クアトロディアス

★★★★

粗筋などに関してはBOX東中野のHOME PAGEに詳しく載っているのでご存知ない方はそちらからどうぞ。http://www.mmjp.or.jp/BOX/database/quatro.html

魅力的な映画は、出演者が有名だとか、監督が大物だからとか、原作者が文学賞をとったなどという事とはまったく関係がない別のところで生まれている。

しかし残念ながら映画を観にいく場合の映画選びの重要な要素とは、そういった事柄ばかりで、観客数もその3つの要素に大きく影響されている。たまには人の意見に耳を傾けて、今週末観にいく映画、借りるビデオを決めてもらいたい。

クアトロディアスは残念ながらすでに公開は終了していて、レンタルビデオに頼るしかないので、リバイバルに期待しましょう。

南米映画は仏映画よりもよっぽど見る機会が少ないが、最近はアカデミー賞からみで「セントラルステーション」、サンダンス映画祭からみで「フラミンゴの季節」と上映が続いた。「クアトロディアス」も97年アカデミー外国映画賞にノミネートされていた。

もちろん南米ばやりというわけではないが、今後も各配給会社には南米映画へも目を向けていってもらいたい。

それと同時に、国際交流協会が主催する映画際(特集といったほうが正確だが)でも積極的に取り上げてもらいたい。最近主催回数が減ったように感じるのは気のせいだろうか?

「クアトロディアス」を見終わると南米のパワーを感じる。この映画はチラシの裏側にあるサン誌の批評「この四日間(クアトロディアス)は見る者全員に忘れられない四日間になる!!」とか、スティーブン・スピルバーグの「ブルーノの最高傑作だ!」といった言葉があらわす通りで、期待を裏切らない。いつもの当てにならない宣伝文句ではなかった。

これはノンフィクションをもとにした映画だが、その為に生じる退屈さを排除するための努力を感じる。まず他面な側面からの演出。首謀者、誘拐された大使、目撃者、警察といった一人一人が重要な主役となっている。独唱で生じる押し付けがましさがないため、冷静に一人の目撃者として、または仲間としてこの映画を見続けることができる。

また、話の抜き出しが上手いため、首謀者フェルナンドの人生感にも共感ができたり、反対に具体的に批判ができたりすることだろう。物足りなくもない、説明しすぎでもない上手い脚本がそこにはある。

映画を撮るにあたり、誘拐首謀者達にたいしてあまり友好的になりすぎることもなく、反対に批判的でもなく、感情をあまり入れない撮影をしている。もちろん、中立ではないことは、チラシや予告編に使われていた写真で首謀者が握りこぶしで腕をあげ、ピースサインをかざしている姿を使用していることが暗示している。

もちろん、その曖昧に近い立場が、この事件が与えるメッセージや、原作が訴えたかったことをぼやけさせてもいるようだ。

あまり政治的にどうのという内容でもなく、単純に犯罪物映画としてみればいいのではなかろうか。実話ならではの迫力があるから、ハリウッド映画の犯罪物とは大きく雰囲気の違う映画として満喫できるだろうし、ギャグを織り交ぜているわけではないためリアルな恐怖がある。

2流ホラー映画よりも恐いかもしれない。まだまだ残暑厳しいいまごろにはお勧めの一品です。

立野 浩超

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