ScreenKiss Vol.187

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Vol.187

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>☆ C O N T E N T S ☆−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−☆<   □キング・イズ・アライヴ   □吠える犬は噛まない   □燃ゆる月 >☆−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−☆S_c_r_e_e_n_K_i_s_s☆< >>☆1☆キング・イズ・アライヴ☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     The King Is Alive     2000年/デンマーク/108min/カラー/35mm     監督・脚本:クリスチャン ・レヴリング     出演: ジャネット・マクティア、ジェニファー・ジェイソン・リー     第13回東京国際映画祭・コンペティション     日本公開予定  飛行機の故障でバスで砂漠を通ることになった観光客。コンパスの故障で方向を  過った上にガス欠。砂漠で援助を待つ羽目になった11人は、「リア王」の芝居を  始める。極限状況におかれた彼等は、次第にエゴを剥き出しにして・・。  監督は<ドグマ95>の創始者の一人で、これはその4本目の作品。ゲストにはよく  通る声の監督と、ヘソ出しルックがお茶目で、映画よりずっと若く奇麗だった女  優のジャネット・マクティアさん。180cmはあろうかという大柄な2人だった。  砂漠に住む老人の目から見た(らしい)、バス乗客の「観察日記」のようなナ  レーションが客観的状況を、『リア王』の台詞が乗客の心理とシンクロして、2  方面から彼等を理解出来る仕組みになっている。更に限られた空間と登場人物と  いう制約が、あたかも舞台劇のようで、これまた2重構造になっている。よく練  られた脚本である。  長年本音を言えなかった夫婦、修復不能にまで冷えきった夫婦、人を見下す事で  威厳のつもりだった老人、破天荒な生き方に疑問を持ちつつ方向を見失っていた  女性・・ここに来て、彼等のある者は愛を、ある者は命まで失う。しかし、最後  に生き存えた人は決して今迄とは違う人生観を持つ事になるが、その辺が、全て  を失いつつ最後に自分を見つける『リア王』との接点を見い出したのだそうだ。  撮影は話の順番通りに進行したので、俳優は乗客の段々に追い詰められていく心  理が掴みやすかったという。が、撮影には6週間かかり日焼けや砂に悩まされたそ  う。実際ナミビアの昔のダイヤモンド鉱山町でのロケだったが、周囲にはほとん  ど店もなく、電話はかかりにくい、TVはない、という生活で撮影後もこのアフリ  カ時間?にすっかり慣れてしまったとか。  一方監督は、感情の発露のシーンが難しく何度も撮りなおしたそうだ。帰りに  メールマガジンの読者へのメッセージを聞いたら「ハリウッド映画だけでなく  ヨーロッパのいい映画を見なさい」との事だった。実はこの映画、今夏アメリカ  のテルライド映画祭(screen Kiss Vol.172~173参照)でも上映されていて、見よ  うと何度かトライしたのにいつも満席だったひとつ。日本でお目にかかれるとは  感激でした。                                 鳥野 韻子 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆2☆キング・イズ・アライヴ☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     The King is Alive     ★★★★☆     デンマーク/2000/108分/スタンダード     監督:クリスチャン・レヴリング     出演:フェニファー・ジェイソン・リー、ロマーヌ・ボーランジェ、        ジャネット・マクティア     第13回東京国際映画祭コンペティション  舞台はセネガル辺りだろうか。砂漠を隣町まで走るバス。コンパスの指す方角を  ひたすらまっすぐ走るドライバー。夜が明け、コンパスが動いていないことに気  がつく。そして、ガス切れ。乗客とドライバーのサバイバルが始まる。狂気を避  ける為、悲劇「リア王」を演じることになるが、次第に極限状態に近づく。  「セレブレーション」「白痴」「ミフネ」に続く、『ドグマ95』第4弾。規制を  自ら作り、それに従った形で映画を製作していく。規制があるために自由な撮影  ができないが、それを逆手にとることで本来の映画のよさを取り戻そうする。  自然光が原則。夜間や室内など暗闇では十分な光量を得られない場合はシングル  ライトで撮影しなくてはならない。昼間は砂漠の明るさが幸いして、撮影に問題  はないし、部屋の暗さは明るさの対極として芸術的だ。一方夜の撮影は、星空し  か光のない世界の暗さを知っている人にとっては、リアルな色合いの映像を楽し  めるだろう。他の映画では決して見られない画面の暗さが楽しめよう。  ドグマの「純潔の誓い」と言われる十戒を逆手にとった脚本がここには存在し、  極限状態という設定だからこそこの十戒が適切であったようだ。「ブレア・  ウィッチ・プロジェクト」で感じるあの恐怖同様、不完全であるからこそ臨場感  が生まれている。  もしも、きれいな撮影、無数のライトで照らし出された夜、影の無い室内が映し  出されれば、この映画は砂漠で遭難することがいかに切迫した事なのかを気づか  せることがないだろう。  究極の映画製作環境が、究極の危機を映し出す面白さを感じる。効果音も排除し  た無音で「砂漠をひた走るバス」を差し込むオープニングは、ドグマのルールに  反するのではないかと思うが、物語の導入部分としては重要なショットになる。  カナナという謎の老人が回想しているかのような設定もドグマに反するようだ  が、微妙に違反することで、映画がすばらしくなるのであれば、ドグマの目的に  沿った事であろう。  「5日後に戻らなければタイヤを燃やせ」と言い残し救助を求めて砂漠に向かう  彼が実は非常に近い場所で死体で見つかるのは、ちょっと滑稽で必要のないこ  と。  それでも「リア王」とこのストーリーの融合がこの映画を非常に重たい物にして  いるが、その重さあってこそこのエンディング(おそらく釈然としない人も多  い)を素直に受け入れ、向かえることができるってものだ。  名作ではないが、シェイクスピア物というジャンルに入れる時、脚本のすばらし  さを感じる。                                 立野 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆3☆吠える犬は噛まない☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     Barking Dogs Never Bite     2000年/韓国/106min/カラー/35mm     監督:ボン ・ジュンホ     出演: イ・ソンジェ、バエ・ドナ     第13回東京国際映画祭・シネマプリズム  大学講師のユンジュは、うるさく吠える犬をマンションの地下に押し込めてしま  う。飼い主が尋ね犬(?)の貼紙をしたので、様子を見に地下に行ってみる  と・・・。マンションの管理事務所に勤めるヒョンナムは、相次ぐ犬の失踪事件  の最中、屋上から犬を遺棄する人をみて追跡するが失敗。が、別の日屋上で犬を  発見するが・・。  物語の基軸に犬の連続失踪事件を据えるものの、ユンジュの教授昇進に絡む賄賂  や、彼等夫婦の関係、犬の捜索に夢中になりすぎてクビになったヒョンナム等、  日常生活の中で「さもありなん」的な可笑しさが満載されている。  これについて監督は、「日常生活から観察した事を一つの物語にまとめた。自分  は漫画を読むのも描くのも好きなので、漫画的なリズムを映画に取り入れてみ  た。」と述べている。この作品は海外の映画祭でも好評だったようだが、笑いの  ツボが日本人の方がよく分かってくれた、と感じたそうだ。ただ、韓国での興業  成績はあまりよくなく、「多分大爆笑だけでない、アイロニー的な部分が受けな  かったのかも」と自己分析していた。  マンションの地下で、管理人が「ボイラーキムさん」の怪奇譚をするくだりは、  どことなく『トイレの花子さん』に共通する所があり、監督が「日本人には受け  た」と言うのが理解出来る。管理人は、実はドッグイータ−?なのだが彼の語り  口が独特で、つい聞きいってしまう。また、真面目で、どこかズレてるが憎めな  いヒョンナム役の女優は、これがデビュー。が、本人のキャラが役とほぼ同じら  しく、自然体で演じて貰ったそう。彼女の親友役の女優もなかなか強烈。  幼い頃、マンションの屋上で剥がされた犬の毛皮を発見した経験を持つ監督。韓  国では犬料理店とペットショップが混在するのも普通という。以前、知人の韓国  人が「朝遊んでいた犬が、晩御飯になってた」と笑顔で話してくれた時には半分  冗談かと思っていたが、これを見たらにわかに信憑性が強まってしまった。間延  びした音で使われている漫画「フランダースの犬」のテーマ曲も雰囲気にぴった  り。                                 鳥野 韻子 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆4☆吠える犬は噛まない☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     Barking Dogs Never Bite     ★★★☆☆     韓国/2000/106分/ビスタ     監督:ボン・ジュンホ     出演:イ・ソンジェ、バエ・ドナ     第13回東京国際映画祭シネマプリズム  韓国映画「江原道の力」を見た方は?あの設定、教授になりたい大学院生と先  輩。高層アパート、若い夫婦。今回も同様にそんな生活の中で、日々のストレス  が絡んで巻き起こる事件をコメディータッチで描いている。韓国ではこの設定自  体にユーモアがあるのだろうか?  しかし男女のからみはありませんから、韓国映画の異様に生々しい『からみ』の  シーンが苦手な人にもお勧めです。アパートの住民達が犬にからんだ事件が巻き  起こし、そこからいくつかの波紋が生じていくというドタバタ劇。そのくせシリ  アスな夫婦の会話があり、仕事の厳しさがあり、友情やらなにやらあいまいなも  のにも目を向けていく。「学校の怪談」ばりのくだらない怪談あり、奇人変人あ  り、妊婦もいて人物の幅が面白い。  欲張りな脚本が幸いしてか、この作品は韓国では興行的にはかんばしくない結果  とのこと。ところがどっこい、日本人に非常に近い文化がある韓国だからこそ、  そのまま日本で受け入れられるギャグや間合い、主人公達の行動に親近感を覚え  ることができる。と言いつつも、犬を食する文化のない日本にとってその行動の  異常さが際立つ為、笑いの対極にある恐怖に近い感覚がこの映画の魅力ではなか  ろうか。  日本でも短館系としての上映なら十分ヒットしそうだが、映画館の方々はどう見  る?  「フランダースの犬」が韓国で流行ったのかどうか知らないが、主人公はカラオ  ケで歌い、BGMとしてジャズ調、ヘビメタ調となって流れる。このこと自体が日本  人にとってはギャグです。  日本人のつぼにはまる映画でした。監督はこの後6時50分の成田エクスプレスで  成田空港へ向かい、ロンドンの映画祭でも上映されるこの映画の為にイギリスへ  出発されました。                                  立野 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆5☆燃ゆる月☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     The Legend of Gingko     2000年/韓国/カラー/35mm     監督:パク ・チェヒョン     出演: ソル・ギョング、キム・ユンジン、キム・ソックン     第13回東京国際映画祭・特別招待作品     2001年公開予定  太古の韓国。メ族とファサン族は争いの末、メ族は荒野へ追いやられた。部族再  建にはファサンの王族の血が必要で、その為ハンを誘惑したスは娘、ピを出生し  た。ピを「天剣」の生け贄にし、神山の呪いを逃れようとしていたのをハンが助  けたため、ピはファサン族の地で育つ。そこで同い年のタン、ジョク、ヨン等と  共に成長していくが15年経ち「天剣」の目覚める日、再びピを巡って争いが始ま  り・・。  『シュリ』でスマッシュヒットを飛ばしたカン・ジェギュが、今回は製作にまわ  り、彼のもとで脚本、助監督を長年勤めてきたパク ・チェヒョンを監督に起用し  た。  今回上映時間が記載されていないのは、実はまだ監督が韓国で最後の編集作業に  当たっているからだ。今回の上映が韓国に先駆けて行われた、いわば「東京国際  映画祭バージョン」。そこで監督に代わりカン・ジェギュ氏が来日した。  撮影に9ヶ月、膨大なオープンセットは国内初の映画テーマパークとして保存され  るというから、かなりのスケール。神山が暴れる度に家のセットが見事なまでに  崩壊する。『火の鳥』と『もののけ姫』が合体したようなものか。神山のパワー  はディダラボッチのようだ。しかし、部族抗争が絶えない中、ファサン族の主要  な仕事が紙梳きというのも面白い。  原題は『タン・ジョク・ピ・ヨン・ス』と主要なメンバーの名前が並んでいる。  「名前の響きがよかったので、タイトルにしてしまった」そうだが、各俳優は、  韓国で今一番ホットな人ばかり。今回はヨン役で、『シュリ』に続きまた華麗な  アクションを見せるキム・ユンジンと、優しいタン役のキム・ソックンが来日し  た。  キム・ソックンは眉毛が凛々しくハンサムな、礼儀正しい好青年。紅一点のキ  ム・ユンジンは表情豊かなスリムな美人。ただし、劇中では古代の狩人のような  服に身を包んでいる。ある種の三角(正確には四角か?)関係や、個と部族の葛  藤、抗争等が混在しているものの、根底は「愛」がテーマのコリアン古代コス  チュームドラマ。                                 鳥野 韻子 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ ┏━┓                       I N F O R M A T I O N ┃i┃登録・解除・お問い合わせなどについて ┗━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◇◇星(★)の意味___________________________◇ ◇   このメールマガジンで表示されている星は5つが最高で、1つが最低です。 ◇◇メールアドレス変更・解除______________________◇ ◇   このメールマガジンの購読解除は、ご登録された発行元のホームページより出   来ます。こちらでの作業は一切しておりません。   まぐまぐ   (http://rap.tegami.com/mag2/m/0000007585.htm)   マッキー!  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QT MAI               吉田 浩二 ◇◇ScreenKissについて_________________________◇ ◇   映画に関して、「人物」「作品」「映画祭」「制作」と言った観点から紹介・   論評するメールマガジンです。   Copyrights(C), 1998-2000 ScreenKiss  掲載された記事はいかなる形式であれ許可なく転載は禁じられています。 ┼                                   ┼

