エイプリル

1998年 /イタリア・フランス合作/カラー/78min’98年カンヌ国際映画祭正式出品作品・大阪ヨーロッパ映画祭正式招待作品

監督・脚本・製作・主演:ナンニ・モレッティ出演:シルヴィオ・オルランド、シルヴィア・ノノ、ピエトロ・モレッティ

ストーリー’94年3月26日。選挙結果は右翼の圧勝。モレッティ、初めてマリワナを吸う。’95年、妻が妊娠。それ以来彼の生活は一新する。まず、名前。胎教として見る映画の選択。同時に映画監督としての構想もまとめなくてはならない。

そして、ついに’96年4月18日。待望の赤ちゃんが誕生する。息子、ピエトロだ。同時にこの日はイタリア史上初の左翼政権の勝利の日でもあった。早速選挙に向けてドキュメンタリーを撮ろうとするが、気がのらない。が、一方で以前から温めていたミュージカルの企画も捨てがたい・・・。

コメント遂に、あの我侭で独善的で、それでいて憎めないモレッティがパパになった!その心を反映するように、赤をふんだんに使ったカラフルな映像、ポップな音楽・・。究極の親馬鹿映画と思いつつも、見ているこちらまで幸せな気分になってくる。息子とのコラボレーション?も抜群で、ピエトロの可愛らしさや、モレッティの肝っ玉母さんの登場もほのぼのしている。

「4月生まれはアル・パシーノとエマ・トンプソンか。さて、フェデリコは立派すぎるけど、マッテオは響きがいい。親子で同じ名前は禁止されてるし・・・」

「『ヒート』は300人も殺すからよくないし、『ストレンジ・デイズ』は駄作だから性格悪くなりそうだし・・・」

名前や胎教映画の選択の台詞は傑作だ。親の心は世界共通。しかし、出産寸前で何と、パタニティブルー?になってしまう。「私が分娩室に入ったら励ましてね」「うん、分かった。でも、僕の事は誰が励ましてくれるの?」そんな彼の姿を笑いつつも、世のプレパパの本音だろうと思う。

よく、「子供の誕生は人生観を変える」というが、ピエトロ誕生後はモレッティの視野も、妻や親との距離など、大分変わってきたようだ。

それにしても、彼のこうした私生活の波を、もろに受けてしまうのが、忍耐強い?スタッフ達。「やっぱり気が乗らないからや~めた」。それでも、菓子職人のミュージカルシーンはとても可愛らしい。実際に映像化してほしいものだ。

が、彼の中では当分、自らの人生の傑作、ピエトロ君が主役の座を独占することだろう。こんな親を持ったピエトロの将来も楽しみ。

赤ちゃん狂想曲のラストの方で、対称的に静かなポ-川の場面。この辺、モレッティの作品つくりの巧さを感じさせる。

幸せな気分になりたい方、是非見てくださいね。

鳥野 韻子

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