ScreenKiss Vol.054

1999年 10月 31日 配信
ScreenKiss Vol.054

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Vol.054

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>☆ C O N T E N T S ☆−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−☆<   □バックステージ:大九明子   □プリティ・ブライド   □リアル ブロンド   □ジャン・レノ   □ >☆−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−☆S_c_r_e_e_n_K_i_s_s☆< >>☆1☆バックステージ:大九明子☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛  9月中旬から2週間に亘りレイト公開された、『Four Fresh! '99+2』。今回はその  トップを飾った『意外と死なない』を監督、主演された大九明子さんにお話を伺  いました。『Four Fresh! '99+2』は映画美学校の生徒さんの作品ですが、内容に  ついてはScreenKiss Vol.44をご参照ください。 ?大九(億田)明子  1968年生まれ。神奈川県横浜市出身。大学3年の時に芝居に興味を持ち始め、明大  の学生劇団「実験劇場」に参加する。明治大学政経学部政治学科卒業後、就職す  るが、4ヶ月で退社。平成4年8月よりタレント活動を開始。  平成2年から5年までコントユニット「ビスタレビスタレ」でお笑いライブ活動に  励む傍ら、自らの旅行記を編集したものを、ビクターのビデオフェスティバルに  提出するなど映像制作も積極的に行っていた。  主なテレビ出演作に、火曜サスペンス劇場「警視庁鑑識課2」、「EXテレビ」  (NTV)等。舞台には「ズンドコべろんちょ」「異常の人々」があり、また「うま  いっしょラーメン」のラジオCMにも出演している。  『Four Fresh! '98』では伊藤晋監督の『死臭のマリア』で録音を担当。  作品の中では、颯爽と自転車を漕いだり、のびのびとした演技で、とても大柄な  イメージを思い描いていました。が、実際は画面より?美人。小柄ながら、よく  動く、くりくりした瞳が印象的な、スリムで元気な女性でした。 >ScreenKiss______________________________________________________________>
 まず、大九さんは、監督としてのお名前が「大九」で、出演者としてのお名前が
 「億田」になっているのですが、何か使い分けをされているのですか?ただし、
 ぴあフィルムフェスティバル(以下PFF)で、拝見した別の監督の作品には「大九」
 として出演されていらしたようですが。(『失跡-1998年の補足-』ScreenKiss
 Vol.43参照)

>大九___________________________________________________________________>>
 もともと、私は役者で、「億田明子」で仕事をしていたので、今回もあまり考え
 ずにそのまま使用してしまいました。他の学生の中には「脚本、監督、主演とす
 ればインパクトがあったのに・・・」と言う人もいて、「そういう考えもあった
 んだな」ってあとから考えました。

 今のところ、役者として出る時は芸名を使用しています。先日、黒沢清監督の映
 画(『大いなる幻影』12月公開予定)に出演した際はこちらの名前で出ています。

 PFFの別の作品に出演した時は、このあたりは曖昧になってしまいました。それに、
 実は私の声ではないんですよ。製作上の事情からリテイクを依頼されたのですが、
 今回のこの作品にかかっていて時間がなく、お断わりしているうちに、仕方なく
 アフレコになってしまったようです。でも、後で見てたまげました。何だか可愛
 い声になっていたし、外国映画の吹き替えみたいで。

>ScreenKiss______________________________________________________________>
 PFFの話題が出たところで、こちらのフェスティバルでの上映時には、観客の方か
 らはどんな質問がありましたか?

>大九___________________________________________________________________>>
 皆さん、とても好意的で嬉しかったです。質問は「演じてる事と監督してる事」
 に関する事が多かったです。同じ方が何回も質問されたり、出待ちとかもされる、
 熱心な方もいらっしゃいました。

>ScreenKiss______________________________________________________________>
 実は私もその辺を伺うつもりで質問を用意してきたんですよ。改めて伺いますが、
 大九さんは、女優さんとしてのキャリアが長いですが、今回監督として仕事され
 て、その辺の立場の違いに何か戸惑ったりされましたか?

 あまり違和感はなかったですね。すっごい斬新な事をやった、とか慣れない事を
 した!って感じもないし。困難等も含めて大体イメージしていた通りでした。想
 像を絶するハプニングもなかったです。

 むしろ、昨年の『Four Fresh! ’98』で、伊藤晋監督の『死臭のマリア』の録音を
 担当したんですが、その場合の方が違和感ありました。アマチュアでもプロでも、
 撮影現場で、初めてスタッフだけ、というポジションを経験したので、自分の中
 での切り替えが大変でした。

>ScreenKiss______________________________________________________________>
 撮影現場は楽しそうだったようですが。あえて、そういうムードを作られたんで
 すか?

>大九___________________________________________________________________>>
 始めに、助監督が「どういう現場にしたいか」と聞いてきた時に「太陽も笑って
 る、カメラも笑ってる、アスファルトも笑ってる、そんな現場にしたい」って冗
 談に言ったんですよ。皆にもそう言っていたんで、私もスタッフもそういう現場
 にしようと心掛けていました。

 やはり、そういう意味では一つのポジションだけでないので、私自身、大人にな
 らなければって思いました。実は結構、我侭って言われる事が多いので、かなり
 セーブしながらやったつもりですが、やはり一部のスタッフはサンドバッグに
 なってくれて・・・というか、無理矢理させて・・というところもありましたが
 (笑)、概ね楽しくやれたと、思っています。

>ScreenKiss______________________________________________________________>
 その撮影現場について、ですが、職員室の雰囲気が凄く良く出ていましたね。実
 は、私は小学校ではないのですが、講師をしていた事があって、職員室の感じが
 リアルで、結構笑えました。何かご体験があったんでしょうか?

>大九___________________________________________________________________>>
 私にとっての、職員室のイメージって、もろ、あの感じなんです。また、ロケハ
 ンで小学校を回っていた時、「君たち何してるの?」とかって言って出てくる先
 生の感じが、どこも一種独特の感じなんですよ。「う〜ん、手強いぞ小学校」っ
 て皆で話していました。

 あと、特に台詞のない先生の衣装には、気を付けましたね。普段、その役者さん
 が着慣れない服装なんだけど、似合わない服装はさせないっていうか。違和感が
 ないようにと。

>ScreenKiss______________________________________________________________>
 何故、主人公、月子さんの設定を学校の先生にしたんですか?

>大九___________________________________________________________________>>
 実は言い訳になるんですが(笑)、シナリオを一晩で書いたので、どこでそう
 なったか思い出せないんです。主人公のイメージは前から決まっていました。友
 人に過度の痛がりがいて、ピアスの穴も開けられないという・・・。その人の話
 を聞いていると、とても面白いので、痛がりの女性を描きたいっていうのがずっ
 とあって。

 シナリオにする時の、主人公の職業設定の際、OLは1度書いた事があったので、そ
 れ以外って考えているうち、何時の間にか小学校の先生になっていました。もし
 かしたら、予防注射のシーンをやりたくてそうなったのかも。

>ScreenKiss______________________________________________________________>
 実際の撮影に関してですが、シナリオはきっちり書かれてから、撮影に臨まれる
 のですか?それとも現場で結構変更される方ですか?

>大九___________________________________________________________________>>
 私の場合は、事前に役者さんに来て頂いて、ちょっとしたリハーサルをしてもら
 うんです。その上で、撮影しましたから、芝居の点ではほとんど変更はなかった
 です。台詞の言い回しを訂正する、などのちょっとした手直しはしましたが、テ
 ストの段階で固めていきましたから、結構慎重にやっていきました。

 週に1度の撮影でしたので、ウイークデーにスタッフを集める事が不可能だった
 のと、撮影場所が小学校だったので、期間が限定されていた事もあり、かなり慎
 重に進めました。

>ScreenKiss______________________________________________________________>
 「16mm作品を撮れる機会を虎視眈々と狙っている」と大九さんのプロフィールで
 読んだのですが、今後、何か是非撮りたい企画等はお持ちですか?また、次回も
 今回同様に、御自分が演じられるおつもりでしょうか?

>大九___________________________________________________________________>>
 「16mm作品を撮れる機会を虎視眈々・・・」ていうのは、実はギャグです(笑)。
 狙ってて、今回撮れてよかったね、って感じです。次回作というか、今日スカラ
 シップの発表なんですが(注:インタビューの日は、映画美学校の卒業式)その
 為に書いたシナリオがあります。チャンスや時期が揃えば、これからも撮りたい
 と思ってはいます。

 理想的には、また今度のスタッフで出来るのが一番ですが、経済的な面などを考
 え合わせれば、皆が無償で協力してくれたりして、今回のは本当にいい時期の、
 夢物語りだった、と思います。このような夢のような事は、将来まずないでしょ
 うけど。

 出演に関しては、新作のシナリオは、自分が演じるのを想定して書きました。
 『意外と死なない』について言えば、全く自分でない人をイメージして書いてい
 たんですが、自分で演じると、早く進む事を初等科で経験済みでしたので、知ら
 ない人にどこまで演出出来るかを考えたら、その方が楽でした。

>ScreenKiss______________________________________________________________>
 今回の作品のネタはお友達のお話だったようですが、作品と映画としての手法的
 な部分等で特に影響を受けた作品や、人はありますか?今回の作品にこだわらな
 くても結構ですが。

>大九___________________________________________________________________>>
 普通のOLの友人とかに比べたら、映画を見ている方かもしれませんが、この学校
 ではド素人なんですよ。他の人は凄いんで、そこから見ると影響を受ける程には、
 まだまだ勉強不足だと思います。

 ですから、無意識に影響を受けている世界観はあったにせよ、撮り方にまで影響
 を受けたか、というと、そこまではないと思うんです。世界観という点では、私
 はカウリスマキ監督が好きなんで、無意識にそんな感じが出ているかもしれませ
 ん。『マッチ工場の少女』等に見られるブラックユーモアが大好きです。あと、
 『浮き雲』のハートウォーミングなラストも好きですね。

 あとは、映画ではないんですが、「ザ・シンプソンズ」というアニメ(1989年よ
 り放送のFOX TVの人気アニメ。作者はマット・グーニング。人間離れしたキャラ
 も御愛嬌)が大好きです。あれは、私のバイブルであり、オアシスといってもい
 いかもしれませんね。(笑)

>ScreenKiss______________________________________________________________>
 大九さん個人としてお好きな俳優、監督、作品があったら教えてください。

>大九___________________________________________________________________>>
 好きな監督というと、やはりカウリスマキになりますが、あとはキアロスタミ監
 督です。『友達のうちはどこ?』を何気なく、期待もせずに見に行ったんですが、
 もう凄い!!って思いました。実は、私、子供嫌いなのに映画館を出る時、もう
 にっこにっこしてたりして。『オリーブの林をぬけて』なんかもたまらないです
 ね。ぐっと来ますね。あすこまで想われたいものだ、って一観客として思います。

 ファンとしては、ジョニー・デップです。ちょっと恥ずかしいですが・・・。マ
 イク・マイヤーズも大好きで、私的には『オースティン・パワーズ』が昨年のベ
 スト1だと思っています。今年のデラックスの方のは、ちょっとがっかりでした
 が。

>ScreenKiss______________________________________________________________>
 可能なら御自分の作品に出演して欲しい、という俳優さんはいますか?

>大九___________________________________________________________________>>
 加賀まりこさんです。若い時の彼女の手の届かない輝きと違って、ご本人ももっ
 と色々な役をされたいって思っていらっしゃるんじゃないかって思うんですけど。
 あの位の年齢の方をメインにした、作品ってあんまりないじゃないですか。女優
 さんて30代が限度みたいな、そんな風潮がある中で、あんな濃い、面白いキャラ
 を生かせる作品があったらいいなぁって思って。

>ScreenKiss______________________________________________________________>
 最後に、ScreenKissの読者の方にメッセージがありますか?

