黒猫、白猫

作品紹介

★★★

「この映画は見事に突き抜けている。そしてきっと誰にも真似できない」厳しくつけて☆は3つまでだろう。エンディングにかけての盛り上がりは評価したいが、それまでの退屈さ、コメディーとしては評価できないところがマイナス点。

「黒猫・白猫」はコメディーであるかどうか?大爆笑している人がいるかどうか?私にとってこの映画はどこからどう見てもコメディーではなかった。コメディーというジャンルの中にこの映画を置くとすると最低レベルだろう。映画館のなかはほぼ満席だったがほとんど笑い声は聞えず、見終わった観客達のなかで笑いながら帰っていった人もほとんどいなかったということが正直に評価している。(これは私が見た回だけだったのだろうか?)確かに日本人は映画館の中で大声で笑うことがすくないが、そのことを十分わかってのことだ。

しかしコメディーの範疇を広げて解釈すると、皮肉や、ブラックユーモアのたぐい、風刺というものもあり、その中には収まりそうだ。ただ、それらにはメッセージ性が必要ではなかろうか。「黒猫・白猫」には「アンダーグランド」(★★★★★)のように宗教・民族的な重たいメッセージはほとんど感じられず、その為タッチが軽くなっている。また、一人一人の人間の面白味は深いものがあるが、笑えるほどではない。

さて、雑誌の映画紹介の写真、コマーシャルですぐに気付く点は、色の美しさ。これは全体を通して言えることだが、必ずしもきれいな場所で撮影している訳でもなく、衣装が多彩な色使いをしている訳でもなく、どちらかといえば小汚い場所、衣装でのぞんでいるのにもかかわらず、色彩豊かで発色のいい映像に仕上がっている。まるで輝くような色が映し出されている。コメディーとしては空回りするような演出のなか、結婚式のごちゃごちゃでイダ(ブランカ・カティチ)が踊る場面の美しさは、クストリッツアならではだろう。「アンダーグランド」でも同様の美しいシーンがあったが、「黒猫・白猫」中の必見のシーンだ。

評価したいのは山々だが、期待が大きすぎたせいもあるだろう。ここは厳しく誉めすぎない程度で書き終えよう。

立野 浩超