踊れトスカーナ

作品紹介

ストーリー
トスカーナの片田舎で会計士を勤めるレバンテの家に、ひょんな事からスペインのフラメンコダンサーを乗せたバスが到着し、更に一行を泊める事に。平凡な彼らとこの町にとってそれは台風(原題は”Il Ciclone”=サイクロン)並みの出来事だった。

興奮した父はさらに鼾が大きくなるし、ワインつくりをしながらもゲージツ家の弟は、明るい絵に転向。レズの妹とレバンテにはそれぞれのお目当てのダンサーが。

そして、ダンサー達の移動が決まり・・・

※この中で、不思議な名優が3人いる。作中では1度も役名?を呼ばれなかった飼い犬役のLilliと、声だけで1度も姿を見せない祖父のジーノ。それに、レバンテの心中の声。登場人物が皆どこか変で、何故かオーバーアクション。葡萄栽培の為の緑青噴霧器を背中に、リズムをとる姿は明和電気みたいな弟、たらお君がそのまま大人になったような妹と、彼らのネーミングも、レバンテ(決起)、リーベロ(自由)、セルバジャ(野生?)。着ているTシャツには「癇癪持ち」なんて書かれていて、何かはずれた可笑しさが全編を覆っている。

カテリーナ(この女優さん、梅宮アンナとジュリア・ロバーツを足して2で割ったような感じだった)と、几帳面なレバンテの恋愛模様は平凡だが、面白い。小道具としてのブーメランや、家に活気が帯びると電界が生じるという設定も小粋だ。植物でも音楽を聞かせたりすると、微少ながら電流が生じるというから、まんざら嘘でもないし。

一面のひまわり畑、ノリのいい音楽。レバンテの心情を表現するバイクや、日記風に綴っていくところは、ナンニ・モレッティ的でもあるが、ハッピーエンドながら『ライフ・イズ・ビューティフル』にも通じるイタリア的なテンポの良さ。原案、脚本、監督、主演の4役をこなした、レオナルド・ピエラッチョーニは張り切り過ぎず、バランスよくまとめている。気分の落ち込んでいる時、是非お薦めの作品。

私事だが、筆者のボスはイタリア人。仕事での衝突は日常茶飯事で、この日も憂さ晴らしにこの映画を見に行ったところ、登場人物の仕種や表情がどことなく彼に似ていて、イタリア映画を見に来たことを大後悔。(おまけに彼はバイク通勤している)しかし、日頃の恨みも忘れてしてしまう程可笑しくて、楽しめた作品でした。

鳥野 韻子