運動靴と赤い金魚

作品紹介

★★★

イラン映画といえば・・・。確かにまず出てくるのが、アッバス・キアロスタミ。でもこの映画はキアロスタミっぽくなくて、まず個人的には好都合であった。そして最近の、特にアメリカ・ハリウッド映画などではまずお目にかかれないだろう、何とも素朴な映画だった。多分、相当低予算であるだろうし、それでもしっかり映画は作れるということでは素晴らしい。

さらに、この映画で素晴らしいのは子供の表情であると思う。それにしても主役の兄妹がよく泣き、悲しそうな顔をするのだが、その表情だけでつられてか同情してか心がジーンとしてしまった。それでいて時折見せる笑顔がまた素晴らしいのである。ただ、この映画は子供の表情の豊かさという部分が圧倒的に強くて、それを除いたら・・・と考えると、どうもピンとこない。観終わって、実際、何か物足りなさというのか何というのか・・・。ストーリーで引き付けるという要素がもうすこしあればなのか。何か児童映画といった感じだった。まあ、でもあの表情を観るだけでも十分か。

山下 裕