ScreenKiss Vol.204

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Vol.204
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>☆ C O N T E N T S ☆−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−☆<   ■TOKYO FILMeX特集   □ウェイブ   □ブラックボード - 背負う人 -   □コンペ結果   □後記   □バトル・ロワイヤル   ■200号記念プレゼント・ScreenKiss映画大賞募集投票受付中    詳しくはVol.200で! >☆−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−☆S_c_r_e_e_n_K_i_s_s☆< >>☆1☆ウェイブ☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     Wavaes     2000年/インド/135min/カラー/35mm     監督:マニ・ラトナム     出演:マーダヴァン、シャーリニ、ジャヤスダー、シュヴァルナマーリ     TOKYO FILMeX・特別招待作品  友人の結婚式で知り合ったSEのカールティクと医学生のシャクティ。家族に反対  された2人は友人立ち会いのもと密かに結婚。シャクティの姉の結婚話で事実が  ばれ、勘当された2人だが、蜜月も去ると些細な事で喧嘩の毎日だ。シャクティ  の父が急死し、夫婦喧嘩が元で臨終に間に合わなかった事を後悔する。カール  ティクの機転でシャクティの姉の結婚がまとまった日、シャクティは交通事故に  遇い・・。  ノリノリの音楽でバイクに乗り、シャクティの出迎えに行くカールティク。幾ら  待っても来ない妻・・・そして・・と現在と過去を時々織り込んで、ラブスト−  リーの中に緊張感を持たせた。「この世は愛しあう2人の為にあるのよ」的バラ  色の前半に比べ、結婚を境ににわかに「生活」という現実の壁を前面に押し出す  後半のコントラストがいい。お約束のダンスや歌も健在。  親同志で決める伝統的な結婚が、都市部では恋愛結婚に変わりつつあるという。  シャクティは女医だし、カルーティクも世界を相手のIT産業という恵まれた状況  で、将来的には独立して十分家庭を築ける夫婦。今やインドは屈指のIT産業国だ  し、これでは伝統的な結婚に納まる筈がないだろう。この作品ではどうやらシャ  クティの方はパキスタン系、カールティクはインドと血統的な問題もあるよう  だ。  経済的に問題がなければ、余程カーストにこだわらない限り都市部では今後も作  品のような結婚形態が増えて来るのも当然だろう。会話の中に英語が混在してい  るのは、様々な文化の流入を示唆しているのだろうか。  この作品はむしろ、どの世界でも共通する「恋愛と結婚は大違い」・・まさに健  やかな時も病める時も愛しますか?・・を身を持って認識する若い夫婦の精神的  な成長記録だ。「結婚は譲歩だよ。恋愛時期の愛はただの幻想。本当の愛は地下  に育つんだ。地味だけど強い」・・カールティクが友人に言われる言葉。なかな  か巧い表現だ。                                 鳥野 韻子 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆2☆ブラックボード – 背負う人 -☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     Blackboards     2000/イラン/85分     監督:サミラ・マフマルバフ(モフセン・マフマルバフの長女)     脚本:モフセン、サミラ・マフマルバフ     TOKYO FILMeX  この作品で、カンヌ国際映画祭で史上最年少の審査員賞を受賞したサミラ・マフ  マルバフ。父モフセンの98年の作品「サイレンス」で助監督を勤めた彼女は、昨  年の「リンゴ」で強烈な印象を与えてくれた若干20歳だ。実際、態度にはその若  さを感じる。父との共同脚本となっているが、どこまでが彼女のアイデアなのか  分からない。それでも監督としての彼女は主張をしっかりもった女性である事を  Q&A Sessionから容易に理解できる。  9人の先生が黒板を背負って生徒を探しに村々を歩く。この設定は実際にあるの  かという質問に、「革命以前は見られたことのようだ」とサミラさん。