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>☆ C O N T E N T S ☆−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−☆<   □恋の骨折り損   □オー!スジョン   □鎗火   □ワン・モア・デイ   □バック・ドア >☆−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−☆S_c_r_e_e_n_K_i_s_s☆< >>☆1☆恋の骨折り損☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     Loves Labours Lost     2000年/イギリス=アメリカ/93min/カラー/スコープサイズ     監督・脚本・主演:ケネス ・ブラナー     出演:アリシア ・シルバーストーン、アレッサンドロ・ニヴォラ     第13回東京国際映画祭・特別招待作品     12月公開予定  1939年。ナヴァール国のプリンスは学業に専念するため、3人の学友と女人禁制、  食事制限などの厳しい誓いをたてた。が、病床の父王の代理でフランスからお供  の3 人の美女と共にプリンセスがやってくる事になったから、さあ大変。それぞ  れ、一目惚れした女性を前に4人の誓いは何処へやら・・・。  シェイクスピアフリーク?のケネス・ブラナーが、今度は喜劇をミュージカルに  してくれた。それもタイトルクレジットからしてレトロな雰囲気、歌われる曲も  「ショーほど素敵な商売はない」をハイライトに有名なミュージカルソングが目  白押し。当然、ファッションもメイクも昔風、と流石のケネス、凝りまくった。  最近のミュージカルと言えば、ウッディ・アレンの『世界中からアイ・ラヴ・  ユー』が記憶に新しいが、ここでも昔のように「歌えて踊れるスター」の為の映  画ではない。「よく頑張ったね」と言ってあげたくなるようなダンスと歌の主役  8人に、狂言まわしで登場するネイサン・レインとティモシー・スポールは筋金  入り。特にネイサンの舞台で鍛えた貫禄は十分。コメディ俳優としてのイメージ  が強いが、その身の軽さに加えて、なかなか声もいい。  来日予定だったケネス・ブラナーは仕事の関係でキャンセル。代わりに?製作の  デイビッド・バロンがビデオレターで「16世紀のシェイクスピアの言語で、20世  紀のロマンスを語る面白さ」などと言っていたが、これにちょっぴり第二次世界  大戦も盛り込んで、リアルさも。空港のシーンは『カサブランカ』っぽく、ラス  トは『ピーターズ・フレンズ』みたいなワイワイした雰囲気。  コミカルなシーンもレトロだけど、基本型で笑える。合わせて日本では、レトロ  調のポスターの色合いや、字体がいいです。しかし『アイ・ウォント・ユー』の  インパクトが強かったアレッサンドロ・ニヴォラがこんなに可愛い顔してたなん  て、初めて発見。ちょっぴり幸せな気分になれる映画です。                                 鳥野 韻子 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆2☆オー!スジョン☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     Virgin Stripped Bare by Her Bachelors     2000年/127min/カラー/35mm     監督:ホン ・サンス     出演: イ・ウンジュ、チョン・ボソク、ムン・ソンケン     第13回東京国際映画祭・コンペティション  TV局のライター、スジョンは監督の後輩で、今は画廊の経営者として成功してい  るジェフンと出会う。彼女はジェフンと密かに付合うようになるが・・・。前半  ではジェフンの側から、後半ではスジョン側から見た2人の関係が繰り返され  る。  「平凡なカップルの間の記憶のズレを再構成した形の物語」という事だが、同じ  ように見える出来事が、実は2人の思いやそれによる記憶の歪曲で、微妙に異  なった物語になった。つまり「どんな事柄も、それが人間の行動である限り『絶  対的な事実』というのは有り得ない」という事を表現したかったという。  また、「記憶」というイメージからと、細かな台詞が観客を捕らえるよう・・つ  まりカラーという情報が増えないように・・との考えから、あえてモノクロにし  たそうだ。  「1日中待つ」「たぶん偶然」「たぶん意図的に」等、各エピソードにたまに小  見出しが付いている。それに附随して出る大きな数字は「同じ事を比較するのに  便利。それに軽い内容に更に軽さを強調したかったから」。合間に少し間延びし  たようなエレクトーンの音が入る。この辺の演出が、当事者にとっては重大な事  でも実はありがちな男女のおはなし、という感じで面白かった。  男がコトの最中に別人の名前を呼んでしまう。当然女は怒る。寝言で不倫がばれ  るようなものだが、これも「記憶」を語るとき、名前の存在の大きさを表してい  るのだそう。でも、これって記憶の問題以前だと思ってしまった。  丁度、黒澤の『羅生門』を軽いノリで現代の出来事に置き換えたような感じがし  た。それにしても、1996年の東京国際映画祭で上映された『豚が井戸に落ちた  日』の暗く重たい作風が、随分と変わった感じがした。作中の「監督」は、いつ  も資金源に悩んでいて「インディペンデントなら自由に撮れる」などという台詞  もあり、つい監督本人にダブって見えてしまいました。                                 鳥野 韻子 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆3☆鎗火☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     The Mission     ★★☆☆☆     1999/81分/スコープ     監督:ジョニー・トゥー     出演:アンソニー・ウォン、フランシス・ン、ジャッキー・ロイ     第13回東京国際映画祭協賛企画 香港映画祭  ロイ、シン、グワイ、フェイ、マイク。ボディーガード兼殺し屋の5人が同じ仕  事に雇われる。彼らは時に反発し、時に同調しながら殺し屋から社長を守って行  く。仕事を終え、あるルールを破った仲間を処理しなくてはならない。それは仲  間への裏切りか、男同士の友情か、自らの命をかけた選択を迫られる。  名作「ロンゲスト・ナイト」もこの度の香港映画祭で再映された、名監督ジョ  ニー・トゥー。前売り券も早々に売りきれ日本での人気も上々だが、実際は前や  両端に空席が目立つし、関係者席は半分も埋まらない。どうやら、興味のない相  手に招待券を配りすぎているよう。  東京国際映画祭は映画によって非常に空席が目立ち、国際映画祭としての迫力に  かけるし、映画祭としてチケット管理が粗雑に思われる。やはり全てとは言わな  いが前売り券が売りきれる作品くらいは、90%席がうまるように工夫しないと観  客とゲストに失礼ではないかな。  さて、映画の感想は★★。迫力?ありません。アクション?期待できません。ス  トーリー?ひねりがありません。役者の魅力?これだけは十分に映されて満足で  す。  音楽はシンセサイザーの軽い冴えない曲でシーンの重厚さを消し去る。銃撃戦に  は説得力がなく、場当たり的だ。単に、「このへんでアクションを見せないと」  とか、「このシーンで銃撃なんて格好いいでしょ」とでも言っているよう。  ショッピング・モールで銃撃される中、立ち向かう5人は黒いスーツを着こみ、  動きも少なく、ひたすら拳銃を向けている。一見格好いいが、アイドル映画か?  これは。  クライマックス! テーブルを囲み仲間に拳銃を向け会う5人。彼らの銃口がどこ  に向いているのかが重要だが、ちょっと映像では分かりにくいぞ。だからアイデ  アを込めたストーリーが引き立たないし、ここからを本編にした方が面白いので  は?と思ったら終劇。うーん、残念でした。  やはりジョニーと言えども毎回名作を生み出すことはできないってこと。                                  立野 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆4☆ワン・モア・デイ☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     Yek Rouz Bishtar     ★★☆☆☆     イラン/2000/73分/ユーロビスタ     監督:ババク・パヤミ     出演:ライラ・サーディ、アリ・ホセイニ     第13回東京国際映画祭コンペティション  小雨降る中、女と男がすこし離れてバス停のベンチに座る。そして同じバスに乗  りこんでいく。交わす会話は極端にすくないが、どうやらお互いに惹かれあって  いる様子。男女の席が区切られた車内で向かいあって座り、時たま視線を交わ  す。そしてまた窓の外に目をやる。この男は実は投獄されているが、言い訳をし  て外出許可をもらっているらしい。女は兄と暮らし、病院で働いているよう。互  いに求め合う2人だが、社会がそれを拒絶している。宗教や慣習が2人をひきさ  いていく。  恋愛映画というにはあまりにもせつなく、極端に説明を省いたストーリーは2人  の恋心さえも台詞で現されることがない。我々はひたすら想像し、画面に答えを  求めるが、監督はそれを用意していない。  2人を映し出すキャメラが少しずつズームしていくと、恋愛映画の始まりを予感  させるが、そのストーリーはページの抜けた小説のように消化しきれない。  男いわく「僕には妻がいた」。女いわく「私は結婚していた」。その言葉がイラ  ンという国で持つ重みは、我々には想像できないほど大きい。  もしかしてこの2人が夫婦なのではないだろうか?映画の中のヒントをどのよう  に解釈するかでストーリーが変わってくる。ここまで細かい点を伝えない映画も  珍しいが、その為に誰の解釈も決して間違いだとは言えなくなる。そこが監督の  ねらい目だったようだ。  題名の通り「もう1日だけ会いたい」その純粋な気持ちだけを描こうとした映  画。残念ながら楽しめるほどではないが、実験的な試みで、多様なイラン映画界  を垣間見た。また、明らかに検閲に引っ掛かりそうなこの映画だが、最近の検閲  は多少緩やかになっているという噂は本当のようだ。  質疑応答で監督は、シーンの説明を求めた観客に「主題は男女の抑制された環  境。なぜ刑務所に入ったというような細かい点を伝える必要がない」と説明し  た。イランの検閲制度に関しては政治的な発言を避けるためだろうか、コメント  しなかった。しかし「イランの検閲で通った部分がこの73分間だ」と。言いたい  ことは十分分かりましたよ、監督。  監督は1979年からカナダに暮らし、最近イランに戻ってこの映画にでてくるよう  な2人に出会ったとのこと。テヘランの今が見られます。  ちなみに、30日(月)20:35の上映は、がらがら。これが日本一と言われる映画祭  の現実です。                                  立野 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆5☆バック・ドア☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     Pisso Porta (Back Door)     2000年/ギリシャ/104min/カラー/35mm     監督:ヨルゴス ・ツェンベロプロス     出演:コンスタンティノス・パパディミトゥリウ、ハリス・ソゾス     第13回東京国際映画祭・コンペティション  1966年、アテネ。父の急死を境に、周囲の状況が一変したディミトリス、13歳。  売春宿での初体験、ドラッグ文化、毋の再婚・・・。そしてギリシャも体制が変  わろうとしていた。  ゲストはヨルゴス ・ツェンベロプロス監督、脚本のデニス・イリアデス、主演の  コンスタンティノス・パパディミトゥリウの各氏。ちょっぴり色黒の監督はユー  モアたっぷり。コンスタンティノス少年は、映画の中より子供らしいが恐ろしく  小顔。可愛い笑顔で人気を集めていた。  1966~7年は丁度ギリシャの変革の年。国王を擁した民主主義が1967年の下士官た  ちによるクーデターで軍の独裁政治がその後7年続いた。そんな国の「変化=思春  期」を少年の思春期とシンクロさせるのが、この作品の狙いだという。  監督の言う思春期とは、頭をあまり使っていない・・ここでもラストで少年は軍  の改革のプロパガンダに使われ、古代ギリシャの戦士の格好でパレードに強制的  に参加させられている・・ひたすら「武勇」を押し出す政治を指している。な  お、クーデター時のシーンはドキュメンタリーフィルムと巧くミックスして作成  したそうだ。  ギリシャでは最近まで映画はビデオ、TVにとられてあまり盛んではなかったが、  昨年あたりからTV局も映画投資を始め、その中でスマッシュヒットを放ったもの  も出て、年間27本位製作されるようになった。東京国際映画祭ではコンペ作品で  日本の作品に非常に共感を覚えた、という監督。「映画は世界共通語。あまり台  詞に頼るのは作りたくない」そうだ。  主演のコンスタンティノスは、「思春期である点は主人公と共感出来る点も多  かった」そうだが、監督は撮影に入る前約8ヶ月に亘り彼と話し合いをしたので、  いざ撮影に入った時は周囲のスタッフとの関係なども含めて楽だったという。彼  は、この役を探していた監督の目に止まって今回の出演となったが、5人兄弟の  うち彼だけが「演技に興味がなかった」そう。  上映後にロビーで「今後は俳優を続けるの?」と聞いたところ「わかんないけ  ど、多分やらないと思うよ」という答えが返ってきた。舞台では監督にギリシャ  語通訳をして貰っていたので、英語が通じるか心配だったが、なかなか流暢な英  語で、話振りが結構大人っぽかった。また、監督にこの映画のギリシャでの反応  を聞いてみたところ「丁度同じ時期に公開中なんだ。まずまずのところかな。」  とか。  タイトルはラストの歌詞に出てくる「心の裏口」の意味だろうか。微妙な問題を  扱いながら、知的な笑いもあってなかなかの佳作。                                 鳥野 韻子 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ ┏━┓                       I N F O R M A T I O N ┃i┃登録・解除・お問い合わせなどについて ┗━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◇◇星(★)の意味___________________________◇ ◇   このメールマガジンで表示されている星は5つが最高で、1つが最低です。 ◇◇メールアドレス変更・解除______________________◇ ◇   このメールマガジンの購読解除は、ご登録された発行元のホームページより出   来ます。こちらでの作業は一切しておりません。   まぐまぐ   (http://rap.tegami.com/mag2/m/0000007585.htm)   マッキー!  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QT MAI               吉田 浩二 ◇◇ScreenKissについて_________________________◇ ◇   映画に関して、「人物」「作品」「映画祭」「制作」と言った観点から紹介・   論評するメールマガジンです。   Copyrights(C), 1998-2000 ScreenKiss  掲載された記事はいかなる形式であれ許可なく転載は禁じられています。 ┼                                   ┼

