「ロスト・イン・スペース」はココも見どころ!

作品紹介

クリスマスから新春にかけて注目度大の洋画といえば、やはり SF 映画「ロスト・
イン・スペース」か。アメリカでは公開するやいなや、あの「タイタニック」を
追い抜ぬいてたちまち興行成績トップに躍り出たという作品。日本でも 12 月 12
日の一般公開に先駆けて5日(土曜)の夜に新宿で先行ロードショーが行われた
ので、もう見た人もいるかもしれない。

ザンネンながら私は見なかったが、その代わり日本ビクターショールーム「ニッ
パーズギンザ」の「 SF 超大作『ロスト・イン・スペース』、オープニングの6
分間の CG はどう作られたか?」と銘打ったイベントを覗いてきました。

そう、この映画、ゲイリー・オールドマンの怪演も見ものらしいけど、SFX がお
得意なハリウッド製だけあってそっちのワザもかなりのものらしい。とくに CG
は全 756 ヶ所、「ジュラシック・パーク」の2倍以上も使用しているという。
で、この日はその道に詳しい日比野陽一郎なるお方が、とくにすごいといわれる
オープニングの6分間について解説をしてくれた。(話は少しそれますが、参加
者は老若男女さまざまでした。後半にデジカメかなんかを取り出して写し始めた
初老のカップルまでいたのにはビックリ。若い女性が意外に多かったのはゲイリ
ー人気のなせる技でしょうか。後で分かったのですが、フジテレビの CG 担当者
も来ていて、なるほど、専門家にとっても注目度大の映画なのかと知ったのでし
た)

さて、「オープニングの6分間」について。何と、宇宙も地球も主人公たちが乗
っている宇宙船ジュピター1も、戦闘機(バブルファイター)もみーんな CG な
んだそうな。CG 映像にちょっと詳しい人なら驚きもしないだろうが、私は何も知
らないシロートなので驚いた。ホリゾント(青バック)を使った合成映像なら TV
番組でさえ多用されているのは知ってるが、まさかここまで何もかもが CG で構
成されてるなんて思いもよらなかったのだ。だって、映像がほんとにリアルなん
ですよね。

戦闘機バブルファイターの場合、主要キャラクターの一人、ダン少佐が乗ってい
るシーンは、操縦席(ほんとに椅子のみ)と操縦桿とダン少佐だけが本物。本体
も背景の宇宙も CG だ。しかもダン少佐の顔がよく判別できないぐらい戦闘機
が小さく映る部分では少佐さえニセ者。CG の本体の中に少佐の顔写真を張りつけ
た CG 人形を乗せているという。ただし人形といっても人間の動作をモーション
キャプチャーなるソフトで読み込んだデータを使用して、人間同様の動きをする。
つまり、たとえ観客にははっきり見えないシーンでも、戦闘機の中ではこの CG
人形が手抜きせずちゃんと演技しているってわけなのである。日比野氏は「カンタンなんですよ」とか言って、 CG 人形の作り方をチョチョイとやってみせてくれたが、実際に映像の中にいちいちそれを組み込むことを考えたらけっこうな手間。省いてもいいようなところも省かずきっちり描いていく、これが CG でリアリティを出すコツなのかもしれないと感心したものだ。

ちなみに、私にはその数字の価値がとんと分からないのだけど、バブルファイターが 25 万ポリゴン、ジュピター1にいたっては 320 万ポリゴン。日比野氏が感動をこめて話していたから、かなり忌みのある数値なんだろう。

おもしろい裏話をひとつ。「オープニングの6分間」では宇宙の塵がひっきりなしに飛んでくる。これもすべて CG なのだが、この塵、まず動きから作るそうな。アトランダムに飛んでくる塵が向こうから手前へと移動する、その軌道を最初に設定するので、物体の形は当初は球や四角柱などプレーンなもので代用することが多い。この映画のときにはユーモア溢れるスタッフが物体のいくつかをテディベアで代用した。そう、クマさんですね。軌道の設定が終わると、いよいよ物体を宇宙の塵らしい形に置き換える作業に入る。しかしこの塵、無数に近いほど大量にあるから置換作業はとてつもなく大変だ。それでどうやらひとつふたつ置換忘れがあったらしいのである。日比野氏の話だと、画面の中には何やらテディベアっぽい塵があるとか無いとか。そういや私が見たときもそんな形があったような……。

見事テディベアを見つけた人には賞金を差し上げます!

なんてのはウソだけど、もし「ロスト・イン・スペース」を見に行ったら、宇宙の場面ではちょっと目を凝らしてみては? クマさん型の不思議な塵を発見するかもしれませんよ。

日比野氏は他にもいくつかの例について実際に目の前のパソコンをいじって実演しながら説明してくれたので、何も知らない私でも CG の作り方についてかなり知ることができ、なかなかおもしろいイベントだった。CG の好きな人のために付け加えれば、「オープニングの6分間」を製作したのはイギリスの The Magic Camera Campany。他に「ベイブ」をはじめとするクリーチャー製作の第1人者ジム・ヘンソン工房など、全 12 工房が CG 作りに参加している。もちろん NASAのアドバイスもあり。使用ソフトウェアは Avid Media Illusion / Elastic Reality / 3D Studio Max / Light Wave など。

映画ファンのために付け加えれば(とっくに知ってるだろうけど)、この作品は65 年から 68 年にかけてアメリカ CBS で放映された TV ドラマ「宇宙家族ロビンソン」のリメーク。テレビ番組で主要な役柄を演じた俳優たちは、今回、映画の中では別な役でさりげなく登場しているそうだ。またテレビ版は日本テレビで土曜深夜に放送されているので、興味のある人は見てみたら? けっこう笑えます。

それにしてもハリウッドの技術は進んでる。それに、俳優さんも大変だと今回はつくづく思った。だって、操縦席と操縦桿だけのちゃちなセット、青い壁を背景に、スピード感あふれる宇宙戦争を演じてみせなきゃならないんだからね。こういう演技で万が一アカデミー賞を貰えたとしたら、1.演技の天才、2.選んだ奴等がアホ、3.あるいは同業者として同情した、のいずれかだろう。まあ、1ってことはほとんどないと思うけど。

□12月12日、全国の松竹洋画系、東急系でロードショー
監督:スティーブン・ホプキンス
(「エルム街の悪夢5」「プレデター2」など)
CAST:ジョン・ロビンソン/ウィリアム・ハート
妻モリーン・ロビンソン/ミミ・ロジャース
長女ジュディ・ロビンソン/ヘザー・グラハム
次女ペニー・ロビンソン/レイシー・シャベール
長男ウィル・ロビンソン/ジャック・ロビンソン
ダン・ウエスト少佐/マット・ルブランク
ドクター・スミス/ゲイリー・オールドマン

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