ScreenKiss Vol.019

1999年 4月23日 配信
ScreenKiss Vol.019

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Vol.019

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■ バックステージ探訪

 映画ビジネスに関わる方々にお話を伺うコーナーです。アポイントが取れ次第の
 取材なので、不定期になりますが、随時ご紹介していきたいと思います。

 第1回目は字幕翻訳のベテラン山崎剛太郎先生です。(ちなみにお名前はヤマサ
 キ コウタロウとお読みします)

 外国映画を見る時、殆どの人がお世話になるもの、といえば「字幕」。今回は主
 にヨーロッパ映画の字幕翻訳に携わって 40 年という、大ベテランの山崎剛太郎
 先生にお話を伺ってきました。

 先生はご年輩ながら、かくしゃくとして、しかもダンディ。フランス語を自在に
 操られる一方、とても美しい日本語で話される素敵な方でした。その先生に、字
 幕翻訳でのご苦労は勿論、お仕事を通しての映画へのまなざし等、様々な事を語
 って頂きました。

 1)字幕を付ける際の作業等

 まず、画面と台詞のリストを見ながらポーズを目安に区切りマークを付ける。(
 これを「箱書き」といいます)リストにはひとつひとつのダイアローグに番号が
 振られており、予め計算された字数とフィルムの長さに応じて翻訳を付していく。
 と、いうと簡単な作業のようだが、ここからが翻訳家氏の本領発揮なのだ。ちな
 みに1秒間に約4文字というのが字幕の基本らしい。

 実際リストを見せて頂きながら(このリストがまた細かい。台詞番号、字数、フ
 ィルムの長さ、コマ数の順でずら~っと並んでいて、一見しただけでは何だかよ
 くわからない)説明を受けたものの結構難しい。ここで、作業にまつわる御苦労
 を尋ねてみた。

 台詞が短く終わっていても、シーンが続いている場合は単純に台詞をのばせばい
 いが、逆にシーンが短いのに台詞が多い場合は次のシーンにかぶさらないよう調
 節しなくてはならない。そういった時間との兼ね合いがひとつ。

 そして、次に当然言葉の問題。例えばそのときの時局や、評判のものなどが分か
 らないと、前後関係や内容が理解出来ない。今手掛けている台本にも知らない固
 有名詞が出てきた。

 これはたまたま、まだ日本に輸入発売されていないシャンソンに出てくる名前と
 いう事が判明したが、本当はそんな意味でもフランス等へは毎年行っていた方が
 よい。いくらフランス人でも日本在住が長いとやはりわからない事も出てくるし。
 スラング等も変わっていくから。

 実は先生のお嬢さんはフランスの方と結婚されて、リヨンで生活されている。そ
 こで、先生は年に1度は必ずフランスを訪れるわけである。

 長い台詞を1秒4文字の法則で埋めていくと、当然全てが翻訳出来ない。そこで、
 作品の内容もふまえて、無理のない日本語で表現していくのが一番の苦労すると
 ころといえる。

 良く出来た字幕とは“映画の人物が生きている”ものだそうだ。

 昔は試写室にこもって作業をしたので、見損ねたところを再度まわして貰うのも、
 映写技士に悪いし、と緊張して見たものだが、最近はビデオを見ながら家で仕事
 が出来るので便利になったそうだ。ただ、1度は大きい画面で見ないと画像の暗
 い部分がよくわからないので、まず試写室で見て、それからビデオで確認する手
 順をふむ。

 1つの作品にかかる作業時間をお尋ねした処、「若いときは大体 500~600 の台
 詞を1日でこなしていたから、朝5時から夜の 11 時までぶっ通しで作業したも
 のです。でも最近は 150~200 位。1日1巻(2000 フィート)出来ればいい方で
 しょうか。2時間ほどの作品で大体 15 巻位です。ただ、仕事中は他の映画は見
 ないようにしています。どうも別のものを間に見てしまうと雰囲気が変わってし
 まう心配があるのでね」との事だった。