>大九___________________________________________________________________>>
 作品としてつくったからには、多くの方に見て頂きたいので、もし感想や質問が
 あれば、是非御意見をおよせください。

 今日はお忙しい中をありがとうございました。

 インタビューの中盤位から、丁度卒業式に集まり出した生徒さんや、ご関係者で
 ロビーがごった返す中、ひとつひとつ言葉を選びながら丁寧に答えてくださいま
 した。ロビーに声が反響するわ、時間が迫るわ、で何となく「もっと聞きたかっ
 た」と消化不良気味の感はありましたが、またの機会?に楽しみにとっておく事
 にします。

 最後に大九監督も話されている通り、監督への質問等はScreenKiss,鳥野韻子まで
 是非およせ下さい。

                                鳥野 韻子

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                                    □

>>☆2☆プリティ・ブライド☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛    ★★☆☆☆  う〜ん・・・ま、始めから、ジュリアちゃんのプロモ的映画だろうとは予想して  ましたが。ストーリーが薄っぺら過ぎる。「ノッティング・ヒルの恋人」の後だっ  ただけに、脚本と脇役陣の演技力の差が歴然と表れてしまったよう。  まず、作品の方向性そのものが定まっていないような気がする。コメディ?にし  ては笑えないし。ラブ・ロマンス?の割に、どうもジュリア扮する花嫁と、ギア  演じるジャーナリストが何故そんなに急に惹かれあうのか説明不足。ラスト近く  のとってつけたようなマンハッタンの夜景をバックにしてのラブシーンには、あ  まりのクサさに、笑いが・・・  2人をとりまく友人達も、いかにも最近のイギリス映画を意識してますって感じ  の、エキセントリックなキャラクター(の、つもり)を出しているのだが、脚本  が良くないせいかゼンゼン笑えない。ジュリアの親友役のショーン・キューザッ  クも「アダムス・ファミリー2」や「イン・アンド・アウト」のときのようなキレっ  ぷりを生かしきれていないし。  結局、「花嫁が逃げる理由」についても今一つ説得力不足。これだけ個性の強い女  の子が男のいいなりになるっていうのも変だし、普通なら式にいたる前にマリッ  ジ・ブルーになったりするだろうし、そのときに考えるのでは?挙式途中、カメ  ラのフラッシュが引金となり逃げ出すシーンに至っては、「お前はグレムリンのギ  ズモか?」という突っ込みを入れたくなりました。主人公のキャラも魅力不足で、  ジュリアの可愛さに頼り切っているだけで、何故そんなにモテる女なわけ?って  感じ。ただの変わり者にしか見えない。  本当なら一つ星で充分さっ!と思うのですが、ジュリアの可愛さとファッショ  ン・ショーとしての娯楽性が残っている部分でかろうじて二つ星にしてみました。  バービー人形で着せ替え遊びをするのが好きな方にはオススメです。                                  MS.QT.MAI __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆3☆リアル ブロンド☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛  ニューヨークに住む人間模様を描いているが、この映画にかんする限りストー  リーは、あまり重要ではない。女性と男性が等価になった社会での戸惑いという  この映画の主題は、とても今日的である。ヒーローに関しては特別なものはない  が、注目すべきはヒロインのメアリーである。メアリーの心理には、自立に戸惑  う女性の困惑感が良く現れている。  美人は美人と言われ続けて、美人と思うようになる。美人と言われてこなかった  人間が、突然に美人と言われてもからかいとしか受け取れず、むしろ否定的な対  応にならざるを得ない。美人でスタイルの良いと言われてきた女性なら、男から  口笛を吹かれたり、お尻の形を誉められたりしても、当然と受け止めることがで  きる。しかし、メアリーはそれほど性的なアッピールがある方ではない。普通の  女性である。その彼女が、道行く男からお尻の形がいいとか、胸が格好いいと言  われると、性的なからかいにあっていると感じてしまう。  美人が美人としてもてはやされるのは、男性が養う対象として女性を囲い込める  モノとしてみる視点があるからだ。女性を経済力を持った生活者としてみれば、  美人であることはあまり得点が高くはない。この世では美人のほうが、稼ぎが良  いなんてことはないのだ。モデルなど見られる対象としての職業をのぞき、通常  の社会では美人はちやほやされるだけで、美人であるだけで高給取りとはなり得  ない。映画の女優だって最近では、美人よりも頭脳の優秀さが求められている。  男女が等価な社会で要求されるのは、男女ともに肉体的な美醜よりも、まず労働  力があるかどうかである。  男女差別が少なかった農耕社会では、肉体労働が優位していたから、まず肉体的  に健康であるかどうかが問われた。美人よりも、頑健な肉体をもった女性が好ま  れた。美人であることはせいぜいが、側室になることぐらいしか売りはなかった。  いまや男女が等価になりつつあり、しかも頭脳労働が優位になりつつある。そう  した社会では、美人よりも頭脳の優秀さが大切にされる。にもかかわらず、いま  だに工業社会の呪縛から自由になれない女性たちは、どうしても美人とかスタイ  ルが良いと言った尺度で自分を測りがちである。肉体労働から頭脳労働への転換  期の今、男女の関係もちょうど過渡期にある。  キャスリン・ターナーとシティーブ・ブシュミがでており、そこそこに力を入れ  た映画なのかも知れないが、映画としてみると平凡である。しかし、主題に敬意  を表して、星一つを付ける。この映画は、男女の役割が等価になりつつあるアメ  リカでしか、作ることはできなかっただろう。わが国では、頭脳労働への転換が  まだそれ程進んでないから、男女の役割分担の意識が強固に残っている。だから  この映画の男女の悩みは判らないだろう。必然的にこの映画は、日本では理解さ  れず、人の話題になることもないだろう。  ティム・ディチロ監督、1997年のアメリカ映画。                                  匠 雅音 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆4☆ジャン・レノ☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ rfi musique  パリ・セーヌ局より、今週はジャン・レノ、アリエル・ドンバールの2人のフラ  ンス人俳優のインタビューをお送りします。第1回目はジャン・レノ氏です。 ■ジャン・レノ > rfi >>
 フランスの俳優で、アメリカ映画界で活躍を続けている人は決して多いとはいえ
 ません。それというのも、フランスは必ずしもアメリカをターゲットとしてない
 からです。その中で活動を続けているジャン・レノ氏にお聞きします。

>> Jean Reno >>>>
 これは自慢にもなりませんが、私が渡米した頃は、アメリカでのフランスへの評
 判は何かと良くなかったのを知っていました。何でも不満を言い立てて批判する
 ばかりという事で、ですが。

 そこで、私は例えば「ケチャップ」についての批判は出来ないなと、自分に言い
 聞かせました。私は「ケチャップ」を食べないですが、それは、単に私が「ケチ
 ャップ」の味があまり好きでないからなのです。

 私は白ワインもあまり飲みません。こうした実にこまごましたもの…私が何を嫌
 いであるかなど…を私が 10 年来変わらず一緒に仕事をしているスタッフやマネ
 ジャー、弁護士などは少しずつ理解してくれました。彼等は私がボルドー酒を飲
 むという事を今では知っています。ただ、私はこれらの事を性急に分かって貰お
 うとはしませんでした。

 それは、アメリカ人達への一つの敬意なのです。言い換えれば、彼等に正面から
 ショックを与えないという事なのです。何故なら最初はそうでないとしても、最
 終的には、アメリカ人は心の底からフランス人を好いてくれるのだという事を忘
 れてはいけないからです。

 最初、ハリウッドで、アメリカ人以外の俳優、たとえばフランス人、が頭角を現
 すのはとても難しい事のように思えました。しかし、時と共に、あきらめない我
 慢強さと、少しの才能で、アメリカ人と肩を並べるようになれるのです。それこ
 そは、私が発見した事で、決してマジックを使った訳ではないのです。

 いい人達と出会い、たゆまず英語の勉強に励み、辛抱強く目標に向かっていく事
 が必要なのです。そして『ミッション・インポッシブル』や『ゴジラ』の間でも
 自分を見失わずに、ストーリー毎に新たな役を作り上げていく事が大切なのです。

 確かに「存在感」というのは学んだからといって、たやすく身に付くものではあ
 りません。それは明らかな事です。しかし、誰もがそれを培おう努力すれば、1
 度は備える事が出来ると思います。それは、俳優の天職の一部を成すものです。

 私は今は、それを身につけようとはしていません。何故なら既に私はそれ(存在
 感)を持っている事を知っているからです。しかし、今は、私は心や感情を豊か
 にしようと努力しています。その為私は、「真実の映画」と取り組むのです。

 実際、私はこの映画(*1)に惹かれ、サインしました。が、当初、ロバート・
 デ・ニーロとの共演という情報だけでは、彼と友情関係を成立させられるか、と
 いう点がとても心配でした。そこで、私はデ・ニーロとどんな風に役に取り組も
 うか、自問しました。その結果、私は彼との良い関係を築く事に成功したと思い
 ます。私にとってそれは面白い体験でした。

 約一週間は、いつものようにじっくり観察しました。それは、トム・クルーズ、
 マシュー・ブロデリック、ケビン・クラインとの共演の時と同じでした。

 そして、一週間後には、合意のようなものが生まれ、何も言わなくても視線で分
 かりあえてきました。

 もし、彼がワルツを踊れたら、私は少年時代の憧れの俳優と一緒に踊っているの
 です。これは、とても素晴らしい気分です。

 デ・ニーロは 17 歳の時、ヨーロッパを横断し、ヨーロッパの事は良く知ってい
 るし、大のフランス贔屓で、料理も芸術も絵画も大好きで、彼の父は画家だった
 …というような事も私に話してくれました。

 しかし、彼はそれ以上の何かを確実に持っている人でした。経験も豊かで、本当
 に素晴らしい人だと思いました。

 さて、この映画には、ホラーとサスペンスの監督、ジャン・ピエール・メルヴィ
 ル(*2)の作品に見られるような、非常に興奮するものがあります。ストーリ
 ーは、ひとつのスーツケースを見つける為に雇われた傭兵達がいて冒険が始まり、
 心理的な動きや、アクション。そして、この使命と向かい合った男達が感じる、
 サムライ的な孤独、殺人と向かいあった時の孤独感が描かれています。

 何かを新たに作り上げる為に、人間が他の何かを破壊しようと懸命になるという
 事は恐ろしい事です。これはやはり、そう、メルヴィルの世界観ですね。

(*1)『RONIN』(’98年/ジョン・フランケンハイマー監督)
    今春日本でも公開。共演は他にショーン・ビーン、ナターシャ・マケルホ
    ーン。

(*2)ジャン・ピエール・メルヴィル
    フランスの監督。ヌーヴェルヴァーグの先駆者と言われ、アメリカ映画に
    も精通。代表作に『恐るべき子供たち』(’49年)、『仁義』(’70年)等。

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              立野 浩超
              山下 裕
              MS. QT MAI