ScreenKiss Vol.185

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>☆ C O N T E N T S ☆−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−☆<   □どついたるねん   □リオ・エスコンディード   □リトル・ダンサー   □私が愛したギャングスター   □サディウス ・オサリバン監督記者会見 >☆−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−☆S_c_r_e_e_n_K_i_s_s☆< >>☆1☆どついたるねん☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     (公開時タイトル『どつかれてアンダルシア(仮)』)     Dying Of Laughter     1999年/スペイン/100min/カラー/ヴィスタサイズ     監督:アレックス ・デ・ラ・イグレシア     出演:サンティアゴ ・セグラ、エル・グラン・ワイオミング     第13回東京国際映画祭協賛企画     QFRONT東京国際ファンタスティック映画祭     2001年新春公開予定  借金だらけのブルーノと売れない歌手のニーノは、場末の酒場で出会ってコンビ  に。ひょんな事から、たまたまブルーノがニーノを舞台で叩いたのが大当たり。  人気は鰻上りでTVにも進出するまでになるが、この2人、私生活ではいつしか互  いに憎しみ合うように。そしてそれが頂点に達したとき、録画中に撃ち合っ  て・・・。  何とも物凄いタイトルである。実在の漫才コンビをヒントにしたというこの作  品、かなりのラテンなデフォルメがなされているものの、意外と笑いだけではす  まされないシリアス面も見せてくれる。  芸能人って人気者になると、下積み時代の糟糠の妻を捨てて愛人に走る人が多  い・・などという女性週刊誌的イメージがあるけれど、ここでは互いに孤独で、  ある意味社会性に欠けているからもっと始末が悪い。  貧乏から這い出したい!という同じ目標が達せられた途端、互いが強烈なライバ  ル。舞台は1970年代のスペインで、丁度人々がフランコ政権での閉塞的な気分か  ら抜け出そうとしていた、その波に乗れたという幸運の女神の後押しさえ忘れて  しまったのだ。(そう言えば1970年代という事でユリ・ゲラーがTVに写ってい  た)  実際にも、コンビの片方が単品で?ダントツに売れ出すと、相方が何時の間にか  影が薄くなってしまうような気がするのだが、裏では案外こういったつまらない  ライバル意識が高じていた・・などという事なのかもしれない。芸能界のクレイ  ジーさが充分伝わってくる。  幸運の靴下を験(げん)がいいと履き続けるところなどは、相撲の力士が髭を剃  らないのと似てて、世界共通だ、などと感心してしまった。(それにしても臭そ  うだ)2人の疑心暗鬼のエスカレートする樣も見物だが、ラストで殺し合った2  人が事もあろうに十八番の一手で息を吹き返すところは絶品。スペイン風吉本。                                 鳥野 韻子 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆2☆リオ・エスコンディード☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     Rio Escondido (Hidden River)      1999年/アルゼンチン/87min/カラー/35mm     監督:メルセデス ・ガルシア・ゲバラ     出演:パオラ ・クルム、ホアン・パロミーノ、パブロ・セドロン     第13回東京国際映画祭/シネマプリズム・ラテンアメリカ映画小特集  アナは6歳の男の子を持つキャリアウーマン。夫も多忙なビジネスマンで、経済  的には恵まれている方だ。ふとした事で夫宛の手紙に見知らぬ女性の名前を目に  する。どうやら子供に金銭的な援助をしているらしい。不安を解消する為にもア  ナは差出人の住所まで尋ねてみると、そこには父の出所を待つ8歳の男の子が、施  設の女性と暮らしていた。仮出所をして遠目にわが子を眺めるのは、夫の兄だっ  たが・・。  ある部分までサスペンスドラマの体裁をとりながら、夫が甥に援助をしている訳  も、兄が殺人で刑期を勤めている、その殺人の詳細も一切が明かされないまま映  画は終わってしまう。ちょっと昔のフランス映画風だ。  が、ここでは監督は、そうした物語の枝葉末節よりも人間心理にポイントを置い  ているのだ。夫宛の手紙に動揺したアナだが、今迄知らなかった夫の血縁、生ま  れ故郷等を初めて目にして、自分の知っていたのと別な世界に目覚める事にな  る。  タイトルは「河岸の樹木や草で覆われ、その存在がわかりにくい」ので付けられ  た、川の名を持つ地名で、夫の故郷。都会の生活や、身の回りの事ごとに追われ  て今迄見えなかったもの、即ち川・・ここでは夫や彼にまつわる事・・が、彼女  に認識された、という事に繋がるのだろう。  また、何げに挿入されているTVからは「人間は皆それぞれに本来の音色を持って  います。それが行いと響き合わないと幸せではないのです」と流れている。アナ  はそれまでの生活に「何かが違う」と感じていたところがあったのかもしれな  い。夫とは感じ得ない何かを、義兄の中に見つけたのかもしれない。  女性らしい感覚の、風景も美しい秀作。                                 鳥野 韻子 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆3☆リトル・ダンサー☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     Billy Elliot     2000年/イギリス/111min/カラー/ヴィスタサイズ     監督:スティーヴン ・ダドリー     出演:ジェイミー ・ベル、ジュリー・ウォルターズ、        ゲアリー・ルイス     www.herald.co.jp/movies/little-dancer     第13回東京国際映画祭・特別招待作品     2001年正月公開予定  イギリスの小さな炭坑町に住むビリーは11歳。スト中の炭坑夫のパパと兄、  ちょっと惚け始めた元ダンサーのお婆ちゃんの4人暮らし。ひょんなきかっけでバ  レエに興味を抱いた彼は、天性の素質でメキメキ上達するが、最初はパパも大反  対。そのうち本気で応援してくれて、見事ロイヤル・バレエ学校に合格。そして  今やプリンシパルとして羽ばたく・・。  実は上映時に主演のジェイミー君が来日している筈だった。2000人のオーディ  ションから選ばれた彼は、カンヌ映画祭でも「一夜にしてスターに!」と大絶賛  されたといういわくつきの天才少年。巧く行けば?ステップの一つ、二つ見せて  貰えたかもしれない・・残念!彼のダンスは『フット・ルース』ばりのスピード  と強さがある。クラシックバレエの優雅さと、モダンな躍動感が備わっている。  炭坑町、不況・・とくれば『ケス』『フル・モンティ』『ブラス!』・・と今や  イギリスの十八番。ダンスが未来を拓くのが共通点とはいえ、『フル・モン  ティ』が半ばヤケクソだったのに対し、『リトル・ダンサー』は才能の開花だ。  家族との絆も英国流ユーモアのセンスが満載されている。  血は争えないというか、ビリーは隔世遺伝?でお婆さんと同じくダンスの才能、  親友マイケルは女装趣味の父にして立派なオカマになった。このお婆さんは最  初、徘徊や記憶減退が見られたのに、ビリーがダンスに目覚めた途端に治ってき  たような気がする。こ奇麗になって発言もまともだ。  スモーキーなリング、透明感のあるダンス教室、ブルーがメインのちょっと寂し  いビリーの家、茶系の外部・・と視覚的な美しさと、シーン毎にクラシックから  ロックまで取り込んだ音楽にも注目。思わずサントラが欲しくなってしまった。  そう言えば、ビリー、24歳役の本物のプリンシパル(アダム・クーパー)の白鳥  も実際見てみたいです。                                 鳥野 韻子 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆4☆私が愛したギャングスター☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     Ordinary Decent Criminal     1999年/アイルランド=イギリス/95min/カラー/シネマスコープ     監督:サディウス ・オサリバン     出演:ケヴィン ・スペイシー、リンダ・フィオレンティーノ、        ピーター・ミュラン     http://www.amuse-pictures.com/     第13回東京国際映画祭・特別招待作品     12月銀座テアトルシネマにて公開予定  子煩悩で人一倍家庭的なマイケル・リンチは、実は稀代の大泥棒。でも刑務所に  入るような証拠は決して残さない。彼が相手にするのは専ら体制側。銀行で「金  を引き出す」のは軽いもの。彼をとことん追うクイッグリー刑事は、彼の手の内  を知り尽くしているのに、いつも失敗ばかり。ある時出来心で?盗んだカラ  ヴァッジョの絵を巡ってIRAや囮の美術商、裏切り者まで出て事件は思わぬ方向  へ・・・。  マイケル・リンチのモデルは、アイルランドでは有名な実在の強盗マーティン・  カーヒル。1995年の東京国際映画祭協賛企画、英国映画祭で上映された『ザ・  ジェネラル』と同じ題材だ。この時のマーティン役はブレンダン・グリーソン。  スペイシーよりも大柄で愛嬌のあるとぼけた味を出していた。  今回のスペイシーのマーティンは、おとぼけというよりは自尊心が強く、頭がき  れて自惚れ屋。計算づくの自己演出に長けている感じが強い。そうした外の顔に  対し、家庭では妻とその妹の両方の夫にして家族思いの良き父。姉妹の男を巡る  確執はドラマに多いが、この2人は互いに夫の共有を認め合って仲がいい。これ  は、マイケルの人柄だ。手下にも裏切りには凄惨な制裁を加えるものの、逆に忠  実な者への信頼は強い。  つまり、何とも憎めない奴なのだ。子供には「やるべき仕事は手を抜くな」と教  え、横槍を入れるIRAに対しては、自分達を「正しくまっとうな泥棒」を胸を張る  (この辺が原題の由来かも)。慢性的な不況下での体制相手の彼の活躍?ぶりは  一般市民にとってちょっぴり胸のすくような、そんな時代だったのだろう。  マーティンの心を反映してキリストに不遜な笑みが浮かぶ、カラヴァッジョの絵  「キリストの逮捕」がまた傑作。『ナッシング・パーソナル』から一転、楽しい  娯楽作品に仕上がっている。                                 鳥野 韻子 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆5☆サディウス ・オサリバン監督記者会見☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛  ブルーのシャツ、ブルージーンズで現れた監督は、シルバーヘアに優しい瞳のア  イリッシュ。今回、実在のマーティン・カーヒルを題材にした訳から語り出し  た。前作『ナッシング・パーソナル』はヴァイオレンスもあり、ハードだったの  で、この作品では犯罪よりは、むしろ彼の面白い人柄・・権威や、警察、法律と  いった体制に対しての彼の姿勢や、ギャングの持つ危険なイメージと同時に軽い  面も合わせ持つ・・にスポットを当てたいと思ったからだそうだ。  また、ケヴィン・スペイシーの起用については「そうしたカーヒルの複雑な人間  性を、自身持ち合わせていたのが彼だった。彼位の年齢の役者が欲しい時、筆頭  にあがる俳優はスペイシーしかいない。彼へのオファーが難航したが、脚本を気  に入ってくれて、この難役をこなしてくれた。彼はとてもプロ意識が高く、仕事  がやりやすかった。」  スペイシーは、冒頭で記者達に向かってお尻を出すシーンに、インターネットで  も流れるかと思うとどーしても嫌だと言って、とうとう本人立ち会いの下、「素  敵なお尻」のスタンド・インを選んだとか。彼は『アメリカン・ビューティ』の  後、撮影に入った。  やはり同じ題材の『ザ・ジェネラル』(ジョン・ブアマン監督/1998年)は、当  初オサリヴァン監督のプロジェクトの方が先で、原作の権利を入手していたが、  このまま映画化は困難と諦めて権利を放棄したところ、ブアマンが購入して、先  に仕上げてしまった。ただ、同じ題材でもブアマンのはかなり伝記的だ。  ブアマンが製作している間、オサリヴァンチームは、専ら資金集めに苦労してい  たらしい。結局製作費は米ドルで約1,000万ドル、スペイシーへのギャラは100万  ドル、そして監督本人は25万ドルしか入らなかったという。しかも本人曰く「全  部使っちゃったから、今は破産状態」。  今回音楽を担当したのは、人気バンド「ブラ−」のデーモン・アルバーン。彼は  『フェイス』で俳優としてもデビューしているが、伝統的、また既存のスコアを  使いたくなかったという監督の希望から、彼に託された。サントラの売れ行きも  好調。  次回作は1930年代の英国上流社会の話と、児童文学からのストーリーの映画化の  2本を検討中とか。今回で3度目の来日になるというオサリバン監督。忙しくて  どこにも行けないのが残念そうだった。                                 鳥野 韻子 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ ┏━┓                       I N F O R M A T I O N ┃i┃登録・解除・お問い合わせなどについて ┗━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◇◇星(★)の意味___________________________◇ ◇   このメールマガジンで表示されている星は5つが最高で、1つが最低です。 ◇◇メールアドレス変更・解除______________________◇ ◇   このメールマガジンの購読解除は、ご登録された発行元のホームページより出   来ます。こちらでの作業は一切しておりません。   まぐまぐ   (http://rap.tegami.com/mag2/m/0000007585.htm)   マッキー!  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QT MAI               吉田 浩二 ◇◇ScreenKissについて_________________________◇ ◇   映画に関して、「人物」「作品」「映画祭」「制作」と言った観点から紹介・   論評するメールマガジンです。   Copyrights(C), 1998-2000 ScreenKiss  掲載された記事はいかなる形式であれ許可なく転載は禁じられています。 ┼                                   ┼