ティーチ  インでの質問に、100倍長い返答を返してくれる饒舌家だ。  手持ちカメラを多用し、多少意味のない手ぶれシーンが見られたが、ステディカ  ムを好きなときに好きなだけ利用できる環境があれば、また必要な器材を十分使  用できるだけの予算があればもっといい映像を撮る才能を持った監督だろう。  次第に苦難に向かい、「生きていくための稼ぎの象徴」となっている黒板を切  り、足を傷めた少年の添え木にする先生がいたり、成り行きで結婚をしたあげ  く、すぐに離婚し持参金の黒板をそのまま妻にもっていかれる先生がいる。そこ  には教育と実生活とのギャップが描かれているようだ。その時を生きていくのが  精一杯な、教育に関心をしめさない運び屋(密輸)の少年達は不幸な結末を向か  え、彼らに教養があったとしても決して簡単に解決できる問題ではないと思い知  らされる。しかし、決して教育を否定していくのではなく、教育のある我々が今  住んでいる環境と、彼らの環境、それを作り出しているシステムのつながり。こ  れらの悲劇は、実は我々に責任があるというような社会的なメッセージすら受け  とめることができよう。  イラン・イラク戦争(イライラ戦争)の中、爆撃されつくしたというハラブチェ  村。そこのクルド人老人達は、戦火を逃れイラン側に逃げていたが、村に戻る道  はさらなる苦難の道。その国境で密輸荷物を運ぶ少年。ひたすら教える事しかで  きない先生。「帰る」老人。この3世代に繋がりはないかのようだ。彼らは最後  まで別の世界に生きているように感じる。そんな彼らが同じ場所にいるというこ  とが答えなのかもしれない。  在日イラン大使館から大使閣下がこられていた。Q&A Sessionで質問をし、「戦争  か教育のどちらの問題からこの映画を?」、サミラは「クルド人達と一緒にい  て、答えを探そうとした」。  本当に20歳とは思えない情熱を感じるサミラ監督。私はこの作品を高く評価して  いるのではないが、次回どんな作品、脚本をひっさげて戻ってくるか楽しみな監  督だ。                                 立野 浩超 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆3☆コンペ結果☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛  12月16日にスタートしたこの映画祭も9日間の日程を全て終わり(24日)、コンペ  部門の第1回目受賞作品が決定した。アジアを中心に若手作家を支援すべく設け  られたコンペ部門には、イラン、中国、台湾、タイ、香港、韓国、日本から全部  で11作品がノミネートされていた。 ■審査員長  アルトゥーロ・リプステイン(メキシコ/監督。『深紅の愛』が公開中) ■審査員  タル・ベーラ(ハンガリー/監督。今映画祭では『ヴェルクマイスター・ハーモ  ニー』を上映)  ジャファル・パナヒ(イラン/監督。今映画祭では2000年ヴェネツィア映画祭金  獅子賞の『サークル』を上映)  キム・ジソク(韓国/プサン国際映画祭アジア映画部門プログラマー)  荒木啓子(日本/ぴあフィルムフェスティバルディレクター) ■最優秀作品賞『ふたりの人魚』  監督:ロウ・イエ(2000年/中国)2001年春テアトル池袋にて公開予定  *副賞:賞金50万円+コダック(株)より記念の盾&生フィルム(100万円相等) ■審査員特別賞『ジョメー』  監督:ハッサン・イェクタパナー(2000年/イラン)  *副賞:賞金50万円 《受賞者挨拶》  『ふたりの人魚』:ロウ・イエ監督が次回作撮影で帰国した為、共同製作者であ  り配給のアップリンク代表の浅井氏が監督のメッセージを代読。  「スタッフ全員を代表して賞を下さったことに感謝したいと思います。今回の受  賞を励みにして、僕は一層努力したいと思います。そして来年、もっともっと良  い作品を持って、このTOKYO FILMeXに戻ってきて、また皆さんにお見せしたいと  思います。どうもありがとうございました」  また浅井氏からは「副賞としてフィルムが頂けるが、これは使わないとただのゴ  ミだから『いい作品を作れ』という励みになる。監督の次回作は『サマーパレ  ス』というもので、1989年の天安門事件の前後10年の3人の若者のラブストー  リー。順調に行けば2001年冬から撮影開始」との事だった。  また、この作品は上海が舞台だが、アップリンクの他にドイツやロッテルダムな  どから資金的な協力を得たという。こうした共同製作という形は今後も増えると  思えるので、それがこのFILMeXを基点に助成される事を願っていると締めくくっ  た。 