ScreenKiss Vol.209

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Vol.209
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>☆ C O N T E N T S ☆−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−☆<   □ただいま   □ヤンヤンの夏の想い出   □レッド・プラネット   □ゴッド&モンスター   □オペラハット >☆−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−☆S_c_r_e_e_n_K_i_s_s☆< >>☆1☆ただいま☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     SEVENTEEN YEARS     ★★★★☆     1999/中国・イタリア/89分     監督:チャン・ユアン     出演:リウ・リン、リー・ビンビン  刑務所の女囚7人に旧正月の3日間を家族と過ごす許可がおりる。その中には17  年前に腹違いの妹を殺してしまった女タウ・ランがいた。  一見すると、家へ向かう足の遠いタウ・ランを半ば強引に引っ張っていく同郷の  女性看守シャオジェ主任、2人のロードムービーだ。しかしこの移動が主題では  なく、両親の許しがテーマとなったこの作品、娘であるタウ・ランに同情するよ  りも両親の複雑な感情を考えさせられた。最近の若年層の犯罪に必ず引っ掛かっ  てしまう両親という存在。テーマとしては日本で作られてもおかしくないアイデ  アだ。  また、上映時間は89分だが、場面ごとの時間配分が絶妙に感じられた。3部に分  けると、(1)「家族の性格描写と殺人に至る過程」、(2)「17年後、刑務所から家  に向かう過程」、(3)「家族の対話」となる。それぞれが30分程度で簡潔に述べら  れる中でも、しっかりと凝縮しつつ、ある1つのシーンが重要であればそこに時  間をかけて説明する。そのテンポがいい。  父と母の心の葛藤は(3)の中で本当に短い時間映し出されるだけなのだが、(2)の  中で面会の状況や引っ越しという前文が用意されていることから、常に両親の存  在が意識させられる。セリフで娘を殺した娘に対して抱くその葛藤を表現するの  ではなく、態度と表情で演じるのだが役者は監督の期待に応えているようだ。  しかし、5元についてタウ・ランが言う最後のセリフが私には納得できない。  結局嘘も方便、あの言葉でタウ・ラン1人が反省し、両親は単に許す立場という  事にならないか!?。もちろんタウ・ランの言葉の中に現れる『刑務所での教育  の成果』は哲学的でもあるが、それを踏まえても無くてよかったセリフではない  かな。                                 立野 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆2☆ヤンヤンの夏の想い出☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     a one & a two     2000/台湾・日本/173分     監督:エドワード・ヤン     出演:ウー・ニエンジェン、イッセー・尾形、エレン・ジン     第53回カンヌ映画祭監督賞  邦題の「夏の」という言葉がやけに引っ掛かる。これでは日本での上映が季節は  ずれになってしまい、興行的にマイナスではないか? また、英題のa twoと、2  という数を名詞として扱った言葉も気になる。1と2。そこには監督が映画に込  めた単純なメッセージが感じられる。  この映画はストーリーよりも撮影に注目すべき映画でしょう。自然すぎて意識し  ない観客も多いだろうが、うまいロケーションと、画面の構図や角度、色相。完  璧です。一見ありきたりの生活味あふれる場面の連続ですが、どこか違う。視線  が強引に映像に導かれるのではなく、見たい場所を見たい位置から見ているよう  な感覚で、つまりそういった撮影がなされている訳です。センスいいですね。  この映画は『少年が主人公でかわいらしい映画』ではありません。大人の恋愛が  高校生の娘の恋愛と混じりあい、いろいろな立場の人々が自分らしさを求めて歩  き始める、そんな映画です。懐かしさを感じてしまうような映像と音楽がゆった  りとした時間の流れを作り出す、寂しいようで、人の温かみを感じる映画です。  日本人役でイッセー・尾形が出ていますが、彼の立場もいい。日本に出張し、東  京や熱海などで撮影されているシーンもあるが、それもうまい。