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ScreenKiss Vol.053

1999年 10月 26日 配信
ScreenKiss Vol.053

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Vol.053

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>☆ C O N T E N T S ☆−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−☆<   □シックス・センス   □HEART(ハート)   □HEART(ハート)   □マトリックス   □バックステージ:原瀬 涼子 >☆−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−☆S_c_r_e_e_n_K_i_s_s☆< >>☆1☆The Sixth Sense(シックス・センス)☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛    ★★★★★(ほぼ完全に満足)  第六感とか、六番目の感覚とか訳せるこの題名。果たして6番目の感覚とは何か  といった問いかけは、すでにありとあらゆる媒体で文字となっているが、「死人  が見える」ということだ。  この不思議な感覚を持つ少年コールを主人公に、ブルース・ウィリス扮する小児  心理学者マルコム・クロウが中心となり、話は進む。相変わらず演技のできない  ウィリスを横目に、このコール役の少年ハーレイ・ジョエル・オスメントは現在  オスカー受賞有力候補と言われているほどの迫力と、恐怖心をあおる演技。  さて、見る前にどこでその演技の上手さがわかるのかを簡単に。少年コールの顔  のアップが多く写るが、その時の口元は必見。唇の横を震わせてみたり、頬の筋  肉を動かして緊張を表したり、目線もうまい。常に恐怖心の塊のような心情を表  現しているため、それ以外の感情が見えてこないが、それは我々が恐怖心で固  まっているためでもあるだろう。確実に彼は必要な演技をこなしている。まさし  く、あの歳ですでに大人の演技をしているのだ。子役の演技とは言えない。うま  い!  こうなると、「ピアノ・レッスン」のアンナ・パキンと比べてしまう。彼女の演  技には感情の広がりがあったが、まだまだ子供の表情だった。  映画に関して一つだけ不満な事は、始まってすぐに時間と場所に関して字幕が出  る点。あれを何とか映像で表現したら、もうすこし意味深いものになったと思う。  反面、少々難解になるということもあり、あのような単純な方法を取ったのだろ  う。  我々は1時間47分を見終わって、その"謎"に関して何度も考えるはめになるの  だが、もう一度見直すのが一番いい方法だろう。もう一度見直して、その謎に関  して詳細に検証したくなる。ドアノブ、会話、目線、粗探しともいえるが、そう  したくてたまらない。実際は無いに違いないその粗を探したくなる時点ですでに、  我々は見事に監督のマジックにはまり込んだのだ。(1ペニーのマジックとは訳  が違う。)  虐待に関しても重要なテーマとなっていて、その点でも単なる恐怖映画ではなか  ろう。虐待も一つの恐怖ではあるが。  帰宅してこの映画のホームページhttp://www.six-sense.com/ を開いたが、ここ  でふと思う。なぜsixth ではなく six なのか。http://www.sixthsense.com/ を  開けばすぐに分かることだろうが、このページも現在大ヒットしているに違いな  い。  今回もつくづく感じたのだが、アメリカで大ヒットした映画が日本に遅れてくる  場合、一切の粗筋に触れない方が楽しめる。私は見終わって各種媒体の粗筋を読  んでみたが、ほとんど最後まで粗筋が紹介してあるものがあったり、中にはひど  い物もあり重要なポイントを書き込んであったりもする。  もうすこし我慢して、一切読まないことを薦めよう。上述の内容程度であればい  いだろうが。  最後に一つ。この映画は、秋の落ち葉が風で飛ばされている道路、教会、犬とい  たるところに「オーメン」と「エクソシスト」の恐怖が盛り込まれているようだ。  あの映画は本当に恐かった。  …という訳で、その2本のビデオを借りました。                                 立野 浩超 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆2☆HEART(ハート)☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛    脚本の評価:★★★☆☆  「あんなもんじゃない? 」  周りからそんな感想が聞こえてきた。面白そうな予告編ではあったが、なんとな  くこの程度だろうなと思わせる雰囲気も感じていたし、その通りの感想になった  といえよう。  あの予告編や宣伝では血まみれの紙袋に入っている物、そしてその犯人と言うか、  それを持つ女性の行動を予想していた。つまり、女性が殺人を犯して心臓を切り  出したのだろうと思わせるし、なぜそこまで予告編で見せるのだろうかと反感を  抱いていた。しかしその予想は見事にはずれ、もう少し複雑なストーリーになっ  ていたことは評価される点だ。予告編制作者の意図に、ぴったしはまっている。  (多少時期早々なのでまだネタをばらすことはしないでおこう。)  この映画はシネマスコープサイズで撮影されているが、同じくシネスコの「ウェ  イクアップ・ネッド」で感じたあの撮影の巧みさはこの映画ではまったくといっ  てほど感じることができなかった。シネスコを使いこなしているとはいえず、ビ  スタサイズでいいのではないかと思う。  もちろん結果論的になっているし、撮影前にはたしてどのサイズで撮影をするこ  とが適切なのかを的確に決めることも簡単ではなかろう。また、おそらく予算も  影響してそのサイズは決められているのだろうから、シネスコで撮りたくても撮  れない場合もかなりあるのだろうし、撮影監督や、カメラ回りのスタッフにシネ  スコの経験があるかどうかは調べているだろうが、反対に決定したスタッフにあ  わせて設定を変更するという訳にも簡単にはいかないだろう。  まずはサイズありきで、次に制作スタッフが決まっていくのだろうか?この辺り  は国によっても映画制作の順序がかなり異なるだろうし、作品や、制作会社の方  針などによっても異なっていくことだろうから、私もはっきりと分からない。  もちろん画質や、ライティングはそれなりにきれいで適切だと思う。しかしその  程度でしかなく、ビスタだったらもうすこし迫力のある映画になったのではない  だろうかと感じてしまうのだ。具体的に誰が悪いという訳でもなく、どこをどう  すればいいのかも良く分からないが。(この文章はかなり弱きな、曖昧なものと  なっているな。)  ストーリーもなかなかよくできているし、役者達も普通にいい。しかしコメント  に値する魅力がなく、それが欠ける具体的な理由をみいだすことができない。な  ぜだろうか。  映画を見るにあたって、なにを参考にするか。人によって様々だろうが予告編や、  チラシに始まり、テレビ番組、雑誌などなど。メールマガジンやインターネット  も最近では重要なファクターとなっている点は、アメリカで大ヒットしている  「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」が証明しているし、それこそ回りの映画好  きな友人の意見も大事にしているだろう。  私の場合毎週スケジュールチェックの為に購入している「Weeklyぴあ」や、ケー  ブルテレビも最近では随分役に立つ。  それにもちろん各種雑誌の映画評や、記事が加えられるわけだが、そこでも粗筋  には触れない様に注意している。またその記事の内容をすべて鵜呑みにすること  は決してない。つまりその記事を書く人や評価を下している人と、私自信の評価  が似偏っている人でなくては意味がないということ。過去の映画の評価を参考に  すれば、その人と自分がいかに似偏っているかどうかを判断できるだろうから、  そこでようやくその人の記事、評価を参考にできる訳だ。その逆であれば、たと  えばロードムービー好きな私が、ロードムービー嫌いな人の評価など参考にする  気はない。どんなに悪い点をつけていようが、自分の目で判断する為に映画館に  足を運んでいる。  今は亡き淀川永治さんの批評記事は随分参考になった。つまり、いい映画、わる  い映画の評価や価値観が共感できたということだ。また、昔からたまに"大ハズレ"  してはいるが おすぎ さんの記事もいい。  また、雑誌の中にはコーナーとして映画の記事を常に掲載しているものもあるが、  Newsweekの映画記事は好きだし、信頼がおける。10.20号では、「プリティ・ブラ  イド」が酷評されていた。ジュリア・ロバーツのファンである私でも初めから見  る気がなかった映画だが、この記事を読んで安心して見に行かないでいられると  いうものだ。  週末になるたび土・日曜日の映画を"ぴあ"を見ながら選んでいると、ふと疲れを  感じ、もう今日は映画を見るのをやめようかと思うことがたびたびある。  それでもやはり、週末2,3本を映画館で見ている。                                 立野 浩超 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆3☆HEART(ハート)☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛  この映画、またもや今人気のあるブリティッシュムービー。  監督は新人のようであるけど、脚本がジミー・マクガヴァン。チラシには「英国  きっての人気脚本家」と書いてある。その人の最新作である。  ジャンルで言えば、サイコスリラーになるようだが、いきなりショッパナで血だ  らけの女が電車の中を歩いてくる。なおかつ、その手に持っている血だらけの紙  袋の中身は心臓。何という始まり・・・。  そして話はそのいきさつに繋がるのだが、亡くなった最愛の息子の心臓を提供し  た母親。その心臓によって一命をとりとめる男。序盤で過去と現在の話をうまい  具合に展開させていく。  と、ここまではいい雰囲気だったのだが、先へ続くにしたがって徐々にその雰囲  気が弱くなっていく・・・。なぜだろう?  臓器提供された夫婦、その妻と不倫している男、という三角関係を話の中で出し  すぎたことで、逆によくある展開と言うか安っぽくなってしまったような。もっ  と、臓器提供した母親とされた夫婦の間でのやりとりに話を絞って見せてほし  かった気もした。  また、夫が妻を美しいと映画の中で言うが、きれいな人だとは個人的にどうも思  えない。それがつらい。ラストについても、驚きのラストとあったがそれほどの  インパクトを感じられず。  84分の間、この映画の世界に浸ることが私には出来なかった。が、とても惜し  い。臓器を提供する側、それをされる側という臓器移植の題材には、とても興味  深いものがあるのに。                                   ゆたか __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆4☆マトリックス☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛  観念が映画を作るのは当然として、提示された内容は現代社会の焦点を鋭く捉え、  先端理論・歴史・宗教を踏み台にし、新たな価値観を生み出している。監督は前  作の映画「バウンド」の主題をさらに押し進めて、この映画を完成させた。  「バウンド」の主題は、本質を表すことはない属性の否定。二人の女性が出てく  るが、彼女たちはレズの設定であり、女性性と男性性が与えられる。一般的には  男役が女役をリードすると考えるだろう。しかし、男役に表面上マッチョな役割  を演じてもらうのだが、全てを仕掛けるのは女役である。男性と女性ではなく、  男性性と女性性を女性を用いて等価に表現することで、「性」と言う目に見える  モノ=属性の消失を分かりやすく表現している。  監督は属性の消失を、「バウンド」で表現し、映画「マトリックス」では、身体  も人間の属性の一部だから、そこにはすでに存在価値が無く、形に見える事物は  価値を失い、頭脳(精神)のみが人間存在を支えると言う主題である。  設定では彼が生きる社会は2199年で、感覚として感じる事物は、コンピュー  ターが支配するマトリックスの世界と知る。その世界への導入は、不思議の国の  アリスを引用した「白いウサギを追いかけろ」からであるが目覚めることのない  世界に踏み込んでいくという暗喩である。もちろんその世界とは現代社会であり、  「目覚めても現実との区別が付かない。そんな感覚はないか?」と主人公ネオの  冒頭セリフはヴァーチャルな仮想世界がトランスする浮遊感漂う現代を表す。  戦う場所は肉体と精神が分離される仮想空間。人型のエージェントと戦うことか  ら、主人公ネオは現実の意味を知る。キャッチコピーである「なぜきづかない!」  は、あらゆる属性に縛られた僕ら現代人に対して、属性から遊離した主人公ネオ  が問いかけるセリフだろう。全てのモノが属性の固まりと認識するとき、映画の  表現上、鉄砲の玉はよけるモノではなくなってしまう。極論になるのだろうが、  とてもわかりやすく、カッコイイ映像であった。  予言者・裏切り・奇跡・死・復活から、大まかなストーリーは聖書の引用である  が、救世主ネオが救うモノは肉体を含めた人間ではなく、精神面だけである。  (肉体に価値が無くなってしまったから、その救済は何よりも望まれる。)同様  に主人公が最後「俺はネオだ!」と言い放ち飛んでいくシーンは、肉体を含んだ  人間を意味せず、頭脳だけが自己の存在証明になっていくことを表現している。  映画の主題として一貫しているが、かっこよくもありまた寂しいエンディングで  あった。  仮に「ネオ」=「新たな人類」を意味するとすればこの映画は非常に危険な思想  とも感じるが・・・・                                Shinya SUGITA __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆5☆バックステージ:原瀬 涼子☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛  今回は、前回ご紹介した、映画美学校の生徒さんの作品『Four Fresh! '99+2』の  作品から+2のひとつ『薄羽の蝶』の監督をされた、原瀬涼子さんにお話を伺い  ました。(作品については、ScreenKiss Vol.47参照)  なお、上映期間中は連日満席の大盛況だった、という事です。  お話を伺った日は、丁度映画美学校の卒業式に当たり、お忙しい中、式の少し前  にインタビューをさせて頂きました。とても華奢な、ちょっと恥ずかしがりで、  可愛らしい方でした。 ■原瀬涼子  1974年東京生。北海道育ち。高校時代から映画制作を行いたいと、文教短大卒業  後、イメージフォーラムに1年間通う。この間に撮った8mm作品が評価され、同校  の特待生になるが、16mmを学ぶ為にそれを蹴り、ニューヨーク・フィルム・アカ  デミーに学ぶ。  同校の最終課題で提出した10分の短篇映画は4人という少人数のスタッフ構成で撮  り、彼女は監督、脚本、撮影の3役をこなす。昨年の「Four Fresh! '98」では松  本知恵監督の『はるのそら』で照明を担当。 >ScreenKiss______________________________________________________________>
 今回のタイトルの「薄羽の蝶」は実際、電車の中で席を譲ったお爺さんが作って、
 くれた、という監督ご自身のご経験からという事ですが、作品では、あと、どの
 位までがノンフィクションなんですか?

>原瀬___________________________________________________________________>>
 祖母とは遠く離れて住んでいたので、ほとんど会う機会がなかったのですが、病
 院でボケた祖母を見た時のショックがとても大きかったのを覚えています。それ
 が、ボケた祖母に会う、最初で最後の機会でした。

 脚本を書くにあたって、ボケたお婆ちゃんを持つ友人にボケた人はどんな行動を
 するのか聞くうちに、ある友人から、オムツを嫌がってむしってしまう人がいる、
 という話を耳にしました。その時に、フワフワと雪のようにオムツが舞っている
 イメージが涌いて、それをやってみたいと思いました。

>ScreenKiss______________________________________________________________>
 おばあちゃんが登場するシーンはとても印象的なのですが、あの降ってくる雪
 (実はおむつ)が光に映えてとても美しいですね。でも、とても苦労されたとか。

>原瀬___________________________________________________________________>>
 そうなんです。ここのシーンは私も大好きです。おむつ撒き機も、色々改良して
 いって。これは美術部の人と相談して「どうしたら、雪に見えるだろうか」って。
 全部手作りなんですよ。綿をちぎってやってみたりしましたが、最終的には和紙
 が一番奇麗に見えるのがわかって。ただ、カットが変わって、現実に戻った時に、
 床に落ちているのは綿です。

>ScreenKiss______________________________________________________________>
 シナリオについては、大分御苦労があったようですが、シナリオは基本的に完璧
 に書かれてから撮影に臨まれるのですか?それとも、撮影されながら、手を入れ
 ていかれるんですか?

