ScreenKiss Vol.253

■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
  ,.`☆
  .;^☆ S C R E E N K I S S
.’
Vol.253
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■

>☆ C O N T E N T S ☆−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−☆<   □愛のエチュード   □London Dogs <ロンドン・ドッグス>
  □シャドウ・オブ・ヴァンパイヤ
  □ロシアン・ブラザー
  □記者会見:2002年フランス映画祭について

>☆−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−☆S_c_r_e_e_n_K_i_s_s☆< >>☆1☆愛のエチュード☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     The Luzhin Defence     2000年/英、仏/109min/カラー/ヴィスタ     監督:マルレーン ・ゴリス     出演:ジョン・タトゥーロ、エミリー・ワトソン、        スチュワート・ウィルソン     http://www.amuse-pictures.com     9月1日(土)より銀座テアトルシネマ、シネセゾン渋谷にて公開  1929年イタリア、コモ湖畔。チェスの世界選手権出場でやってきたルージンは、  亡命ロシア貴族の娘ナターリアと出会う。宿命を感じた彼は唐突にプロポーズす  る。ルージンは裕福な家庭に育ちながら両親の愛を受けず、チェスの天才的な才  能だけを頼りに生きてきた男。その純粋さに打たれたナターリアは両親を説得す  るが、選手権にやってきたある人物により精神的に追い詰められた彼は・・。  これは、チェス「も」楽しめる一級のラブストーリーだ。いくら天才でも度外れ  て常識のない男ルージンはまるで現代の、形を変えたアヴァロンの野生児。何し  ろ彼女の名前さえ知らずにプロポーズしてしまうのだ。が、美辞麗句を並べない  彼に自由な自分を感じるナターリア。普通ならあまりに懸け離れた2人だが、こ  の純粋さが彼女の心をとらえる。口説きのにテクに凝り過ぎる男性諸君も見習う  べきかも。  タトゥーロの存在感は凄い。子供時代のルージンが持つチェスにだけ向ける輝く  瞳が、そのまま大人の彼に踏襲されたかのような濁りのない目をしながら、チェ  スの対戦の時だけは憑かれたような恐るべき集中力を発揮する。下手な演技では  ただの変人になってしまうところを、子供の頃からの宝物であるガラスのチェス  のように繊細な心を持つ実に魅力的な人物に仕立てている。  一方彼を大きな愛で抱擁するE・ワトソン。ルージンが女性ならきっと彼女の役回  りになりそうな「こわれゆく女」的演技派が受け手にまわって、今回は抑えた演  技。2人を翻弄する死神的存在のルージンの元マネージャー、ヴァレンチノフ役の  スチュワート・ウィルソンも紳士面した悪役がなかなかはまっている。  チェス映画と言うと実在のプレイヤーを描いた『ボビー・フィッシャーを探し  て』などがあるが、最後に彼の防衛策(=原題でもあるルージンズ・ディフェン  ス)を実際にチェス盤で画面に示したのは面白い試みだ。この原作はナボコフ  (『ロリータ』の作者)の初期の作品だが、彼もチェスの大ファンだったとい  う。  が、観客は私のようにチェス音痴でも大丈夫。邦題のエチュード(差手の一連の  手筋。芸術として鑑賞出来る)の通り、動くチェス盤を、流れる絵の様に楽しめ  る。                                 鳥野 韻子 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆2☆London Dogs <ロンドン・ドッグス>☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     Love,Honour&Obey     1999年/イギリス/98min/カラー/ヴィスタ     監督・脚本・製作:ドミニク ・アンシアーノ&レイ・バーディス     出演:ジュード ・ロウ・ジョニー・リー・ミラー、レイ・ウィンストン     9月1日(土)よりシャンテシネにて公開  平凡な郵便配達員のジョニーは、親友のジュードに頼み込んで彼の叔父でギャン  グのボスに口利きして貰い目出たく仲間入り。だが、憧れのギャングの世界とは  程遠くボスはカラオケ大好きで恋人に手を焼いている。対立ギャングとの交渉に  も今ひとつ迫力がない。ジョニーの勝手な行動がギャング同志の抗争に発展した  事から死人まで出る羽目に。そこで組織はこの抗争に終止符を打つ方法を考えた  のだが・・。  UK発のギャング映画で思い出すのは『エヴリィバディ・ラヴズ・サンシャイ  ン』。スタイリッシュな映像と容赦ないギャングの世界は震撼とするものがあっ  た。が、この作品はギャングのイメージである残忍性・・恐らくはメンバーも対  外的にはそうした顔を強いられているであろう面を出しつつ、彼等の人間的日常  性を追究する事でオモコワ的独特のリズムが生まれている。  一応?ギャングの仕事を出しつつ、一方ではメンバーの一人がインポに悩んでい  る。これを常に並行して見せる事で「ギャングも大変なのね」という妙な親近感  を覚えてしまうから不思議だ。対立組織に散々な目に遭わされてなおヨロヨロと  生き長らえる迫力不足のラッキールチアーノみたいなのがいたりするのも、彼へ  の拷問が残酷なのに笑えてしまう。  