Four Fresh! ’99+2 後編

映画美学校の生徒さん達のフレッシュな作品を紹介する、Four Fresh!。

今年は第一期高等科生の作品を加え『Four Fresh! ’99+2』としてユーロスペースにて公開中です。

後編は、Bプログラム作品3本をご紹介致します。

後日、『意外と死なない』と『薄羽の蝶』の監督のインタビューを掲載します。

スケジュール等詳細はScreenKiss Vol.44を参照ください

■Bプログラム9月25日(土)~10月1日(金)

◇『薄羽の蝶』カラー/16mm/23分(+2)

監督・脚本:原瀬涼子出演   :上野友希、辻本裕子、児玉数夫

シナリオ、演出において、女性ならではのシャープな感性が評価された作品

ストーリー:友人の結婚式に出席しても、どこか虚しい気分の由美子。電話の祖母は彼女を幼馴染みの友人と間違えている。そんな祖母に逢いたくないと、母の説得を振りきり、祖母の誕生日に口実を設けてしまう。が、その日、ふと電車で席を譲った老人から水色の紙で作った蝶を手渡される。その途端、何とも言えない気分が由美子を襲い、彼女は祖母のもとに急行する。

コメント:蝶のように、花びらのようにキラキラと祖母の周囲に舞い落ちるもの。これは彼女の美しい思い出かもしれない。まるで、「花のもとにて我死なん」と言った西行のような、祖母に対する黄昏の表現なのかもしれない。

ぼけた祖母を叱る叔母。ひたすら念仏のように「ごめんなさい」と繰り返す祖母。叱るほど心を閉ざし、益々ぼけに逃げるようになるという。相手を理解する心が老人介護の第1歩とはいえ、なかなか出来ない事ではある。

由美子はラストで、自分を孫と言い張らず、祖母の思いたい相手・・幼馴染み・・に成り変わり返事をしてあげる。電車の中の一片の蝶が由美子の心を変えたように、この事が祖母の心を穏やかにする事は間違いない。美しい画面と繊細さを備えた秀作だ。

◇『犬を撃つ』カラー/16mm/32分 (Four Fresh! ’99)

監督・脚本:木村有理子出演   :堀江慶、山内知栄、糸井光琳

しっかりとしたシナリオと的確な演出が高い評価を得た作品

ストーリー:大学生の裕紀は、子供の頃の“あの日”のまま空家となっている実家に戻る。同じく毋に呼び出された姉の麻紀も訪れていた。毋は夜になってもやって来ない。

子供の頃姉の見た“あの日”の光景は何だったんだろうか。確実なのは、その日以来父の姿を見ていない事。台所で寝込んだ裕紀は、怪しい物音に引かれ、庭に出てみると・・・。

コメント:まるで絵画のような光と影の使い方は見事だ。逆光による影、闇と雨、雫などの水の音が無気味にマッチして、怖さを演出している。サスペンスタッチの手法は、確かにこの「Four Fresh!」の選考基準である「観客を動揺させる」を充分満たしている。是非次回の+2で新作を見たいものだ。それにしても、誰かこのタイトルの意味を教えてください。

◇『集い』カラー/16mm/30分 (Four Fresh! ’99)

監督・脚本:遠山智子出演   :富田瑛子、廣瀬美葵、堀田文子

個性あるシナリオと卓越した映像センスが高く評価された作品

ストーリー:

出口ならいくらでもあるんだよ・・・・。出口が判らないままに、少女、宇辺千は、とある家に辿り着いた。その家に住む奇妙な住人達。マシュマロに憑かれている女、秋崎。火燵に執着する男、平田。千を眠る姿で迎えた家の主である、老女、小野。その住人達によって、千は、それが当然であるかのように受け入れられ、自らも家の住人になっていくのだが・・・。

コメント:不条理劇風の何だか無気味な作品だ。いきなり滑り込んでしまった別世界。そこで、普通の子なら、泣いて駄々をこねる筈が、千は決して泣かない。食事時の行儀が悪くて、叱られても、食べるものは、しっかり食べる。

出口へ案内してくれた秋崎の手を自らの意志で振りほどき、さらに住人におさまってしまう樣は、まるで安倍公房の『砂の女』のようだ。ほとんどの舞台が火燵という設定もユニーク。

故意的とはいえ、登場人物の台詞が聞き取りにくいのが、残念だった。老女役の堀田文子さんの、とても初出演と思えない堂々とした演技に拍手。

どれもなかなかの力作で圧倒された。出演者も、勿論、校内で調達してる事も多いが、プロに混じって全く別の世界の仕事のプロが俳優に挑戦してたりして、とてもユニーク。

こういった作品を昼間に公開するのは、難しい事かとは思うが、レイトショーだと、客層、観客数も限定してしまうので勿体無い気もする。実は筆者も、レイトだと帰宅の足の心配等でどうしても腰が引けてしまってい、興味があっても行けなかったというのが現状。

こうした作品はやはり、商業ベースに乗らない自由さもあり、だからこそユニークな面が見い出せるといった事を考えると、レイトショーというのも仕方ないが。ただ、この中から誕生した未来のプロも、最初のこうした「fresh」な感覚を大事にしていって欲しいものだ。

鳥野 韻子

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