>原瀬___________________________________________________________________>>
 さっきお話した、ボケた人はどんななのかという事を、老人介護の本を読んだり
 しました。由美子の心の移り変わりに関しては、自分自身が同じ位の年齢である、
 という事もあって、あまり変えたりはしなかったのですが、はじめのシナリオの
 弱い部分を補強するように直していきました。

 ラストカットの、お婆ちゃんが若かりし頃の友人の名前を呼んで、由美子がそれ
 に答えてあげるところは、あとから書き足した部分です。

 ラストをどうしようか、と悩み続けていたのですが、アルバイトの最中に急に思
 い付いたんです。思い付いた途端に、ああ、これなんだ、これなんだ、ととても
 嬉しかったです。

>ScreenKiss______________________________________________________________>
 現場で変更という事はありましたか?

>原瀬___________________________________________________________________>>
 若い役者さんですと、それも可能だったんですが、年輩の役者さんだとそれが少
 し無理だという事が、リハーサルしている時にわかったんです。で、彼らには前
 もって、少なくとも前日には、台詞を渡して本番までに覚えてきて貰うという形
 にしました。

 由美子役の上野さんは、本当に勘のいい方で、ここをこうしてみて、と言うと、
 すぐに巧くやってくれるんです。その上、決して間違えたりしない。演じるのが
 初めて何て、嘘でしょう、という位。

 上野さんて、何でも出来ちゃう凄い人なんだ、と思うんですよ。どっしり構えて
 いて、人の気持ちまで楽にしてしまうところがあって、スタッフも、他の役者さ
 んも救いになっていた部分があるんじゃないでしょうか。男性スタッフは、皆、
 上野ファンになっていました。

>ScreenKiss______________________________________________________________>
 ところで、役者さんのお話が出たところで、あの電車のお爺さん役の方(児玉数
 夫/映画評論家)は、顔に惚れ込んでくどかれたそうですが。

>原瀬___________________________________________________________________>>
 そうなんです。本当にお顔が好きで。この人がじゃないと嫌だって位。最初は断
 わられそうだったんで、「とにかくお顔が好きなんです」って事をたくさん言っ
 て。やっぱり、人ってほめられると嬉しいじゃないですか。多分それで、受けて
 頂けたのかと。彼の経歴などは、全然存じ上げなかったんです。

 他の役者さんに関してもそうなんです。上野さんも、ぱっと見て、この人は、私
 がまだ分かってない部分の由美子を持っている人だって思いました。

 お母さん役の辻本さんも、児玉さんとお会いした会場で、一目惚れして出て頂い
 たんです。ぱっと見で、この人だ!と思い込んだ方ばかりで、クランクイン前や、
 クランクイン直後は、初演技の方々に、ちゃんと演技指導出来るだろうか、ちゃ
 んと演技して貰えるだろうか、と正直なところ、不安は大きかったのです。が、
 皆さんにやって頂いて、本当によかったと思っています。

>ScreenKiss______________________________________________________________>
 今、振り返ってみて、どんな事が印象的でしたか?

>原瀬___________________________________________________________________>>
 苦労とかって、終わってみると忘れてしまって、いいことばかり思い出されます
 が。自分の中で、映画を作っていくという事にとまどいがありました。10人から
 のスタッフでやっていくというのも初めての事でしたから。そのスタッフと、ど
 うやってコミュニケーションをとり、自分はどう采配していけばいいのか、とい
 う事で悩んでしまいました。

 役者さん、スタッフ、作品と自分との距離がわからなくなった時もあります。そ
 れが一番辛かったかと思います。

>ScreenKiss______________________________________________________________>
 それは、どのようにして、御自身の中で調整されていったのですか?

>原瀬___________________________________________________________________>>
 皆が心配してくれて、とりあえず、中断して落ち着くまで休みをとってみようと
 いう事になりました。その後からは、スタッフとも話あって落ち着きました。

 何が不安だったかというと、学校の課題で撮っている訳ですから、スタッフも、
 本当にやりたいと思ってくれてるのか、とか、自分の要求をどこまで彼らに求め
 ていいのか、とか。

 彼らが、心配してくれてるのが分かってからは、色々注文も出せるようになって
 巧くいきました。

>ScreenKiss______________________________________________________________>
 では、もう次回からは大丈夫ですね。次回も監督をされたいという事でしたが。

>原瀬___________________________________________________________________>>
 そうですね(笑)。今回みたいに気の合うスタッフがいてくれれば、と思います。

>ScreenKiss______________________________________________________________>
 この作品は今年7月のぴあフィルムフェスティバルでも上映されていますが、そ
 の時の反応はどうでしたか?

>原瀬___________________________________________________________________>>
 一番驚いたのは、結構大きい会場(有楽町、国際フォーラム)だったのですが、
 お客さんがいっぱいで。ちゃんとした会場で上映するのは初めてだったので、興
 味をもってくれるのか心配だったのです。

 会場からの質問は、あまりなかったんですが、「チョウチョは何で、青いんです
 か?」とか。

>ScreenKiss______________________________________________________________>
 何故、青かったんですか?

>原瀬___________________________________________________________________>>
 実際貰ったチョウチョが青かったのと、美術部が黄色いのや、ピンクのとかを
 作ってくれたんですが、青が一番奇麗だったんです。

>ScreenKiss______________________________________________________________>
 ご自身が経験された事、という事でしたが、実際はどんなシチュエーションだっ
 たんですか?心境的にも由美子さんのような葛藤はあったんですか?

>原瀬___________________________________________________________________>>
 少し混んだ電車に乗っていた時、前の席が空いたんで座ろうと思ったら、お爺さ
 んがじ〜っとこっちを見ているんです。座りたいんだな〜て思って席を譲りまし
 た。そしたら、鋏と薄い青い紙を鞄から出して、何かやってるんです。

 「この人ちょっとボケているのかな〜」って思って嫌な気分になりました。多分、
 亡くなった祖母の事を思い出したからだと思います。そのお爺さんが、新宿に着
 いた時に作っていたものをくれて、それが蝶だったんです。何だか感動してし
 まって。

 その頃はアルバイトをしていて、「これからどうしようかな〜」という事は考え
 ていましたね。何となく生活していて、これからどうしよう、という不安をその
 蝶々が救ってくれたんだと思います。

>ScreenKiss______________________________________________________________>
 影響を受けた監督などはいますか?

>原瀬___________________________________________________________________>>
 余裕もなくつくっていたんですが、あとで考えると、監督より、結構漫画の影響
 が強いんではないのかなって。例えば大島弓子とか、岩館真理子とか、そういう
 透明感のある線の細い作品の影響はあるんじゃないかと思います。

>ScreenKiss______________________________________________________________>
 ご自分では漫画は描かれないんですか?よく監督さんは絵コンテ描かれるでしょ
 う?

>原瀬___________________________________________________________________>>
 それが、描かないんです。下手だし(笑)。絵コンテも顔は丸で胴体はこんな
 で・・・(胴体っぽい感じを指でなぞってみせる)

>ScreenKiss______________________________________________________________>
 監督ご自身が、御自分の作品に出演される予定はないんですか?

>原瀬___________________________________________________________________>>
 それは、ないです。それに演技が下手なんです。カリキュラムにも役者としての
 課程はないし。自意識が強いのか、凄いあがっちゃって。

 人を観察するのは好きなんですが、自分が観察される側は恥ずかしいんです。本
 当はこうして話するのも恥ずかしいんです。

>ScreenKiss______________________________________________________________>
 次回作の構想は決まっていますか?

>原瀬___________________________________________________________________>>
 恋愛ものをやりたいんです。こないだ書いたのは夫婦の話なんですけど。試写会
 で、ベルトリッチの新作『シャンドライの恋』という映画を見て、恋愛映画って
 いいなぁ、と思って。単純なんですけど。

 やはり、体験とか身近な事からしか思い付かないので。あまりに自分と懸け離れ
 たところでは頭がついていかなくて。

>ScreenKiss______________________________________________________________>
 今日は卒業式だそうですが、今後のご予定は?

>原瀬___________________________________________________________________>>
 監督としてやっていきたいんですが、どうなるのかな、と。特に野心とかがなく
 て。コンペで受賞したりすれば、その後の制作がやりよくなるとか、あるかもし
 れませんが、撮りたい時に撮りたい作品が撮れればって。まぁ、一番我侭なのか
 もしれませんが(笑)。

>ScreenKiss______________________________________________________________>
 もし、配給会社から、あまり原瀬さんが気が向かない題材ながら、“是非撮って
 下さい”というオファーが来たらどうしますか?

>原瀬___________________________________________________________________>>
 う〜ん、一応考えてみますけど。やりたい主題なら受けるかもしれませんが。私
 は結構臆病なので、周りに安心できる人がいないと出来ないんですよ。頭も回転
 しなくなってしまうし。

>ScreenKiss______________________________________________________________>
 この学校へ入学する以前と入学後のイメージの差はありましたか?

>原瀬___________________________________________________________________>>
 特に凄い期待もしてなかったので、そんなにギャップはなかったです。ただ、と
 りあえず1本撮れれば、と思っていましたので、それが現実になったわけですか
 ら。とりあえずの目標は達成しましたね。

>ScreenKiss______________________________________________________________>
 最後に我々のメールマガジンの読者へのメッセージがあれば。

>原瀬___________________________________________________________________>>
 見て頂けるのでしたら、気に入っていただけると嬉しいです。落ち込んでいる時
 に、友達に手を握られたり、抱き締められると、素直に泣けたりするじゃないで
 すか。そういう些細な優しさみたいなものが、少しでも伝わるといいなぁと思っ
 ています。