ジョニーのイメージするギャングは、一般的なものだろう。だが、ギャングだっ  て問題がないのに好き好んで血を流すような無駄な事はしないのだ。しかし、そ  れがジョニーにとっては何もかも甘く見える。ボスへの点数稼ぎの思いも手伝っ  て先走った行動へと駆り立てられたのだ。  どうして好きでもない武器をぶっ放す羽目になったのか・・といつになく優しい  表情のボス(レイ・ウィンストン)は考える。その上権力をもっても捉え切れな  いもの・・恋人の愛・・をやっと確かなものにする結婚式で死人まで出ると  は・・。ラストで2組織の犠牲者の血が流れて合流する。ボスはやはりギャング  であった事を再認識する場面だ。  彼等のカラオケも聞けちゃう観客も楽しめるが、同名役の出演者も皆楽しそうに  演技している。暗転が多くて素人フィルムみたいだが、その臭さがまたご愛嬌か  も。ノリノリの音楽もGood!                                 鳥野 韻子 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆3☆シャドウ・オブ・ヴァンパイヤ☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     SHADOW OF THE VAMPIRE     ★★★★★     2000年/アメリカ/93min     監督:E・.エリアス・マーハイジ     出演:ジョン・マルコヴィッチ、ウィレム・デフォー     プロデューサー:ニコラス・ケイジ  舞台は1922年ベルリン。白黒映画にスローモーションが珍しかった時代(という  場面があるぞ)。白黒映画「吸血鬼ノスフェラトゥ」の撮影。作品のリアリティ  を追いかける監督・ムルナウは、ヴァンパイヤの役を引き受けるなぞの俳優マッ  クス・シュレックに、主演女優・グレタの血を約束する。そして、リアリティを  追求する監督の撮影は無事進んでいくかのように見えたが・・・。  監督の情熱、そして役者の魂を感じる映画は少ない。それだけで名作とは言えま  いが、名作からはそのオーラを感じるものだ。この映画は映画の中で『映画』が  製作されていく。しかも2重にそのオーラを感じることができる。マーハイジ監  督と、ムルナウ監督(J・マルコヴィッチ)、W・デフォー(演じるシュレック)  と、シュレック(演じるヴァンパイヤ)。後者の場合、シュレックは本当にヴァ  ンパイヤである(かもしれない)が、とにかくその2重性が際立つ。  シュレックはヴァンパイヤで、デフォーは本当はシュレックなのではないか?  セピア白黒とカラーの組み合わせ。当時の撮影現場に映画館というタイムマシン  を経由して存在できる我々の目に映る風景は、もちろんカラーだ。ところが当時  の映画撮影は白黒。さらに、シュレックはそのリアリズムの為、夜しか現れな  い。カラーの映像の中でも彼は白黒で存在しつづける。  心臓の鼓動をBGMに背筋も凍るホラー映画の要素と、なぜか笑える「演技するシュ  レック」。この映画は我々の視線を捕らえて離さない。  監督はまだまだ無名だが、次作を期待せずにはいられない。  『ゴッド&モンスター』が好きな人。同じ内容ではありませんが、テイストが似  ています。絶対に比べてください。余韻が同じですから。                                 立野 浩超 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆4☆ロシアン・ブラザー☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     BLAT     1997年/ロシア/95min/カラー/35mm     監督・脚本:アレクセイ ・バラバノフ     出演:セルゲイ ・ボドロフ・ジュニア、ヴィクトル・スホルコフ     http://www.uplink.co.jp     1997年トリノ映画祭審査員特別賞、     シカゴ&ロシア映画批評連合最優秀男優賞     8月4日(土)〜9月24日(祝)三百人劇場『映画の全貌2001』特別公開  2年間の軍役を終えたダニーラ。町で早速騒動を起こし母親に勧められてサンクト  ペテルブルクで「立派にやっている」兄を訪ねるが彼はギャングの手先。いつし  かダニーラも組織で働く事になるが、対立組織のボスの暗殺に成功した辺りから  自分も狙われるようになる。が、背後の人物を知った彼は・・。ドイツ人浮浪者  との交流、人妻との恋などを交錯させて現代ロシアの裏社会を描く。  ギャングのイメージと懸け離れた青年がダニーラ。ロックグループ、ノーチラス  の音楽をこよなく愛し(映画では彼等のCDはいつでも完売だが、ロシアでそんな  に人気なのだろうか?)、時に正義感に燃えて無賃乗車のチンピラに脅しをかけ  たり、ホームレスを気遣ったり、ごく普通の青年の顔を持っている。  こうした性格だから、もし兄が堅気だったらストーリーはこんなに面白いものに  はならなかっただろう。命令が下れば冷静に殺しが出来る一方で、間違い殺人の  生存者が音楽プロデューサーと知るや好きな曲のダビングを頼んだり、どこか間  が抜けているのも魅力的。混沌とした町サンクトペテルブルクそのもののような  人物だ。  演じているのは『コーカサスの虜』以来ロシアで人気急上昇のセルゲイ ・ボドロ  フ・ジュニア。はにかんだような童顔にミスマッチな低い声。今秋公開の『イー  スト/ウエスト 遥かなる祖国』でも遠泳で亡命する水泳選手の役で、堂々フラ  ンス語で出演している要チェックの若手俳優。3作とも異なるキャラクターを好  演している。  一方兄役のヴィクトル・スホルコフは、この監督の『フリークスも人間も』(実  はこの作品の方が後)で不気味な笑いのハゲ、ヴィクトル役が印象的だったがこ  の作品でもその不気味さが遺憾なく発揮されている。  