『ジョメー』:ハッサン・イェクタパナー監督  審査員、スタッフ、観客への感謝のあと「今日はクリスマスイブ。皆さんも家族  と過ごしたいところでしょうが、今は映画の家族としてここにいるのです。日本  は黒澤映画をはじめその文化に憧れていましたが、明日は素晴らしい印象と共に  帰国出来ます」と述べた。  芸術には波があり、永年キアロスタミ監督等の助監督をしてきた監督も、今度は  次世代を担うウェイブの一人だ。イラン映画は北米地区でもよく売れていて、最  近ではアメリカでもイラン映画がベスト10入りしたらしい。だが「イラン映画、  という事で変なライバル意識を持たれるのではなく、その心やスタイルを汲み  取って欲しい」そうだ。スリムで長身、ハンサムな監督。壇上では「ここは高い  位置だ」と照れつつも終始嬉しそうな様子だった。 《総評》審査員長のアルトゥーロ・リプステイン監督より  時間をかけての審査の結果だが、全員一致の結果ではない。が、決定後もこうし  て互いに口を利けるのでそれ程対立したのではないかも。グローバルな現代は、  映画もハリウッドに牛耳られている。ブルース・ウィリスは神様ではないし映画  も米国映画だけではない。  映画祭は普段表面に出ないスタッフや、作家を紹介してくれて我々もいい経験に  なった。こちらもいいと思う作品を紹介しているが、そうした作品を見た個々の  観客が次の機会に再び見に行くという情熱が、動員数を増加させる。私達も努力  をして行くが、観客の皆さんもそういう情熱で応援して行ってほしい。  (スポンサーのジョニーウォーカーを意識して) Keep Walking (to see) the  Movies!  カジュアルな装い。さり気なく笑いのツボを押さえた話し方。その辺のおじさん  的ながらとても魅力的だ。監督自身の最新作も今年のサン・セバスチャン映画祭  でグランプリを受賞しているが、そちらも早く見たくなってしまった。                                 鳥野 韻子 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆4☆後記☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛  20世紀もどんづまり?に開催された、第1回目のFILMeX。最終日はクリスマスイ  ブという悪条件の下・・ここ数日銀座は日中は歩行もままならぬ程の混雑ぶり。  当然道路も渋滞・・9日間の映画祭が幕となった。  主催者側からディレクターの市山尚三氏の挨拶があった。「年末で、しかもクリ  スマスという貴重な日にご来場ありがとうございます。上映以外にシンポジウム  や、雑誌プレミアの企画による若手監督等のシンポジウム、日本のインディペン  デント映画産業との交流企画、映画美学校の協力でビデオプログラムの上映が出  来たり、プレスミーティングサロンが設けられたりと様々なイベントがありまし  た。この映画祭がアジア映画に寄与する一端になれればと思っています。」そし  て協賛会社等への賛辞を述べた。  来年は11月中旬〜下旬を予定しており、ほぼ日程が決定するのが2001年1月頃と  いう。また、コンペ部門のディレクターとしては、今年アドバイザーとして協力  した林加奈子氏(ベルリン映画祭、ヴェネツィア映画祭フォーラム部門コンサル  タント)に担当が決まっている。市山氏はコンペ以外、特別招待作品などのディ  レクターとして活躍の予定。  今映画祭にはScreen Kissとしては計32作品のうち20本のレポートを出した。今回  は上映時間の長いものも含まれていたり、ものによってはリピートの数が少な  かったりした為、なかなか全部をこなすのは難しかった。  市山氏も述べているように時期的にもかなり不利なせいか週末や日曜、祭日でも  シートが満席になる事がほとんどなく、作品の質的には申し分ないところやや勿  体無い感じがした。  ただ、東京国際映画祭のシネマプリズムとの違いやコンペ部門と特別招待部門の  境界線がやや曖昧な気がする。更に予算も問題もあるが、宣伝時期が少し遅かっ  たのではないだろうか?確かに直前には新聞広告など大々的に告知があったが、  特に時期的に忘年会やら、パーティやらが増えてしまう頃だけに休肝日!に映画  鑑賞の時間を組み込むような予定をたてられる余裕が欲しい。  が、今回はまだ第1回。口コミやリピーターで段々と動員数が増加していける映画  祭だと期待している(最近でこそ東京国際映画祭もチケットゲットが困難になっ  て来たが、昔はクロ−ジングでさえ当日でOKだった事もあるし・・)。                                 