 〜今日はお忙しい中、ありがとうございました。〜

 *原瀬監督への質問等はScreenKiss 鳥野韻子まで御寄せください。

                                鳥野 韻子

__________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____
                                    □

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ScreenKiss Vol.052

1999年 10月 25日 配信
ScreenKiss Vol.052

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Vol.052

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>☆ C O N T E N T S ☆−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−☆<   □パッションフィッシュ   □ポーラX   □僕の無事を祈ってくれ   □Born to be ワイルド   □家族シネマ >☆−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−☆S_c_r_e_e_n_K_i_s_s☆< >>☆1☆パッションフィッシュ☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛  監督はジョン・セイルズ。脚本が主だったようで、監督としては「フィオナの海」  が有名なようだ。だが例のごとく、その作品は観ていない。そして、何気なく最  初のクレジットを見ていて、撮影がロジャー・ディーキンス。私が好きな撮影監  督の一人で、これは少々うれしい。  で、この作品だが、始まりから数分の導入で、主人公の下半身不随になった女優  のその経緯、心境や人となりを短い間でうまく伝え、とても印象深い。  話としても、主人公やその世話をする更正施設にいた黒人女性、その周りで関  わってくる人々が、どこか不器用であるが人間味深く描かれ、そして、互いに心  が傷ついている2人が、支え合いつつ前向きに生きようとする姿を、ストレート  に描いている。  また、画が人物の表情を深く表現し、アメリカ南部の自然や陽射しがその背景と  して美しく映し出されている。それにしても本当に、彼女たちの表情がとてもイ  イ。  というわけでこの作品、新しいと思っていたら、実は92年と古い。どうして今  ごろになって?あと、ここの劇場は1800円均一なので、前売りを買ってから  行くのを忘れずに。                                   ゆたか __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆2☆ポーラX☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛   ★★☆☆☆  この前、前哨戦のつもりで見に行った「汚れた血」では眠りこけてしまったが、  この作品は最後まで目を開けて鑑賞できた。  「ポン・ヌフの恋人」が好きな私はもちろん期待していたし、レオス・カラック  ス来日時の試写会の券を逃してしまって以来"いかんいかん"と思いつつも感情は  ますます高まり今日を迎えてしまった。冷静に考えると決して映画の評判で本番  セックスシーン以外のまともなものがほとんどなく、疑ってかかるべきだったの  かもしれない。  さて、ストリングスの低音ではじまるテーマ曲はスコット・ウォーカーなる音楽  家による作曲。私は彼を全く知らないが、印象的ですばらしい曲だ。この曲はい  い。  ピエールが家を出るまでの前半は退屈な演出、気取りすぎたセリフ、唐突な編集  でうんざりしてしまった。 フランスの貴族(?)の生活、彼らが話す言葉は実際  こんな臭いものなのかもしれないが、窺い知れない為不明。(日本人は誰も知ら  ないだろう)  勿論それは、不慣れな監督や定予算の作品に見られるような失敗ではなく、金を  注ぎ込み意図的にわざわざ撮影し、編集しているのだが、それを効果的に見せる  為の何かが欠如している。つまり何らかの理由が必要だ。そうすることによるメ  リット、そうする理由がなければならない。このシーンではその意味が伝わらな  かった。ただ印象的にしているだけでまるでファッションといった感じ。全編を  通して感じたことだが単にかっこいい映像、かっこいい映画を作ろうとしている  としか思えない。勿論意味なんて映画には要らないケースもあるし、勿論かっこ  いい映像(映画)を作ることも大変だし、作ろうと思って作れるものではないか  ら、そこから判断すればすごいと言える。  しかし、原作となったメルビルの小説「ピエール」があって、それからこの映画  を立ちあげたのであればこの映画、この撮影に意味が込められていないと感じた  時点で失敗作だ。  また、本筋が単調なのに、撮影や編集に凝りすぎても本筋が変わるわけではなか  ろうに。  前半はただのイメージフィルムか、名曲の為のミュージック・クリップに過ぎな  いのではなかろうか。名曲に負けた。  また、ピエールに変化をもたらす重要なエピソードとなっている、イザベル(カ  テリーナ・ゴルベワ)が自分の生い立ちを説明する長い独唱はヘタクソな演技に  加えて、退屈なセリフ。ここでは気取りがなくなり、反面観客に説明をして続い  ていく話に変化を付け加えようとしている様子。  セリフには感情の変化がまったく感じられなく、カテリーナの演技に問題あり。  セリフの内容から、また撮影のしかたから、動揺に近いものを表現しなくてはな  らない場面だったと思うが、役者にはそれができなかった。インタビューでは  「監督は目で指示をした」と語っていたカテリーナであったが、その目は指示で  はなく、不満の目つきにすぎなかったのではなかろうか。この森の中に小走りで  入り込んでいく2人の場面で、映像は色合いからカメラワークまでが豹変し、無  理に編集してつなげた異なった2つ場面のように感じる。時間が飛んでいるよう  で、且つ場所まで飛んでしまったかのような違和感があった。  さて、いよいよ激しさを増す後半に突入。怒涛の展開が訪れる。まるで、退屈な  導入部は監督の意図とははなれ、興行的に成功させようとプロデューサーや資金  元が無理やりに付け加えたと言える程の違いがある。  カルト集団、婚約者であったリュシーとイザベルとピエール3人の怪しげな生活。  登場人物が総出で話しを進展させていく。意味、理由の分かる撮影、編集となっ  てきた。  そしてピエールの浮浪者のような風貌。そこで一つ発見した。ピエールが寒さの  あまり汚いコートを羽織り、、ブーツに新聞紙を突っ込んでいたあの姿。まるで  「シラノ・ド・ベルジュラック」で父親ドバルデューが演じていたあの姿そっく  りではないか。(そう考えると、詩人シラノと、作家ピエール。いろいろと共通  項が見えてきた。もしや…?)  この映画を評価する人は、なにを評価するのだろうか。あの編集だろか。  ぴあの10・18号をふと読んでいると、137ページの下に柳下氏の短い文章  が目についた。簡単に説明した後、「王子様がホームレス女に血迷って解脱し、  カルトに入信し…の映画」とある。うまい文章だ。ポーラXが私にとって、なぜ  魅力がないのか?それは、とても薄っぺらなストーリーをとても意味ありげに見  せている点だ。(うーん、こんな言い方してはポーラXファンの人はいらいらし  てしまうだろうな!?反論は貴方の400字程度の感想でお願いします。)                                 立野 浩超 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆3☆僕の無事を祈ってくれ☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     (88年のカザフスタン映画)   ストーリ:★★★☆☆   総評  :★★☆☆☆  まず、主人公(ヴィクトル・ツォイ)のイメージを決めつけるようにロック音楽  と彼の黒いジャンパーにより映画は始まる。どのような映画なのか知らなくても、  このオープニングによっておそらくいきなり憂鬱に感じる人と、それを魅力的に  感じる人にはっきり別れるだろう。私にとっては、まったく憂鬱だった。まさし  くハードボイルドなのだが、それはかなり安っぽいのだった。基本的にそういう  映画は好きではないし、このキネカ大森での中央アジア映画特集に望むものでは  なかったから。  全編を通して流れるのは、そのツォイ率いるロック・グループ"KNHO"(キノと読  み、映画という意味らしい)の演奏。その曲もつまらないし、録音の質が悪いた  めに多少不愉快に感じることもある。彼が歌っているのでなければこの曲と映像  のミスマッチを許すことはできなかっただろう。  しかし私はエンディングで打ちのめされてしまった。彼らの曲の中でもエンディ  ングにかかる「BLOOD TYPE」、この曲もいいし、訳詞も意味深く反体制的で、  ボーカルのツォイはどちらかというと音痴な歌手なのだが、ここまで来ると音痴  までもが彼の魅力と感じさせてしまう。これが彼らが現地で驚異的ななヒットと  なった理由だと納得してしまった。  ツォイはロシア圏ではカリスマなロックボーカルだったらしいが、我々が見ると  冴えない風貌の為に魅力を感じないのだが、映画を見終わるころには逆にその冴  えないさまが気にいってしまう事だろう。つまり色男ではなく、なんとなくにや  けた顔がどちらかといえば我々自信に近いためではないだろうか。色男、かっこ  いいヒーローにはない親近感がある。  また、節々に"うまい"と感じる場面(映像・演出)がさし込まれている。それは  時には役者の動きであったり、時にはそのロケーションであったり、またカメラ  ワークであったり、色合いであったり。  悪役の医者が階段を降りる場面があるが、動きを止めてみたり、階段の踊り場で  ブレイクダンス的なステップを踏んだり、これが実にうまい。本当にうまい。デ  ジタル処理をしたり、編集に凝っている訳ではなく、ただ時間の進行に添って、  普通の長さのカットを普通につないでいるだけだが、実に新鮮に感じる。  薬中毒の元彼女の家、そのテレビや、インテリアもかなり凝っているのだがその  凝り様はどことなく現実的な汚さがあり、白々しくない。病院、動物園の跡地、  撮影場所はみな見事だ。  私は途中から邦題の意味、"僕の無事"を祈るとはどう言うことなのか考え続けて  いた。その意味が見えなかったのだが、最後にツォイが腹を刺されてしまいなが  らも雪の上を歩きながら去っていくその後ろ姿、それだ! このシーンは音楽  と共鳴しながら進む名場面だった。一見ありがちなようで、いまさらこんなに臭  い設定はありえないし、一時の香港カンフー映画か、西部劇のヒーロー像につな  がるものがあった。白い雪に滴っている数滴、そのたった数滴の血もリアルだっ  たし、刺された場所、そのナイフの小ささ(刃渡り約10?)、何よりもツォイ  のパワーが彼を死に導くそのエンディングとは逆に、続編"ツォイの復讐"に導い  ていく。(もちろんそんな映画なないし、ツォイはこの映画の2年後の90年に  交通事故で死んでいる。残念だ。)                                 立野 浩超 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆4☆Born to be ワイルド(Wild America)☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛    ★★★★☆  文句なくみなさんにお薦めしたい一品。  これは子供から大人まで年齢層幅広く楽しめることに違いない。子供にとっては  同年代の少年の冒険物として、大人にとっては子供時代に感じた冒険に対する憧  れ、そしてなによりも子供時代に見えていたはずの景色を取り戻すことができる  映画といえよう。本当に大人が忘れたものがこの映画で取り戻せるかのようだ。  この映画は三男マーシャル(ジョナサン・テイラー・トーマス)に見えていたそ  のままの風景やハプニングを映像にしている為に、表現がかなり大袈裟になって  いる。しかし、大人にとっては些細なことが、子供時代には大きく、素晴らしく、  そして恐ろしく見えていたものだ。そうした子供にとっての現実が映像に表現さ  れていて、その為簡単な合成映像、ちょっと無茶苦茶なハプニングの設定などす  べてがまるで現実かのように、そうでなくてはならなかったように感じる。一見  するとチャチな、くだらない冒険物がこれほどの現実味を持ってくる理由がそこ  にある。  この映画を見る時、自分の歳や、個人の性格がどれほど影響するかはわからない  が、子供時代のトラウマすら癒して、子供時代のいい思い出だけを思い浮かべさ  せてくれるものだった。  個性的ですこし笑える父親、理解のある母親、信じられないことを弟にさせてし  まう兄2人(子供のもつ純粋な凶暴性)、そして不滅の三男とそれぞれの個性に  も文句のつけようがない。  ★を一つ減らした理由の一つは3人が兄弟に見えない点。もちろん子役の演技に  関してはそのままで文句なし。この映画に合った多少オーバーアクションの演技  がキッチリとできている。  そして、なによりこの映画を素晴らしいものと決定するのは、物語が終わり、エ  ンドタイトルの前に3人の現況が紹介されているが、実際にこの3兄弟が映像の  道で成功している(おそらく成功しているのだろう)ということで、さらにイン  パクトがあるのは、末の弟が現在絶滅しかけているカタツムリのドキュメンタ  リーを撮影している! とうことだ。ぴったりの人生ではなかろうか。  時として、まったく期待もしないあまり、おそらく駄作だと考えつつ見た映画に、  恐ろしくなるほどの掘り出し物があるものだ。もちろん、期待ということが先入  観をどれほど生み出すかは最近では「ポーラX」が私に忠告してくれたばかりだ  から意識して気を付けなくてはならない。                                 立野 浩超 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆5☆家族シネマ☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ 在日韓国人である柳美里の同名の小説を、韓国人の監督が映画化した。製作スタッ フのほとんどは韓国人で、出演者は日本人と在日韓国人という不思議な組み合わせで ある。バラバラになった家族が、自分たちを描いた映画を撮るというので、何年ぶり かで集まる。その時の顛末が映画中映画として、映画化されたものである。  家族は同じ屋根の下に住むという現実が崩れて久しいが、それでも家族は同じ屋根 の下に住むものだという常識は崩れていない。だから、バラバラになった家族を、旧 来の常識である核家族と引き比べて、ああだのこうだのと愚痴ることになる。この映 画も基本的には、その範疇から脱していない。日本人にしても韓国人にしても、核家 族が前提になっているから、壊れた家族をどうするかという方向では、少しも建設的 ではない。    核家族の崩壊の中で、異常な対応をする人々と言った視点しかなく、その次の核家 族に代わる男女関係へと進む展望はない。もちろん原作が、核家族より先の展望など 描いてないのだから、その原作に基づく映画に期待する方が無理なのだ。醒めた目で この映画を見れば、各人は見事に自立している。父親は借金とはいえ立派な家を建て たし、男狂いの母親だって不動産業を営んで自活している。    今日、ローンという借金を使わずに、家を建てる人など少ないだろうし、女性なが ら不動産業のプロというのは、立派な社会人である。本人はデザイン事務所に勤務し て生活しているし、妹はAV女優で生活が成り立っている。弟が自閉症だが、母親が 面倒を見ると言っている。確かに家族としてはバラバラだが、各人はきちんと生活で きているではないか。真っ当な家族を営むヤクザや、妾を囲う真っ当な社会人より も、彼等はずっと健康的である。  すでにきちんと生活できている大人たちを、いつまでも同じ場所につなぎ止めてお くことの方が、変だとは思わないのであろうか。家族は同居するものだという常識に よって、その必要のない者たちを一緒に住まわせることのが、いかに無理なことなの か。むしろそちらに目を向けるべきであって、家族を不可分の関係と見なすことは、 各人にいらぬ強制をすることである。この映画の中でも、彼等は充分に家族を演じて いた。会ったときには喜怒哀楽を持った会話が成り立っている。明らかにこれは他人 以上の関係である。  映画としてみると、各部分には笑える要素がたくさんある。もう少し上手く作れ ば、上質なブラック・コメディになるのだが、家族の展開方向が判ってないから、ま とまりの悪い映画になってしまった。乾いたタッチ、速いテンポなど、救える要素は ありながら、最後にはつまらない映画と言わざるを得ない。朴哲洙(パク・チュル ス)監督。1998年の韓国映画。                                  匠 雅音 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ ┏━┓                       I N F O R M A T I O N ┃F┃登録・解除・お問い合わせなどについて ┗━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◇◇星(★)の意味___________________________◇ ◇   このメールマガジンで表示されている星は5つが最高で、1つが最低です。 ◇◇メールアドレス変更・解除______________________◇ ◇   このメールマガジンの購読解除は、ご登録された発行元のホームページより出   来ます。こちらでの作業は一切しておりません。   まぐまぐ   (http://rap.tegami.com/mag2/m/0000007585.htm)   マッキー! 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QT MAI ◇◇ScreenKissについて_________________________◇ ◇   映画に関して、「人物」「作品」「映画祭」「制作」と言った観点から紹介・   論評するメールマガジンです。   Copyrights(C), 1998-1999 ScreenKiss  掲載された記事はいかなる形式であれ許可なく転載は禁じられています。 ┼                                   ┼