 ※先生はまた、例えばポルトガルのマヌエル・デ・オリヴェイラ監督作品「世界
  の始まりへの旅」やエジプトのシャヒーン監督作品「炎のアンダルシア」等フ
  ランス語以外の外国語の作品の字幕翻訳も手がけられている。このような場合
  は原文からどのような段階を経て訳をつけられるのだろうか。

 「例えば『炎のアンダルシア』は原語はアラビア語。まず、字もわからないので
 アラビア語の分かる外語大の先生にもついてもらいました。特にこの映画はイス
 ラム教の問題があって、そうした専門用語が多く、フランス語だけではなかなか
 自分自身納得出来ないのでこのような段階を踏みました。

 最近手掛けた、旧ユーゴスラビアのエミール・クストリッツァ作品『黒猫、白猫』
 は登場人物がジプシーなので、原語はロマ語。これはフランス語の字幕付きで、
 台本は字幕と同じものがかいてあり、そこを日本語にしていくわけです。誰の台
 詞か分かるように自分で喋り手を記入したり、目安として(女性に向かって話し
 ている)とか(ダイスを振っている)とかシーンの特徴を入れたり工夫をします。

 ユーゴの作品なのでコソボ問題等が出てくるかと心配だったのですが、これは全
 くのコメディでした。全部で16巻、2時間 20 分の作品です。」

 では、原語の問題は別にして翻訳されやすい作品としにくい作品はあるのだろう
 か。

 「オリヴェイラの『世界の始まりへの旅』は良かったね。あの映画は字幕をやり
 ながら気に入った作品でした。楽しくて自分でも“のってる”っていう感じがし
 ましたね。

 配給のフランス映画社の人も喜んでくれましたよ。何と言うか枯れた良さがあり
 ます。彼の他の作品は手掛けなかったけれどとても好き。『階段通りの人々』も
 良かったね。演出の仕方が普通の監督と違ってとても文学的です。ただジャンル
 で言うとコメディは結構難しいです」

 余談だが、私が初めて山崎先生をお見かけしたのは、東京国際映画祭での『世界
 の始まりへの旅』の時。この映画は気に入って一般公開になってまた見た位だが、
 独特の映像美とどこかお茶目な性格の監督の作品は「アブラハム渓谷」以来大好
 き。この作品を未見の方、是非お薦めです。

                                鳥野 韻子

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ScreenKiss Vol.018

1999年 4月10日 配信
ScreenKiss Vol.018

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Vol.018

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■ シネマノート

 私事だが、2月は家族がインフルエンザでダウンして3月になったら仕事で毎日
 残業で映画レスな日々。そこで今回は漸く見た数少ない映画から2本を紹介。

 まずは試写会で見たドイツ映画「バンディツ」。刑務所を脱走した4人の女囚が
 ロックバンドを組んでツアーしつつ逃亡を図るというストーリーだ。冒頭からパ
 ンチの利いたサウンドに圧倒される。チラシのコピーに「女の友情はもろくない」
 とあるように、見ている側がすーっとする位この女性達がかっこいい。

 おまけに揃って足長でスタイル抜群。この作品の為に頑張ったのか、スレンダー
 ながら見事なボディラインを披露している。

 刑務所行きとなった理由でもある、それぞれの得意技?を生かしたチームプレー
 と、バンド名(ならず者)に相応しい勇気には、つい声援を送ってしまいたくな
 る。それぞれの個性がはっきりしているバンドに対し、警察側はあくまで情けな
 く、まぬけで、官僚的に描いているところもいい。

 全編を流れるロックは、実際バンド(勿論バンディツではない)のリードヴォー
 カルでもある出演者の一人、反抗的なルナ役ヤスミン・タバタバイによる作曲の
 ものも数多い。歌詞は英語がほとんど。彼女は今年3月の全米公開に合わせてツ
 アーを開催するそうだ。日本では昨年の大阪でのヨーロッパ映画祭に来日しただ
 けらしいから、是非こちらでの活動もして欲しいものだ。

