Four Fresh! ’99+2

映画祭

映画美学校の生徒さん達のフレッシュな作品を紹介する、<Four Fresh! >が、昨年に続き、今年も渋谷のユーロスペースでこの秋、レイト公開されます。監督、撮影は勿論、製作等に至るまで全て、学校の生徒によるものです。この機会に、是非新しい才能をみつけに出掛けてみませんか?

作品については、2回に分けてご紹介します。後日、『意外と死なない』と『薄羽の蝶』の監督のインタビューを掲載します。

□スケジュール

◇日時    :9月18日(土)~10月 1日(金)Aプログラム:9月18日(土)~ 9月24日(金)Bプログラム:9月25日(土)~10月 1日(金)

上映時間  :連日21:00~

◇劇場    :ユーロスペース渋谷駅南口下車2分、JTBさくら通り上がるTEL 03-3461-0211

◇料金    :前売り鑑賞券 ¥800当日一般 ¥1000、学生 ¥900

劇場窓口、チケットぴあにて発売中

□イベント情報9月18日(土):Aプロ初日3作品監督による舞台挨拶 9月24日(金):Aプロ最終日3作品の監督トークショー 9月25日(土):Bプロ初日3作品監督による舞台挨拶10月 1日(金):Bプロ最終日3作品の監督トークショー

詳細は映画美学校 TEL 03 (5205) 3565

□Four Fresh! ’99+2とは?97年にスタートした映画美学校(アテネ・フランセ文化センターとユーロスペースの共同プロジェクト)の、初等科から誕生する4本の短編映画が「Four Fresh!」。初等科は16mmは初めての人対象で基礎から学ぶ、実践的なコース。その中のシナリオ課題と、ビデオ課題の総合評価で選ばれ、10日間の撮影と、約1ヶ月の編集で完成させたもの。

選考基準は「完成度の高い作品より、未知の可能性を感じさせる作品」、「観客を納得させるのではなく、動揺させるようなもの」。

このようにして、年令、経歴も様々な生徒達による“劇場公開を前提とした短編劇映画”として「Four Fresh! 99+2」が誕生した。今年の「+2」というのは、第一期高等科生による、さらなる技術的飛躍を目指した2本の実習作品を講師陣(筒井武文、塩田明彦、高橋洋、等)の高い評価のもと、併映される事になったもの。

今回上映される『意外と死なない』『薄羽の蝶』は今年のPFF(ぴあフィルムフェスティバル)の「特集1・日本映画の未来を観よ!」の中でも公開した。

なお、昨年の「Four Fresh!」からは『怯える』(古澤健監督)が、クレルモンフェラン国際短編映画祭に、『鼻の穴』(稲見一茂監督)がオーバーハウゼン国際映画祭に招待されるなど、高い評価を得ている。

□作品紹介Aプログラム:9月18日(土)~9月24日(金)

◇『意外と死なない』カラー/16mm/42分監督・脚本:大九明子出演   :億田明子、けーすけ、愛染恭子

シナリオ、演出力ともに独特のセンスが評価された作品

ストーリー子供の頃から“痛い”事の大嫌いな月子は小学校教師。抜けた歯を見せる子、予防注射に泣く子。そんな時必ず頭を過るのが、月子の「痛い思い出」。中学、高校での性教育や、初体験。その“痛い”初体験以来ストーカーと化した、嘗ての恋人。そして今、“出来ちゃった結婚”しようとしている、同僚マユの日に日に目立つお腹を見る度、危険な衝動に駆られる彼女だが・・・。

コメント月子の「イ~テテテ」は女性特有の痛みで再現されている場面が多く、見ている側としては、多分女性の方が感覚的に理解出来る気がする。こうして考えると、女性は結構「痛い」一生を余儀無くされているようだ。

渡辺淳一氏が嘗て、『解剖学的女性論』の中で、女性は男性と異なり、「痛くないですよ」と安心感を与えるだけで、実際はかなりの痛みに耐えられると言っていた。しかし、月子には通用しなかったわけだ。