ScreenKiss Vol.051

1999年 10月 14日 配信
ScreenKiss Vol.051

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>☆ C O N T E N T S ☆−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−☆<   □ディープ・ブルー   □オランダ映画祭   □映画館で寝るということ   □迷宮のレンブラント   □バッファロー66 >☆−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−☆S_c_r_e_e_n_K_i_s_s☆< >>☆1☆ディープ・ブルー☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛   ★★★☆☆  このテの映画に三ツ星?と思われる方もいるかと思われますが、私、結構好きな  のです。レニー・ハーリン監督が・・・  「クリフ・ハンガー」にせよ「ロングキス・グッドナイト」にせよ、とにかくいつも  ヤリ過ぎ!そんなに壊すか?そんなに殺すか?というのがいつしか恐怖や緊迫を  通り過ぎ、お笑いの世界に入ってしまうあたり、この監督のキャラが出てるとい  うか。ほとんどウルトラマンやゴジラのノリ。 そんな監督が、この映画でも  やってくれてますよ〜。  まず、遺伝子操作で利口になった巨大ザメっていう設定が、一昔前のB級怪物映画  を彷彿とさせてすごくイイ。また密室、小人数というパニック映画のルールを  ちゃんと守っていて、子供の頃にみた「ポセイドン・アドベンチャー」等を思い出  させます。出演者もサミュエル・L・ジャクソンを除いては、ほとんどマイナー級  でB級の味炸裂。サミュエルも、他の映画の仕事で忙しいのか、ほとんど出番なし。  いいぞ〜(尚、ラッパーのL.LクールJも出演しているので音楽好きはチェック。)  サメの食いっぷりも、じわじわいたぶりつつ・・・とかではなく、ガブっと真っ  二つ。で、半分になった胴体がピクピク動いてたり。ホント笑え・・・ってコメ  ディじゃないって?  でも映画って、時には難しいこと考えずに、ポップコーン片手に笑ったり、とび  あがったりしながら見るものではないんでしょうか?  そういう意味で、この映画はハリウッド・ザ・娯楽映画っていう感じでいいんで  はないでしょか?  ヘンにお涙頂戴路線でアカデミー賞狙ってくる、なんとかキャメロンさんより、  この監督、絶対性格いいはずです。  なお、ラッパーのL.LクールJも出演しているので音楽好きはチェック。                                 MS. QT MAI __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆2☆オランダ映画祭☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛  今年は第2回目になるこの映画祭。昨年に引き続きあまり観客は多くなかった。  ぴあ誌上にも掲載されているし、チラシも各映画館に並べられているわりには人  がすくないのはなぜだろう。オランダという国と映画とがあまりぴんとこないし、  会場の草月ホールの場所もあまり人を引き付けない。しかし、混んでいないため  長時間並ぶ必要もなく、席も前の人を選んですわる余裕がある。連続3年間だけ  の映画祭だから2年目で中止になるわけもないだろうから安心だが、今後他の映  画祭企画に影響するかもしれないためやはり多くの皆さんに来てもらいたい。  オランダ映画祭1999より  密航者  総合点:★★☆☆☆  「ある奇跡を目撃する」とのあらすじではあったが、まずこの奇跡とは何か?綿  花のために水を汲みとりすぎた結果アラル海の水位がさがってしまい、湖畔だっ  た場所が砂漠のようになってしまっていた。その為、もともとアラル海の湖畔の  町として漁業が行われていた青年ウラズバイの故郷では、砂漠の上にただようよ  うな街になってしまった。ウラズバイの父親は砂の上に浮かぶ故障してしまった  漁船をさびれていく街を象徴するかのようにひたすら無駄に修理している。たと  えエンジンが回ったとしてもどこにも水はないのに。  ウラズバイは自分を探す為に旅立つが、密航したあげく夢のアメリカではなくオ  ランダに着いてしまう。オランダでは都会を象徴するかのような曖昧な男女関係  の中に居候し、そのうち不思議な感情を感じ始める。そして人妻とその子供との  関係の中に家族を感じ始めた時、強制送還になる。ウラズバイ自信ホームシック  のようにどこかで願っていたのではなかろうか。  帰郷した彼は、父親が狂ったように修理しつづけた漁船がすでにペンキまでも塗  りかえられているのを目にする。故郷の普遍的な日常はゆっくりではあるが、確  実に変化していた。そして、彼が決して手伝うことのなかった船の修理を父親と  一緒に始め、ついにエンジンが動き始めたその時、そこには膝丈の水位が戻って  きていた。  もちろん彼らにとっては奇跡的だが、ロシアやC.I.Sが変化していくなか、  自然に対する国策も確実に変化していたということだろうか。我々にとっても衝  撃的な変化が起こった時代だったから、ニュースすらほとんど聞えてこない閉ざ  された地区の人々にとってはまさしく奇跡とも言えよう。  全編を通しての暗いトーンは主人公ウラズバイの無口さからきているのか。また、  大きな表情の変化もすくなく、故郷の生活もオランダでの居候生活も淡々とした  毎日で、大きな事件が起こるわけでもない。感情を排した表現で都会の住宅地と  いう場所が醸し出す虚無感と、さびれていく田舎の淋しさがでていると思う。し  かし、やはり90分という長さの割には内容が希薄ではないだろうか。密航する  前のウラズバイの気持ちや、帰国した後の気持ちの変化に対してもう少し時間を  割いたほうがよのではないだろうか。  監督の意図する作品には仕上がっていると思うが、観客の為の作品、特に海外配  給の為の作品にはならないようだ。97年のマンハイム国際映画祭グランプリ受  賞にしてはぱっとしない。                                 立野 浩超 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆3☆映画館で寝るということ☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛  映画を見ていると、ふとものすごい睡魔に教われる。これは映画館の暗さ、シー  トの軟らかさ、エアコンの快適さ、映画音以外の雑音のなさ、そして映画の退屈  さによって助長されているのだろう。もちろん、いびきをかいて寝ている連中に  は腹が立つが、反面、その気持ちよさはよくわかる。  また、どんなに映画をまちわびて期待して来ても、眠気さをさそうようなセリフ  の少ない映画、BGMのない映画は眠気を呼び起こす。そうでなくても、睡魔にはか  なわない。ジュースを飲もうと、ミント系タブレットを舐めようと、目をこすろ  うとどんなにしても睡魔にはかなわず、コックりきてしまう。コックりするのは  後ろの人に迷惑とばかり肘をついて深めに座り、さらにその姿勢がおいうちをか  ける。  このままでは全編を通してろくに見れやしないということに不安を感じ、ほんの  3分でも熟睡すればその後は眠気もさめて快適に鑑賞できるだろうと思うが、そ  のまま最後まで熟睡してしまう心配には勝てずに、結局耐えながら、コックりし  ながら見ることになる。  眠気に襲われた後は運良くそのうち自然に眠気がさめるか、最後までだいなしに  してしまうか、映画が盛りあがり眠気どころではなくなるかのどれかだ。  今日私は、レオス・カラックスの「ポーラ・X」の前哨戦として「汚れた血」でそ  の失態をおこなってしまった。ユーロスぺースでの上映だったが、まばらな館内  で足をひろげてくつろいで見ていた。始まって10分もたったころ「まずい」と  気が付いたが今日の眠気はただ者ではなかった。学生のころには決して眠気を感  じることもなかったが、平日の仕事の疲れか、歳をとった証拠なのか・・・。  結局、見逃していた傑作「汚れた血」のみならず、その後見る予定だったパゾ  リーニ映画祭「その詩と映像」も見ることが出来ずに、とぼとぼ電車にのって、  あげくに2駅乗りすごしてしまったことは言うまでもない。  どなたかしっかり見た方の感想をお聞かせください。                                 立野 浩超 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆4☆あの娘と自転車に乗って☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛    中央アジア映画としての評価:★★★★☆  まずは、この映画を上映してくださったキネカ大森に感謝。また、今回の中央ア  ジア映画特集を組んでくださったことに本当に感謝したい。  さて、この映画はすばらしい作品だと思う。この地域の文化的な背景は物語の理  解に多少必要だと思うが、そんなことを知らなくてももちろんすんなり体に解け  込む素朴な笑顔が魅力の映画。主人公ペシュケンビールは仲間と喧嘩をし、親に  叱られ、少女に恋をし、そして回りの大人達にしだいに影響されていく年頃。  演技をしているというより普段のままの姿で、日常生活を子供達の視線で撮影し  ている、いうなれば視線の低い映画。  多くは白黒で描かれているのだが、時にカラーを使い、その白黒とカラーのバラ  ンスにはほれぼれする。白黒の色合いでは物足りない場所にだけカラーをつかっ  て、効果的に観客に感情を伝えている。  幼子の為に老婆達が行う儀式や、葬式といった文化的特徴が興味をそそるし、こ  の地方の暮らしぶりも伝わってくる。また、子供達の髪型や彼らの衣装も楽しめ  るし、日干し煉瓦や、森の色、土の色合いまでも白黒の中とは信じられないくら  いよく表現されている。  こういった民芸的なものに興味を感じない人にはお勧めできないが、中国映画で  田舎生活を舞台にしたものを好きな人にはお勧めできる。また、旅行をするとつ  いついその土地の民族博物館に立ち寄っているといった人達にはぜひお勧めした  い。                                 立野 浩超 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆5☆迷宮のレンブラント☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛   ★★★☆☆  ちょっと甘い採点で3★。  この映画で主題となるレンブラントは、絵画好きでなくても一度は名前を聞いた  ことがあるだろうし、この人の絵画だけを目的に美術館に行く人も多いくらい有  名でファンの多い画家。(私もその1人だろう)  彼の現存する数百毎の作品には何年かに一度は真偽判定の結果が新聞に載ったり、  高額で取り引きされた結果が発表されたりと話題にことかかない。レンブラント  本人の作品となれば1枚何十億円の取り引きが確実だが、いったんレンブラント  工房での作品であったり同時代の他の画家によるものという鑑定結果となれば、  十分の一、百分の一になる。  映画は主人公ハリー・ドノバンの描いたレンブラントの贋作を軸にし、金の臭い  で殺人がおこり、さらに恋愛が絡まって「逃亡者」のような逃亡劇となっていく。  裁判場面もあり、最後には現金が動き、多彩な変化をしながらこ気味良く進む物  語には退屈はしない。  贋作を描きあげる場面が端的に説明されるが、実際にそういった方法で作成され  ているだろう贋作の世界を垣間見ているようだ。また、本物と偽物の違いとは芸  術性の違いなのか、単にサインすべき人の違いなのか。美術(芸術)の世界の曖  昧さが皮肉られていて、その点は評価するが、娯楽作品としての迫力に欠けるし、  詰め込みすぎたようだ。                                 立野 浩超 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆5☆ポーラX☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛  ・・・レオス・カラックス  この監督も久しぶりのようです。  この人の作品については、「ポンヌフの恋人」しか観ていません。毎度のことな  がら、とても勉強不足であると感じつつ、この映画を観て、前作を含めつつ思っ  たのは、  どうにもただでは済まさない人のようだ・・・。  とにかく最初の出だしで、・・・度肝を抜かれた、キレている、何だか分からな  い、でもスゴイ。いきなりの爆撃シーン、とにかくドルビーデジタルを最大限に  活用している爆撃音。  そして、そのあとがスプリンクラーが回っている何とも穏やかで静寂とした豪邸。  そこをピエールの乗ったバイクが静かに走っていく・・・。嵐の前触れであるか  のこのギャップ、私にはとても印象深い始まり。  ストーリー自体は単純ではあるのだが、どうもこの人、それを意図的に小難しく  しているかのような、かといって分からないということはない。どこか変なのだ。  それは特に画に強く出ているのだと思うが、それらはとても力強く映えるショッ  トであり、川に流されるピエールとイザベルの抽象的ショットなどは短いが非常  に強いインパクトである。  なぜだか列車の中でのショットがやや粗い画になったり、かといってピエールが  白馬に乗っているショットは鮮明で美しく、ラストの街中は手持ちで臨場感を出  したりと、いろいろあの手この手で画に変化がある。また、ピエールが倉庫で拳  銃を奪ってからのラスト、倉庫での何だか訳の分からない楽器の音にしろ、まあ、  出てくる人物にしても、いきなり暴発するといった感じで激しい。  作品全体の外見では「静」という雰囲気なのだが、その中身は登場人物含め、ま  さに「動」である。そして、面白いつまらないはともかく、画にはとても力を感  じる。                                  山下 裕 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆6☆バッファロー66☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛  とにかくチマタで話題だったこの作品・・・  で、中身はというと、プライベート色を強く感じた作品であり、要は、自主制作  的であると。  これといって目新しいものは見当たらず、ストーリー的にも特に変なところはな  い。で、何でこれほどまでに騒がれているのだろう。  それは、ヴィンセント・ギャロという個人の魅力からだろうか。たしかに個性的  であり、役者としての魅力もあると思う。さらに、共演のクリスティーナ・リッ  チもいい存在感を出していた。要は、役者のいい魅力が出れば、作品としても魅  力的になるという、いい一例とも言えるのでは。  それと、ラスト近くの銃で撃たれた瞬間のストップ画には、妙な新鮮味を感じた。  面白い。  あと、タイトル名も、映画を観て納得。なるほど。                                  山下 裕 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ ┏━┓                       I N F O R M A T I O N ┃F┃登録・解除・お問い合わせなどについて ┗━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◇◇星(★)の意味___________________________◇ ◇   このメールマガジンで表示されている星は5つが最高で、1つが最低です。 ◇◇メールアドレス変更・解除______________________◇ ◇   このメールマガジンの購読解除は、ご登録された発行元のホームページより出   来ます。こちらでの作業は一切しておりません。   まぐまぐ   (http://rap.tegami.com/mag2/m/0000007585.htm)   マッキー!  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QT MAI ◇◇ScreenKissについて_________________________◇ ◇   映画に関して、「人物」「作品」「映画祭」「制作」と言った観点から紹介・   論評するメールマガジンです。   Copyrights(C), 1998-1999 ScreenKiss  掲載された記事はいかなる形式であれ許可なく転載は禁じられています。 ┼                                   ┼