 アビーロードのジャケットを彷彿とさせるような4人の配置、ラストで一人失っ
 た3人が屋上で開く最後のコンサートシーンなど、ビートルズを意識しているの
 だろうか。カット割りもまるでミュージッククリップを見ているようなつくりに
 なっている。

 途中、成りゆきで同行する「人質」はどこかで見たことのある顔だと思ったら、
 Hugo Boss のポスター等でお馴染みの青年(ヴェルナー・シュライヤー)。失礼
 ながら、バンドの誰とも寝てしまうナンパ野郎にぴったりのマスクだ。

 最近はモデルから俳優業へ転身するケースが多いが、顔が売れていて一目で分か
 る分、その演技力も問われるだろう。

 どんなに人気が出ても、勿論罪が消えるわけでもなく、収益とは無関係の逃亡生
 活の彼等だからこそ、音楽は真に純粋だ。それに対し、彼等の成功をネタに法律
 にこそひっかからないが、人間的にはもっと悪質な人々は野放しになっている。
 さりげに音楽業界の裏を見せてくれた気もする。

 いよいよ、新天地へと向かおうとする彼等へ放たれる銃弾。これをどう解釈する
 かで、この作品のイメージが変わるかもしれない。

 余談だが、一時ブラピとも噂のあったこの監督。あとで写真を見たら、成る程凄
 い美人だった。この作品は昨年のカネボウ女性映画週間や今年の夕張ファンタで
 も上映されていたので、ずっと見たかったのだが今回はフリーペーパーの試写会
 招待で実現。ちなみにこのタウン紙、昨年創刊の Ginza Cine Club というその名
 も銀座地区の映画を中心とした月刊もの。昨年、会社のメンバーに配布すると試
 写券が貰える、というのに目が眩んでつい応募。

 結局「応募者多数により」と試写は断続的になってしまったが、映画の解説から
 上映時間まで掲載されているので超便利。銀座近辺の映画館に設置されている。

 次はほのぼの路線の(筈の)「ベイブ都会へ行く」。これまた私事だが、何故か
 私は豚が大好き。何しろ幼児期にお人形でなく子豚の玩具を負ぶって、しかも左
 手でラーメンを食べている、という、ちんけな写真が残っている位だ。

 さて、1作目があまりに良くてついビデオまで購入してしまった私。柳の下にな
 るか?という懸念を持ちつつ、「ダイハード」だって2作目が良かったではない
 か、などと期待に胸膨らませ行きました、続編。

 が、冒頭からのいや~な予感が的中。ご教訓満載のドリトル先生になっていた!

 都会へ行く理由や都会でトラブルに巻き込まれる事情にも無理があるし、コテコ
 テの CG だし、何より話が童話の素朴さを超越してしまったし。隣の銀座阪急で
 開催していた、「ベイブ展」のビデオによれば、監督はベイブの目線で都市パノ
 ラマを創作、前回にも増してアニマトロニクスに力を入れたそう。確かに彼等は
 前以上に良く喋る。

 それに、動物だってたくさん出せばいいってもんじゃない。いくらサーカスの出
 演者という設定とはいえ、出てくるだけで芸達者なお猿さんはいけません。しか
 も洋服着て、挙げ句見るからに猿の惑星風のツインズの赤ん坊まで生まれちゃう
 のだから。御丁寧に犬もドレスアップしてるし。前回は、普通あまりそうした場
 面に使われない、いわゆる「家畜」達が頑張ってくれるから素直に感動できたの
 に。

 懲りまくった街も、どこかで見たと思ったら、これゴッサムシティか「ロストチ
 ルドレン」か。そういえば妙にオリーブみたいなやせぎすのホテルの女主人も、
 意地悪な隣家のおばさんもどこか「ロストチルドレン」。人間が活躍しすぎたの
 も鼻につきます。

 今回は可愛いマウスの歌とおじさんの踊りに代わり、猫合唱団(これって既に発
 売されてる「ジングルキャット」というCDを思い出してしまった。ちなみに本物
 の猫の鳴き声からクリスマスソングなどを構成してたCDです)や、バックにクラ
 シックを採用して、音楽も壮大。今年のアカデミー賞で音楽部門にノミネートさ
 れていた位だけど、これも重すぎた感が。

