白い風船

作品紹介

★★

キネカ大森は今回のイラン映画特集、続いて第2弾イラン映画特集、同時に予定されるウッディ・アレン特集といった企画力が非常に魅力的だ。キネカ大森に関してはScreenKiss Vol.6で紹介しているので参考にしてください。

今回は見逃していた白い風船を観た。多くの人はビデオ発売まで待ち、レンタルビデオを観るだろうが、やはり映画館でみるとまったく印象がことなる為、できるだけ見逃した場合は映画館でのリバイバルを探している。そのことが日本の映画館の経営を少しでも助け、映画界の活性化につながるのではなかろうか。

しかし、★数のなかでは平気で1つをつけたりしてしまい、それをメールマガジンに流しているのだから、多少矛盾はしているだろいうが、大体上映後数週間してからの批評だから、それほど影響はあるまい。

さて、かなり雑な作りの映画でイランの映画界の状況を実感する。まず撮影テクニックがイマイチで、人間のアップ(上半身)を撮影するシーンのほとんどは頭のてっぺんが切れている。たしかに顔を強調するためにわざと髪の毛の部分をフレームから外すことはあるが、この映画の場合そうすべきカットではなかった。また編集は唐突であったり、まのびしたりと、フィルムを切るべきところで切られていない印象。映画をみている最中にある事を不満に思ってしまうとなんだか体がなまって、じっとしていられなくなるが、そんな映画だ。

今回の上映ではこの映画館にも問題がある。まず座って、本編前の宣伝で気付いたのだが、通路の足物を照らす豆電球のようなフットライトのカバーがはずれていた。その為裸光が目に届くのだ。その程度の小さな明かりでさえ、真暗な劇場中では非常にまぶしくなる。至急修理をしていただきたい。

また、フィルムが古くなると(だいたい5年をすぎると)フィルムがいたんでくるため映像がノイズまじりのようにちかちかしてしまい、音声(音楽)も質が落ちてくる。それはしょうがないし、イラン映画の音声自体がそれほどクリアではないこともわかっている。

しかし、今回は劇場内のボリュームに問題があった。少々大きすぎた為、丁度ノイズが耳触りになり、音が割れているように聞こえてしまった。これも不快感を助長させる。最近のシネマコンプレックス館では、上映回ごとに係員がボリューム等の場内の環境チェックを行っていると聞く。何度も入ってくることはミニシアターでは余計なお世話となりかねないのだが、毎回1度はチェックをしたほうがいいのは間違いない。

ただし、人によってかなりこの最適な環境設定が異なるため、もちろん万人に受け入れられる環境設定は不可能だろう。今回はそれを理解していても、ボリュームは適切なものではなかった。もうすこし下げるべきだ。映画によっては大音量が魅力をます場合もあるが、題材によってはその必要がないものも多い。イラン映画にもその必要はないだろう。

さて、イラン映画のエンディングはいつもほのかな感動を感じつつ、あまりに単純だが純粋なエンディングに新鮮さを感じることがある。「白い風船」という題はエンディングで、風船売りの少年が持つ棒の先っぽにくっついている売れ残った1つの白い風船よってインスパイアされているのだろう。ペルシャ語の原題、英題も Le Ballon Blanc(白い風船)となる。

最後の最後で題名を意識させて、その意味に気付いた後しばらく余韻を感じることができるいい題名だ。

立野 浩超