ScreenKiss Vol.050

1999年 10月 7日 配信
ScreenKiss Vol.050

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Vol.050

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>☆ C O N T E N T S ☆------------------------☆<   □デザート   □マトリックス   □マトリックス   □ロックストックアンドトゥースモーキングバレルズ   □ノッティングヒルの恋人 >☆------------------------☆S_c_r_e_e_n_K_i_s_s☆< >>☆1☆desserts デザート☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛   ジェフ・スターク監督   ユアン・マクレガー主演   99年ベルリン映画祭・短編映画部門・銀熊賞作品   ビスタサイズ・カラー・4分間の短編  「リトル・ボイス」の初日・翌日の各日初回、先着300名に配布されたビデオに  て。  ストーリー  (お目にかかる機会がないと思われるため、完全に解説します。)  ユアン・マクレガーが波打ちぎわの砂浜を口ずさみながら歩いている。画面は、  青空と砂浜が上下半分に別れている。  そこにふと、エクレアが押しているのを見つけた。音楽は鼓動を表すかのような  曲。臭いをかぎ、生クリームをなめてみるとどうやら新鮮でうまそう。  ついつい、ばくっとかぶりつくと突然砂浜にロープが現れる。そして、そのエク  レアに隠れていた釣り針がユアンの頬を突き破る。  そのままロープに引かれてユアンはもがきつつも波の中に消えていく。釣られて  しまったのだ。  最後に、彼の足跡は波に打ち消されてしまう。  感想  人が釣られてしまうという皮肉がおもしろい。セリフはなく、最後にユアンの叫  び声だけが響き渡る。  ユアンの表情は多少大袈裟だが、短編でこういった一発芸的な話には効果的に印  象を高める。                                 立野 浩超 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆2☆マトリックス☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛  マトリックスとは何か?  matrix  1.母体、基盤 2.母型 3.[電]マトリックス、行列 4.[電算]マトリックス  (入力導線と出力導線の回路網)                         <リーダーズ英和辞典>より  こんな意味である。  予告編は何回見ただろうか。でも・・・ついに、「マトリックス」を観る時が来  た。そして、何かが分かる時が来た・・・  ・・・素直に面白い。何よりもカッコイイ。かといって、ハリウッドの近未来映  画によく見られがちな、空虚な単純さはない(・・・ストーリーが少々ややこし  い、深いというのか)。とても広がりのある世界を体感する。  さらにアクションは、CGやワイヤースタントなどを織り交ぜながら、ストレー  ト、スピーディー、そして強烈なインパクト。そして何でか、カンフーや柔術が  出てきて、しまいには、アクロバットや空を飛ぶ始末。  ・・・何でもあり。  映像に関しては、一つ一つのショットがきまっていて、とても絵になる。CGの  使い方も効果的で、映画にうまく溶け込んでいる(現実の世界であるネブカドネ  ザルはどことなく「エイリアン」的では)。そして、アクションシーンの編集に  ついても、実に上手い。  ・・・目を奪われる。  個人的に特に印象に残るシーンは、何といってもビルでの銃撃戦。とにかく撃っ  て撃って撃ちまくり、さらにはスローモーションの乱れ撃ち。側転しながらマシ  ンガンを撃ちまくるショットには、思わずイッツクール。ここでは、もはやサム  ・ペキンパーやジョン・ウーもかすんでしまう。  ・・・圧倒される。  役者に関して言えば、特にキャリー・アン・モスがすばらしい存在感。スタイル  が良いので、黒ずくめのコスチュームも良く似合い、アクションについても、動  きが美しく、様になっている。もちろん、キアヌは言うまでもなく。  ・・・文句なし。  で、・・・マトリックスとは何か?  映像的な部分でのマトリックスについては、実は・・・、すでに映画を観る前に  大部分は分かっていた・・・。  要するに、私にとっての目新しい印象深い映像は、もう予告編でかなり見てしま  っていたのであった・・・・・・。  映画を観終わり、ふと・・・、続編とは果たして期待できるのか?  どうも大味になりそうなストーリー展開。さらにこれを上回る、インパクトのあ  る映像を果たして見せてくれるのかどうか・・・・・・。  ウォシャウスキー兄弟さん、どうか頑張ってください。                                  山下 裕 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆3☆マトリックス☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛  この映画はSFXものに当たるかも知れないが、スターウォーズのような映画を毛  嫌いする人間でも、一見する価値はありそうだ。  このコマーシャルも上手くできており、この映画にはしっかりとしたストーリー  があるが、この広告を見た限りではそれは分からない。むしろこの作品で使われ  ているCGを駆使した部分はこのコマーシャルで全て見れてしまうと言っても過言  ではないが、もちろんこれは映画館で見たいものだ。  この作品を見ていくと、始めのうちは主人公の男性が混乱するのだが、これは見  ている僕らも混乱し、どうなっているのか?と言う気持ちになる。後半の部分で  はストーリーが見えてきて単調になりがちだが、この映画の特徴でもある最新の  SFXが使われより楽しめる。  このストーリー、確かに新しいのだが、こういう近未来的な物語にはどこか共通  するものがあるような気がする。昔見たアニメーションの映画の「地球へ」とか  テレビの銀河鉄道009の哲朗が永遠の生命を手に入れるために旅をするが、それは  ただ単に建造物の一部にされてしまうだけというのだ。  今回の作品で、キアヌ・リーブスは復活したように書かれているが、はまり役な  のかどうか分からない。確かにコンピューターのプログラマーという点では良い  のだが、カンフーのシーンはもう少し迫力が欲しかった。しかし、その穴を埋め  るべくキャリー・アン・モスやロレンス・フィッシュボーンがアクションを補完  している。  ところでこの監督、ウォシャウスキー兄弟なんて今までほとんど聞いたこと無い  はずだが、それでお金がかかるSFXの作品を撮れたと言うこともかなり驚きであ  る。多分次回作も期待されているだろうし、物語もそれを臭わせる終わり方をし  ている。  彼らがもっとビッグになって、帰ってくることを願いたい。 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆4☆マトリックス☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛    聖書や理論数学を下敷きにし、ギリシャ神話や不思議の国のアリスを引用して、  実に複雑な世界を創っている。物語が終盤へと進むにつれて、予言者ヨハネ、裏  切者ユダ、キリストの奇跡と死そして復活と、まったく聖書をなぞっていく。こ  れは科学が先端的にってきた現代に、時代が精神性を要求し宗教への郷愁を孕ん  できたことの反映だろう。現実が仮想空間だという設定は、「トゥルーマン・  ショー」を思い出させるが、ヒューマンなタッチの「トゥルーマン・ショー」と  は異なり、この映画は無機質でばりばりのSFXである。  手や足が切断されても、あたかもその手や足があるかのように痛いと感じるとい  う。それは脳が、かつてあった手や足を覚えており、その部分が痛さを感じるか  ら、すでに失ってしまった手や足にも痛さを感じるらしい。だから、脳内を走る  電気的な刺激と脳を含めた肉体を別のものと考えることが可能になる。しかし、  仮想社会でも人間が実感をもって生活している以上、それが現実ではないとは言  えないだろう。この映画は全面的な整合性があるわけではないが、論理的な矛盾  を差し引いても充分に楽しめる。  この映画の凄いところは、CGIやSFXを多用して仮想空間の話にしていなが  ら、その背景には精神的な物語がたっぷりと隠されていることである。ヒロイン  の名前が三身一体のトリニティ(キャリー=アン・モス)だったりだけではなく、  まずネオという設定が新たな社会の救世主である。コンピューターという原罪で  汚染された人間を救うのが、またコンピューターオタクの人間である。これはキ  リスト教がユダヤ教から生まれながら、ユダヤ人とは一線を画していることによ  く似ているし、単なる過去への回帰とも違うスタンスである。そうでありながら、  キリストのように救世主が人間を救うのではない。ネオに救世主の役をやらせな  がら、現世を救いきれない終末は、むしろユダヤ教的な世界ですらある。  演技の下手なキアヌ・リーブスには、喜怒哀楽を微妙に表現せずに済むこうした  映画がはまり役である。また、ヒロインを演じたキャリー=アン・モスが、無機  質な映画の雰囲気と合って、とても格好良かった。そして、エージェント・スミ  スを演じたヒューゴ・ウーィービングの演技が抜群に上手かった。  ラリーとアンディー・ウォシャウスキー兄弟は、「バウンド」を1本撮っただけ  のほとんど新人である。これほど金のかかった映画を、それほど実績のない若い  監督に、ハリウッドは良く撮らせるものである。若い監督でも、上手い売り込み  と才能があれば、大金を投資するアメリカの体質がこうした映画を作らせるのだ  ろう。それにしても、アメリカの監督たちはよく勉強している。それは画面の  端々から充分に感じる。彼等の愛読書に、ゲーデルが入っているというのも理解  できる。                                  匠 雅音 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆5☆ロックストックアンドトゥースモーキングバレルズ☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛  今のイギリス映画には大外れがない、・・・こんな言葉を最近耳にする。  ストーリー  人物など全体が軽いテンポである。そして、軽いテンポで人も死んでいく。これ  なら、軽い頭の人でも楽しめる。だからか、ハリウッドでもまた作られる。  「トレスポ」的であり、「シューティングフィッシュ」的であり、「シャロウグ  レイブ」的でもある、よく見かけるような最近のブリティッシュムービーである。                                  山下 裕 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆5☆ロックストックアンドトゥースモーキングバレルズ☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛  今のイギリス映画には大外れがない、・・・こんな言葉を最近耳にする。  ストーリー  人物など全体が軽いテンポである。そして、軽いテンポで人も死んでいく。これ  なら、軽い頭の人でも楽しめる。だからか、ハリウッドでもまた作られる。  「トレスポ」的であり、「シューティングフィッシュ」的であり、「シャロウグ  レイブ」的でもある、よく見かけるような最近のブリティッシュムービーである。                                  山下 裕 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆6☆ノッティングヒルの恋人☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛  ある日、映画を観ていて、ふと、こんなことを思ったことが?  こんなこと起きるはずがない、どうせこの先の展開はこうだよ、こんなの出来す  ぎだ、やっぱりハッピーエンドか、・・・・・。  まさにこれです。  しかし、この映画はラブコメディで、そして、この映画はハリウッドである。こ  れらを理解して観る人なら、きっと面白いはず。さながら現代版「ローマの休日」  (ラストは全く違う方向だが)。  そして何よりも、この作品はジュリア・ロバーツの映画である。ファンであるな  らなおさら必見です。で、これが終わったらすぐ「プリティブライド」です。                                  山下 裕 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ ┏━┓                       I N F O R M A T I O N ┃F┃登録・解除・お問い合わせなどについて ┗━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◇◇星(★)の意味___________________________◇ ◇   このメールマガジンで表示されている星は5つが最高で、1つが最低です。 ◇◇メールアドレス変更・解除______________________◇ ◇   このメールマガジンの購読解除は、ご登録された発行元のホームページより出   来ます。こちらでの作業は一切しておりません。   まぐまぐ   (http://rap.tegami.com/mag2/m/0000007585.htm)   マッキー!  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QT MAI ◇◇ScreenKissについて_________________________◇ ◇   映画に関して、「人物」「作品」「映画祭」「制作」と言った観点から紹介・   論評するメールマガジンです。   Copyrights(C), 1998-1999 ScreenKiss  掲載された記事はいかなる形式であれ許可なく転載は禁じられています。 ┼                                   ┼

