ScreenKiss Vol.194

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Vol.194

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>☆ C O N T E N T S ☆−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−☆<   □エクソシスト<ディレクターズ・カット版>
  □宮廷料理人ヴァテール
  □ハリウッド映画新作情報:ザ・コンテンダー(原題)
  □ロンドン映画祭情報
  □パン・タデウシュ物語

>☆−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−☆S_c_r_e_e_n_K_i_s_s☆< >>☆1☆エクソシスト<ディレクターズ・カット版>☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     THE EXORCIST     恐怖度:★★★★☆     2000/132分/ビスタ     監督:ウィリアム・フリードキン  ああ、ようやくこの映画が公開されました。結局なんだったのでしょう。プリン  トの状態を最良の物にするためという宣伝が今映画館で流れていましたが、はた  してそれだけの理由ではないでしょうに。  文句なく恐ろしい映画です。イラクの遺跡発掘から始まるこの映画のあらすじは  必要ないでしょう。でもこうやって改めて見てみると、ストーリーは単なる悪魔  憑きではなかったのですね。デミアン神父の信仰における葛藤あり、離婚問題あ  り、老人問題あり、今話題の「17歳のカルテ」的な思春期における精神的病気の  難しさあり。だから大人も楽しめる。  さて、悪魔はほんとにいるのでしょうか?いるとしたら、なんでこんなに力が弱  いのでしょうか?少女にとり憑く程度が悪魔の力なのでしょうか?シュワルツ  ネッガーに退治される悪魔もいますが、どうやら悪魔って随分行動に制約がある  ようですね。まあ、私はとり憑かれたいとは思いませんが。  さて、まず少女リーガンの名前の話題から。この響きが恐ろしく感じるのは日本  人だけでしょうか?本当にある名前ですが、「トイレの花子さん」で問題になっ  たように小学校では苦労しそうな名前ですね。  次に皆さんに質問です。映画の中でテープを逆回しして悪魔の声を聞くシーン。  その部屋のドアの上に「TASUKETE」とありませんか?映画館かビデオでチェック  してください。私が恐怖のあまり読み間違えたにしろ、なんて書いてあるので  しょうか?私の場合、見た映画についてあれこれ調べたり、読んだりするのが面  倒なので、皆さんのご助力をお待ちしております。  この映画の色合いは、終始寒さが漂っていて私はとても好きなのですが、場面と  してもいくつか印象的なところがあります。どうしても言いたいのが映画の  しょっぱな、修道女の白いローブが風に舞うシーン、綺麗ですね。デミアン神父  がホームでホームレスから声をかけられるシーン、迫る急行電車が恐怖をそそ  る。  ジョージタウンの町並みは天然石の壁が美しく一見するとイギリス風ですね。  こんな古ぼけた町だからこそ、悪魔が似合う。人物の設定といい、メイクとい  い、ロケーションの絶妙といい、文句無く総合点では満点。スパイダー・ウォー  クについて言えば、意味のない無駄なシーンです。ちょっと大げさ。部屋から出  ると話がややこしくなるでしょ。出ないほうが自然です。                                 立野 浩超 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆2☆宮廷料理人ヴァテール☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     Vater     2000年/フランス・イギリス/118min/カラー/スコープサイズ     監督:ローランド ・ジョフィ     出演:ジェラール ・ドパルデュー、ユマ・サーマン、ティム・ロス     www.vatel-lefilm.com.  ルイ14世からの信任を取り戻すべく、コンデ大公の考案した3日間の大饗宴。国  王はじめ、ヴェルサイユ宮廷臣が大挙して訪れるこの宴会の責任者となったのは  ヴァテールだった。彼は持てる才能の全てを注ぎ宴会を催行するが、最終日に肝  心の食材が調わない。悲観した彼は・・・。  ホイップクリームの考案者、実在の鉄人コックの話とくれば夢のような料理の  数々を堪能出来る・・位の気持ちで見に行ったら・・その莫大な製作費にまずの  けぞり、更に当時の費用が今の3兆5,700億円というのには、あまりの現実離れし  た史実に呆れてしまった。コンデ大公は経費を借金で充当していたが、盛大な催  しの為に不正な蓄財がばれた例もあったようだ。同じ莫大な出費が明暗を分ける  のは皮肉だ。  しかし、料理人というのは薬剤師同様、「食」という生命に関わる職務だから、  かなり信頼されなくてはならない筈だ。しかもヴァテール程の料理人になると、  料理の腕の他にも多岐に亘る教養の深さが要求されるようだ。