バダック・砂漠の少年

キネカ大森のイラン映画特集より

ストーリーの評価:★★★総合点 :★★

この映画は、『運動靴と赤い金魚』のマジッド・マジディ監督が92年に撮った映画。面白味はあるが、多少編集の強引さが気になる。7年前で且つ、イランで作られた映画と考えると十分大作だから、アジア・インド映画に興味がある人はついでに見る事をお勧めしたいが、公開が終了後はビデオもないだろうから、お目にかかることが難しいだろう。

イラン映画というよりも、インド・パキスタン系の味が混ざっているストーリ展開で、いままで日本で見られてきたイラン映画の系統からは離れている点にも興味がもてる。

イランの日常的な風景はテレビや旅行のガイドブックなどでもなかなか知る機会がなく、特にテヘラン以外の田舎町の映像は目にすることが少ない。また、経済制裁を受けている国や、貧困国に旅行をする人も少ないだろうから、何を着て、何を食べて、どんな町の雰囲気なのかといったことを知る事もむずかしい。イラン映画を見るとほんの一部であれそれを目にすることができる。

この映画の中では、悪玉の親分が子供達を使って国境線にはられた有刺鉄線の隙間から密輸取り引き(貿易tいってもよかろう)をしている。イランという国は、貿易が制限されているため現在でも外国製品を輸入したり、持ち込んだりすることが難しい。しかし実際は多くの製品、それこそコーラから、布地までが手に入る。ごく普通に商店で売られている。ただし、輸入をする事はまだまだ難しく、そこでこうした密輸が影では頻繁に行われているのが実情だ。その一例を垣間見れるわけだ。

また、労働力の為の人身売買、少女を買っていくサウジアラビア人、走っているバイクや、ピックアップトラック、衣装など一つ一つがドキュメンタリーのようにリアルだ。そんな問題行為を主体に、少年達が相変わらず頑張っている姿は最後まで印象的で、飽きがこない。

今年のモントリオール映画祭ではマジディ監督の作品『カラー・オブ・ゴッド』が、97年の『運動靴を赤い金魚』以来の2度目のグランプリをとった。これは世界的なブームといってもいいのではなかろうか。引き続きイラン映画に関してScreenKiss上でもお届けする機会が増えるだろう。

立野 浩超

スポンサーリンク
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Evernoteに保存Evernoteに保存
スポンサーリンク