映画が、アメリカのアカ  デミー賞にノミネートされるのは、大変珍しい。にも関わらず、先ず無い演技部  門において、彼女は主演女優賞ノミネートを果たしている。  クリスマスを始め、イベントが多くなるこれからの時期。映画館なり、ビデオで  恋人と映画観賞される機会も増えるのではと思う。映像、音楽共にオシャレな今  作は、設定時期も冬の為、季節の共通点も相成り、オススメ出来る作品だ。この  時期、愛する人と一緒に見て、思い出の作品を見つけて見てもいいのでは?今作  は、『好きな人と見た思い出の映画』として何ら遜色のない映画。  最後に、この作品は、1966年度アカデミー監督賞、主演女優賞、オリジナル脚本  賞、外国語映画賞の4部門にノミネートされ、オリジナル脚本賞と外国語映画賞  の2部門受賞した。                                 吉田 浩二 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ ┏━┓                       I N F O R M A T I O N ┃i┃登録・解除・お問い合わせなどについて ┗━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◇◇星(★)の意味___________________________◇ ◇   このメールマガジンで表示されている星は5つが最高で、1つが最低です。 ◇◇メールアドレス変更・解除______________________◇ ◇   このメールマガジンの購読解除は、ご登録された発行元のホームページより出   来ます。こちらでの作業は一切しておりません。   まぐまぐ   (http://rap.tegami.com/mag2/m/0000007585.htm)   マッキー!  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QT MAI               吉田 浩二 ◇◇ScreenKissについて_________________________◇ ◇   映画に関して、「人物」「作品」「映画祭」「制作」と言った観点から紹介・   論評するメールマガジンです。   Copyrights(C), 1998-2000 ScreenKiss  掲載された記事はいかなる形式であれ許可なく転載は禁じられています。 ┼                                   ┼

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