ScreenKiss Vol.240

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Vol.240
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>☆ C O N T E N T S ☆−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−☆<   □天国から来た男たち   □クレーヴの奥方   □ギフト   □エル・ドラド 黄金の都   □SELF AND OTHERS >☆−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−☆S_c_r_e_e_n_K_i_s_s☆< >>☆1☆天国から来た男たち☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     The guys from Paradise     2001年/日本/114min/カラー/ビスタ     監督:三池崇史     出演:吉川晃司、山崎努、大塚寧々、遠藤憲一、水橋研二、翁華栄     http://www.tengokukarakitaotokotati.com     6月中旬より渋谷シネパレス、新宿ピカデリー他全国順次公開  麻薬不法所持で逮捕された商社マン、早坂が収監されたフィリピンの刑務所。何  故か家賃を支払う日本人専用室。遅い会社の対応、不潔な住環境。そんな折刑務  所内を自由に出入りして商売に励む吉田と知り合い、彼の片腕になる事を約束す  るが・・。どうやらヤバい立場の吉田と、計6人の日本人の脱出は成功するのか?  昔、実話を基にした『ミッドナイト・エクスプレス』という、麻薬所持で異国の  刑務所に捕まりこわ〜い思いをする映画があったがここに登場する人々も皆1度  は新聞を賑わしたことのある実在の人物がモデル。フィリピンの刑務所も実在の  もので、その他の囚人も今入居中の方々というから驚きだ。  海外旅行での不安と言えばパスポートの次にトイレ。下から足が丸見えなだけで  も腰が引けてしまう私だから、用を足しながら扉もない隣の人と語り合うという  噂の中国なんてとても行けない。「水洗トイレを使わせてやる」という一言で吉  田の手下になってしまった早坂の気持ち、よ〜くわかる。  吉田を演じる山崎努の登場場面が凄い。つんつるてんのキャミソールドレス1枚  で仁王立ち。変人揃いの日本人収監者・・フィリピーナに入れあげた男、麻薬で  完全にイカレタ男、ロリコンの医者、オンラインで愛人に貢いだ女・・の中でも  群を抜く変さ。少年漫画を地でいくような映画だ。  更に漫画に色を添える友情出演の面々だが、『連弾』コンビの竹中直人と及川光  博の登場は意味不明。会社や家庭、日本という枠を信じてきた早坂がその全てに  裏切られて、一人の人間としてフィリピンで再生するという、ある種の変型アメ  リカン?ドリームだが、ラストでの政治的成功ははからずも現在のフィリピンの  情勢にマッチしてしまったのがご愛嬌。  それにしても、5万ペソで殺人を引き受け、臓器売買では人間1人20万ペソという  フィリピンの相場。人間の命の重さがこの国ではこれっぽっちだったんですね。                                 鳥野 韻子 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆2☆クレーヴの奥方☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     La Lettre     1999年/ポルトガル、フランス、スペイン/107min/カラー/ヴィスタ     監督:マノエル・ド・オリヴェイラ     出演:キアラ ・マストロヤンニ、ペドロ・アブルニョーザ     http://www.alcine-terran.com     6月上旬より銀座テアトルシネマにて公開  恋人フランソワとの仲が進展しないまま、カトリーヌはあるコンサートで出会っ  た医師、クレーヴ伯と結婚。が、ある日、毋の友人主催のゲストだったロック歌  手のペドロ・アブルニョーザに強く惹かれる。毋が病床に着き、見舞いに来た彼  が彼女の写真を盗むのを目撃して更に動揺するカトリーヌ。幼馴染みの修道女に  相談するが夫は妻の変化に絶望して、衰弱死する。アブルニョーザが隣家に越し  てきて・・。  コクトー始め、何度も映画化されている古典を91歳のオリヴェイラが如何に解釈  するかが興味深かった。が、既にカトリーヌの想い人を現代のロック歌手に持っ  てきたあたりから、相変わらずの彼の若々しさに圧倒されてしまった。ダイナ  ミックで線の太いロックツアーと、繊細で静的なピアノコンサートを対比させた  部分からしてやられた!という感じだ。本人演じるペドロ・アブルニョーザの人  物そのものの魅力と片やクラシッ界のこれまたマリア・ジョアン・ピルシュ本人  の起用。  それぞれの音に観客が魅了される隙に物語りはするりと進んでいってしまう。強  い眼差しと清楚な美しさを備えたキアラ・マストロヤンニの存在感が素晴らし  い。「尊敬」だけでは愛せない人間の不思議さと、「尊敬」されるだけでは生き  られない辛さ。