ScreenKiss Vol.184

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>☆ C O N T E N T S ☆−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−☆<   □アリ・ザウア   □プリンセシーズ   □エゥ・トゥ・エリス   □ウーマン・オン・トップ   □キャラバン記者会見 >☆−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−☆S_c_r_e_e_n_K_i_s_s☆< >>☆1☆アリ・ザウア☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     Ali Zaoua     2000/モロッコ/95min/1:2.40     監督:ナビーユ・アユーシュ     撮影:ヴァンサン・マチアス     出演:ムニーム・クバーブ、ムスタファ・アンサリ、        イシャム・ムスーヌ     2000 東京国際映画祭 シネマプリズム 10/29上映  ストリート・チルドレンとして生きる3人の少年が、行動を共にしていた仲間の  1人を対立するグループ同士の抗争で失う。その亡骸を3人で丁重に埋葬しよう  と決意し、様々な困難にぶつかりながらも、少しずつ実現に近づいてい  く・・・。  これが長編2作目にあたる、ナビーユ・アユーシュ監督の新作。まず本作を製作  するにあたって、ストリートチルドレンに関するリサーチに約3年を費やしただ  けのことはあり、作品の端々にその厳しさが感じられ、強く胸に伝わってくる。  かといって、重苦しさや悲壮感はそれほど強く残らない。  この点は、現実の厳しい側面ばかりでなく、少年たちのささやかな夢や希望と  いった内面にも目を向けている、監督の温かいまなざしであり、これこそが作品  をより懐の深いものとしているように思う。  さらに、劇中に出てくるアニメーションが、少年たちの望みを表現するのに素晴  らしく魅力的で、どことなく切なくて印象深い。そして、出てくる少年たちは実  際にストリート・チルドレンだったこともあり、その表情には説得力にも似た力  強さを感じる。その表情をしっかりとらえ、落ち着いた映像も心に残る。とても  いい作品です。                                  ユタカ __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆2☆プリンセシーズ☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     Princesses      2000年/フランス・ベルギー/100min/カラー/シネスコ     監督:シルヴィ ・ヴェレイド     出演:エマ ・ドゥ・コーヌ、ジャン=ユーグ・アングラード、        カロル・ロシェ     第13回東京国際映画祭・コンペティション     2001年公開予定  ソフィ、24歳。大人になりきれない自分に気付いている時、失踪中の父親が殺人  容疑者となり突然事情聴取をされる。そこから彼女の人生は大きく変わる事にな  る・・。腹違いの姉の存在、父親からの金の無心、何故かつきまとう謎の男、刑  事との関わり・・・。父を追って姉妹はいつしか心を通わせていくが・・。  引っ込み思案で、少しトロいソフィと、短気で投げやりなヴィルジニー。正反対  のに見える2人の「お姫様達」が、実は女好きで暴力をふるう憎っくき?父親の  血を紛れもなくひいていた・・・。ドメスティック・ヴァイオレンスの中で育っ  た子供がまた、そうした親の性癖を繰り返すことが問題になっているが、まさに  そんな感じ。ある意味、暴力は弱さをカバーしようとする行為なのかもしれな  い。  父の託したダイヤの出所や、それを狙うシモン(この貧相な変態男を、あのジャ  ン−ユーグが薄気味悪く演じている)と彼が殺害したミュリエルの関係等、  ちょっとサスペンスがかっていて、謎のまま終わってしまう点はちょっと後味が  今ひとつ。  それにしても、主演の2人、ご苦労様!と声をかけてあげたくなる位よく走って  いました。しかもそれをハンディカメラが追うので、見てる側としては乗り物酔  い状態に。しかし、パリからアムステルダムと、ロケーションの移動と共に空気  の色も微妙に違って見えたのは、撮影に技あり!でした。  主役の一人、エマ ・ドゥ・コーヌのパパは『嘘の心』に出演していたアントワー  ヌ・ドゥ・コーヌ。1998年のフランス映画祭で来日している。パパもなかなかハ  ンサムだったけど、娘もチラシによれば「フランスで爆発的人気を呼ぶアイドル  スター」なのだそう。日本でブレイクするでしょうか。                                 鳥野 韻子 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆3☆エゥ・トゥ・エリス☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     Eu Tu Eles (Me You Them)      2000年/ブラジル/107min/カラー/35mm     監督:アンドルッシャ ・ワディントン     出演:ヘジーナ ・カゼ、リマ・デュアルテ、ステニオ・ガルシア     第13回東京国際映画祭/シネマプリズム・ラテンアメリカ映画小特集  男の子を生んで3年めに実家に帰ると、毋は亡き人に。そんなダレーンにプロ  ポーズしたのは、新居を構えた老人オズィアス。彼は1日中ハンモックの中でラ  ジオを聞きながら、ダレーンにあれこれ命令するばかり。家計を支えるのは彼女  の働き。ヤギを買いに来た商人や、オズィアスの従兄弟で居候になったゼジー  ニョ、そして労働現場で知り合った若い風来坊シーロとの間に次々と男の子が生  まれるが・・・。  田舎の主婦の投稿で、2人の愛人と夫の4人が一つ屋根の下で暮らしているとい  うラジオの情報でヒントを得たという監督。実際はブラジルは男性優位な社会な  ので、こんな話は希有なケースだそう。他人と巧くやっていくためには、どこか  で折り合いをつけなくてはいけないもの、そんな事を描きたかったという。  妻の不貞にも気付かないほど無関心でもあり、ある意味盲目的に寄り掛かってい  ていながら、「男」「家長」としての面子だけは保とうとする夫。そんな従兄弟  の横暴な振る舞いに、疑問を抱きながらも居候の座にいるゼジーニョ。案外  ちゃっかりしているのはこの男かもしれない。  彼等の均衡を破るライバルは、若くてハンサムなシーロ。彼を挟んで従兄弟同志  が結託するところも笑える。そして、一種滑稽な男達を巧くコントロールしてい  る肝っ玉母さんのダレーン。「原始、女性は太陽であった」と宣わった平塚雷鳥  先生のお言葉が頭をよぎってしまいました。タイトルも頷けます。  出ている俳優は粒ぞろいの芸達者だが、ダレーン役の女優がどこにでもいそう  な、ごく平凡な(つまりステレオタイプの美人でない)女の人なのが、より現実  味を帯びて面白い。「貧しいブラジルばかりが報道されて不満だ」と言っていた  客席のTV局の方もいたが、この作品は時代不祥、ロケ地不祥な感じがいいような  気がする。  とはいえ、「撮影前の緻密な現場検証と、建造物をリアルに見せる工夫」に苦労  した、とは美術監督のトニーさん。その甲斐あって面白い絵になりました。                                 鳥野 韻子 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆4☆ウーマン・オン・トップ☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     Woman On Top     ★★★☆☆     2000年/アメリカ(12月中旬公開予定)     監督:フィナ・トレス     出演:ペネロペ・クルズ     第13回東京国際映画祭協賛企画・カネボウ国際女性映画週間  情熱的な恋で結ばれた夫トニーニョと、ブラジルでレストランを営む女性シェ  フ、イザベラ。(ペネロペ・クルズ)。  料理の腕と美貌はだれにも負けないのに結婚後は『縁の下の力持ち』に甘んじて  いた。しかし最愛の夫の浮気が発覚。終身の彼女は親友のいるサンフランシスコ  へと旅立つが、彼女の料理が一躍話題となり・・。  料理を武器に男を虜にする女の話は珍しくもないが、本作の面白いところはこの  料理といういかにも『女を家庭に閉じ込めるもの』を通じて彼女が自我に目覚め  て行くという過程だろう。  また、コテコテのウーマン・リブ映画に有りがちな突っ張った感じがなく夫を思  い出して泣いたり、新しい恋に踏み切れなくて迷ったりと等身大(というか、弱  い)女性像であるところがペネロペの繊細な美しさに合っている。  赤いボディコンドレスで町を闊歩するペネロペは歩くフェロモンといった感じだ  が夫トニーニョ役の男性の、ラッセル・クロウ張りの色男ぶりにも是非注目を。  ブラジルの明るい太陽を思わせるような、果物、花、お料理などの色彩も美し  く、『匂い』を目で見せる手法も面白い。食欲、恋といった人間の基本的な欲求  を呼び起こすパワーがある。  ロマンチックなボサノバも全編に流れ、ラテン・ブームのツボもちゃんと抑えて  いる。  倦怠気のカップルも、空腹なときにカップルでこの作品をみればバッチリ。                                 MS.QT.MAI __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆5☆キャラバン記者会見☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     1999年/フランス・ネパール・イギリス・スイス/108min/カラー/     シネマスコープ     www. gaga.ne.jp     第13回東京国際映画祭:特別招待作品(Screen Kiss Vo.183参照)     11/25〜シネマライズにて公開 記者会見出席者:エリック・ヴァリ監督  この映画で一番言いたかった事は「大人になってからの夢は、子供の頃の夢を実  現させる事。その為には多少のリスクを冒してでもやり通す事」という。それが  端的に表れているのは次の台詞だそうだ。「2つの道が君の前にある時、難しい  方を選べ。それが君を最良に導いてくれる事だから」  監督はフォトグラファーでもあるが、監督業との兼ね合いはほぼ問題ないとい  う。即ち、フレーミングのセンスや、色、光といった要素は写真と映画は共通し  ていて、映画になるとこれに動きが伴うだけだからだ。ただ、精神的には映画の  方が興行的な問題まで考えなくてはいけないので、ある面責任が重い。その責任  の為にも映画作りはしていきたいが、一方で1人でカメラを担いで歩く事も、い  つも現実という地に足をつけていたいので続けていくつもりだ、との事だった。  この映画を撮って変わった事と言えば、この映画の世界での成功により、外人観  光客がヒマラヤを訪れるようになった事。また、出演者はほとんどが、撮影後に  は元の生活に戻って行ったが・・勿論出演料で多少裕福にはなったが・・・子役  の子供はギャラを1度に支払う代わりにカトマンズの学校に行きたい、という事  で現在通っている。また、カルマ役のハンサムな彼はパリに出て現在俳優の修業  中という。  何れにせよ、この映画は現地ネパールでも大ヒットし、出演者も大満足だったそ  うだ。ラストのフォトセッションの時、それまで落ち着いて受け答えしていた監  督が急にそわそわしだした。いつもはカメラの後ろにいるのに、多数のフラッ  シュを浴びて落ち着かないのだそうだ。それでも眼鏡をはずした方がいいので  は?等とても気遣いの人でした。                                 鳥野 韻子 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ ┏━┓                       I N F O R M A T I O N ┃i┃登録・解除・お問い合わせなどについて ┗━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◇◇星(★)の意味___________________________◇ ◇   このメールマガジンで表示されている星は5つが最高で、1つが最低です。 ◇◇メールアドレス変更・解除______________________◇ ◇   このメールマガジンの購読解除は、ご登録された発行元のホームページより出   来ます。こちらでの作業は一切しておりません。   まぐまぐ   (http://rap.tegami.com/mag2/m/0000007585.htm)   マッキー!  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QT MAI               吉田 浩二 ◇◇ScreenKissについて_________________________◇ ◇   映画に関して、「人物」「作品」「映画祭」「制作」と言った観点から紹介・   論評するメールマガジンです。   Copyrights(C), 1998-2000 ScreenKiss  掲載された記事はいかなる形式であれ許可なく転載は禁じられています。 ┼                                   ┼

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>☆ C O N T E N T S ☆−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−☆<   □ウーマン・オン・トップ   □フォーシーズンズ・オブ・ザ・ロー   □クレイドル・ウィル・ロック   □キャラバン   □アインシュタインの脳(EINSTEIN’S BRAIN) >☆−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−☆S_c_r_e_e_n_K_i_s_s☆< >>☆1☆ウーマン・オン・トップ☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     Woman On Top      2000年/アメリカ/92min/カラー     監督:フィナ ・トレス     出演:ペネロペ ・クルス、ムリロ・ベネツィオ、        ハロルド・ペリノーJr     第13回東京国際映画祭協賛企画・カネボウ国際女性映画週間     12月中旬公開予定  ブラジルの港町で生まれ育ったイザベラは、医者も祈祷師も匙を投げる程のひど  い乗り物酔い。でも料理の腕はピカ一。美貌の彼女はレストランオーナーのトー  ニョと一口?惚れで結婚するが、料理だけでなく何でも「トップ」・・ダンスも  運転も(こうすると酔わない)そして愛を交わすときも全て彼女のリード。その  状況に嫌気がさして夫はちょっとうまみ食い。傷ついた彼女はサンフランシスコ  でTVショー「情熱のクッキング」に起用され、一躍人気者になるが・・・。  上映に先立ち、来日出来なかった監督からのメッセージ。「映画製作は男女を問  わず、その製作費の問題がとても大変です。女性が映画製作に不向きと一般的に  思われていた時代もありましたが、最近は女性の能力も認められてきました。映  画は素敵な世界を見せますが、人間性においてもとても大切なものも教えてくれ  ます」。  ちなみに今年のカンヌ映画祭で上映された際、登場した監督はとても素敵で  ファッショナブルな人だったそうだ。  海の女神に運命を委ね、優しいオカマに支えられたシンデレラ・・・優しい気持  ちになれる大人の洒落たお伽話だ。突然料理の腕があがってフォッグがたちこめ  ると、不思議な幻想を想起させる『バニラ・フォグ』や、料理人の気持ちが料理  に反映してしまう『赤い薔薇ソースの伝説』など、この作品に似た映画はたくさ  んある。  が、ここでは自然と共存するブラジル人(というよりは、イザベラの故郷の港町  の人々が、というべきか)の逞しさや、そこから来る大らかな明るさが根底に流  れている。イザベラの料理もレシピはない。感じるままに生み出された産物なの  だ。だからTVショーのラストでは必ず「愛する人と食べると最高」と締めくくら  れる。  対照的に登場するのは、常に上役や視聴率に縛られる、あくまで人工的な産物の  TV業界。自然から生まれた彼女の料理とは、もともと相容れない存在なのだ。番  組の製作者も視聴者も、狙いは料理より彼女のナイスバディ。何が何でもマネー  な世界。このお伽話の奥は深い。  このところ注目株のラテン音楽もノリよく場面をひきたてて、楽しい気分になれ  ます。レストランそっちのけでイザベラ奪還に繰り出すトニーニョと楽団員が、  とぼけたいい味を出しているのも見どころ。                                 鳥野 韻子 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆2☆フォーシーズンズ・オブ・ザ・ロー☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     The Four Seasons of the Law      1999年/ギリシャ/178min/カラー/35mm     監督:ディモス ・アヴデリオディス     出演:アンゲリキ ・マランティ、タキス・アゴリス、        アンゲロス・パンテララス     第13回東京国際映画祭・シネマプリズム  1960年のギリシャ、キオス島。フィールドガードの死で、困った村は監視人の派  遣を要求するが、なり手がない。そこで政府は条件のいいサラリーで公募し、4  人が立候補するが・・・。夏には臆病な、秋には権威主義的な、冬にはギャンブ  ル狂の、監視人がやってくる。そして春に来た監視人は・・・。  何とも牧歌的なのどかな風景の中で起きる珍騒動。小さな村を舞台に1年間が  ヴィヴァルディの「四季」にのって展開されていく。ここまでモロに音楽を使う  のも珍しいような気がする。ギリシャでイメージされる青い海、白い壁はほとん  ど見当たらず、代わりにギリシャ人気質がとてもよく表現されている。  冒頭から独特の音楽と詩。ものの本によれば、アメリカの古典学者、エディス・  ハミルトンがギリシャ人について「彼等は悲しむことがない。ちょっとセンチに  なるだけだ。」と語っているそうだが、その辺が歌にも表れている。夏の臆病な  監視人が犬を失って失意の時に、歌と踊りに慰められるところがあるが、これは  そうした性癖を端的に表しているシーンだと思う。  秋の権威主義的な監視人も、官僚主義の強いと言われる(そんな国はゴマンとあ  るでしょうが)ギリシャの特徴のデフォルメなのかもしれない。一方「休暇の合  間に働いている」と言われる国民の代表が冬の監視人なのだろう。  つまるところ、人生をエンジョイする事にかけてはピカ一の国民。その総まとめ  的存在で登場するのが、最後の春の監視人だ。彼は過去の3人が出来なかったイ  モ泥棒を見つけただけでなく、あろう事か彼女に惚れてしまうのである。激怒し  たボスにクビを宣告されても、かえって嬉しそうに制服を返却してしまう。これ  でやっと自由に人生を楽しめる・・。  美しい自然を眺めながら、何時の間にか忘れてしまった人間本来の生き方の原点  を思い出させてくれる作品です。                                 鳥野 韻子 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆3☆クレイドル・ウィル・ロック☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     Cradle will rock     ★★★★     1999年/アメリカ/134分/シネスコ     監督:ティム・ロビンス     撮影:ジャン=イヴ・エスコフィエ     出演:エミリー・ワトソン、スーザン・サランドン、        ジョン・タトゥーロ  アメリカ大恐慌時代のニューヨークを舞台に、「クレイドル・ウィル・ロック」  の上演を目指す人々を中心に展開される群像劇。  とにかくラストの演劇シーンは素晴らしい!それまでに向かう過程も、それぞれ  の人物を過不足なくコンパクトに描き、暗い時代背景も絡めつつ、ユーモアを交  えながら展開していく。そして映像に関しては、出だしから長回しの映像で始ま  るのを筆頭として流れを切らずに人物の動きや雰囲気を捕らえた、刺激的で計算  されている、そして印象に残る、素晴らしい撮影です。  レベルの高さを感じさせる作品で、まさにザッツ・エンターテイメント!観る際  にはこの1930年代の時代背景をある程度、頭に入れておくといいかも。パンフ  レットがまたユーモラス。                                 ユタカ __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆4☆キャラバン☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     Caravan     ★★★★☆     1999/108分/スコープ/フランス・ネパール・イギリス・スイス合作     監督:エリック・ヴァリ  長老ティンレー率いる老人グループは4日遅れで、若者カルマ率いるキャラバン  を追っていく。ティンレー達は危険を冒して近道を進み、カルマに追いつき、追  い越していくが、その先には神託を超越した自然の猛威が待ち構えている。若者  は老人を救い、世代の交代を向かえる。  映画の前に舞台挨拶をした監督いわく、「1つのラブストーリーから映画は生ま  れる。私はトルポ村に恋をしたからこの映画が生まれた。」 実際に映画を見る  と彼の言いたい事がひしひしと伝わってくる。  ドキュメンタリーのような風景映像、山にこだまするような音の響きの中で物語  は、若者と長老、そして長老の孫という3世代の中でめぐる伝統と地位の継承の  葛藤を描き始める。  テレビ番組の秘境物が好きな人は絶対に楽しめる。距離感がなくなるほど澄んだ  天然色の映像は5000mを超える高山での撮影を行った為でしょう。フランス人の  好きな東洋神秘と密教の味つけがなされていますが、いやらしいほどではなく、  外国人のもつヒマラヤ山脈へのあこがれを十分映像で表現している。  ちなみに監督は「セブン・イヤーズ・イン・チベット」のユニット・ディレク  ターです。納得ですよね。                                 立野 浩超 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆5☆アインシュタインの脳(EINSTEIN’S BRAIN)☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     ★★★★☆     ドキュメンタリー/1994/65分/イギリス     監督:ケヴィン・ハル     出演:杉元賢治(近畿大学助教授)  杉元教授がアメリカに渡り、『保存されているアインシュタインの脳』を探しも  とめる。結果的にロード・ムービーとなっていく。  これがなかなか面白い。なにせ天然ボケで英語が苦手な杉元教授(失礼しまし  た)が、わずかな情報をもとに脳を持っていると言われるトーマス・ハーヴェイ  教授を探し、アメリカ各地(ロス、ミズーリ、オークランド、カンザス)を車で  まわる。  アインシュタインのTシャツを買うわ、銅像には登るわ。出会った人には唐突に  挨拶も程々で「アインシュタインの脳を探している。どこか知っていますか?」  なんて聞きまくるのだった。奇人としか思えない行動や発言にも意外や意外、ア  メリカ人達の反応がやけに冷静で親切。  出だし10分程であっけなく脳が見つかると思いきや、単なる写真や資料だけだっ  たり、質問された老教授の話はやけに長ったらしかったり。本当にドキュメンタ  リーかいな?と疑ってしまう。  さらに笑えるのが『アインシュタインの脳』だ。結局ハーヴェイ教授に出会いホ  ルマリン漬の脳を見せてもらうことができるのだが、すでにぼろぼろだし、研究  なんてしてなさそう。宝物として保管しているだけで、いくつものパーツに刻ま  れた脳はアインシュタインの物だという証拠もない。  おまけに「子供のころからの夢」だからと言って脳の一部を切り分けてもらうこ  とになるが、台所から包丁とまな板を持ち出し、キノコでも切るように適当に切  り分けるハーヴェイ教授。ハエがたかるのは必見だ。興醒めしそうな現実だが杉  元教授は違った。念願かなった彼には安堵の表情が・・・。  アメリカのカラオケバーで「北空港」という演歌をアインシュタインに捧げると  言って歌う教授は日本映画の新しいヒーローかも知れない。(冗談)                                 立野 浩超 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ ┏━┓                       I N F O R M A T I O N ┃i┃登録・解除・お問い合わせなどについて ┗━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◇◇星(★)の意味___________________________◇ ◇   このメールマガジンで表示されている星は5つが最高で、1つが最低です。 ◇◇メールアドレス変更・解除______________________◇ ◇   このメールマガジンの購読解除は、ご登録された発行元のホームページより出   来ます。こちらでの作業は一切しておりません。   まぐまぐ   (http://rap.tegami.com/mag2/m/0000007585.htm)   マッキー!  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QT MAI               吉田 浩二 ◇◇ScreenKissについて_________________________◇ ◇   映画に関して、「人物」「作品」「映画祭」「制作」と言った観点から紹介・   論評するメールマガジンです。   Copyrights(C), 1998-2000 ScreenKiss  掲載された記事はいかなる形式であれ許可なく転載は禁じられています。 ┼                                   ┼

