インディアナポリスの夏

作品紹介

★★★★

4つの★には評価が高すぎるという声も聞こえてきそうだが、全体像でとらえると欠点がすくない映画であり、青春物という言葉に鳥肌がたたなければ観るだけの価値は十分ある映画。

7月10日から始まったこの映画は初日の昼すぎの回で約30人程度と、このままでは早々に打ちきられるのではないかと思う程人気がない。あきらかに宣伝がまずい。チラシの写真はいいが「明日へ走れ」の文句は最低だった。またこのチラシ、「死にたいほどの夜」にイメージがそっくりだ。ちなみに「死にたいほどの夜」は 97 年のサンダンスに出品されている。

同じ年「インディアナポリスの夏」はサンダンス審査員特別賞をとっている点を考えても、どちらが見る価値のある映画かわかるはずだ。サンダンスの賞取り映画には、はずれが少ないというもっぱらの評判。

映画館で流しているコマーシャルのイメージは、50 年代のアメリカの青春映画という雰囲気を前面にだしすぎているし、たいしてスタイリッシュなイメージではないのに「スタイリッシュな青春ラブストーリー」なんて言葉に反応する人も今時いないのではなかろうか。これは「2人の男の友情と、女遊びの映画で、自分探しのロードムービー」とでもいうべきではなかったか。事実この映画はロードムービーではないが、そうとも言えるだけの展開がある。

実際は古臭いストーリーの青春映画ではなく、斬新ではないが現代タッチの成り行きには関心するし、新鮮味すら感じる編集のテクニック、ソニー(ジェレミー・デイヴィス)が見る幻惑のシーンのユニーク、程よいコメディータッチの行動。

さらに全体のストーリーは映画の途中でソニーがつぶやく「ライ麦畑でつかまえてのホールデンの様にはなれない自分」からもわかるように、その小説にそった展開をむかえる。またその言葉が最後の列車のシーンを引き立てている。(列車にぴんとこない方は小説を読みましょう。)

ガナー(ベン・アフレック)との崩れそうな友情には途中いつも不安を感じるのだが、エンディングを迎えるとその反動で大きな安心感に包まれていく。これが観客にも素直にソニーを見送るような気持ちよさを与え、実にすっきりした嫌みのないハッピーエンドとなる。このストーリー上無理のない終わり方には脚本の素直さを感じるはずだ。

サンダンの審査員特別賞をとったこの映画はサンダンスを評価している映画ファンにはかならず観ていただきたい一品。

立野 浩超