カロリーヌの愛を失って自殺行為に及んだフランソワと、妻の愛  なしでは、水なしで枯れる植物のように徐々に生命力をなくしていくクレーヴと  では、表現の差こそあれ同じ結末を辿る。  「何もなかった」からこそ深い夫の嫉妬。プラトニックラブの恐ろしさ。この精  神構造は職業や背景を現代に置き換えても永遠に変わらぬ人間の特徴だ。カト  リーヌは修道院に逃げはしなかったが、ペドロの前から消えた事は彼からの逃亡  だろうか?母親の死、恋人の自殺、夫の衰弱死・・・と人生の様々な終着を垣間  見た彼女にとってこれは一つの選択だ。ペドロへの情熱を失わない手段でもあ  る。  映像は美しく、ストーリーは時にに淡々と進んでいく。「何も起こらない」よう  なみせかけの中で人間の営みを表現してしまうこの感覚が、何とも言えず素晴ら  しい。                                 鳥野 韻子 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆3☆ギフト☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     The Gift     2000年/アメリカ/112min/カラー/ヴィスタ     監督:サム・ライミ     出演:ケイト ・ブランシェット、キアヌ・リーヴス、        ヒラリー・スワンク     http://www.gift-movie.com     6月上旬より渋谷東急他にて公開  アニーは夫を事故で亡くして以来、占いで3人の子供を育てている。彼女の元へ  は夫ドニーの暴力に耐えるヴァレリーや心に傷を持つ青年、バディが頼って来  る。ある日名士の娘ジェシカが失踪。アニーの夢でジェシカの死体が見つかりド  ニーが容疑者となるが、真犯人は別人と確信するアニーは・・。  『エリザベス』『理想の結婚』等コスチュームものをやらせたらピカ一のケイト  ・ブランシェットの珍しくカントリーな役。監督が、「あの」サム・ライミとく  れば「怖いかも」というイメージでいささか尻込みしつつ臨んだ映画。でも御安  心あれ、どちらかというと『シンプルプラン』に近い狭いコミュニティでの人間  関係がコアになっている作品。脚本はビリー・ボブ・ソートンだから尚更。  アイリッシュな雰囲気のフィドルを効かせた音楽もなかなかで、アニーの目に映  る超現実的なカットも、ハイライト気味で奇麗(ただし、彼女の身辺を襲うダー  クな悪夢はちょっと怖い)。今回は脇にまわったキアヌ・リーヴス。暴力亭主を  やや太り気味の巨体で憎々し気に演じていた。何でも今回は監督に頼み込んでの  出演だったとか。しかし『ウォッチャー』の殺人鬼といい、今回の役といい、こ  の手の役はどうも金太郎飴的な感じが否めない。  脇と言えば、今回は若手個性派が勢ぞろい。田舎の主婦になりきったヒラリー・  スワンク、アニ−の息子の担任でジェシカの婚約者で、しかもアニ−にも淡い気  持ちを持ってるという複雑な役処のグレッグ・キニアもくたびれた真面目中年で  いい味。  殺人事件の犯人探しと、バディのトラウマの原因と一見無関係な問題がひとつに  なるラストが、ちょっぴり泣かせて後でしっかりゾッとする入込構造。占いも超  感覚も、ちょっと距離を置きたい私だけど、こんなチャーミングな人が占ってく  れるんなら行ってみてもいいかも。  でも、実際こういう事件でアニ−みたいな人が、いわゆる超感覚で犯人を当てて  しまったりしたら、この作品の裁判シーンのように多少は参考にするのだろう  か?気になるところだ。                                 鳥野 韻子 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆4☆エル・ドラド 黄金の都☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     The Road to El Dorado     2000年/アメリカ/89min/カラー     監督:エリック ・ビーボ・バージェロン、ドン・ポール     声の出演:ケヴィン ・クライン、ケネス・ブラナー、          ロージー・ペレス     http://www.amuse-pictures.com/eldorado     6月16日(土)より全国ワーナー・マイカル・シネマズにて公開     *日本語吹替版(一部劇場にて字幕版あり)  スペインで詐欺を働く2人の若者、トゥリオとミゲールは偶然探検家コルテスの  船に乗る。詐欺で巻き上げた地図から黄金郷を探し当てた彼等は、ひょんな事か  らそこで神様として崇められる。が、聖職者ゼケルカーンに正体を見破られ、宝  と共に故郷へ戻ろうとした時、ここエル・ドラドの入り口にはコルテスの軍隊が  迫ってきていた・・。  『エル・ドラド』と言えばまっ先に浮かぶのが『アギーレ神の怒り』。欲に浮か  された狂気の侵略者の何とも凄まじい作品だ。だが、今度の作品では侵略者コル  テスを登場させてはいるものの、その馬まで悪人面した典型的「悪役」に止め、  彼等より先に黄金郷を発見してしまうのが現代的な軽い2人の若者という、彼等  の勇気と愛の冒険譚に仕立て上げている。  