エリザベス

作品紹介

監督:シェカール・カプール出演:ケイト・ブランシェット、ジョセフ・ファインズ、クリストファー・エクルストン

ストーリー

時代は1550年代。英国は熱心なカトリック信者のメアリー女王の統治下、容赦ないプロテスタントへの弾圧が行われていた。所謂“ブラディ・メアリー”である。が、スペイン国王との間には子供なきまま、他界する。メそこで、アリーへの謀反のかどで、1度は捕らえれた義妹のエリザベスが王位に就く。

奸知に長けたノーフォーク卿、政略結婚をまとめようとするスペイン大使やフランス大使。そんな中、頼りにしていたダドリー卿までをも含む、彼女への謀反が発覚して・・・。

インド人の監督、オーストラリア人のエリザベスと側近(ジェフリー・ラッシュ)、英語の台詞で初出演の元サッカー選手(エリック・カントナ)や生っ粋の?フランス人俳優達(ファニー・アルダン、ヴァンサン・カッセル)・・・と何と個性的で国際的な英国史劇だろうか。

残るイギリス人俳優たちも、出身地が異なり、おまけに古い宮廷言葉だから、これは台詞面を考えても凄く大変だったに違いない。あまり英語は得意でない筆者だが、やや?BBCを聞いているような“かたい”英語が耳に心地よかった。

それにしても、よくまぁ、という位の曲者俳優を集めたものだ。コスチュームに欠かせない、大ベテランのJ.ギールグッド、女装が決まってた?ヴァンサン・カッセル等。これで、ファインズ兄弟両方と共演した事になる、ケイト・ブランシェットは実に堂々としていた。(兄のラルフとは『オスカーとルシンダ』で共演)

歴史的な部分は大幅に改ざんされているが、”History”でなくHi(高度な)Storyと考えれば、充分楽しめる。その昔(?)高校で歴史の講師なんぞしていた、筆者は最初の授業で、「人々が語り伝えたお話・・これが歴史」何て偉そうに話していたことがあります。

だから、立場が変われば、お話の内容も違ってくるわけで、それをまた、映画という娯楽にするのだから、この程度なら赦されてしまうだろう。まぁ、興味のある方は『1000日のアン』とか『オルランド』を見てみるとか。参考までに、本では小西章子さんが書いた「華麗なる二人の女王の闘い」は面白く読めるのでお薦めです。

そんな歴史的な内容より、エリザベス1世のコワイ女のイメージがある中、この作品では歴史に翻弄され、「普通の」女として生きられなかった、ある意味、政治の犠牲者となった女性の苦悩を前面に出している。

登場人物達の衣装を見るだけでも一見の価値がある。各役者の個性と、残されている肖像画の雰囲気を両方生かしていて、素晴らしい。

エリザベスは、その心境や境遇に合わせて、色やデザインに変化が見られる。若々しいレッド中心のドレスから、凝ったつくりの深みのあるカラーのものへ変わっていく。

そして、その子ちゃんも吃驚の白塗に国家の花嫁となった白い衣装。その昔日本でも白塗りをしていた時代は、暗い中に顔がぼ~っと浮かぶように、とか表情を悟られない為とか言われていたが、彼女も多分後者の理由も考慮しての事だろう。

また、それらの衣装を一層雰囲気あるものにしているのは、レンブラントの絵画のような光だ。後半の暗殺シーンでは、この暗がりが一層無気味さを引き立たせる。

同時に音楽の使い方も秀逸。恋をしているエリザベスには軽いダンスの音楽。そして、ラストは荘厳なモーツアルトの「レクイエム」。それも第1楽章の”キリエ”以前までを使用しているところも、憎い演出だ。

それにしても、知らずにこの映画をエリザベスの誕生日(9/7)に見に行ったと、後で知っと時はとても吃驚でした。

鳥野 韻子