 とは言うものの、ベイブは相変わらず上品で賢い子ブタ。つま先だって歩く姿と、
 あの濡れたピンクの鼻を見るとつい顔がほころんでしまうのでした。

 それにしても映画館では前以上にベイブグッズに力を入れてぬいぐるみからマグ
 カップまで豊富な品ぞろえ。春休みを狙った逞しい商戦には頭が下がりました。

                                鳥野 韻子

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ScreenKiss Vol.017

1999年 4月 8日 配信
ScreenKiss Vol.017

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Vol.017

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■ 英国映画祭レポート

 ◆英国映画祭第2部 続き

 □ E □  しゃれた大人の恋物語

 ◆ガールズ・ナイト 10/25(金)*’99年春公開
  ゲスト:ニック・ハラン(監督)

  作品内容

  奔放なジャッキーと大人しいドーンは幼馴染み。同じ工場でパート勤めをして
  いる2人の唯一の楽しみは金曜夜のビンゴ大会「ガールズ・ナイト」。ある日
  ドーンが 10 万ポンドを当ててしまう。賞金はいつも仲良く分けていた2人は
  この大金も分け合い、亭主に愛想を尽かしていたジャッキーは工場を辞めて別
  居。

  しかし勤務中に倒れたドーンは脳腫瘍を発病していた。家族には病名を言わず
  にいた彼女だが、ジャッキーは見逃さなかった。そして彼女の永年の夢だった
  ラス・ベガスへの旅を計画する。

  ティーチ・イン

  ・一番伝えたかった事は何か

  辛い話の中に尊厳や希望を描きたかったので、ラストはこのようなものになっ
  た。これは脚本家のケイ・メラーの実体験に基づくものでそこで、オープニン
  グに“デニーズに”という言葉が書かれている。

  実際は行かなかった旅だがそこの部分はややファンタジックに表現している。
  しかし夫や子供達、そしてジャッキーがドーンを通して皆前向きに変わってい
  く。

  ・ブレンダ・ブレッシン、ジュリー・ウォルターズの起用は?

  2人は脚本の段階でキャスティングを念頭に書いていた。クリス・クリストフ
  ァーソンも是非起用してみたかった。

  ・このところ英国映画が好調なのは何故だと思うか

  映画製作に対する自信とそうして製作された質の高い作品への財政的投資。そ
  れにより新しい脚本家や監督にチャンスが与えられ、またその中から良い作品
  が生まれる。

  良い意味でのそうした雪だるま的な相乗効果の構造が好調な英国映画を支えて
  いる。また、日本においても最近はアメリカの大金をかけた大掛かりな作品ば
  かりでなく内容の良いものへの評価が高まって来ている。

  ~会場からの質問~
  ・癌の告知については日本では色々と問題にされているが英国ではどうなのか

  基本的に本人にする場合が多い。監督のお毋様の場合のそうだったという。た
  だし本人の精神状態のは十分留意する。また、その事に対する家族や周囲の受
  け止め方がポイントとなる。

  ・バックミュージックにプリティ・ウーマン等のりのいい音楽を使っていまし
  たが。

  は大きく2つに分けて「楽しい、面白い」場面にウェスタン調を取り入れ、背
  景としての音楽は「神様からのギフトとしての命を幸せに生きている」のを表
  現した。

  ・これからのご予定は?

