総評

フランス映画祭

毎年6月の恒例となったフランス映画祭横浜も今回で7年目を迎え、10 日~13 日の4日間、桜木町のパシフィコ横浜は大勢の人で賑わった。

梅雨とはいえ、連日真夏日の中、9:00台からの1本目の上映もほぼ満席という盛況ぶりで、初のレイトショーも、かなりの観客が席を埋めていたのには吃驚した。

今年はジャンヌ・モローに始まる歴代の女優に代わり、初の男性監督、クロード・ルルーシュが団長として来日した。ルルーシュといえば『男と女』~『男と女嘘つきな関係』まで、長いキャリアでたくさんの人々を魅了してきた監督だ。そのせいか、観客の年齢層も幅広く、彼の作品『幸運と必然』のチケットは早くから完売してしまった。

普段スクリーンでしか目に出来ない、俳優や、滅多にその声も聞けない?監督やプロデューサーといった人々と身近に接する機会があるのも、この映画祭の魅力のひとつ。

今年はカンヌでグランプリを受賞した『ヒューマニティ』のブリューノ・デュモン監督や、コメディの大御所のクロード・ジティ監督も最新作『アステリクスとオベリスク』を引っ提げて来日。『ペダル・デュース』以来大ブレイクのパトリック・ティムシットは監督と主演をこなした『カジモド』と共に・・・と多彩な顔ぶれだった。その他、ヴァレリー・ルメルシェ、アラン・ベイジェル等、ティムシット同様俳優出身の監督が目立った。

一方、俳優陣は、先の『ヒューマニティ』で主演女優賞のセヴリーヌ・カネルや、サイン会でまでも、慌ただしくインタビューを受けていたサミュエル・ル・ビアン、若手成長株のギヨーム・カネやロランス・コート等、次代を担う、元気な人々の来日が多かった気がする。

以前に比べ、ヨーロッパの作品もかなり配給されてきているが、まだ単館上映が多い事から、アメリカの俳優に比べると、彼等に対する一般的な認識度が低い。そんな中、早くもこうした旬な人々といち早く出会えるのも映画祭のメリットだといえる。

勿論ヌーベルヴァーグ世代にはお馴染みのナタリー・バイの来日も、ファンには懐かしいものがあるし、来日こそなかったが、ジェラール・ドパルデュー、ファブリス・ルキーニ、カトリーヌ・ドヌーヴ等のベテラン俳優達も健在だ。

さて、今回上映作品約 20 本のラインナップだが、硬質な社会派から、ドタバタコメディまで、バランスよく散りばめられていた。

『冬の少年』は一見サスペンスの形式をとりながら、『今日からスタート』は丹念なリサーチの上で、それぞれ現代のフランスを反映している。『幸運と必然』、『幸せな日々』のような作品ではフランス映画らしい、心の襞を繊細に描いていた。

また、アメリカ映画のような大仕掛けこそないものの、SFX を駆使した『アステリクスとオベリクス』や、人気舞台の映画化『大浸水』などは、かなりの装置と思われた。こうしたコメディでは、他に大胆な解釈の『カジモド』や、可愛らしい『ギャルソンヌ』等それぞれに楽しめた。個別の作品については、あとで詳細を報告。

今回気になった事といえば、このところ、映画人口が増えていると言われている中で、ベテランのジャック・ドワイヨン監督が、“予算の関係で”16mm 撮影を余儀なくされた、とその新作『少年たち』の舞台挨拶で述べていた事だ。無論、彼の手にかかれば、フィルムの質を越えて作品としてはなかなかのものだったが。

今年はリザーブシートが設けられ、チケットの獲得に苦戦したところもあったが、始まってみると、観客のエチケットもよく、また会場係も例年に比べ穏やかだった気がする。

来年は8回目。どんな映画祭になるかが今から楽しみだ。