勿論CG・・今回のは正確に言うと「トラデジタル」「スプリティクル」という新  しい技術・・はお手のもののアメリカとは言え、海の嵐や美しい滝、静かな湖な  どとにかく「水」をこれ程リアルに再現したアニメは初めてだろう。『プリン  ス・オブ・エジプト』の割れる紅海を更に改善したというから凄い。  主人公2人の声を当てているのが、口が達者なトゥリオにケヴィン ・クライン、  ロマンチストなミゲールにケネス・ブラナー。髪の色も何となく2人に合わせて  いるようで雰囲気も馴染んでいる。ケネスが『恋の骨折り損』であまり巧くな  い?咽を聞かせていたが、ここでは何とケヴィンとのデュエットが!それも「神  様は辛いよ」という歌。これがなかなか面白い。  人間以外の面白キャラは最初はコルテスの馬として登場する馬のアルティーボ。  初めは名前通り(スペイン語の「威張った」の意)の彼も、主人公の馬となって  からはなかなかお茶目なところを見せる。可愛いアルマジロも見逃せない。大人  も十分楽しめるアニメーション。                                 鳥野 韻子 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆5☆SELF AND OTHERS☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     ★★★★☆     2000/日本/53min     監督:佐藤真     声:西島秀俊、牛腸茂雄  36歳で死去した写真家・牛腸茂雄(ごちょうしげお)。なんと新鮮な発音の苗字  だろうか。  休日に自宅やカフェで文章を書いて読み返してみると、その文章に音としての魅  力がないことに気付かされるが、牛腸という苗字1つで印象がかわってくるほど  の力強い、印象的な迫力を感じる。この映画に先入観を与える要素となってい  る。(決して以下の文章に迫力があると言っているわけではない)  私が普段日本映画をほとんど見ないのは、その映画の予告や紹介に目を通して  まったく興味をそそられないからだ。それはもちろん、「宣伝」が悪いとも言え  る。また、映画館に足を運ぶとかならず目にする予告編。この出来、不出来も影  響大。  「ムルデカ」の場合発想、着眼点は素晴らしいが、爆発シーンの仕掛けが見える  くらいはっきりと爆発する爆弾、その映像には興醒めする。なぜ暗くぼかすこと  を嫌い、あえて迫力の欠ける「爆発の全体像」が見えるほどクッキリとした映像  でしか映画を作れないのだろうか。本物の爆弾であればそれは素晴らしい映像だ  が、あの「決して人の死ぬことのない音と煙と閃光の爆弾」をあれほどクッキリ  と映し出してはだめ、だめ。  破片など飛んでいないではないか。爆風で飛ばされる体。爆風なんてないではな  いか。クッキリうつしてどうするの? ピントがぴったしあった映像は隅々まで  見えすぎて、汚くないセットや衣装が、模造品のアンティックのよう。少しは勉  強しましょうよ、キャメラやライトについて。(え?、勉強しているって?、日  本の映画ファンの気持ちを勉強しています?)  さて、「SELF AND OTHERS」の場合、その宣伝が素晴らしい。牛腸の写真を全く知  らない人に彼の写真を神秘的なものとして印象つけるような単純なチラシ。牛腸  の作品に最近評価が高まっているという同時性。そして映画のために選ばれた彼  の写真。  しかもユーロスペース(映画館)の上映時間も私がこの作品を見るのに手助けし  てくれた。レイトショーとモーニングショー。残業が深夜まで続きレイトショー  には間に合わなかったにも関わらず、土日でちょっと寝坊しても間に合う11時か  らの上映。映画館のスタッフには早朝から深夜まで大変でしょうが、サービス面  では最高ですよ。  映画の内容に関してちょっとコメントすると、オープニング、鶯の鳴声が聞こえ  る住宅街の空き地にそびえたつ一本の樹。「聞こえるかしら・・・」と朗読のよ  うな声が入る。詩的な絶妙な雰囲気が映画に漂って来る。  「じっくりと何度も見ることで味わいがでる写真、ぎりぎりのところの写真」   彼は自分の写真を的確に評価する。「一流の写真家とは、名前が売れているとか  売れていないとかに関わらず存在する」 すぐれた小説の一節のようだ。  脊髄カリエスという難病。正岡子規もこの病気で亡くなっている。牛腸は36歳で  亡くなった。                                 立野 浩超 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ ◇◇星(★)の意味___________________________◇ ◇   このメールマガジンで表示されている星は5つが最高で、1つが最低です。 ◇◇メールアドレス変更・解除______________________◇ ◇   このメールマガジンの購読解除は、ご登録された発行元のホームページより出   来ます。こちらでの作業は一切しておりません。   まぐまぐ   (http://rap.tegami.com/mag2/m/0000007585.htm)   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