ScreenKiss Vol.201

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Vol.201
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>☆ C O N T E N T S ☆−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−☆<   ■TOKYO FILMeX特集   □井戸(The Well)/ 蜂の飛行(The Flight of the Bee)   □ジョメー   □ジュリエット・イン・ラブ   □ただいま   □天上の恋歌   ■200号記念プレゼント・ScreenKiss映画大賞募集投票受付中    詳しくはVol.200で! >☆−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−☆S_c_r_e_e_n_K_i_s_s☆< >>☆1☆井戸 / 蜂の飛行☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛  □井戸(The Well)     2000年/タジキスタン/48min/モノクロ/35mm     監督:ジャムシェド・ウスモノフ     出演: タゴイムロド・ロジク、グルチェブラ・ナイモヴァ  □蜂の飛行(The Flight of the Bee)     1998年/タジキスタン・韓国/88min/モノクロ/35mm     監督:ジャムシェド・ウスモノフ、ミン・ビョンフン     出演: ムハマッド・ジョディ     TOKYO FILMeX・特別招待作品  牛の世話に明け暮れる毋と、日がな一日ヴァイオリンを弾いている父。少年は水  汲みの重労働に辟易し家出を宣言。父は井戸掘を始めるが水は一向に出ない。し  かも大きな岩が邪魔をしていて掘り進む事もままならない。手伝いと引き換えに  牛を殺してラジカセを買って貰える約束だった少年は遂に牛を殺してしまう。  (井戸)  貧しい小学校教師の隣家の金持ち男。境界にトイレを設置し教師の妻を覗き見す  る。教師は村長に相談するが無視され、村長宅の隣家を買い取り境界に公衆トイ  レを掘り始める。村長は権力を傘に応戦し、教師は疲労で倒れる。が、回復後穴  を見に行くと、そこに湧水を発見する。(蜂の飛行)  製作年代は逆だが、上記の順番で連作になっている。前者は製作途中にソ連が崩  壊し、未完になっていたのを今年ヨーロッパファンドで完成させた。同じモノク  ロながら後者はややセピアっぽい色調だ。先生、穴、水、馬、一人息子、永年連  れ添っていながら夫に無視されていると感じる妻、古くからの言い伝え・・2作  に共通するキーワードである。  どちらも穴掘りに夢中になって、当初の目的を忘れるところは何だか安倍公房の  『砂の女』みたいだし、闇が怖くて一人でトイレに行けない息子や、母親の語る  迷信などは『日本昔話』みたいで可笑しい。特に『蜂の飛行』の由来である物語  は、老親を捨てる命令に背いて親を隠しながら戦争に赴いた息子が、蜂の性質を  知る父の知恵で兵隊を助けた・・というものだが、日本の姥捨て伝説にそっくり  だ。  蜂が水を求めて飛行する性質・・これがそのまま2つの物語の中心に据えられて  いる。生きるために必要なものは水だけでなく、家族や隣人、ひいては互いの  「愛」。それを求めて人々は生きているんだ・・なんていうメッセージに受け  取ってしまった私は大袈裟でしょうか?                                 鳥野 韻子 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆2☆ジョメー☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     Djomeh     監督・脚本:ハッサン・イェクタパナー     TOKYO FILMeX 2000  アフガニスタン人青年のジョメーは、同郷の兄貴分と2人でイランの酪農家へ出  稼ぎにきている。農場主の中年男は独身。2人は日課のように、トラックの中で  恋愛や生活について話を交わす。ジョメーは雑貨屋の娘セタレ(星という意味)  に恋をし、結婚を取り持ってもらいたいと農場主に相談する。仕事帰りの夜に娘  の家に立ち寄り、親と縁談進め、報告してくれる約束だったが・・・。  イラン人のアフガニスタン人に対する差別的な態度が見られる作品。青年の恋物  語だけではなく、小さな保守的な村の中にもある社会問題を的確にとらえるとと  もに、主人との男同士の約束が不可解な結末で終わりを告げるという、無常な作  品。  会話を楽しむことができなければただの退屈な映画という印象で終わるだろう。  結婚式の風景やイランの小さな村の様子がリアルに映し出されるが、民族的な興  味をそそられるほどではない。見慣れたイラン映画の雰囲気というより、見たこ  とのある人も少なかろうが、中央アジアの映画のようだ。  監督がQ&Aでコメントしたことを以下抜粋。  「アフガニスタン人とイラン人の結婚はありえるか」  新しいイランの法律で、それは禁止された。理由としては、過去に多くのイラン  人女性が結婚し、子供を産み、その後アフガニスタン人が故郷へ帰ってしまった  という社会問題があった為。以前は400万人くらいのアフガニスタン人がイランに  いたことがある。  「小物や風景の中にブルーが印象的に使われていたが」  ブルーは意図して使った。