鳥野 韻子 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆5☆バトル・ロワイヤル☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     2000年/日本/113min/カラー/35mm     監督:深作欣二     出演:ビートたけし 、藤原竜也、前田亜季、山本太郎、安藤政信  修学旅行の筈が到着した先は無人島。何時の間にか首には得体の知れない金属の  輪がはまっていた・・。途方に暮れる3年B組の生徒達。そこへ1年の時の担任、北  野がやって来る。「選ばれた君たちの課題はバトル・ロワイヤル。今からルール  に基づき殺し合いをしてもらいます」。各自別々の武器を配付され「最後の一  人」になるまで闘う。しかも制限時間迄複数生き残った場合は首輪が爆発する条  件だ。  国会で大論争を巻き起こし、今年の東京国際映画祭では記者会見の整理券が飛ぶ  ようになくなったR指定付きの「あの」話題作。実を言うと残忍なシーンが大の苦  手な私だが、自分の目で確認しない限り国会議員の先生方が仰る反対論に何も言  えないと思い、勇気を振り絞った。結果は・・全面的にとは言えないが深作氏の  勝ち。あくまで個人的な結論だが。  丁度現代取り沙汰されている「恐るべき子供達」に手をやいた大人が、彼等の立  場から制定したのがこの「バトル・ロワイヤル法」。冒頭に登場した前回の勝利  者である少女の笑いが不気味だ。だが、この少女・・この経験で心の奥に潜む獣  性が目覚めて殺人に快感を覚えてしまったかもしれない、あるいは恐怖から狂気  に逃避したかもしれない・・・この子のその後を政府はどう保証するのか。  ここに至って「暴力描写の原風景は15歳の時、空襲で同級生の大半を目の前で亡  くした事」と語ったという監督の言葉が思い出された。政府の勝手な決断で起こ  した戦争。それで犠牲となった者達へのケアは誰がしてくれるのか?この作品で  も根っこは同じだ。ラストで生存者が「殺人、殺人幇助」で全国手配になってい  る事も権力者のよく使う手口、即ち責任の摺り替えを皮肉っている。同時に、極  限状況で愛する者を守り通せるか、隣人をどこまで愛せるか・・といったキリス  ト教にも通じる課題も含んでいる。  確かに暴力描写は過激すぎるとは思う。が、そこだけにスポットを当てて取り沙  汰する事自体問題なのではないかと思える。各自に与えられた武器も、使い手に  よっては殺人の道具とは限らないという裏の表現も汲み取るべきだ。  手塚治虫氏の短篇漫画で、軍隊が保管していた「殺し合いをしたくなる薬」を  過って飲み学生達が全員死亡した話や、恐怖心をなくす為の薬をベトナム戦争で  兵士に服用させていたという設定の『ジェイコブズラダー』と作品などを思い出  した。子供達が手に負えない事態だけを非難する前に、大人達の人為的な影響を  先に反省するべきなのかもしれない。  それにしても、妖怪のような殺人鬼に扮した安藤政信より、淡々と仕事するたけ  しのポーカーフェイスな教師が怖かった。                                 鳥野 韻子 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ ┏━┓                       I N F O R M A T I O N ┃i┃登録・解除・お問い合わせなどについて ┗━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◇◇星(★)の意味___________________________◇ ◇   このメールマガジンで表示されている星は5つが最高で、1つが最低です。 ◇◇メールアドレス変更・解除______________________◇ ◇   このメールマガジンの購読解除は、ご登録された発行元のホームページより出   来ます。こちらでの作業は一切しておりません。   まぐまぐ   (http://rap.tegami.com/mag2/m/0000007585.htm)   Pubzine (http://www.pubzine.com/detail.asp?id=1547)   Melma     (http://www.melma.com/mag/31/m00000031/)   マッキー! 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