ScreenKiss Vol.182

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>☆ C O N T E N T S ☆−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−☆<   □香港映画祭公式セレモニー   □2000・限りある日々   □ガールファイト   □点子ちゃんとアントン君   □インビシブル >☆−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−☆S_c_r_e_e_n_K_i_s_s☆< >>☆1☆香港映画祭公式セレモニー☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     10月30日/オーチャードホール     ゲスト     アンソン・チャン(香港特別行政区政府政務長官)     チュン・マンイー(香港特別行政区政府駐東京経済貿易代表部主席代表)     セリーナ・チャウ(香港観光協会会長)     イーキン・チェン(『東京攻略』主演)     ジングル・マ(『東京攻略』『星願 あなたにもういちど』監督)     スー・チー(『わすれな草』主演)     レスリー・チャン(『流星』『戀戦沖縄』主演)     トニー・レオン(『花樣年華』『東京攻略』『ロンゲスト・ナイト』主演)     マギー・チャン(『花樣年華』主演)     ウォン・カーウァイ(『花樣年華』製作・脚本・監督)  まずは上記のゲストをじっくり眺めて頂きたい。香港の偉〜い方々から、当代の  人気俳優までずらりと顔を揃えている。日本側からは、日本香港友好議員連盟会  長の羽田孜議員が登場していた。  それにしても兎に角凄い人気だ。オーチャードホールの入り口では多くのファン  が詰め掛け、中には「永遠支持張國栄」などという横断幕を掲げる人もいて、熱  気ムンムン。車が止まる度に黄色い声が上がる。中には香港からの追っ掛けツ  アーの人もいるという。だが、比較的整然と列を崩すことなくエントランスでの  顔見せは終了した。  マスコミの取材陣も大勢で、レッドカーペットの両側がぎっしり。係りの人も日  本語、英語、広東語?となかなか大変だった模様。フラッシュに眩しそうにしな  がらも、笑顔でマギー・チャン、ウォン・カーウァイ監督ととポーズをしてくれ  たトニー・レオン、途中で何度も立ち止まってファンを振り返っていたレス  リー・チャンなど、ゲストもなかなかのファンサービスだった。  セレモニーでは、まず白いワンピースで登場したチュン・マンイー氏や華やかな  パンツのセリーナ・チャウ氏から香港映画や香港の魅力などのスピーチがあり、  その後映画関係者が次々に登壇した。  『東京攻略』と撮ったジングル・マ監督は「東京というロケーションが気に入っ  て」タイトルの作品をつくったといい、スー・チーは今既に日本の映画の撮影に  入っているそうで(言語は中国語)、香港映画と日本の結びつきの深さが伺え  た。イーキン・チェンも以前日本のCMい出演した事があり、その時のプロデュー  サーがもし映画を撮るのなら是非出演したいと述べていた。  一番人気のレスリー・チャンは「チケットが5~10分で完売したというのには嬉し  かった。サポーターやファンの人には本当に感謝している。5年前にも来日して  いるが、また来日出来て嬉しい。とても映画を愛しているので、もう若手という  年齢ではないが、機会があれば製作にもかかわっていきたい」とのこと。さすが  にベテランの余裕が見えた。  会場の外では入り切れなかったお客さんが、未だ名残り惜しそうに立ちすくんで  いたのが印象的だった。                                 鳥野 韻子 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆2☆2000・限りある日々☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     Two Tousand and None      1999年/94min/カラー/1:1.85     監督:アルト ・パラガミアン     出演:ジョン ・タトゥーロ、キャサリン・ボロウィッツ     第13回東京国際映画祭・コンペティション  古生物学者のベンジャミン・カスパリアンは妻のアマンダとの離婚成立後、タル  ボット症候群と診断される。脳の肥大化に伴い記憶が減退し、死に至るという治  療法のない病気だ。残された命は5週間。彼は行動を開始する。水のある所に彼  の過去が投影される。不仲だったアルメニア人の両親が喧嘩の最中、子供の彼を  残して事故死したこと、幼く幸せだった頃・・そして・・。  過去の遺物の権威が自分の過去を失くしていく、それでいて遺物の筈の両親が彼  のなかでイキイキと甦る、彼を最後まで気遣っていた叔母が先に亡くなる・・・  なんとも皮肉で矛盾だらけの最後の人生。お年寄りのボケと似て、記憶の減退が  死の恐怖を緩和しているのか、呆然とする前妻や友人をしり目に一人「つまらな  い」洒落を飛ばすベンジャミン。  「アルメニア人のユーモアセンスはシリアスな事を笑ってしまうんだ」・・・と  は、アルメニア人である監督の言葉だが、「にも拘わらず笑うこと」がユーモア  だ、と定義したデス・エデュケーションを提唱するドイツ人のアルフォンス・  デーケン教授だに通じるものがあるのかもしれない。  ティーチ・インには監督の他、プロデューサーのアーニー・ゲルバート、撮影監  督のノライール・カスパーが登場。現実にはなかなか製作資金等の面で苦しいア  ルメニア映画界の事情などを説明していた。また、主役のジョン ・タトゥーロは  脚本を気に入り実に細部にまで丹念に演じてくれ、それがこの映画の仕上りを完  璧にしてくれたそう。(ちなみに前妻役は『天井桟敷のみだらな人々』でもおし  どりぶりを見せていた、タトゥーロの実の奥様)  タルボット症候群は監督の産物で、実際にはない病気らしい。しかし、もし自分  がこの主人公と同様にあと5ヶ月の命、と宣告されたら東京に来てたらふく食べ  るとか・・。なかなかお茶目な監督でした。                                 鳥野 韻子 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆3☆ガールファイト☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     Girlfight      2000年/アメリカ/110min/カラー/ヴィスタサイズ     監督:カリン ・クサマ     出演:ミシェル ・ロドリゲス、サンティアゴ・ダグラス、        ジェイミー・ティエリ     WWW. SHOCHIKU.CO.JP     サンダンス映画祭グランプリ     第13回東京国際映画祭協賛企画・カネボウ国際女性映画週間     2001年春公開  家では父親と口論が絶えず、ハイスクールではすぐに暴力を振るって要注意な女  の子・・そんなダイアナが青春を賭けたのはボクシングだった。「男のスポー  ツ」と誰も本気でトレーニングさえさせて貰えなかった彼女だが、メキメキ上  達。ついにアマチュアフェザー級の王者決定戦でリングに上がる。が、対戦相手  は恋人のエイドリアン・・・。  カネボウ国際女性映画週間の初日とあって、雨の中でも会場は立ち見が出る程。  上映に先駆け、多才なゲストを紹介しつつ簡単なセレモニーがあった。しかし今  回は「いつも元気印の」(本人のメッセージから)ジェネラルプロデューサー、  高野悦子氏が体調を崩して入院中という事でちょっと寂しい感もあった。  この作品のゲストはカリン ・クサマ監督、主演のミシェル ・ロドリゲス、そし  てプロデューサーのマーサ・グリフィン。日本文化に興味を持っていたという、  足のなが〜いミシェルは、フォトセッションに戯けてポーズをとるなど新人と思  えない余裕の登場だ。  ボクシングと言うと『レイジング・ブル』だの『ボクサー』だの、どうしても男  の映画が浮かぶ。女の子が絡んでいたとすれば、せいぜい『マイライフ・アズ・  ア・ドッグ』位なものか。が、この作品はやや重たすぎる感もあったが、かなり  のファイティングシーンも盛り込まれている本格派女性ボクシング映画だ。  「勝者は決して諦めない」「王者はつくられるものである」などと、時々写るジ  ムのご教訓も含めて単なるスポコンものに終わらないのは、ダイアナのパンチが  実は毋を自殺に追い込んだ嘗ての父の、またそれが今は父への彼女なりの復讐の  拳でもある点だろう。そして愛する男との一騎討ちは、彼女にとって肉体以上に  精神的なリングだ。仲間に言われた言葉、「愛に生きればリングで死ぬぞ」・・  これ以上のプレッシャーはないだろう。  また男達にとってのボクシングが『フープ・ドリームス』に通じる貧困から脱却  の手段になっている点が、ある意味アメリカの素顔を照らしているといえよう。  パンチにかぶさる軽快なカスタネットのリズムの取り合わせがいい。また、化学  の教師として、監督の恩師?ジョン・セイルズが顔を出しているのもご愛嬌。                                 鳥野 韻子 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆4☆点子ちゃんとアントン君☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     ANNALUISE AND ANTON      2000年/ドイツ/108min/カラー     監督:カロリーヌ ・リンク     出演:エレア ・ガイスラー、マックス・フェルダー、        オーギュスト・ツィルナー     2001年公開     第13回東京国際映画祭協賛企画・カネボウ国際女性映画週間  点子ちゃんは裕福な家庭の女の子だけど、心臓外科医のパパと、世界中の子供の  為に飛び回っているママはいつも忙しくて寂しい思いをしている。病弱なママを  持つアントン君は、パパは「死んだ」と聞かされていて家計を支えるためにバイ  トも厭わない。この2人は大の仲良し。でも大人は自分勝手で、2人の言うこと  なんかちゃんと聞いてくれない。そんなある日事件が起きて・・・  『罠にかかったパパとママ』『ファミリー・ゲーム』etc.とケストナーの「ふた  りのロッテ」の翻案は数多いが、これは双子でもなく男女の子供を使っての新  バージョン。世界の子供の心配は出来ても、一番身近で大切な子供の存在を忘れ  てしまった「出張好きの」点子のママや、養育費を拒否するアントンのパパ等、  現代の子供を取り巻く社会環境を子供の目線でみつめている。  とはいえ、彼女が見ようとした映画が「エミールと探偵」だったり、点子が選ぶ  新しい家庭教師の写真に(多分)監督自身の顔があったりと、遊び心もいっぱ  い。ラストでひらひらと飛んで行った100マルク紙幣は『フォレスト・ガンプ』の  羽みたいだし、家政婦が策を弄して捕まえる泥棒の下りは、まるで『ホーム・ア  ローン』。  この家政婦さんがいい味を出している。大きな身体で家庭教師(いまやリンク  組?のシルヴィ・テステュー)としなやかに踊る様は必見。『ビヨンド・サイレ  ンス』で見せた音楽と映像のコンビネーションは健在で、なかなか楽しい仕上が  りになっている。  上映前のゲストに、女優の香川京子氏が登壇。「子供向け、大人向けと枠が多い  映画の中で、これは年齢に関係なく見られる映画」と述べていた。まさに親子で  見てほしい映画です。                                 鳥野 韻子 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆5☆インビシブル☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     The Hollow man     ★★★☆☆     2000年/アメリカ     監督:ポール・バーホーベン     出演:ケビン・ベーコン、エリザベス・シュー  何を隠そう、私はポール・バーホーベン作品大好き!なのです。ラジー賞受賞作  品の『ショーガール』もあの徹底した下品さと、男まで蹴り倒すヒロイン、ノエ  ミの小気味良さがたまらなかった。  そしてラジー賞を嬉々として受け取りに行った監督の姿に彼の映画作りの姿勢が  見えた気がした。『下品で何が悪い?自分の好きなようにやるさ』とい  う・・・。  そして続く『スターシップ・トゥルーパーズ』では巨大昆虫型エイリアンの内臓  は飛び出すわ、デニス・リチャーズは戻すわもう大変なことに。いいぞ、バー  ホーベン!とますますハマってしまった。  さて今回はどれだけ飛ばしてくれるのだろうか。  ケビン・ベーコン演じる主人公、セバスチャンの下品なキャラはいかにもバー  ホーベン作品らしい味。なにせ透明人間になるやいなや真っ先にやるのは覗きや  ら痴漢行為やら。いままでの研究の苦労って一体?!  ケビン・ベーコンが全身石膏で型を取られたり、グリーン・スーツでモジモジく  んになってまで、まさに身を張った甲斐あって特殊技術も、彼の声だけの演技も  良い。  ただ、話の展開がみえみえで、とくに前半のやりたい放題や、透明化実験の場面  の面白さに比べると、後半はただのホラーのような追いかけっこに徹してしまっ  ているのが残念。  折角の演技派アンド、ナイス・バディのエリザベス・シューもキャラの描き方が  薄いため生きてこない。  それにどうせならお得意のお色気場面や、スプラッターをもっとやってほしかっ  た!変に一般受けをねらってしまったような気がして、ものたりなかった。                                 MS.QT.MAI __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ ┏━┓                       I N F O R M A T I O N ┃i┃登録・解除・お問い合わせなどについて ┗━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◇◇星(★)の意味___________________________◇ ◇   このメールマガジンで表示されている星は5つが最高で、1つが最低です。 ◇◇メールアドレス変更・解除______________________◇ ◇   このメールマガジンの購読解除は、ご登録された発行元のホームページより出   来ます。こちらでの作業は一切しておりません。   まぐまぐ   (http://rap.tegami.com/mag2/m/0000007585.htm)   マッキー!  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QT MAI               吉田 浩二 ◇◇ScreenKissについて_________________________◇ ◇   映画に関して、「人物」「作品」「映画祭」「制作」と言った観点から紹介・   論評するメールマガジンです。   Copyrights(C), 1998-2000 ScreenKiss  掲載された記事はいかなる形式であれ許可なく転載は禁じられています。 ┼                                   ┼

