アベンジャーズ、マルセイユの恋、ワイルドマンブルース、トゥルーマン・ショー

まずはそこそこ楽しめるものから。で、「アベンジャーズ」。米国での酷評を知りつつRファインズならとりあえず全部見たい私としては見てしまった。シリアスな役回りが多かった彼が小粋な英国紳士の諜報部員になって立ち回りも披露しているが、この人とアクションの相性ははっきり言って良くない。おまけに相手役のユマ・サーマンの方がどうみても長身で2人並べた時の撮影に苦労が伺えた。

話はジェシカおばさんが住んでいそうなのどかな田舎風景にマグリットの絵から抜け出たようなスティードと「探偵スルース」調の迷路庭のついた「薔薇の名前」風屋敷に住むS・コネリーの悪漢オーガスト。彼の仕業で凍ったゴッサムシティみたいになったロンドンを救うべく、滝でのホームズとモリアティ教授との決闘宜しく対決してめでたし。

今回の作品の売りは当時風ローテクと現代のハイテクの組み合わせの妙という事だが、007ほど高度でなくオースティンほどお馬鹿でなく本当に「妙」。ファッションも時代を意識した伝統的なスタイルとハイパーなユマのイルマ・ヴェップを思い起こさせるピタピタスーツ。(人間離れした?スタイルを際だたせて目に楽しい)

随所でやや自嘲気味にしつこいほど「英国」を強調している点は笑えるが、とっておきはサー・オーガストの秘密会議。何しろ参加者は全員テディベアの着ぐるみ着用なのだ。MRビーンの愛熊?風ながら一番渋いテディはオーガスト。あとはピンクやブルーとポップなカラーが12色(人?)も揃っていて、ハードなイメージのビルに子供部屋があるみたいだ。

着ぐるみのまま挙手をする表情をカメラが捉えるのだが、妙に手が短くて頭が大きくとぼけた顔が画面一杯になると会場から笑いが起こっていた。丁寧且つ上品な言い回しによるブラックユーモアは英語の勉強には良いかも。

それと、「マルセイユの恋」今年のフランス映画祭横浜で最終日に上映された作品で、前売りは結構早く売り切れていた。原題は「マリウスとジャネット」。

過去に辛い経験を持つ中年の2人が主人公だ。こう言うとメロドラマ風だが、庶民の逞しさにユーモアの味付けをしたなかなかの小品である。前半はジャネットの口うるささが鼻についてなかなか雰囲気に馴染めなかったが、中盤位から引き込まれる。

どこにでもいそうな、ごく普通の人々の、下町風の人間関係とそれぞれの家庭の模様を冒頭にあるように“お伽話”風に綴っている。主に使われているのはヴィヴァルディの「四季」とパバロッティの歌う「オーソレミヨ」。これが主人公達の心を反映して実に巧く分かりやすく挿入される。飲んだくれた男3人がはしけに並んで横になるところを俯瞰でとるとシャツの色が丁度トリコロールに見えたりして色彩も面白い。

マルセイユでマリウスとくれば、ついマルセル・パニョルの3部作を連想してしまう。コミカルでいて社会批判にも長けていて、その辺が嫌みにならない程度に軽い会話が交わされてなかなか笑わせてくれる。

コミカルといえば渋谷で上映中の「パリの横顔」第3弾“味覚の街パリ”。中から何となく一番パリらしくなさそうで、未公開の「ファーストフード」を選んでみた。田舎の純情青年が保護者の祖父を亡くし、自分の保護者になって貰おうと1度だけ関係した黄色い髪の女性を追ってパリに来る。とりあえず得たファーストバーガーでのバイトから順調に出世したが、やっと会えた女性に拒絶されて初めて自分の人生を歩み始めるという目新しさはないが非常に分かりやすい作品だった。短めのパンツを穿いたのっぽの青年は僕の伯父さんっぽい演出でそれなりに笑えはするが。

締めは「ワイルドマンブルース」と「トゥルーマン・ショー」。前者はすぐにレイトショー化してしまうので焦って見たわけで、私などがWアレンを語ると怒る人がいるのであまり言いたくないが、終わり近くで登場する彼の両親が天然ぼけでおかしい。特に96才の父の発言は爆笑もの。ドキュメンタリーとしても一級の出来だ。続く「地球は女でまわっている」も楽しみ。「トゥルー…」の方は連日試写会場は混雑という噂だし、あのP.ウイアーというので期待してた。マスコミの養子が30才位迄人工の人生を送っていたという発想は確かに現代を風刺していて面白いし、スポンサーの製品をその中でさりげに宣伝したりする着想や、舞台が「シザーハンズ」みたいに可愛いく、Jキャリーも得意のゴム顔でなく演技で勝負してたし、文句ない出来なのだ。だが、内容の割には何だか今一つパンチが利いていなくて手放しで絶賛出来ない、何とも言えない脱力感が残ってしまった。

次はこわい作品。先の「トゥルーマン…」がラストで人工島から勇気を持って脱出するのと反対に「砂の女」的な空しさが残る「CUBE」。六本木で上映中は大混雑の上に朝から全ての回の整理券を配布してしまうので見れず、渋谷でやっと実現。雨天を狙って行ったのに座布団組だった。視覚的に気持ち悪い映画は見ない主義の私でもぎりぎり正視出来る画面だが、心理的にこわい。場内しーんとして皆の緊張感が感じられた。対し怖そうで全然期待はずれだったのが「ダイヤルM」元祖ヒッチコック作品のリメイクだがさすがに..を回せとはこの時代つけられなかったようでこの邦題である。プロットが甘い。ポワロ役者が老練な刑事になっているのはご愛嬌。随所に登場する絵画はデニス・ホッパーの提供とか。「大いなる遺産」に続き絵描きに縁のあるG.パルトロゥのながーい首を見るのは楽しいかも。M.ダグラスといえば過激なシーンが多いが、流石に子供の頃から知っている彼女との絡みは避けてもらったとか。いよいよ23日からは英国、今月末からは東京国際映画祭が開催されるが、今年は一部チケットの発売が遅れたりしてゲットするのに結構苦戦。映画祭の様子は順次レポートする予定。

鳥野 韻子

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