ダニーラを支える「都会は強い者だけが生き残る」という信念もドイツ人ホーム  レスの「だが、強い者も力を奪われて弱くなる」という後半の言葉が繋がるとか  なり意味あいが異なって来る。最後にこの町を抜け出す事にしたダニーラの決断  は正しかったに違いない。ロシアでは1997年のベストヒット作品。同じ兄弟キャ  ストでの続編『BRAT(ブラザー)2 』もヒットしたそうで、今から楽しみ。                                 鳥野 韻子 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆5☆記者会見:2002年フランス映画祭について☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ □各出席者からまず今年の映画祭について一言づつ  毎回の上映がほぼ満席なのは非常に嬉しい   (ダニエル・トスカン・デュ・プランティエ会長)  ワールドカップと映画祭10周年が同時期なので、日程の調整をしている   (高秀秀信横浜市長)     11年前に横浜でフランス映画祭を開催しようと話し合った時を考えると思いもよ  らない大きなフェスティバルに成長した。毎年来日するアーティストも作品も増  え続けているが、来日した人々はその事を後悔した人は誰もいないしむしろもっ  と良い作品を作ろうと思いながら帰国している。しかも来年はサッカーと映画の  出会いが横浜である。ニホンバンザイ!フランスバンザイ!   (ジャン=ジャック・ベネックス監督)  映画祭の期間中多くの人が「疲れていませんか?」と気を使ってくれたが、全く  大丈夫。インタビューをしたジャーナリストのプロフェッショナルな態度に感心  した   (ナタリー・バイ) □2002年第10回フランス映画祭横浜について   ダニエル・トスカン・デュ・プランティエ会長から 1)回顧展の開催   約200本の映画ポスター展   来日アーティストの写真展   フィルムコレクションから日本語字幕入りの作品を寄贈。   (フィルムライブラリーの基礎に。これはリニューアルされる赤レンガ倉庫に   収納予定) 2)映画祭には第1回目(ジャンヌ・モロー)から歴代の団長をゲストにしたい 3)10周年記念デーを設けてこの日に特別な何か催しを行いたい 4)ワールドカップとも重なるのでスポーツフィルム(特にサッカー)を映画祭と並   行して上映したい 5)可能なら日仏の俳優でサッカーの親善試合を開催したい  会見は終始和やかな雰囲気の中で行われ、特に後半の5つの「予定」には記者か  らも歓声がこぼれていた。歴代の団長がずらりと揃いぶみ、というのも壮観だろ  うし親善試合というのも想像するだけで面白そうだ。さて、来年は実際どんな映  画祭になるのか今から楽しみである。                                 鳥野 韻子 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ ◇◇星(★)の意味___________________________◇ ◇   このメールマガジンで表示されている星は5つが最高で、1つが最低です。 ◇◇メールアドレス変更・解除______________________◇ ◇   このメールマガジンの購読解除は、ご登録された発行元のホームページより出   来ます。こちらでの作業は一切しておりません。   まぐまぐ   (http://rap.tegami.com/mag2/m/0000007585.htm)   Pubzine (http://www.pubzine.com/detail.asp?id=1547)   Melma     (http://www.melma.com/mag/31/m00000031/)   マッキー!  (http://macky.nifty.ne.jp/servlet/FreeMailServlet/           mail_backnum?freemail_id=412)   メルポット  (http://melpot.net-planning.co.jp/) ID:0000000008   ココデメール (http://mail.cocode.ne.jp/) ID:0200300007   emaga (http://www.emaga.com/music/intro/film.html) ◇◇広告募集______________________________◇ ◇   ScreenKissでは、広告を募集しております。   詳しくは、[email protected]へ ◇◇お問い合わせ____________________________◇ ◇   色々な情報やアイディアや感想などありましたら下記のアドレスまで投稿をお   願いします。そのほか編集に協力して下さる方も募集しています。   [email protected] ◇◇ScreenKissについて_________________________◇ ◇   ホームページでは過去に記事を参照できるようになっています。   http://www.ScreenKiss.com/   Copyrights(C), 1998-2001 ScreenKiss Entertainment  掲載された記事はいかなる形式であれ許可なく転載は禁じられています。  発行人・編集長 中津川 昌弘 ┼                                   ┼

スポンサーリンク
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Evernoteに保存Evernoteに保存
スポンサーリンク