CUBE

この映画は見事なパズル・ストーリーだ。

上下左右同じ模様の立方体の部屋が、上下左右にいくつも続く、謎の空間に閉じこめられた6人の男女が、脱出を目指して苦闘する。それぞれの部屋にはトラップが仕掛けられてあり、それらが人々の命を奪う。果たして彼らは脱出できるか?

彼らが閉じこめられた空間が、まずパズルそのもの。どうすれば安全な部屋を選択できるか?どうやってトラップを見破るか?

その空間的なパズルに加えて、人間関係・役割分担のパズルがある。それぞれの登場人物が、前半と後半で全く別の役割をもって行動することになることに注意。全く役立たず、あるいは足手まといと思われていた人物が、ある場所にはめ込まれると、脱出への鍵となるのだ。また、人間関係が、凶器ともなりうる。

この空間がどうしてできたか、誰が彼らを閉じ込めたかという答えは、はっきりとは語られないが、一人の人物が語る断片的な真相(?)は、皮肉で面白い。ほかの人物たちの推理は、宇宙人の仕業という「X-ファイル」風のものや、軍産共同体の陰謀という「JFK」風のものがあり、にやりとさせられる。

この映画は、二つ分の部屋のセットと、わずかのCGによって制作されたという。低予算の縛りをこれでクリアしたわけだ。ほとんど同じ模様の部屋の壁しか映らないにもかかわらず、緊迫感が最後まで持続する。上記の二つのパズルを組み合わせた見事なアイデアと脚本だ。ただし、この物語はあくまでパズルであり、潔く解釈や教訓の部分を切り捨てている。

俳優たちの選択も優れている。誰が最後まで生き残るか分からず、それぞれのキャラクターに与えられた、前半と後半で逆転する役割を巧みに演じている。

アイデア、脚本、演技、撮影の妙で低予算を逆手に取ることに成功した、経済性の高い作品である。

高野朝光

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