厨房だけでなく宴  会の演出にかけては大道具から衣装、キャスティングに至るまで目を光らせる。  とすれば、かなりペイも良かったのではないだろうか・・などと考えてしまう小  市民な私。もしそうなら、ヴァテールはかなりの頑固者にして人格者だったと言  える。  目が眩む程の華やかな表舞台も溜め息ものだが、薄汚れた作業衣で仄暗い中黙々  と働く人々や借金取りの場面などは興味深い。まして裏方で命を落す者もいる。  が、お気楽に見える貴族達も、陰では足の引っ張り会い。国王一家とて例外でな  く、馬鹿を装おうオルレアン公もある意味悲劇ではある。何時の時代も根本は変  わらない。  食べれば出るのは自然の事だが、唸りながら臣下と話す(しかも拭いて貰う!)  国王、立ったまま用を足す女官・・リアル。それにしても痛風に小鳥の心臓を用  いる治療にヴァテールの鸚鵡が犠牲になるくだりは、鳥好きな私にはショッ  ク・・。歌声なんかも聞かせちゃうアリエル・ドンバールや、ロングヘアウイッ  グの為に頭頂部がカモフラージュされて、以前のようにハンサムなジュリアン・  サンズなど、キャストでも十分楽しめる作品です。                                 鳥野 韻子 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆3☆ザ・コンテンダー(原題)☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     The Contender     ★★★☆☆     監督:ロッド・ルーリー     出演:ジョアン・アレン、ジェフ・ブリッジス  副大統領の死後、後任選びに揺れるアメリカ。そんな折、知事のハザウェイが事  故車から女性を救出しようとしたという美談が流れる。しかし、大統領(ジェ  フ・ブリッジス)が後任に推したのは女性上院議員のハンソン(ジョアン・アレ  ン)だった。しかしそれを芳しく思わないハザウェイ側のシェルダン(ゲイ  リー・オールドマン)らは彼女を陥れようとするが…。  ホワイトハウスの内幕を描いた映画はコメディからサスペンスまで数あれどここ  まで真面目に女性差別問題に取り組んだ作品は初めてでは。  女性として中絶問題などに真摯に取り組むハンソン。しかし、ティーンの頃の乱  交まがいのビデオ映像や現在の夫が不倫の末に結ばれた相手であることなどが暴  かれ、窮地に追い込まれる。  彼女の「私が男だったら何人と肉体関係を持とうが話題にもならない」「クリン  トンだって彼の過ちに対する責任は負っていない」といった台詞には思わず頷い  てしまう。  一環してシリアスなストーリー展開な上、ニュースの政治討論のような場面が  延々と続くため、途中退屈するものの、変にドラマチックな演出がないため逆に  問題の重要さが心に残る。  それにしてもジョアン・アレンって本当にいい女優ですね。『クルーシブル』な  どでオスカーにノミネートされるもいま一つ役には恵まれていなかったけれど、  この役に彼女をもってきたのは大正解。落ちついた表情に潜む真の強さをときに  美しく、力強く、見事に演じていた。  ゲイリー・オールドマンは最後まで彼とは解らないほどの怪演ぶりで、二人揃っ  てオスカーにノミネートされちゃうんじゃないか?という勢い。  地味な作品なので日本公開になるか疑問だが、ブッシュとゴアが泥仕合を繰り返  す中、涼しい顔で上院議員に当選したヒラリーを思うとなんともタイムリーであ  り、今見て欲しい映画である。  カネボウ女性週間などで公開するのに相応しい作品といった感じ。                                 MS.QT.MAI __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆4☆The Weight of Water☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     キャスリン・ビグロー監督、2000、米  「ハート・ブルー」や「ストレンジ・デイズ」等、ハードタッチな作品を撮って  きたビグロー監督の新作。一体彼女に何が起こったのか?今までとは毛色の違う  作品である。  1875年にアメリカ・ニューイングランドの島で起こった殺人事件についての記事  を書くことになった、フォト・ジャーナリストのジェーン(Catherine McCormak)  が主人公。取材とバカンスを兼ね、彼女と夫のトーマス(ショーン・ペン)、彼の  弟のリッチ、リッチの恋人(エリザベス・ハーりー)の4人はクルーザーで島に向  かう。  船上での4人の微妙な人間関係と100年前の事件の内幕を語る物語を平行して描き  ながら、2つの物語は静かに暗たる結末へと向かってゆく、、、。  ショーン・ペンの重厚な演技は期待通りだが、リズ・ハーリーの「適役ぶり」も  印象深い。フェロモンが匂い立つ「性格の悪そうな美人」をイメージそのままに  演じている。  19世紀の島を舞台にした物語の方は、サラ・ポーリー演じる若い漁師の妻の視点  から描かれているのだが、陰を湛えた張り詰めた演技が素晴らしい。