  丁度今トライスターで撮り終わったばかり。内容はロマンティック・コメディ
  でボーイフレンドのいない若い女の子がコンピューターで理想の完璧な男の子
  をデザインしてしまうもの。テーマは“ヴィジュアル・セクシャリティ”。

  この作品は恋がテーマではないのでこの分類(E:大人の恋)に入れるかどう
  しようか悩んだが、ベガスで出会う気の良いカウボーイとの関係はラストでド
  ーンの遺品とジャッキーの生き方に関係してくる重要な部分でもあったのでこ
  こにいれた。

  監督の言う通り病気がテーマだとどうしても暗くなりがちだが、その辺をも英
  国お得意のウィットを混ぜて乗り切っている。見た後はお涙頂戴というよりは
  むしろ何だか爽やかな気分になれる。予定のゲストに主役のブレンダ・ブレッ
  シンには期待していたが来日した監督はとても物静かな落ちついた感じの人で
  終映後のロビーでは1人づつ丁寧にサインに応じていた。

 ◆アイ・ウォント・ユー 10/25(日)*’99年1/15~公開
  ゲスト:なし

  作品内容

  美容院で働くヘレン。そこへ9年振りにマーティンが戻ってくる。実は彼はヘ
  レンとベッドにいたところを彼女の父に咎められ殺して海に遺棄し、刑務所に
  いたのだった。

  今23才になったヘレンは今は DJ の恋人がいる。が、毋が自殺して以来口を
  きかず楽しみは盗聴と毋の生前吹込んだお伽話のテープを聞くことという難民
  の少年ホンダや娼婦の姉との関わりから9年前の事件の意外な事実が浮上して
  来て・・・

  「バタフライ・キス」や「ウェルカム・トゥー・サラエヴォ」も記憶に新しい
  マイケル・ウィンター・ボトムの最新作である。“大人の恋”のジャンルにし
  てはあまりに残酷で恋にしてはあまりに幼い「事件」。

  だがすべては彼等の恋に始まったという事でここに入れてみた。さびれた町、
  心に傷のある登場人物達。「ウェルカム・・」より「バタフライ・・」を想起
  させる重い内容だ。

  ヘレンの住む家にはプールがあってこのあたりはゆらゆらと揺れるブルー。海
  辺のホンダ達の家、寒々とした町の風景と、レッドやセピアといった色彩の妙。
  すべてが幻影のようであり曖昧な過去を暗示しているようにも感じられる。美
  しいヘレンがその顔で平然とやりのける事実。その目撃者はホンダだけという
  皮肉。

  そしてそのホンダが語り手となっている不思議。この重要な少年役はどこかハ
  ーモニー・コリンの「ガンモ」に出ていたモーゼスという名の大人子供の様な
  少年に似ている。

  随所で使われるタイトルでもある「アイ・ウォント・ユー」のメロディが物悲
  しくストーリーを際立たせている。孤独で寂しい時に見てはいけない作品です。

 ◆ラブ&デス:10/27(火)*11/28~公開
  ゲスト:リチャード・クウィートニオスキー(監督)

  作品内容

  妻を亡くし独り住まいの英国人作家デアスは、文豪として君臨している。ある
  日文芸作品の映画化といわれる「永遠の瞬間」を見るつもりで雨宿りを兼ねて
  映画館に入ったところ間違えて別の作品を見るハメになってしまった。

  しかもアメリカのアイドルもので、下らない!と席を立ちかけた時彼の目は画
  面の美しい青年に釘付けになる。丁度美術館で最近見た美少年が横たわるまさ
  に同じポーズで青年は画面にいる。

  俳優の名前はロニー・ボストック。その日から彼のマニアと化したデアスは1
  度も使用した事のないビデオやそれを見る時間の為に留守電を購入したり、初
  めてレンタル・ビデオ店に足を運んだり。挙げ句“ボストキニア”とタイトル
  した専用のクリッピングノートまで密かに作る始末。

  想いが高じた彼はとうとうロニーのいるロングアイランドまで飛び何とか彼と
  接触する機会を得るが、ロケで離ればなれになる時がやってきて・・・

  ティーチ・イン

  ・東京は初めてという事でしたが、印象は?

  花の蕾みが開くような昼間に対して夜はネオンが森のようでまさに“映画的”
  体験だった。

  ・撮影中の苦労は?

  同じ英語を喋るのに英国人と米国人は発音も違えば、文化的にもかなり異なる。
  例えば脚本の紙の大きさもページ割りも違う。

  ・この作品の見どころは?