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>☆ C O N T E N T S ☆−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−☆<   □東京国際映画祭『ラン・フォー・マネー』   □イラン映画最新情報第4回   □映画にみるブランド品の使い方   □最愛の夏   □欲望という名の電車 >☆−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−☆S_c_r_e_e_n_K_i_s_s☆< >>☆1☆ラン・フォー・マネー☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     Kag Para Kag     ★★★★☆     トルコ/100分/ヴィスタ/1999年     監督:レハ・エルデム     出演:タネル・ビルセル  イスランブールの商店街でシャツ屋を営むセリムには、妻と愛娘がいる。まじめ  で正直な彼はある夜、タクシーで前の客が忘れていったかばんを拾うが、その中  には米ドルの札束が。そのお金は銀行行員が着服したものらしい。45万ドルを彼  がどうやって使うか、そのお金が彼に与えた影響とは。しだいに性格までも変  わってしまい、我が身を滅ぼしていく男の話。  「もし1億円拾ったらどうする?」この話題は世界各国共通ですよね。夢や現実  の入り混じった複雑な答えがあることでしょう。  この映画はその答えを映し出しているだけの単純なストーリーです。しかし退屈  しない理由はその緊張感。セリムが感じる苦悩をタネルは的確に演じている。お  金を着服した男と再会してしまうというアクシデントも用意されていますが、と  にかくタネルの表情に注目してもらいたい。微妙に変貌していく彼の顔は必見で  すね。常にびくびくしながら、お金をどこに隠すか悩みつづける彼の態度や身の  こなしまで、無表情の中にも深みがある。  残念ながらこの手の作品では、観客動員が見込めそうにないから一般公開するの  は無理だろう。映画祭を逃がすと見る機会がありそうにない。映画祭で貴重な事  はこういった良質の作品がスクリーンで見られること。  最後にティーチインで監督に「もし45万ドル拾ったら?」の質問。「映画を撮り  ます」との返事は観客を沸かしていた。                                 立野 浩超 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆2☆イラン映画最新情報第4回☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛  特集記事の4回目にして最終回は少々短い文です。皆様の応援さえあれば、さら  に今後に続くことでしょう。  Leila  監督:Doryoush Mehrjooi  Leila Hatami has played in this film. She is a daughter of Ali Hatami  who is one of the really famous directors. He died 3-4 years ago. His  films have be en excellent and popular for people with technical  knowledge till now.  By L.J. __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆3☆映画にみるブランド品の使い方☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛  今や押しも押されぬブランド大国ニッポン。コギャルからオバサマまでブランド  物を持ってない人はいないのでは?という勢いだが、アメリカでは今だステータ  ス・シンボルとなっているようだ。そんなブランド物がどんな風に映画に使われ  ているか見てみましょう。 □ルイ・ヴィトン  ブルース・ウィリス主演のクライムコメディの新作『ホール・ナイン・ヤード』  で殺し屋である彼の妻が愛用しているのがここんちのバッグ。と、いっても自家  用機に乗り込むシーンでいくつものバッグやトランクを子分であるマイケル・ク  ラーク・ダンカンに運ばせているのである。いくら立派なカバンも自分で重そう  にもってはカッコ悪い!お付きに持たせてこそ相応しいのかも。  同じようなシーンがエディ・マーフィ主演の『星の王子様ニューヨークへ行く』  にもありました。  また、『スリー・キングス』では敵国イラクから徴収したここのバックに金塊を  たんまり入れて持ち出すシーンが風刺が利いていて良かった。 □カルバン・クライン  この名前を聞いてまず思い出すのが『バック・トゥー・ザ・フューチャー』現代  から60年代にタイム・トラベルした主人公マーティンがここのロゴ入りパンツ  をはいていたのを見て、若かりし日の彼のママは彼の名前が『カルバン・クライ  ン』なんだとカン違い。新しいブランドだから誰も知らないというわけ。  いっぽうアメリカ版コギャルの生態を描いたコメディ『クルーレス』では下着さ  ながらのボディコンドレスに身を包んだアリシア・シルバーストンが、パパに注  意されて一言。『だってカルバン・クラインなのよ』  この2本の映画に60年代ティーンと、現代の違いがかいま見られる。 □シャネル  このブランドのもつリッチなイメージを逆手に取っていたのがデンゼル・ワシン  トン主演の『ザ・ハリケーン』。  名ボクサーとして一躍有名になった彼が無実の身で逮捕される。刑務所で獄衣を  着るのを拒んだ彼が、獄中で付けていたのがここのネクタイ。次第に汚れてぼろ  ぼろになっていく様子から彼の失意が見て取れる。実に上手い使い方といえる。  また、ジュリア・ロバーツが本人さながらの女優を演じた『ノッティング・ヒル  の恋人』ではカジュアルなスニーカーにパンツという姿ながら、帽子にここのロ  ゴが入っていることでまさに女優!の雰囲気をかもし出すことに成功していた。                                 MS.QT.MAI __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆4☆最愛の夏☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     黒暗之光     ★★★★★     1999年/台湾     監督:チャン・ツゥオーチ     出演:リー・カンイ     1999年東京国際映画祭グランプリ  ケンカした相手と「もう口も聞きたくない」と思っていたのについ話しかけてし  まったり、すごく悲しいのに思わず微笑んでしまったり。人間ってそんなもの、  というのをすごく自然に表現した映画。  主人公カンイを取り巻く環境は知能障害を持つ弟、盲目の両親、そしてヤクザの  子分のBFなど、かなりヘビー。  それでいてこんなにもこの映画が身近に思えてしまうのは、この映画で描かれる  のがあくまで誰もが体験するような日常的な出来事だから。  ごはんの支度をしたり、片思いの彼を誘ってデートしたり、ゴミ捨てにいって、  帰り道にアイスを食べたり…。  私達大人に取っては『夏休み』という時間自体がノスタルジック。そんな特別な  時間における特別な人との出会い、別れ。子供のころの甘酸っぱい感情を思い出  さずにはいられない。  主人公がつらい現実のなかにも希望を忘れず淡々と生きる様はイラン映画を思い  出させる。  もはや豊かになりすぎてしまった現代の日本で、忘れかけていた何かを思い出さ  せてくれる映画。                                 MS.QT.MAI __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆5☆欲望という名の電車☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     演出:栗山民也     出演:樋口可南子、内野聖陽、七瀬なつみ     会場:新国立劇場中劇場(東京初台)     期間:10月20〜11月11日 // ストーリー //  欲望という名の電車に乗って妹ステラのところでやってきたブランチ。裕福な家  庭に生まれた2人だが、家に残って教師をしていたブランチは一族の没落を目の  当たりにし、夫の死、破産が彼女を変えていった。一方ステラは、ニューオリン  ズの貧しい地区でポーランド移民の粗野な夫スタンレーとの暮らしに幸せをみい  だしていた。上流気取りの態度が気に食わないスタンレーは、ブランチの過去を  暴き、彼女の新しい恋人までも遠ざけてしまう。虚言と酒が彼女の拠り所とな  り、追い詰められ神経の擦り減った彼女に精神病院の迎えがやってくる。  さて、「映画好きの見た舞台」としてちょっといろいろ書いてみました。映画と  舞台は物語を演じている点では大差がありませんし、1つ1つ考えて行くと非常  に似ているのですが、出来上がったものを見ると明らかに異なる芸術ですね。  今回主な登場人物3人の演技を目にして、正直言ってしまりのない演技だと感じ  てしまいました。しかし、普段演劇を見慣れていない私にとっては、この3人の  演技レベルが日本演劇界の中でどのくらいの評価を得られるのかが分からないの  です。演技のレベルは決して低くはないと分かるのですが、なにせ演出にも問題  があり、盛り上がりのない劇でした。  劇中、いくつか演技ポイントを感じたので、そのシーンについてのコメントです。 1)ブランチの登場  演技よりも立体的なセットが印象的。舞台上に広がるステラの部屋の中。その後  ろにかかる、割れた色ガラスの向こうには駅から続く道があり、前面で演じてい  る人に目をとられながらも、ガラスの向こうを亡霊のように歩く白いドレスを着  たブランチの登場はハッとするほど印象的。そして「欲望という名の電車で来  た」と話す。題名が入っている台詞だからこそ、その部分を強調することなくさ  らりと読みあげるだけで十分印象に残る。出だしは好調だった。 2)ステラの妊娠を聞かされるブランチ  ここは、3通りの演じ方がありますよね。まず、『さらりと流してしまう方法』  これは面白くもなんともない。『妊娠を幸せの象徴としてとらえ、妹の幸せと自  分の不孝を比べてショックを受けるブランチ』、その逆に、粗野なスタンレーと  の生活に同情しているブランチにとっては、妊娠してしまった妹を強く同情して  しまうという解釈。  結局さらりと流されました。印象薄い演技です。細かい感情の変化が感じられな  いし、ブランチを始めみんながいつもテンションが高いだけの演技ではつまらな  いですよね。 3)ドレスの背中のボタンをしめてもらうシーン  ここもさらりと流されました。ほんの一瞬、見逃しそうなほど一瞬のブランチと  スタンレーの態度の変化がありますが、結局その後の激しい動きに飲みこまれて  しまう。印象が残りにくいよ。 4)入院の為につれていかれるブランチと悲しむステラ  言わずと知れたエンディングです。ステラの悲しみ、ブランチの悲しみ。奥行き  のあるセットが雰囲気を十分だしていただけに、演技がセットに飲み込まれたよ  うでした。演技しなくてもセットが物語るほど。演技と演出の歯車がかみ合わな  いようで、残念。  私には、「舞台の演技はオーバーアクションだ」という先入観があるのですが、  今回の舞台でもそれを実感しました。意図的に演じているからには演出家と役者  の問題ですし、映画でもわざと派手な身振りで演じることがあります。演じない  事を主題とした舞台もあるのですから、舞台だからという訳ではなく、「そのよ  うに演じているから」という事が重要です。それをおおげさだと感じれば、評価  はマイナス・ポイントにすべきですね。もうすこし普通に演じてほしい。                                 立野 浩超 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ ┏━┓                       I N F O R M A T I O N ┃i┃登録・解除・お問い合わせなどについて ┗━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◇◇星(★)の意味___________________________◇ ◇   このメールマガジンで表示されている星は5つが最高で、1つが最低です。 ◇◇メールアドレス変更・解除______________________◇ ◇   このメールマガジンの購読解除は、ご登録された発行元のホームページより出   来ます。こちらでの作業は一切しておりません。   まぐまぐ   (http://rap.tegami.com/mag2/m/0000007585.htm)   マッキー!  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QT MAI               吉田 浩二 ◇◇ScreenKissについて_________________________◇ ◇   映画に関して、「人物」「作品」「映画祭」「制作」と言った観点から紹介・   論評するメールマガジンです。   Copyrights(C), 1998-2000 ScreenKiss  掲載された記事はいかなる形式であれ許可なく転載は禁じられています。 ┼                                   ┼