「スウィー  ト・ヒア・アフター」での役と重なる部分のある今役だが、精神的な部分を押さ  えた演技でみせなくてはならない役どころが彼女には合っているようだ。  特別イベントとして「Masterclass」での講演も予定されていた監督であったが、  残念ながら直前キャンセル。上映にはサラ・ポーリーが来場した。スクリーンで  見るよりずっと小柄で驚いたが、その透明感が映像そのままであった。  美しい水の映像を要所に交えた、4人と過去によるインテンシブな物語。ビグロー  監督の新しい一手且つ本領を見た気がした。重い話であるが、飲まれるように見  入ってしまう119分である。                                  hana __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆5☆パン・タデウシュ物語☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     Pan Tadeusz     1999年/ポーランド・フランス/154min/カラー/スコープサイズ     監督:アンジェイ ・ワイダ     出演:ボグズワフ ・リンダ、ダニエル・オルブリフスキ、        アンジェイ・セヴェリン     www.asmik-ace.co.jp/     12月16日(土)より岩波ホールにて公開  1811年、ロシア支配下のリトアニアに帰郷したソプリッツァの息子タデウシュ。  親ロシア派のソプリッツァ家と反ロシア派のホレシュコ家は対立していたが、タ  デウシュの父ヤツェクはホレシュコ卿を殺害して以来行方不明であった。が、彼  はタデウシュが卿の孫に当たる少女ゾーシャと結婚する事を切望している。折し  もナポレオンがモスクワに遠征。タデウシュも軍に加わり、栄光の帰還と同時に  ゾーシャと結婚する。両家の対立も終焉を迎えた。  原作はアダム・ミツキエヴィチの国民的叙事詩『パン・タデウシュ物語』。と言  われてもピンと来ないのが我々日本人だが、被侵略国としてのポーランドの歴史  を考えれば、これがタデウシュを取り巻く家族の物語であると同時にリトアニア  そのものの話である事が理解出来る。冒頭とラストに重なる詩人のナレーション  にその熱い想いが伝わってくる。  史実の縦糸に民衆の闘争、タデウシュの恋、父子愛、ホレシュコ卿殺害の真相等  が交叉して物語に厚味が増している。ポーランド復活の策を練りつつも、次第に  ソプリッツァ家打倒に傾倒していく家来達のシーンはハイライトの一部だが、棍  棒や刀を振りかざす単細胞な輩への智恵者の苦言がいい・・「国の復活という話  が、個人の恨みという小さい事になった途端急にまとまる馬鹿者達め」。これっ  て国民の意思を無視して派閥と保身に執心する、どこぞの先生方とそっくりでは  ないですか?  罪悪感から貧乏神父に身をやつしたヤツェクと、実は絶命寸前に犯人に赦しを与  えていたホレシュコ卿のエピソードもいい。当事者同志では既に終わっていた事  を、忠実な老家来が恨みとして延々持ちつづけていた馬鹿らしさ。でも、この  ロートル、あまりに昔気質な人で憎めない。  舞台がかった彼は、何とワイダの常連D・オルブリフスキ。どちらかと言うと二枚  目の多かった彼の凄い変身には吃驚だ。ヤツェク役のボグズワフ ・リンダの演技  も素晴らしい。またラストを飾るポロネーズは上映後も無意識に口ずさんでしま  う。それにしても国民的叙事詩とは素敵だ。日本にはこれに匹敵するような作品  があるのだろうか?と見終わってしばし考えてしまった。                                 鳥野 韻子 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ ┏━┓                       I N F O R M A T I O N ┃i┃登録・解除・お問い合わせなどについて ┗━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◇◇星(★)の意味___________________________◇ ◇   このメールマガジンで表示されている星は5つが最高で、1つが最低です。 ◇◇メールアドレス変更・解除______________________◇ ◇   このメールマガジンの購読解除は、ご登録された発行元のホームページより出   来ます。こちらでの作業は一切しておりません。   まぐまぐ   (http://rap.tegami.com/mag2/m/0000007585.htm)   マッキー!  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QT MAI               吉田 浩二 ◇◇ScreenKissについて_________________________◇ ◇   映画に関して、「人物」「作品」「映画祭」「制作」と言った観点から紹介・   論評するメールマガジンです。   Copyrights(C), 1998-2000 ScreenKiss  掲載された記事はいかなる形式であれ許可なく転載は禁じられています。 ┼                                   ┼