交渉人

作品紹介

★★★

ハリウッド大作-刑事物をみた。

ハリウッド大作の中でも特に刑事物は私の趣味ではないのだが、確かにこの手の映画は何も考えることなくただ観ているだけで楽しめる。そういった事の難しさは世界各国の映画人がよく分かっているだろう。さて、事件の真相が明らかになる後半まではまったく悩む必要なくただ眺めているだけで素直に楽しめた。それはストレスを解消する為の一番安上がりな方法ではなかろうか。

この映画の批評で目立つのはサミュエル・L・ジャクソンとケビン・スペイシーの演技のすごみだが、確かに彼らは演技のできる役者で、この手の映画に必要なおおげさな表情の中にもじつに新鮮な表現力を感じる。日本の役者と違って顔色をほとんどかえることなく感情の変化を表現できる。

テレビではおすぎ(信頼できる映画批評を書く数少ない人の一人)が「題名が読めなくても、出演者を知らなくてもお薦め」と言っているが確かに彼ら2人を目当てにいく人は少ないだろう。そうすると客引きの為には”宣伝で勝負”とばかりに、短いコマーシャルのなかで全ての目玉シーンを出してしまい、実際観に行って盛りあがるたびにコマーシャルのくり返しでがっかりすることがある。昔でいえば「キャノンボール」という映画が日本では有名ではないだろうか。あれはコマーシャルシーン以外のアクションがなかったといってもいい。

この映画ではそんなこともなかったが、反面シュワルツネッガーばりに目玉アクションがいくつもある映画ではない。どちらかというと、ダニー(S・ジャクソン)がこのビルの中で自分の置かれた犯罪者としての立場をいかに脱出するかという先の読めない展開が売りとなっている。つまりサスペンス映画だ。

又、この交渉人という設定自体は、刑事物の映画で犯罪者に言葉で説得するシーンを考えるとごく普通に見られるシーンで、それに目新しさを感じるということはあるまい。そうすると、単純に濡れ衣をきせられた刑事、ビルのアクション、新犯人探しとごくありふれた物となっていく。その点でやはりただのハリウッドの娯楽物といえる映画だ。

しかし、3つ★がつくのはやはり単純明解でかつ、ハッピーエンドが待っているお決まりのパターンにしっかりはめ込んで、それでいてついつい先を読みつつもはずれていくその楽しさといったところが評価に値するからだ。「悪人はなんとなく彼だと思ったよ」という声を聞いたが、実際観終わったからそう言えるだけで、もし後半15分を観せないで彼らに予想を聞けば、まったく訳の分からない答えになるだろう。

自己紹介や趣味の欄に、”映画好き”と書く人のなかにはこの手の映画しか観ていない人がいるようだが、今後そんな人たちにも薦めることのできるヨーロッパ映画を探して紹介したい。残念がら今上映されている映画の中には特にその手のお薦め映画はみあたらないが。

立野 浩超