空の色であり、どこの空も同じ色ということを言い表  したかった。また、観客にはそのブルーの色のような感想を持ってもらいたかっ  た。  「キアロスタミ監督の「桜桃の味」と共通の撮影手法が見られたが」車の中の撮  影は、彼の下手なまねごとになるのではないかと思い、キアロスタミ監督に相談  をした。2人が愛に関して話あうとき、それは町中ではなく、車の中という狭い  空間が必要だった。  また、セタレはペルシャ語で星を意味する。イランの哲学では、天にたどり着く  までには動きつづけないといけないから、(車で)動き続けていたんだ。坂道を  自転車で走るシーンなど、上に登り天に近づくというイメージから。  最後に監督は、映画のエンディングに関してコメントし、「(農場主が)セタレ  に恋をしてしまったのかもしれない」と、少なめの観客に重要な意見を述べてく  れた。たしかに、それは間違いないでしょうね。                                 立野 浩超 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆3☆ジュリエット・イン・ラブ☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     Juliet in Love     2000年/香港/89min/カラー/35mm     監督・脚本:ウィルソン・イップ     出演: フランシス・ン、サンドラ・ン、サイモン・ヤム、エリック・コット     TOKYO FILMeX・コンペ作品  乳癌で片乳房を失い、離婚したジュディーは祖父と2人暮らし。祖父が交通事故  で入院した病院へ、勤務先の料理店でもめ事を起こした客のジョーダンが入院。  チンピラの彼はボスへの借金の返済が出来ず殴られた。そこへ、彼の退院と入れ  代わりにボスが不倫を理由に妻に刺されて入院してくる。不倫相手との子供の世  話を条件に借金を半減されたジョーダン。行き掛り上一緒に世話する羽目になっ  たジュディとのおかしな同居が始まるが・・。  面白うてやがて哀しき・・の典型的なお話。偶然の出会いから、行き掛り上共同  で名前も知らない赤ん坊を育てる羽目になった男女。前半はその騒動がコメディ  タッチで描かれる。「こんな筈じゃなかった」事がどんどん自分の思惑からそれ  ていく二人。それが「これも悪くない」から「実はこれが本当の目的だったん  だ」と気付いた時点で悲劇が待ち受ける。これが人間の哀しいところだ。  天涯孤独なジョーダンと人生に絶望したジュディとその祖父。彼女を密かに愛し  ている教習所教官・・それにここには大事なキャストがもうひとりいる。それは  何とコーラ。壜入りのコーラを求めるジュディのシーンに始まり、時に凶器にな  り、常に重要なシーンの目撃者だ。何よりコーラを愛する祖父の口癖は「人生に  はコーラと希望。女には健康と家庭」。そして後半の主人公二人の心情を代弁す  るように、スマイルマークのキーホルダー。小道具の印象づけが実に心憎い。  ジュディの元へ戻ろうとキーホルダーに手を伸ばした途端、頭を強打され絶命し  たジョーダン。その手からキーホルダーが消えてジュディの家のドアにささって  いるラストシーンは特に印象的だ。彼の帰りを待ちわびるジュディの側に、確か  に彼は1度戻って来たのだ。  子煩悩でちっとも凄みのないマフィアのボス。チンピラの端くれの癖に?情けな  い表情のジョーダン。ステレオタイプなヤクザが多い中で、かなり人間臭くて面  白い。  俳優もかなりはまっていて飽きない。                                 鳥野 韻子 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆4☆ただいま☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     Seventeen Years     2000年/中国・イタリア/89min/カラー/35mm     監督:チャン ・ユアン     出演: リウ・リン、リー・ビンビン、リー・イエッピン     1999年ヴェネツィア国際映画祭銀獅子賞(最優秀監督賞)     TOKYO FILMeX・特別招待作品     12月30日(土)よりテアトル池袋にて公開  毋の連れ子タウ・ランは活発な16歳。高校卒業後は工場で住み込みを希望してい  る。彼女の義姉ユー・シャオチンは勉強好きで大学進学が夢。ある日、消えた父  の5元を巡って朝から両親が大喧嘩。盗んだ姉は金を素早く妹のベッドに隠し、  犯人にされた妹は憤懣やるかたない。はずみで義姉を殺したが、模範囚だった彼  女は17年ぶりに正月を家で迎える許可が出るも出迎えがない。見兼ねた刑務所の  主任が彼女の帰郷に同行するが・・・。  見終わってまるで1つの舞台劇を堪能した樣な気分だった。特に後半の彼女の帰  宅からは、各人物の今にも破けてしまいそうな心の襞をそっと拡げていくよう  な、それは丁寧な演出だ。台詞もここからは極端に少なくなる。さながら昔の日  本映画のよう。表情と動作で心の表現を余儀無くされた俳優の力量が伺える。  が、驚いた事に彼等の大半は映画初出演だそうだ。主任役のリー・ビンビンの美  しさはリアルな演出の中に1点華を添えている。  まるで「父帰る」の娘バージョンだが、夫のお気に入りの娘をわが子が殺めてし  まった、という負い目から常に感情を押し殺して生きてきた母親。どうしても赦  す事が出来なかった父親。この家族の氷解の触媒となる刑務所の主任。