が、彼女の痛みへの怒りは、マユへの暴力的幻想に集約されるが、もっともしぶとく、ある意味で暴力的なのはマユの方かもしれない。

それにしても、にたついてる癖に存在感のあるストーカー男や、ちゃらんぽらんな教師達など、なかなかのキャスティング。月子役はテレビ出演等タレント活動もしている監督自身。無理矢理高音をひねり出して「小さい秋みつけた」を熱唱?してみたり、途中登場するミニチュアダックスのウエンズ君も堂々配役に名を連ねているところなど、茶目っ気のある方とお見受けした。

◇『黒アゲハ教授』カラー/16mm/30分監督・脚本:福井廣子出演   :水谷郷、倉沢愛、山崎剛太郎

シナリオの独特な世界が高く評価された作品

ストーリー定年を迎えた金森教授の研究室で、本の整理を手伝うマモ君。古本の甘い匂いは、幼少時の“物憂げ坂上”を彷佛とさせた。幻聴に悩むカナコは、そこでの幼馴染み。

そこで良く見た黒アゲハと、まるでアゲハ蝶のような美しい肌の金森教授。そして花の蜜の様な古本。カナコはバスで金森教授を補虫網で捕らえる。古本屋でアルバイトするカナコと立ち寄ったマモ君と教授。そこには黒アゲハが舞っていた。

コメントScreenKissの常連さんはお気付きでしょうか?この作品で金森教授を演じているのは、嘗て「バックステージ」にご登場頂いた、字幕翻訳の山崎先生です。(バックナンバー20参照)

まさにぴったりの役処で、これが俳優初仕事と思えないほどはまってました。ただ、外出のシーンでは、トレードマークのソフトがなく、何となく普段の魅力が出し切れなくて残念だった。

「古い書物の端っこの甘くなったところだけが、黒アゲハの食べ物なの。活字を混ぜてはだめ。教授の寿命を縮めるから」こういった“嗅覚”“味覚”。アゲハが舞い、眩しいようなバスの中の“視覚”。そして蝶の羽のような“触覚”。まさに「感覚的」な美しい作品。

偶然、試写会で隣に座られた山崎先生は、しきりと照れていらしゃいましたが、場内が明るくなり、前の方の席にいた女性達がふと振り返って「あ、あの教授役の人だ。すご~い、若いね」と感心していました。先生は「最初で最後の映画出演」などと仰っていますが、この分ではオファーが殺到?するかも。

この作品のロケーションには、先生の御自宅も使われたそうです。実はその辺の事情も含め、先生には今、インタビュー第2弾を交渉中です。乞う御期待!

◇『よろこび』カラー/16mm/32分監督・脚本:松村浩行出演   :遠山智子、西山洋一、泉雄一郎

音、光、構図、キャメラの動き等、徹底した映画表現に対するこだわりが高い評価を得た。

ストーリー水辺で笛を吹くグループに献金した為、殴られた父。父を殴ったグループと偶然出会ったアオシギ。彼女は昼間、「リズム社」で規則的にドラムを叩く仕事をしている。退職した同僚の後に入社した“自称”ロカビリー崩れが、新米の日給¥1,000也を父同様“施し”たため殴られたのだ。が、このグループと共に、退屈な毎日を脱却すべく行動を共にするが・・・。

コメント不思議な感覚の映画だ。父と猫のいる家庭の雰囲気も、少しばかり現実味がないし、「リズム社」の仕事も怪しい。そこの女社長がそれ以上に怪しい。アオシギが勉強する、天文学ラジオ講座もそれ自体怪しい。不思議なキャラクター達とアオシギの生き方に『よろこび』は見いだせるのか。

主演のアオシギ役は『集い』の監督。視線がなかなか決まっている。ちなみに、今回の6作品の内、これが唯一の男性監督作品。

Bプログラムについては、後編でご紹介します。

鳥野 韻子