神社にお参りす  るシーン、あれはどこですか? 台湾映画に日本が違和感なく溶けこんでいる  し、良さを分かってロケーションを選んでいる。  これからもお互いの文化を尊重しつつ、我々アジア人としてお互いに協力しあ  い、世界に向けて最高の映画を発信したいですね。                                 立野 浩超 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆3☆レッド・プラネット☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     RED PLANET     ★★★☆☆     2000/アメリカ/106分     監督:アントニー・ホフマン     出演:ヴァル・キルマー、キャリー=アン・モス、トム・サイズモア     http://www.redplanet-jp.net  火星へのあこがれが、無人探査機によってわずかな実績を残した20世紀。夢は21  世紀に持ち越されている。そんな中で、現実的な未来を予想するSF映画の登場  は、うれしくもあり、少々恐ろしくもある。「火星地球化計画」、魅力的な言葉  が映画を飾る。  ハードSF映画は個人的な好みから言えば何本でも大歓迎だが、SFの魅力を映像  で現わすのは簡単ではない。特に人物が引っ掛かり映像をだいなしにしてしまう  事と、ちゃちなセットがイメージを削ぐ事は最大の難関ではないだろうか。  この映画は地球上でのシーンをあえて映していない。これは予算を削る手段でも  あり、物語を散漫なものにしないテクニックと言える。宇宙から始まり、宇宙で  終わる硬派のSFだ。  宇宙とシャトル内と火星だけが舞台で、ニュータイプのスペースシャトルやエイ  ミーという名前の変形型ロボット犬、無重力での船内火災、赤いフィルターをか  け続けた火星の映像が映画の魅力となっている。さらに、96年のマーズ・パス  ファインダーで放出された火星探査車ソジャーナが登場する当たりは心憎い。  一方、なぜ彼らがこれほど重要な任務に選ばれたのだろうかと思ってしまう6人  の宇宙飛行士(及び技術者)が引っ掛かる。観客へのサービスだけを考えた、く  だらない人間関係と性格が情けない。年齢も若く、紅一点が船長。女性を出した  い気持ちは分かるが、船長になるような時代にしては、男5対女1という時代錯  誤。  ヴァル・キルマーが随分トーンを押さえてセリフを読んでいるが、臭いくさい。  昔は演技がうまい役者としてもてはやされたようだが、これがその演技か? 変装  のプロを演じた「セイント」では、どう見ても彼がカツラを被っているだけとい  うような姿で何度も登場し、人間の癖の誇張をするだけで満足していたようだ  が、今回はもっとひどい。  主題に助けられただけの映画で、時間のない方にはお勧めしません。それでも、  宇宙舞台物に飢えていた私のような人は、演技に目をつむりつつ絶えて鑑賞しま  しょう。でも、本当にこのような事が5、60年後には現実になるのかな?                                  立野 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆4☆ゴッド&モンスター☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     GODS & MONSTERS     ★★★★☆     監督:ビル・コンドン     出演:イアン・マッケラン、ブレンダン・フレイザー  原題を書いていると、日本語の名詞にはない複数形に気付く。  さて、イアン・マッケランは私が好きな役者の1人。演劇界出身で、ロイヤル・  シェイクスピア・カンパニーの「リチャード三世」にも出演した真の演技実力  派。もちろんどんなにうまい役者でも、演じる役を選び間違えるとただの人。役  者の演技を左右するのはどんな役柄を演じるか(選ぶか)という点に尽きる。彼  の場合イギリス風のジャケット&ネクタイを着た役柄であれば、彼の演技がカ  バーすることでしょう。  老人と若者。言うまでもなく若い方とは、ブレンダン・フレイザーが演じている  訳ですが、彼の頭蓋骨はモンスター(フランケンシュタイン)にそっくり。その  点がストーリーの鍵となっている。同時にそれが配役を彼に決めた一番の理由だ  ろうが、ブレンダンがかなりイアンとの競演を望んでアプローチしていたとのこ  とで、努力が実ったようだ。  日本ではまだまだゲイやレズビアンに対する風当たりが強く、決して社会的に認  められている訳ではないが、この映画ではそんな方々が感じる寂しさも描かれて  いて面白い。  