少しだけ  明らかにされるこの若い主任の家族の様子は、タウ・ランの重苦しい家族と対称  的だ。  翌年には釈放も決まっているタウ・ランだが、この一時帰郷はそれからの彼女の  運命を決めかねない程大きい筈だ。社会に受け入れられる前に、その最小単位で  ある家族の対応が受容しなくてどうして社会で生きていく自信が生まれよう。  『ショーシャンクの空に』という映画で人生の大半を刑務所で過ごした老人が娑  婆に出た途端自殺してしまう。老人には最早親しい家族もなく広すぎる社会は脅  威だったのだ。  実を言うと馬鹿な私は最後までこのタイトルを『おかえり』だと思っていた。苦  しんで来た娘を「おかえり」の一言で包み込めるのは家族しかいない。それが出  来ない親も辛いのだ、と。「あの5元は私が盗ったの」・・タウ・ランの父への優  しさ。  解説によれば今でこそ400円程の価値しかないが、17年前では部屋代と光熱費で3  元だったそうだからちょっとした大金と言える。  実はこの作品、本物の刑務所内にカメラが入る事を政府が初めて許可した事でも  話題だそうだ。公開は作品の時期とほぼ同じ12月の末。たまにはこんな映画でし  みじみとした年末を過ごしてみるのもいいかもしれない。                                 鳥野 韻子 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆5☆天上の恋歌☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     Love Will Tear us Apart     1999年/香港/109min/カラー/35mm     監督・脚本:ユー・リクウァイ     出演:レオン・カーファイ、ワン・ニン、リュ・リーピン、        ロルフ・チョウ     TOKYO FILMeX・コンペ作品     香港国際映画祭国際批評家連盟賞     2001年春シネ・アミューズにて公開  レストランの受付をしている年上の女性ヤンと同棲するジエン。彼の経営するAV  ショップでぼったくられそうになって恨みを持つエレベーター整備士のリー。ジ  エンがコンビニで一目惚れした娼婦のエン。中国本土から香港に渡ってきた彼等  の触れあいと別れのちょっと切ない物語。  この作品には、中国返還を巡る人々の心情を香港側から描いた『ホールド・  ユー・タイト』が記憶に新しいスタンリー・クワン監督と、ノーギャラでもこの  作品への出演を引き受けたというレオン・カーファイがプロデューサーに名を連  ねている。  こうした錚々たる面々をそれ程までに惹き付けたこの作品の魅力・・・それは香  港という一種独特の場所で繰り広げられる、人間関係だろう。同じ中国人であり  ながら「大陸」の人間を拒絶するかのような香港。触れあえそうでいて、一定の  距離以上には縮めないハリネズミのような関係。ある程度はあうんの呼吸で通っ  てしまう我々日本人のぬるま湯的な社会からは想像出来ない厳しさが感じられ  る。  「女の子が一人でやっていくのって大変なのよねー」とは、結局娼婦の道を選ん  だエン。恋人は強盗の罪で銃殺。香港で巡り会ったジエンもノラリクラリしてい  る。大陸でのエリート軍人もここではただの掃除係。ビルの壁面に「香港を愛  せ。祖国を愛せ」と書かれていてどうやら祖国と香港は別ものらしい。最後に彼  女は大陸への帰郷を決断する・・。  ジエンもリーに店を爆破されて結局はヤンの元を離れられない。古い映画の陳腐  な台詞とラジオのデート番組で気を紛らわす。ヤンは彼の女癖を知りつつ孤独が  怖い。足首から先の義足の原因を毎回でっち上げては自分を正当化している。彼  女もまた過去に恋人を失っているようで、彼が夢中だったテレサ・テンの歌が慰  め・・皆現実からの逃避を試みながら生きている。  香港と言えばちょっとエキゾチックで華やかで「買い物ツアー」的イメージの強  い日本人。香港の別の顔を見られる作品だ。コメディでも2の線の域を越えな  かったレオン・カーファイが女に殴られて止血にタンポンを鼻に詰めている・・  なんていう情けないシーンも見られるおまけ付き?だ。                                 鳥野 韻子 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ ┏━┓                       I N F O R M A T I O N ┃i┃登録・解除・お問い合わせなどについて ┗━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◇◇星(★)の意味___________________________◇ ◇   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QT MAI               吉田 浩二 ◇◇ScreenKissについて_________________________◇ ◇   映画に関して、「人物」「作品」「映画祭」「制作」と言った観点から紹介・   論評するメールマガジンです。   Copyrights(C), 1998-2000 ScreenKiss  掲載された記事はいかなる形式であれ許可なく転載は禁じられています。 ┼                                   ┼

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