  異なる文化圏から来た人間とのロマンス。これは世界中どこでも起こるカルチ
  ャーギャップだから同じ箇所で泣いて笑える。

  ・日本の食べ物で好きなものは?

  寿司、酒、刺身。今度は納豆」に挑戦するつもり。

  ・日本映画で好きな作品」はあるか?

  10代の頃溝口や小津の作品を見て今迄に見たことのないタイプの映画だと思
  った。時間や舞台の感覚がかなり異なっていてその感じに慣れる迄が時間がか
  かった。黒澤や大島の作品は好きだが、それに北野武の「Hanabi」は 1990 年
  代で優れたロマンティック作品だと思う。

  「ベニスに死す」や「ロリータ」の変型といわれているようだが、「ベニス..」
  にしては明るくて、「ロリータ」にしては偏執的すぎず、むしろアン・リー監
  督の「推手」に見られるようなカルチャーギャップに、少々ロマンティックな
  エッセンスを加えたような洒脱な物語と捉えた方が良いような気がする。

  堅物でトラディショナルな典型的英国紳士がアイドルに夢中になったばかりに
  巻き込まれる個人的な文明開化。たまたま夢中になった相手が男の子というだ
  けでここにはそれほど深いゲイ的な強調はないと思う。

  誰でも1度位は経験するだろうこうした気分を、たまたまこの作家氏はことも
  あろうに老年にさしかかろうとしている今経験しているにすぎないのだ。普通
  なら手が届かない存在で過ぎていくこうした時期を、彼はその社会的地位も後
  押しして本人に会ってしまうという快挙を成し遂げてしまっただけなのだ。

  こうした憧れの気持ちが実に良く出ている。最初にロニーを目にした時のエン
  ディングクレジットが、彼のキャスティングの部分だけ輝いて見えたり、彼に
  関する情報は総べて知りたい、とせっせと記事を集めた結果、飼い犬の名前ま
  で暗記して夢の中でもロニーに関する口答試験を受けていたり。

  まして憧れの彼から貰ったサングラスともなればこれはデアスにとって国宝級
  の代物になる。これがティーンエージャーの物語なら平凡すぎて特別面白味が
  ないが、立派は先生だから話になるのだ。

  自分で自分をおちょくっているジェイソン・プリーストリーもさることながら
  ジョン・ハートはさすがだ。特にあの大好きなアイドルと話す時心の中の憧れ
  と嬉しさと照れを父親的、先輩的な顔で隠している表情などは最高だ。

  監督は静かな語り口の何となくのっそりした感じの人で、彼こそあちらの世界
  の人では...とつい考えてしまった。

 ◆雨の中の恋:11/5(木)*’99年春公開予定
  ゲスト:マリア・リポル(監督)

  作品内容

  役者の卵ビクターは恋人シルヴィアがいながら劇団の仲間とたった1度だけ浮
  気をした帰宅後彼女に問い詰められて「真実」と言ったため別れてしまう。そ
  の後ふと立ち寄ったパブでふいの雨にあって傘を借りる。

  傘をさして辿り着いたゴミ捨て場で不思議な人々に会い、彼はシルヴィアと別
  れる前の時まで遡ることが出来る。そこで彼が見た光景は...一方やり直し
  の中で今度はシルヴィアが別の人生を歩んでいる。ここでは、彼女もビクター
  を失いやはり失意でベンチに腰掛けていると...

  ティーチ・イン

  ・映画化のプロセスを

  普遍的な内容で脚本が良かった。

  ・製作に当たり、困難だった点は?

  ロンドンのカーニバルは世界でリオに次ぎ大きなお祭りだが、そこでの撮影シ
  ーンは人ごみと大音響の中、大変だったが同時に楽しい思い出となった。

  ・影響を受けた監督は?

  母国スペインの監督ではルイス・ブニュエル。そして国際的な英国の監督とい
  う意味でアルフレッド・ヒッチコック。

  ・スペインの監督として見た時の最近の英国映画の動向をどう思うか?