エンディングの美しい死体は映画史に残りそうですね。                                立野 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆5☆オペラハット☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     Mr.Deeds Goes to Town     1936/アメリカ/116分/白黒     製作・監督:フランク・キャプラ     出演:ゲイリー・クーパー、ジーン・アーサー     1936年度アカデミー監督賞  映画館でのリバイバル上映、またレンタルビデオや衛星テレビ等で観る事が可能  な過去の作品群。現在に至っても影響を及ぼし続けるそれらの作品を、連載する  形でお伝えしているが、フランク・キャプラ特集の2回目の今回は、名作『オペ  ラハット』を取り上げる。  ニューヨークの大富豪の急死により、田舎に住む彼の甥が、莫大な遺産を手にす  る事になり、ニューヨークへ行く。田舎から来た若者にとって、ニューヨーク  は、変人の多い忙しい街に映る。逆に、ニューヨーカーは、一風変わった彼を変  人扱いし、精神異常者として施設に入れ、遺産の横領を画策する。果たして彼の  運命は・・・。  第207号でお伝えした、『或る夜の出来事』に続く、キャプラ2度目のアカデミー  監督賞受賞作。大スター、ゲイリー・クーパー(愛称ク—プ)を主演に迎えての  今作は、クープ演じる善良な男の姿を通して、人間の他者への思い遣りや優しさ  の大切さを、再認識させてくれる映画。  ク—プ演じるディーズの言う言葉を聞きながら、「ハッ」とさせられるのは、メ  アリー役のジーン・アーサーだけでなく我々も同じだと思う。いわゆる、我々  は、メアリーやシダ—、コッブたちのように忙しく生活し、人に対する思い遣り  に欠けているのではないだろうか。自分の幸せだけを願い、人の事をバカにし、  大声で笑う。それを繰り返し、楽しんでいるのではないだろうか。  劇中のディーズは、風変わりだ。周りは彼と違う。この構図は、現代の人間関係  における、他者との同化という点について考えさせる。周りと同じでなければ、  話についていけない、バカにされるなどという意見をよく耳にする。周りと同じ  必要があるのだろうか。人と違っていて何が悪いのだろうか。逆に、人がやらな  い事をやるという事は、独創性に溢れているだけでなく、その方が格好良くはな  いだろうか。 独創性に溢れているという事こそ個性である。  この映画は、60年以上前に作られたものだが、現在の我々に様々なメッセージを  投げ掛けてくれる。より多くの人々に観て頂きたい映画だ。  今作は、1936年度のアカデミー作品賞、監督賞、主演男優賞、脚色賞、録音賞の  5部門にノミネートされ、監督賞の受賞を果たした。                                 吉田 浩二 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ ┏━┓                       I N F O R M A T I O N ┃i┃登録・解除・お問い合わせなどについて ┗━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◇◇今日の偉人_____________________________◇ ◇  Ray Parker Jr. (レイ・パーカー・ジュニア)  映画Ghost Bustersの主題歌Ghostbustersを歌い一躍有名に。だたし同曲1曲のみ  を残して姿を消した。その後「After Dark」と言うアルバムを発表したが、still  darkになってしまうことを予想できなかったようだ。 ◇◇星(★)の意味___________________________◇ ◇   このメールマガジンで表示されている星は5つが最高で、1つが最低です。 ◇◇メールアドレス変更・解除______________________◇ ◇   このメールマガジンの購読解除は、ご登録された発行元のホームページより出   来ます。こちらでの作業は一切しておりません。   まぐまぐ   (http://rap.tegami.com/mag2/m/0000007585.htm)   Pubzine (http://www.pubzine.com/detail.asp?id=1547)   Melma     (http://www.melma.com/mag/31/m00000031/)   マッキー!  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