レイニング・ストーンズ

作品紹介

★★★

相変わらずの労働階級、不況、失業、家庭問題物で、実にリアルな設定。画面の色合い、カメラワーク、セリフ、すべてがまとまり1つの世界を作り上げるケン・ローチの映画。英国独特の陰気な暗さを彼は最もうまく表現し、使い分け、利用している。

ちなみに撮影はバリー・エクロイドで、いままで「リフ・ラフ」から始まり「レディーバード・レディーバード」「大地と自由」「カルラの歌」「マイ・ネーム・イズ・ジョー」と同じ色合い、かつその撮影題材にそった微妙な表現力を使い分けている。

「レイニング・ストーンズ」は2人のうだつの上がらない親父が羊をつかまえ、売りさばこうとするけち臭い行動から始まり、次第にそこまでやらなくては生きていけない現実と、どうしようもない社会が理解しやすい様にいくつかの騒動で説明される。

ノンフィクション的な魅力があり、同時にフィクションとしてのハプニングが映画としての魅力を掻き立てる。ボブ(ブルース・ジョーンズ)とアン(ジェリー・ブラウン)の乱れた、時たま寝癖のような髪型には注意。ノーメイクとしか思えない顔と合わせてイギリス失業物の特徴だ。

愛娘の聖餐式前の数日を惨めな現実と共に切り取った”シンプルな第2話”といえる映画。第1、3話とは場所、主人公、そして題名をかえてつくったケン・ローチの他の映画のことではなかろうか。それほど昔から一貫した現実主義で作品を生み出しているようだし、退屈な時もあるが、このようなポリシーや題材選びの力量には憧れすら感じる監督だ。

ケン・ローチ映画祭(銀座シネ・ラセットにて、7月10日から16日まで)見逃している作品がある場合は早くいきましょう。

立野 浩超