ScreenKiss Vol.049

1999年 10月 1日 配信
ScreenKiss Vol.049

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Vol.049

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>☆ C O N T E N T S ☆------------------------☆<   □あの娘と自転車に乗って   □エイプリル   □金融腐蝕列島:呪縛 >☆------------------------☆S_c_r_e_e_n_K_i_s_s☆< >>☆1☆あの娘と自転車に乗って☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛  1998年/キルギスタン=フランス/カラー/ヴィスタ/81分  1998年ロカルノ国際映画祭銀豹賞/1998年ユーラシア国際映画祭グランプリ  1998年ヴィエンナーレ国際映画祭観客賞  1998年東京国際映画祭アジア映画賞特別賞  1998年モントリオール国際映画祭正式出品作品  1999年サンダンス国際映画祭正式出品作品  1999年ロッテルダム国際映画祭正式出品作品  10月2日(土)~キネカ大森にて公開  監督:アクタン・アブディカリコフ  出演:ミルラン・アブディカリコフ、アルビナ・イマスメワ  腕白なベシュケンピールの成長を、美しい田園風景の中に描く、監督の少年期の  回想録的作品。ほとんどのモノクロ映像の中にところどころ、鮮烈なカラーを挿  入した独特の映像が印象的。  ストーリーの紹介はPFFレポートで、簡単に触れているので、バックナンバー、  ScreenKiss Vol.34をご参照ください。今回は、会場での監督のティーチ・インの  模様を交えながら、ご紹介します。  さて、上記のように各国際映画祭で評価の高かった作品である。キルギスタン国  内では'99年5月から一般公開し、大成功をおさめたそうだ。何しろ、監督は国内  唯一のフィルムメーカーであり、国の独立後は予算不足から国産映画がなかなか  製作出来ない状況だったから、アメリカ映画が多かった中、久しぶりの自国映画  だったのだ。  最後のシーンは、あやとりをしている、手のクローズアップだ。一連のあやとり  文化圏というのがあるらしいが、日本人の自分としては、ここにきて「そうか、  何故か懐かしい匂いが感じると思ったら、同じアジアなんだ」という、しみじみ  とした思いに浸ってしまう。その位、すんなり身体にしみ込む映画なのだ。  監督は、この辺を「映画のリズムや、イメージを中心に据えた演出法がアジア的  なのかもしれないが、この作品に関して言えば、台詞を最小限にして、画面によ  りその場の空気を観客に理解させる、という点が特異だろう」とコメントしてい  る。  だが、やはりアジア以外の国々からも高い評価があるのは、そういった点だけで  ない魅力があるからだと思う。世界共通の、特に男の子の思春期。そして、主役  の男の子に実子を用いながら、そこに監督自身を投影することによって生じる温  かい眼差しがあるからだと思う。  原題の「ベシュケンピール」は勿論主役の名前だが、この言葉自体が「5人の老婆」  を表し、英語のサブタイトに『Adopted Son』とあるように、養子縁組の際に村で尊  敬されている老婆の事なのだ。3人だとコシュケンピールといい、彼女等による悪  霊祓いを受けた子供を、悪霊から守る為に名前にしてしまう事もある、という。  主人公は、ある日自分の出生を知り、動揺するのだが、これはかつての監督自身  の姿でもある。その強烈な思い出も含め、カラーによる演出部分は初恋など、彼  の人生での劇的な場面に採用されている。  さて、登場するたくさんの子供達だが、ほとんどが『現地調達』の子だという。  首都から約300mのロケ地ではそこでの住民の生活を大事にして、農作業も手伝い  ながらの撮影だったが、そのお陰か、彼らもきちんと「仕事」をこなしてくれた  らしい。ギャラに関しての質問は『あまりに低いので『内緒なんだそうだ。なお、  撮影には約1年間が費やされている。  邦題にある「自転車」は実は恋の重要な小道具。好きな女の子を、わざと後部座  席をはずした自転車で迎えに行って、自分とハンドルの間に座らせる。そして上  り坂になれば・・・という男の子の可愛い下心なのだ。監督の息子、ミルラン君  もこの場面の撮影が一番のお気に入りだったとか。  色彩と同様、独特だったのが音楽。担当はヌルラン・ニシャーノフというキルギ  スの作曲家だが、自然の音とダイアローグだけの不思議なサウンドなのだ。  話ぶりも実に穏やかで、終始にこにこしている監督。彼を見ていると、何故か  ほっとする温かさのある人柄だった。彼はミルラン君の成長に合わせ、次回作を  準備中とのことだ。  最近でこそ、あまりありがたくないニュースで、名前を耳にする事が多くなった  国だが、キルギスタンの映画など滅多に目にする機会はないにも関わらず、自分  のルーツを見るような、不思議な作品だ。                                 鳥野 韻子 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆2☆エイプリル☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛  1998年 /イタリア・フランス合作/カラー/78min  '98年カンヌ国際映画祭正式出品作品・大阪ヨーロッパ映画祭正式招待作品  監督・脚本・製作・主演:ナンニ・モレッティ  出演:シルヴィオ・オルランド、シルヴィア・ノノ、ピエトロ・モレッティ  10月2日(土)~新宿シネマカリテにてレイトロードショー   連日 21:10~   特別鑑賞券 ¥1,600 劇場窓口でご購入の方全員にポストカードプレゼント  ストーリー  '94年3月26日。選挙結果は右翼の圧勝。モレッティ、初めてマリワナを吸う。'95  年、妻が妊娠。それ以来彼の生活は一新する。まず、名前。胎教として見る映画  の選択。同時に映画監督としての構想もまとめなくてはならない。  そして、ついに'96年4月18日。待望の赤ちゃんが誕生する。息子、ピエトロだ。  同時にこの日はイタリア史上初の左翼政権の勝利の日でもあった。早速選挙に向  けてドキュメンタリーを撮ろうとするが、気がのらない。が、一方で以前から温  めていたミュージカルの企画も捨てがたい・・・。  コメント  遂に、あの我侭で独善的で、それでいて憎めないモレッティがパパになった!そ  の心を反映するように、赤をふんだんに使ったカラフルな映像、ポップな音  楽・・。究極の親馬鹿映画と思いつつも、見ているこちらまで幸せな気分になっ  てくる。息子とのコラボレーション?も抜群で、ピエトロの可愛らしさや、モ  レッティの肝っ玉母さんの登場もほのぼのしている。  「4月生まれはアル・パシーノとエマ・トンプソンか。さて、フェデリコは立派す  ぎるけど、マッテオは響きがいい。親子で同じ名前は禁止されてるし・・・」  「『ヒート』は300人も殺すからよくないし、『ストレンジ・デイズ』は駄作だか  ら性格悪くなりそうだし・・・」  名前や胎教映画の選択の台詞は傑作だ。親の心は世界共通。しかし、出産寸前で  何と、パタニティブルー?になってしまう。  「私が分娩室に入ったら励ましてね」  「うん、分かった。でも、僕の事は誰が励ましてくれるの?」  そんな彼の姿を笑いつつも、世のプレパパの本音だろうと思う。  よく、「子供の誕生は人生観を変える」というが、ピエトロ誕生後はモレッティ  の視野も、妻や親との距離など、大分変わってきたようだ。  それにしても、彼のこうした私生活の波を、もろに受けてしまうのが、忍耐強  い?スタッフ達。「やっぱり気が乗らないからや~めた」。それでも、菓子職人  のミュージカルシーンはとても可愛らしい。実際に映像化してほしいものだ。  が、彼の中では当分、自らの人生の傑作、ピエトロ君が主役の座を独占すること  だろう。こんな親を持ったピエトロの将来も楽しみ。  赤ちゃん狂想曲のラストの方で、対称的に静かなポ-川の場面。この辺、モレッ  ティの作品つくりの巧さを感じさせる。  幸せな気分になりたい方、是非見てくださいね。                                 鳥野 韻子 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆3☆金融腐蝕列島:呪縛☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  「金融腐蝕列島:呪縛」  1997年の第一勧業銀行(映画の中では、朝日中央銀行ACBと改名されてい  る)の総会屋への融資をめぐり、揺れに揺れた銀行内の様子を描いたもので、重  厚で本格的な映画に仕上がっている。経営陣の混乱・無責任さを目にした若手4  人が、第一勧銀を再生するために、身をなげうって活動を始める。この映画は、  経営陣の腐敗を主題にしているのではなく、北野(役所広治)片山(椎名桔平)  松原(中村育二)石井(矢島健一)の若手4人組、なかでも北野の銀行再生が主  題である。  ある組織が存亡の危機に立たされたとき、外部にいる人間たちは、当事者たちの  苦悩を無責任にあげつらうことができる。しかし、内部にいる人間にとっては事  情は大違いである。その内部にいる人間とても、事実の把握に奔走することは外  部の人間と同じであるが、内部の人間の第一の関心は、組織の維持であり再生で  ある。とりわけ、その組織を愛し、その組織の崩壊を座視できない者たちは、外  部の圧力のなかで組織を再生させるための行動に出る。それは健全な組織であれ  ばあるだけ、再生のための行動が強力になされる。  組織が円滑に動いているのは、その組織が社会に上手く適合しているからである。  ところが一度歯車が狂い、没落に向かい始めると、上手くいっていた原因がすべ  て負の要因になる。第一勧銀は、第一銀行と勧業銀行が合併してできた銀行だか  ら、頭取と会長がそれぞれの出身母体から互選されていた。それがこの銀行の温  厚な行風を作っていたが、逆風下になるとそれが無責任体制となり、誰もことの  本質に立ち向かわなくなる。今まで長所だったことが、すべて欠点となってしま  うのである。  第一勧銀は、幸せな銀行だった。無責任な役員たちにたいして、自行を愛する社  員をたくさん抱えていた。そして、全役員を解任し、新たな出発に向けて、新役  員体制を作ることができた。その過程を映画は、とても肯定的に描いていた。第  一勧銀は株主総会の公開ほか、情報開示する姿勢を打ち出すなど、次々に改善策  が打たれる。この事件を最初から追っていたカメラマンに、第一勧銀に口座を開  こうかなと言わせている。不祥事を扱いながら、第一勧銀の宣伝映画になってい  た。  映画としてみても、いまだ日本映画の良き伝統は死に絶えていないことを知らせ  てくれた。丁寧に作られたセット、惜しみない物量、充分なライティング、物語  にあった発色など、職人的な映画作りは健在である。実に丁寧に良く作り込んで  ある。最近の日本映画では出色であろう。  東映が力を入れたせいだろうが、力のある役者たちがたくさん出演している。面  白いことに経営者たちの人物像が、自殺した久山(佐藤慶)を除いて個性がない  のも、いかにも日本的な企業風景である。彼等は、くっきりと際だった個性を持  たず、誰が誰だか判らない。役員のなかで誰かと誰かを入れ替えても、気がつか  ないくらいによく似た人たちである。そのなかで、最高顧問の佐々木(仲代達也)  に悪のカリスマ性を演出するために、彼の足を不自由にさせたように思う。健常  者のままでは、いくら仲代達也でも悪人という強烈な個性を、あれほどに演技で  きなかったかも知れない。  仲代達也や佐藤慶など年寄りたちの存在感があるのに対して、根津甚八など中年  の俳優たちの存在感が希薄である。それは旧来の農業的人間像から、浮遊する情  報的人間像への変転を表しているのであり、今後ますます軽い人間が多くなって  いくだろう。土着的な存在感とは違った意味での、透明な存在感が生まれてくる  に違いない。  ブルームバーグという実在のアメリカの放送局が、実名で映画に全面的に協力し、  プレスクラブの中にあるスタジオや、アンカーウーマン和田(吉村麻由美)の教  育を提供していた。吉村麻由美のアンカーウーマンは女性の社会進出をたびたび  口にし、ややきれい事な感じがしたが、それでも日本のキャスターとは違った責  任感を感じた。ところで、観客の年齢層が非常に高く、中高年それも銀行員と思  われる風体の人たちが多く、若い人たちの多いいつもの映画館とは違って、なん  だか不思議な雰囲気の観客席だった。  原田真人監督、1999年の日本映画。                                  匠 雅音                     http://www.netpro.ne.jp/~takumi-m/ __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ ┏━┓                       I N F O R M A T I O N ┃F┃登録・解除・お問い合わせなどについて ┗━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◇◇星(★)の意味___________________________◇ ◇   このメールマガジンで表示されている星は5つが最高で、1つが最低です。 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