ScreenKiss Vol.180

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>☆ C O N T E N T S ☆−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−☆<   □東京国際映画祭『弱虫』記者会見   □福原進監督に聞くモントリオール国際映画祭   □香港映画祭『12夜』   □イラン映画最新情報第3回   □アルメイダ劇場公演レポート >☆−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−☆S_c_r_e_e_n_K_i_s_s☆< >>☆1☆「弱虫(チンピラ)」記者会見☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     2000年/109min/カラー/ビスタサイズ     監督:望月六郎     出演:北村一輝、星遥子、田口トモロヲ、宮前希依     www.groove.jp/grv/movie     第13回東京国際映画祭:ニッポン・シネマ・ナウ     11月11日〜新宿トーアにて公開(順次全国公開) ストーリー  月島組子分のチンピラ、北爪修と彼を支える有美。内部の均衡と敵対する組との  抗争で揺れる月島組だったが、そんな中、修が助けた女は組長の愛人、景子だっ  た。景子を救いたい気持ちと、組の義理との狭間に悩む修・・・。  記者会見出席者:望月六郎監督、北村一輝、星遥子、田口トモロヲ、宮前希依  立原あゆみの漫画が原作という事で、最初から「絵」で表現されている事がイ  メージの固定に繋がるのでは?という質問に監督も出演者も否定的だったのがま  ず印象的だった。  特に漫画という事を知らなかった主演の北村氏は、一応原作も読んでみたあとで  の役づくりを以下のように述べた。「原則的に脚本と原作は別物と考えている。  あまりメリハリがない感じがしたので、とても難しかったが修という人間を群集  の一人として捉えてみた。弱虫というタイトルではあるが、実は彼は命の限りを  知っている事からくるクールさがあるようで、ある意味強い人間なのではない  か、という風に演じてみた」  これまでもヤクザものを多く手掛けてきた監督だが、今回はいかにもなヤクザで  はなく、同世代的な感覚を求めたという。そこで修の兄貴分を演じた田口トモロ  ヲも「ソフトなヤクザではあるけれど、ある意味エキセントリックな」役づくり  をしたそうだ。  修を大きな愛で包む恋人、有美役の星遥子は有美を「自己主張をしない大人の女  性」として理想の女性的に捉えたという。また、今作品がデビューとなる宮前希  依は今回の経験で「勉強になり、今後も女優としてやって行きたいという欲が出  てきた」そう。ちなみに芸名は、監督が中華料理を食べている時に命名したと  か。 最後に監督からのメッセージ。  「ヤクザ映画というより、これは女性で稼いでいる情けない男の世界。修の役は  セクシーな匂いのする北村さんに是非演じて貰いたかった。この映画で彼がセク  シーに見えれば成功だったと思う。宣伝文句は『出来れば修に抱かれたい』で  す。」  茶髪の監督と、その隣で照れくさそうに微笑む北村氏がなかなかホノボノしてい  たひとこまでした。                                 鳥野 韻子 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆2☆福原進監督に聞くモントリオール国際映画祭☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛  8月25日〜9月4日、カナダのモントリオールで国際映画祭が開催された。今回、初  の長編映画を手掛け、この映画祭に参加された福原監督に、映画祭のお話を伺っ  て来た。(www.ffm-montral.org)  福原監督の出品作品は『いのちの海』(2001年春公開)。帚木蓬生原作の(原作  は「閉鎖病棟」)映画化だ。重い過去を引き摺りながら身を寄せ合うように暮ら  す、精神病院の話だが、暗くなりがちなテーマにヒューマンな笑いやミステリー  的要素を巧みに織りまぜた秀作。  福原監督は博覧会等イベントの映像、「大英博物館」「日本の名宝」等TV番組を  始め「生命の水」「美しきテナーの響き」等の記録短篇文化映画など数多く手掛  けてきたベテラン。「お堅い」イメージのタイトルだが、ご本人は物腰の穏やか  な紳士。映画祭では作務衣や着物で通し、ひときわ目を引いていたようだ。  今作品は10のジャンルのうち、「World Cinema:Reflections of Our Time」部門  に出品、後半9月1日~4日の4日間4回の上映がなされた。毎回劇場や時間を変え  ての上映だが、ラストの上映は丁度コンペの表彰式の時間帯だったにもかかわら  ず、満席となったそうだ。カナダという土地柄、様々な人種の観客から上映後に  感動の言葉を寄せられ嬉しかったとか。  映画祭はメイン会場の他、幾つかのシネコンを使用して上映が行われるが、総本  数はかなりの数に及ぶ。しかし、各会場は比較的近接しているので移動は楽。一  般の入場料は約700円ほどだそうだ。また、監督のような関係者は皆同じホテルに  宿泊しているので、連絡通達には便利だったそうだ。  今回、日本映画は別ジャンルで『カラフル』(中原俊監督)、『御法度』(大島  渚監督)、『独立少年合唱団』(緒方明監督)、また新藤兼人監督特集などが上  映されている。  今年の審査委員長はアッバス・キアロスタミ監督。審査員はポルトガル、フラン  ス、カナダ、ニュージーランド、オーストラリアからの監督や女優で構成されて  いる。グランプリはフランス映画祭でも上映されたアニエス・ジャウイ監督の  『他人の味』(モLE GOUT DES AUTRESモ)とオーストラリア、ポール・コックス  監督の“INNOCENCE”。  福原監督から見たこの映画祭のイメージは、「全体的に現在各国が直面している  問題を取り上げたような、社会派の作品が多い」。商業主義的な要素よりもむし  ろ、そうした質の高い作品を選んでいるようだという。『いのちの海』が出品作  に選ばれたのも、そんな硬派なところが映画祭のカラーに合っていたのかもしれ  ない。  ほぼ1週間ほどの滞在で慌ただしいものだったようだが、それなりに刺激を受け  て帰国されたよう。『いのちの海』は地元の日本語新聞「日加タイムス」にも取  り上げられた。なお、初々しい主役の上良早紀さんは現在土曜日TBS系「王様のブ  ランチ」にレギュラー出演中なので要チェック。  お話を伺っているうちに、監督は大のクラシック音楽のファンである事が判明。  これまでの仕事の中でもクラシカルビデオシリーズの、ヨハン・シュトラウスや  モーツアルトといった音楽ビデオも手掛けられている。『いのちの海』は  「元々、帚木蓬生氏の大ファンだったから」という事だったが、「一生に1度は  絶対、クラシック音楽に関連した映画を撮ってみたいですね」との事。既にいい  ネタはお持ちのようで、次回作も今から楽しみだ。                                 鳥野 韻子 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆3☆香港映画祭『12夜』☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     Twelve Night      2000年/91min/カラー     www.hkta.org/japan/film/     監督:オーブリー ・ラム     出演:セシリア ・チャン、イーソン・チャン     第13回東京国際映画祭協賛企画・香港映画祭  クリスマスソングが流れる中、友人達と誕生日を祝うジーン。恋人ジョニーの浮  気を耳にした彼女は彼に別れを告げ、その夜家まで送ってくれたアランとベッド  イン。熱々の2人だったが、そのうち何故かすきま風。売り言葉に買い言葉的別  れをしたものの、ジーンの心はズタズタ。また誕生日が巡ってきて・・・。  「恋の病は熱が冷めれば自然に治る」「恋する者達だけが運命の出会いだと思っ  ている」「恋する者は御用心。正気を失っている」・・・心当たりのある人はこ  の映画を見ましょう。これは12のチャプターについている粋なタイトルなので  す。  別れ話は何故かコンビニが舞台で、主人公達はとてもトレンディだけど、恋愛は  今も昔も変わらない。追えば逃げ、心を探れば疑心暗鬼。ほんの少しのズレが  段々大きくなっていき、ついに破局。でもそうなってみると往生際が悪かった  り、逆に何故こんなに夢中になったのかと妙に白けてしまったり。  ただ、上のタイトルの続きがちょっと面白い。「男の威厳はありとあらゆるとこ  ろに現れる」「女の威厳はルックスで決まる」・・ちょっとアジアな感覚でしょ  うか。しかし、アランが休暇にジーンと旅行に行くくだりで、何度も「休暇に旅  行に行くなんて」と嘆いているのがよく理解出来なかった。香港の人って休暇に  旅行しないのでしょうか?  セシリア・チャンは癖のない美形。ノリのいいポップスや、可愛いピアノ混ぜた  りと音楽のセンスもなかなかいい。  協賛企画としての香港映画祭も今日(10/28)から開幕。文化村ギャラリーでは、  香港映画の助監督、スチールカメラマンとして活躍中の木星氏の写真展が開催さ  れている。題して「香港映画人の肖像」。レスリー・チャン、アーロン・クォッ  ク、ケリー・チャンなどの撮影合間の素顔が覗けます。香港映画ファンには是非  お薦め(11/5まで)。                                 鳥野 韻子 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆4☆イラン映画最新情報第3回☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛  第3回目はちょっと力の入った記事になりました。イランという国を少しでも理解  してもらえればうれしいですね。  Shokaran  監督:Behrouz Afkhami  A nurse; Hediya Tehrani has played in this role. I do not know the exact  meaning of title in English. But in dictionary it was a Hemlock. The  story is about a married man, who has children. He met a sin gle nurse  through some events, and fell in love with her. They have illegal r  elations for a limited period. It was the first time that we had such a  film after the revolution in Iran.  The film was faced with high objection of nurses in Tehran. They  demonstrated, and appeal that the film has insulted the entire nurse.  But the director sa id in an interview that the film just shows a social  problem.  It was not real story but a very technical film. In Iran we have  censorship f or films. So we could not understand the film completely,  because they censor ed this film. We know the directors was forced and  limited to make the films in special fields. They are not free in  choosing the subject and making it. We hope you can see in spite of  these limitations.  By L.J. __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆5☆アルメイダ劇場公演レポート☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛  http://www.horipro.co.jp/(Screen kiss Vol.176参照)  時代背景も、その役柄も全く異なる『リチャード二世』と『コリオレイナス』。  しかし、どちらのヒーローも自己中心が孤独と身の破滅をもたらしてしまう点が  共通していて、演出のJ・ケントの言う「双子のような作品」というのが理解出来  る。  ただ、どちらも頂点を極めた者であるものの、一方はある意味デリケートで優美  な王様、他方は怒りと名誉欲をエネルギーにしているような戦士、と性格は大き  く異なる。言い変えれば、それぞれの素質が権力と結びついた為に起こった悲劇  かもしれない。  全て同じキャストでの公演(しかもマチネとソワレで演目が異なる日もある)  で、俳優の力量は相当のものだ。息子の運命を握る点で、ある意味共通して母親  が影の主役とも言えそうだが、両方を演じたバーバラ・シェフォードは特に印象  深かった。  シェイクスピアの悲劇作品とされながら、今回の演出では何故か笑いを誘われ  る。あまりにマザコンな戦士と、あまりの馬鹿殿。特に後者は歴代の『リチャー  ド二世』の中でもかなり女々しくコミカルだそうで、これはレイフのアイデアだ  とか。刺繍入りの白いロングコートに身を包み、優雅な仕種と丁寧な言葉遣いの  大人子供。舌を突き出し、唇をひん曲げて我侭を通す。こんなレイフは舞台でし  か見られない。  英語版のパンフレットの表紙は一見同一人物のようで、実は横顔のライナス・  ローチと正面右だけのレイフ。背丈もほぼ同じ。(勿論別個に見れば全然違う  し、役ではライナスは髭を生やしている)各々の作品で敵同志だが、実は派手に  振る舞うレイフに対し、冷静にして着々とその地位を狙う立場がライナス・・と  常に表裏一体の立場と言える。この2人のキャスティングの効果は絶妙だ。  『リチャード二世』では一面の本物の芝を敷き詰め、奥には果実の実った樹木を  配した華やかな第一部に対し、第二部では彼のその後の運命を暗示するかのよう  に、中央の芝は枯れ葉散る土に変わって樹木も枝だけ。一方『コリオレイナス』  では中央をガラスにして無機質な感覚・・・とモダンな舞台作り。加えて渋い色  調をベースとした衣装。低音のヴォーカルを主にした前者と、効果音中心の後  者。椅子を巧く使用した小道具も見逃せない。  これらの作品は日本ではあまり上演される事が少ない上に、当然ながら全編英  語。しかも原文のままだから耳が馴染むまでが結構大変だった。そこで、英国王  室の系図と原本をスピード学習の上2度目にトライしてみたところ、かなり理解  出来ました。イヤホンガイドに頼って、折角の彼等の生の声を聞き逃してしまう  なんて勿体無い。また同じ演目でも上演毎に微妙に印象が異なっていたのも舞台  の醍醐味だ。  たまたま、楽屋を出てきたライナス・ローチに出会った。たちまちファンに囲ま  れた彼はとても気さくにサインや写真撮影に応じ、好感度アップ!しかもさっさ  と車でお帰りかと思いきや「地下鉄で帰る」。(他の役者さんもほとんど地下鉄  組)  舞台では衣装の為かがっちりと見えた彼も、実際はとてもスリムで、優しいブ  ルーの瞳が魅力的。とてもカッチーン!と凄まじい音をたててレイフ相手に闘っ  ていた(『コリオレイナス』)本人と思えません。そう言えば『リチャード二  世』で彼が神に向かって手を合わせる度に、ふと『司祭』を思い出してしまった  のは私だけでしょうか?                                 鳥野 韻子 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ ┏━┓                       I N F O R M A T I O N ┃i┃登録・解除・お問い合わせなどについて ┗━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◇◇星(★)の意味___________________________◇ ◇   このメールマガジンで表示されている星は5つが最高で、1つが最低です。 ◇◇メールアドレス変更・解除______________________◇ ◇   このメールマガジンの購読解除は、ご登録された発行元のホームページより出   来ます。こちらでの作業は一切しておりません。   まぐまぐ   (http://rap.tegami.com/mag2/m/0000007585.htm)   マッキー!  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QT MAI               吉田 浩二 ◇◇ScreenKissについて_________________________◇ ◇   映画に関して、「人物」「作品」「映画祭」「制作」と言った観点から紹介・   論評するメールマガジンです。   Copyrights(C), 1998-2000 ScreenKiss  掲載された記事はいかなる形式であれ許可なく転載は禁じられています。 ┼                                   ┼

ScreenKiss Vol.179

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>☆ C O N T E N T S ☆−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−☆<   □イラン映画最新情報第2回   □X−メン   □ことの終わり >☆−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−☆S_c_r_e_e_n_K_i_s_s☆< >>☆1☆イラン映画最新情報第2回☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛  前回に引き続き、現地の生の情報です。  The Red  監督:Fereydoun Jeirani  The actors: Mohamad Reza Foroutan and the actress: Hediye Tehrani This  film had been the best seller in Iran last year. Both of them became fam  ous through playing in The Red, because they play good and also they are  attra ctive, especially Hediye. Now, Masoud Kimiai, very famous  director, is going to make a film with them. It would be cinematized and  produced in the U.S.A. It is very good chance for them and director.  By L.J. __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆2☆X−メン☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     X-men     ★★★     2000年/アメリカ/104分/シネスコ     監督:ブライアン・シンガー     撮影:ニュートン・トーマス・サイゲル     出演:ヒュー・ジャックマン、パトリック・スチュワート、        イアン・マッケラン  アメリカンコミックの映画化であるこの作品。  話自体は、いたって単純で分かりやすい。そして、映像がなかなかクールで、と  にかくカッコ良く見せる。前半から中盤にかけては結構繊細ないい雰囲気があっ  て好きなのですが、後半ラストでとっても大味で迫力のない戦闘シーンになって  しまって残念。あと、X-men側の女性2人はとても綺麗で魅力的。逆に、ヘルメッ  ト姿のイアン・マッケラン、カッコ悪くて間抜けです。                                  ユタカ __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆3☆ことの終わり☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     The End Of The Affaire     1999年/イギリス/101min/カラー/1:1.85ヴィスタサイズ     監督・脚色:ニール ・ジョーダン     出演:レイフ ・ファインズ、ジュリアン・ムーア、スティーブン・レイ     英アカデミー賞脚色賞     http://www.spe.co.jp  1946年、作家のベンドリックスはヘンリーと再会する。2年前、彼の妻サラとは  愛人関係にあったが、ヘンリ−は今も彼女は誰かと浮気しているようだと悩んで  いた。自分を捨てたサラへの憎しみからベンドリックスは調査を開始する。そし  て彼女の日記を手に入れた時、その謎が解明する。が、サラには死期が迫ってい  た・・。  『第三の男』で有名なグレアム・グリーンの、今作品における“第三の男”(観  た人は口外してはいけないのだそうです)。タイトルから不倫のメロドラマと思  いきや、どうして奥が深い。英国におけるカトリックと国教会、アガペーとエ  ロース、奇跡と信仰・・といった、むしろミッションスクールで教材にでも出来  そうな位、きわめて宗教的な作品なのだ。サラというネーミングも聖書の女性を  彷佛とさせてしまう。  とは言うものの、狂おしいベッドシーンのみならず、その視線(それは諦めと嫉  妬の混じったヘンリーのものも含めて・・Sレイの抑えた演技が巧い)、指先にま  でレトロで洗練したセクシーさが漲っている。教会や室内の薄明かりに照らされ  た髪、柔らかなシーツ、光を含むカーテン、仕立てのいい服、そして雨・・そう  した小道具がロマンチックなムードを更に引き立てる。マイケル・ナイマンの音  楽も秀逸。  狂言回し的な探偵もいい。彼の推理はいつも的はずれだが、三面記事的な基準  だ。が、ラストで彼の息子に奇跡を見た時、この男でさえ、宗教的な覚醒を感じ  てしまう。無神論者で嫉妬深いベンドリックスまで。そして本来は互いに反目す  る立場のヘンリーとベンドリックスにも友情が生まれる。ミステリアスな女性、  サラを聖女にまで高めたのは作家の願いか・・。  映画を見る前、舞台の『コリオレイナス』で生レイフを堪能してきたばかりの  私。モダーンな衣装のローマ戦士(ロングコートにパンツ)もなかなかだけど、  映画の正統派イギリス紳士はやはり決まっていた。それにしても上半身にサスペ  ンダーだけを付け、髭を剃りながら探偵に応対するシーンでは、鏡に写る前面と  その後ろ姿とを同時に見られ、意外と逞しいその姿は本当にセクシーです。                                 鳥野 韻子 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ ┏━┓                       I N F O R M A T I O N ┃i┃登録・解除・お問い合わせなどについて ┗━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◇◇星(★)の意味___________________________◇ ◇   このメールマガジンで表示されている星は5つが最高で、1つが最低です。 ◇◇メールアドレス変更・解除______________________◇ ◇   このメールマガジンの購読解除は、ご登録された発行元のホームページより出   来ます。こちらでの作業は一切しておりません。   まぐまぐ   (http://rap.tegami.com/mag2/m/0000007585.htm)   マッキー!  (http://macky.nifty.ne.jp/servlet/FreeMailServlet/           mail_backnum?freemail_id=412)   メルポット  (http://melpot.net-planning.co.jp/) ID:0000000008   ココデメール (http://mail.cocode.ne.jp/) ID:0200300007   ClickIncome  (http://clickincome.net/mg_lt/mag/m00000031.html)   Pubzine (http://www.pubzine.com/detail.asp?id=1547)   emaga (http://www.emaga.com/music/intro/film.html) ◇◇サービス______________________________◇ ◇   ホームページでは過去に記事を参照できるようになっています。   http://www.ScreenKiss.com/   Backnumber.toを利用したバックナンバー再送信サービスもあります。   http://backnumber.to/list.asp?userid=10007585 ◇◇広告募集______________________________◇ ◇   ScreenKissでは、広告を募集しております。   詳しくは、[email protected]へ ◇◇協力・提携_____________________________◇ ◇   AntenneFrance(http://www.antennefrance.com/) ◇◇お問い合わせ____________________________◇ ◇   色々な情報やアイディアや感想などありましたら下記のアドレスまで投稿をお   願いします。そのほか編集に協力して下さる方も募集しています。   mailto:[email protected] ◇◇スタッフ______________________________◇ ◇   【編集長】      【記事執筆】      【ヨーロッパ支局】    中津川 昌弘     鳥野 韻子       hana               立野 浩超               ゆたか               MS. QT MAI               吉田 浩二 ◇◇ScreenKissについて_________________________◇ ◇   映画に関して、「人物」「作品」「映画祭」「制作」と言った観点から紹介・   論評するメールマガジンです。   Copyrights(C), 1998-2000 ScreenKiss  掲載された記事はいかなる形式であれ許可なく転載は禁じられています。 ┼                                   ┼