  とても身近なテーマを巧く撮っている。そのテーマが世界的にみても通じるも
  のがある。

  ・日本映画では何が好きか?
 
  うなぎ

  ・今後どんな映画を作製したいか?

  脚本を映画化するには約2年の歳月を要するので次の2年間を費やすだけの
  価値ある作品を選びたい

  この作品の原題は”The man with rain in his shoes”だが、公開時のタイトル
  は”If only”となっていた。何となくうろ覚えの受験単語の記憶では・・しさえ
  すれば、とか・・なら良いが、という意味で何となくこちらの方が分かりやす
  いかもしれない。

  人間後悔はつきもので、幸福の神様の前髪を掴まなかったばっかりに・・とい
  う事が多いものだが、じゃあやり直せれば幸せになれるのかというと、「バッ
  ク・トゥ・ザ・フューチャー」で命拾いしたドクは別として、こと恋愛となる
  と必ずしもそうとはいえないかもしれない。

  巧みな画面繋ぎでスタイリッシュな作品に仕上がっている。監督はどことなく
  男性的なさばさばした感じの女性で歯切れのよいテンポの作品が頷ける。舞台
  はロンドンだが、音楽や色彩に色濃くラテンが漂う不思議なボーダーレスな感
  覚の映画だ。

  ...というわけで以上英国映画祭のレポートでした。実に新作18本のうち 13
  本とは良く見たものです。いわゆる典型的な英国映画という感じではなく、本
  当に様々なジャンルの様々な表現、そしてたくさんの新しい才能が出て来てい
  るのを知って驚いた。

  全てとは言わないが、アメリカ映画で感じられる人工的な笑いではなく、ひね
  りの効いたコンクな味わいこそ英国映画の醍醐味だと思う。また、何人かの監
  督もおっしゃっていたように、世界に通じる身近なテーマとというのが更に強
  みとなっている。

  さてここで紙面をお借りするのも変だが、東京国際映画祭のシネマプリズム部
  門最終日でキャンセルになったカザフスタン映画の「殺し屋」が昨年 12 月 17
  日と19日の両日各1回上映されたので簡単に御報告を。上映場所は京橋の映画
  美学校の試写室。事前の申し込み受け付けだった。

  作品内容

  ラジオのスタジオ収録場面。スタジオ入りしている医学博士の運転手がロビー
  で彼を待っている。

  運転手はこの日はじめて父親になる。そこで早めに仕事を切り上げその足で病
  院へ妻と子供を迎えに行った。バックミラーで後部座席の赤ん坊を良く見よう
  と脇見をした瞬間追突してしまう。

  免許証を取られたまま修理代の請求に一向に応えられない。運転手で稼ごうと
  した矢先、件の博士は自殺。研究所の経営も危ぶまれる。仕方なく姉に金の無
  心に行くが、当てにしていた金は騙し取られて夫婦喧嘩の真っ最中。

  そのうち修理代催促に暴力団が来る始末。とうとうヤクザから借りて一件落着
  したものの今度は強盗団に遭って商売用に購入した車を壊され、借金は貯まる
  ばかり。その上赤ん坊は難病に罹り、借金帳消しと引き換えに殺人を請け負う
  事になるが。

  ’97 年のぴあフィルムフェスティバルだかでカザフスタンのやはり救いのない
  少年の犯罪映画を見た記憶があるのだが、この作品は終わってからしばらくど
  んより~としてしまう位これでもか、という不幸雪だるま映画である。

  カザフスタンてどんな国か実は良く知らないのだが、もしこれが事実ならとん
  でもない国だし、事実を歪曲してるなら間違った知識を世界に植え付けること
  になるわけだが。

  大体なんでそもそも追突事故を警察に届けず示談にしようとするのか、とか保
  険の制度はどうなっているのかとか、失業手当てはないのか、とか何だって言
  う通りに殺人したのか、とか私の悪い頭の中は疑問符で埋まってしまった。

  映画祭では一応監督が登壇する予定だったので是非聞いてみたかったと思った。

                                鳥野 韻子

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