ScreenKiss Vol.178

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>☆ C O N T E N T S ☆−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−☆<   □イラン映画最新情報第1回   □ウカマウ集団に聞く   □ペパーミント・キャンディ   □ことの終わり   □カノン >☆−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−☆S_c_r_e_e_n_K_i_s_s☆< >>☆1☆イラン映画最新情報第1回☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛  イランに暮らす女性Ms. L. J.から生の最新情報を、英文のままお届けします。イ  ラン映画が好きな方もそうでない方にもぜひ読んでいただきたい、ちょっと貴重  でスクリーンキスらしい記事です。英語を勉強している彼女が分かりやすい(分  かりにくい?)簡単な表現で書きます。英語の苦手な方もちょっと読んでみてく  ださい。反響によっては翻訳をつけますから、ご意見・ご感想はお気軽にメール  でどうぞ。  Red Band  監督:Ebrahim Hatami Kia  The story happens in war worn areas. A woman has not left her ruined  house. This brave woman defenses her properties against others. In this  way two men appear in her life. Both of them have different  personalities. They felt in love with her. They do heroic tasks to show  their real love. The story is co mpletely different from the war films.   It is really soft. Finally, you canno t see the woman will choose which  one? You should use your imagination. By L.J. __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆2☆ウカマウ集団に聞く☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛  アテネ・フランセ文化センター 10月14日  「コンドルの血」「鳥の歌」2本の上映、ホルヘ・サンヒネス監督ティーチイン  この「ウカマウ」という名前、知っている方が少ないでしょうから簡単に説明し  ます。60年代よりボリビア、ペルー、エクアドルなどのアンデス先住民(イン  ディオ)を描いた映画を撮り、差別撤廃や民族の文化を色濃く表現した映画を撮  りつづけている集団。時には国内政権に対して、時にはアメリカ政府や多国籍企  業に向かって明確なメッセージ(主張)を送りつづけている。  今回見逃した方にも朗報です。12月16日より、東京のシネマ下北沢にて「ウカマ  ウ集団の軌跡」と題した特集上映。全作品(長編8本、短編2本)が上映されま  す。  http://www.cinekita.co.jp  さて、この日上映された2本を簡単に紹介しよう。  コンドルの血  ★★☆☆☆  69年/白黒/82分  アンデスの村に平和部隊のアメリカ人が怪しげな病院を建てた。そこでは村人に  知らされることなく多産の女性に不妊手術を施していた。コカの葉占いでそれを  知った村人は、アメリカ人に復讐する。  しかしその事件で警察は村の男数人を見せしめに虐殺してしまい、瀕死のイグナ  シオは妻パウリーナによって町の弟の所に連れて行かれる。しかし、輸血血液す  ら買えない彼らに治療はなされないまま、死を迎えることに。そして、その怒り  から彼らは銃を手にすることになる。  現実の出来事を題材にし、部隊追放の起因となった作品。映画の持つ力が思う存  分発揮された訳だから、反面独裁政権のプロパガンダ映画の恐ろしさも考えてし  まう。一方、最後のカットが銃を掲げているシーンで終わることから、我々は無  条件に彼らに賛成できなくなってしまう。ただ単に先住民に対するひいき目で作  られているだけではない、監督と集団の方向性を感じる作品。楽しめる映画とは  いえないが、この最後のカットを向かえるまで席は立てない。  鳥の歌  ★★★★☆  95年/100分/カラー/ビスタ  16世紀のスペイン人のアンデス社会征服という歴史を批判的に描こうとする映画  撮影スタッフ。ロケ地に選んだその村では、映画のクライマックスになるはずの  「鳥の歌の祭り」が近づいていたが、スタッフと村人の亀裂も大きなものになっ  てしまい、夜襲までされるはめに。  インディオの為になる映画を作っている自分たちが村人から追い出されるという  事が理解できない監督、アクシデントに見舞われ幻想をみたプロデューサー、イ  ンディオに恋をしてしまったその弟。個人主義ではない調和を重んじる共同体で  ある村人、その1人1人に許可を取ることの必要性をようやく理解し、祭りの撮  影は許されるが、彼らに鳥の歌は聞こえなかった。  町に帰る日、村人から「いままで許可を求めた人などいなかった」という感謝と  ともに村精一杯の贈り物を受け取る。村を後にする彼らの表情からは、村を好き  になれなかった者、理解しかけている者、いまだ差別的な者、そして村を愛した  者がいることが分かる。  夜襲の中、狭い室内で慌てふためくスタッフ。この撮影は臨場感や緊張が持続し  レベルが高い。しかし、景色を捕らえるカメラはうまいとはいえないし、祭りの  シーンも雰囲気がどこか白々しいカットとなっている。  また、撮影スタッフが村に入るやいなや、プロデューサーが差別的な言葉を繰り  返すあたりは、我々から見るとあまりに非常識で、こんな人達が真剣に映画作り  に取り組んでいるのが疑問に感じる。最初は村人に溶け込もうとするシーンがあ  れば話にリズムが生まれるのだが。  イラン映画、キアロスタミ監督が好きな方にはお勧めできる。アフリカ映画と同  様に低予算、少ない機材で奮闘しているようだが、水準はイランの方がずいぶん  高い。この作品には過激な政治的メッセージはない。観客に分かりやすい形で社  会の現実を明らかにするなかで、映画として楽しめるストーリー展開もあり、渋  谷あたりで短館上映しても十分観客動員を見込めるような気がする。  がんばれ、南米。                                 立野 浩超 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆3☆ペパーミント・キャンディ☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     Peppermint candy     1999年/日本・韓国/129min/カラー/35mm     監督:イ ・チャンドン     出演:ソル ・ギョング、ムン・ソリ、キム・ヨジン     2000年韓国・大鐘賞5部門(作品、監督、脚本、新人男優、助演女優)     http://www.uplink.co.jp/     10月21日(土)〜キネカ大森他にてロードショー  40歳で全てを失ったキム・ヨンホ。20年振りに再会した嘗ての工場仲間との河原  での再会・・・そして・・鉄道の高架橋に登り、背後に迫る列車の音と共に彼の  脳裏にはその人生が走馬灯のように甦る。自殺を決意した3日前・・事業での成功  と家庭不和・・拷問をも厭わなかった刑事時代・・新米刑事で結婚したての自  分・・光州事件に遭遇した兵役の頃・・初恋に心ときめいた20年前の同じ河  原・・。  この作品は初の日韓合作映画で、日本では昨年のアジア・フィルムフェスティバ  ルで上映された(Screen Kiss No.71参照)。一人の男の20年間の人生に韓国の歴  史を重ね合わせた、辛く切ない物語。常に彼の心の奥にいる初恋のスニム。彼女  は歴史という大波にもまれる彼を見守る守護神のような存在だ。誰もが思う人生  の「If」・・・。それは時に無意味と言われるが、第二のヨンホにならない為に  もたまには大切な事なのかもしれない。  この8月、監督のイ ・チャンドン氏と主演のソル ・ギョング氏が過密スケジュー  ルの合間に来日した、というのでアテンドをした配給会社アップリンクの野下さ  んからその時のお話を伺ってきた。  彼女は昨年の日本での上映の際に、作品に感動し、主演のソル ・ギョングの演技  に一目惚れして、とうとう公開まで持ち込んだ人。迫真の演技を見せた彼も、素  顔はとてもシャイで、一言で言うと「格好いいけど、可愛い!」のだそう。しか  も実は歌が得意で日本語もかなりOKという。  この作品で大ブレイクした彼は、今は出演オファーが絶えないが(今年の東京国  際映画祭でも『ユリョン』『燃ゆる月』に出演)昨年の来日時、ロビーで大勢の  人からサインを求められるという初めての体験に頭痛がしたそうだ。今回も数誌  の撮影でポーズの要求にとまどっていたとか。しかし178cmに厚い胸板の彼は、な  かなか素敵だったそうな。  さて、監督に「外から見ると砂漠のようだが、内面に豊かな水をたたえているよ  うな人間」とまで言わしめたソル ・ギョングとは・・・。  カメレオンのような彼とはいえ、2人の女性の人生を踏みにじり、冷たい仕打ち  を平気で出来るヨンホ役は性格的に演じていて辛かったという。また、撮影が映  画の順番通りどんどん若返っていく事や、軍隊のシーンは肉体的にも大変だった  ようだ。大学で初めて演技に目覚めたというものの、貪欲さはない。しかし様々  な映画祭に招待された中、カルロヴィ・ヴァイ映画祭で審査員を勤めたアッバ  ス・キアロスタミ監督から「素晴らしい映画」と言われたことがとても嬉しかっ  たそうだ。  一方、イ・チャンドン監督は、教師、小説家などを経て映画界入りしただけに、  とても話が上手だったという。落ち着いた物腰と、真摯な態度に魅せられてつい  インタビューが長引いてしまった事が多々あったとか。  彼は基本的に「人生は美しい」ものだ、という考えから主人公ヨンホの過った人  生選択を打ち出す事で、彼の失った純粋さ、美しさ・・人生の中で大切なも  の・・を表現した。また、彼の人生に関わる二人の女性は、ヨンホの内面を反映  させたのだそうだ。  ヨンホの人生を左右した外的要因としての「光州事件」は、監督自身も精神的に  政治への不信感などの深い影響を受けた事件。事件当時は戒厳令がしかれ、現在  も国防省は詳細を全面開示していないという。  主役の選考にあたっては、オーディションでなく「呼ばれて」来たソル・ギョン  グに、当初あまり好印象を持っていなかったようだ。しかし、ソル・ギョング自  身も言っているように監督は常に彼を「信じる」事で自信を持たせ、彼の持てる  力を引き出した。彼との出会いは「運がよかった」という。  この作品を何度も見ようという、リピート運動まで起こった大成功のあとの、気  になる次回作は今のところ、まだ監督の頭の中。人生におけるファンタジーにつ  いてのものにしたい、という構想だけはあるようだ。                                 鳥野 韻子 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆4☆ことの終わり☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     The End Of The Affair     ★★★★☆     1999年/アメリカ     監督:ニール・ジョーダン     出演:レイフ・ファインズ、ジュリアン・ムーア  隣人の妻と出会うなり一目で恋に落ち、激しい戦火のさなかで情愛をくりひろげ  る小説化のヘンドリック。そして愛しているといいながらある日を境に一切逢瀬  を絶ってしまった女サラ。  彼女には他の男がいるのか?自分とはただの遊びだったのか。嫉妬が高じて探偵  を雇った男が知る真実とは。  劇場に着くなり中年カップルが列をなし、映画が始まるや否や出会ったばかりの  不倫カップルの濃密なラブ・シーンが描かれる。ヤバイ。これって『失楽園』映  画なの??とあくびが出かかったが・・・。  しかしこんな心配も杞憂に終わった。なにせ物語はこの2人の関係が突然終わり、  一体何故?というサスペンスタッチで進行していく。  そしてその謎解きが終わったらおしまいかというと、そうではない。いやそこか  らが新の物語の始まりだったのだとは。  もはやニール・ジョーダン作品には欠かせない、スティーブン・レイ演じる夫が  なんともいい。無口で無表情なのに、そこから妻への情熱、愛がひしひしと滲み  出る様は圧巻。その彼が唯一取り乱すシーンは泣ける。  また、男への真の愛ゆえにただの『情事』を信仰に高めていく人妻、サラを演じ  るジュリアン・ムーアの表情が良い。情愛に溺れる女から、聖母のような顔への  変化が見事。  『隣人』との情事というタブーを犯しながらも、真の神への愛から奇跡が起こる  ラストは『奇跡の海』さながら。『こと(情事)の終わり』というタイトルの意  味について深い!と唸らされる大人のための映画。                                 MS.QT.MAI __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆5☆カノン☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     Seul contre tous     ★★★★★     1998年/フランス/93分/シネスコ     監督、撮影:ギャスパー・ノエ     照明、映像:ドミニク・コリン     出演:フィリップ・ナオン、ブランダン・ルノワール     1998年カンヌ国際映画祭・批評家週間賞  この監督のデビュー作「カルネ」の続編にあたる作品。  まず目を見張るのが映像。荒れた感じの画調で全体に殺伐とした雰囲気を作り出  している。クラッシュズームなる素早い寄りや時折出てくる文字の映像、そして  爆発音にも似た効果音などの視覚効果を駆使しながら、強烈なインパクトと共に  深い印象を残す。  作品自体は、問題作と言われるだけあって確かに際どいシーンが出てはくるもの  の、そういう表面的な映像表現がこの映画では手段であって目的ではないだけ  に、そこに意識を奪われると結構キツい印象になる。愛への障害にモラルをもっ  てきたことで、本質的な愛の部分がより際立ってくるラストは観ていてクリアな  気持ちにさえなった。  でも、考え方次第でやっぱり ATTENTION になってしまうのか?                                  ユタカ __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ ┏━┓                       I N F O R M A T I O N ┃i┃登録・解除・お問い合わせなどについて ┗━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 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QT MAI               吉田 浩二 ◇◇ScreenKissについて_________________________◇ ◇   映画に関して、「人物」「作品」「映画祭」「制作」と言った観点から紹介・   論評するメールマガジンです。   Copyrights(C), 1998-2000 ScreenKiss  掲載された記事はいかなる形式であれ許可なく転載は禁じられています。 ┼                                   ┼