ScreenKiss Vol.202

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>☆ C O N T E N T S ☆−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−☆<   □フランス映画の輝き、イタリア映画の誘惑   □ルアンの歌   ■TOKYO FILMeX特集   □贅沢な骨   □いわゆる親友   □反則王   ■200号記念プレゼント・ScreenKiss映画大賞募集投票受付中    詳しくはVol.200で! >☆−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−☆S_c_r_e_e_n_K_i_s_s☆< >>☆1☆フランス映画の輝き、イタリア映画の誘惑☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     天井桟敷の人々     魂のジュリエッタ/甘い生活     大いなる幻影/素晴らしき放浪者     ミュリエル/ヒロシマモナムール+夜と霧     フレンチ・カンカン/冒険者たち     ベルトルッチの殺し/赤い砂漠     若者のすべて     12月26日(火)〜2月12日(祝)三百人劇場にて順次公開  映画発祥の国フランスと、古代から芸術の国イタリア。そこから生まれた「名  作」がまとめて13本上映される。何れも「21世紀に残したい映画」とでも言えそ  うな作品ばかり。タイトルは知っていても、なかなかスクリーンで見る機会がな  かったという諸兄には嬉しい特集といえよう。しかも今回は全てニュープリント  版で、字幕も刷新、中でも『大いなる幻影』は完全な復元版としては日本初公開  だ。  ・・と偉そうな事を言っている私も勿論、全て見ている訳ではないのでここでは  まずオープニングを飾る『天井桟敷の人々』を解説しておく。NHKなどでは目にタ  コ?が出来る程繰り返し放映しているが、その長さとモノクロという事から大抵  どこかで記憶が途絶えてしまっていた。大昔?某TV局の子供向け番組で「教えて  偉い人」というコーナーがあった(何故か大人のくせに見ていた私)。  このコーナーは「その道にかけては命かけてる」プロなら全部「偉い人」なのだ  が、ここにジャン・ジャック・ベネックスが登場した。「エイガかんとくって何  ですか?」に始まって「おすすめのエイガは何ですか?」の質問に彼は迷わず  『天井桟敷の人々』を挙げたのだ。曰く「大事な事が全部詰まった作品だから、  君たちが大きくなった時に是非見なさい」。以来「映画館でこの映画を見る」が  私の悲願となっていたのだ。  監督はマルセル・カルネ。1945年フランス映画。モノクロ195分。1946年のヴェネ  ツィアで優秀映画賞を受賞している。パリの舞台小屋の人間模様を2部構成で。  パントマイム役者のバチスト(ジャン・ルイ・バロー)と妻で座長の娘ナタリー  (マリア・カザレス)、それにバチストと嘗て恋仲だった美女ガランス(アル  レッティ)の三角関係。  「誰も愛さない絶対の孤独、誰からも愛されない絶対の自由」「あなたは頭だけ  熱く心は冷たい」「古くなったオルゴールは曲は同じだけど音色が変わった  わ」・・人生にお役立ちの台詞がてんこもり。それにしても製作年の1945年とい  えば、日本は敗戦直後で疲弊していた時、海の向こうではこんな凄い映画が出来  ていたなんて・・。  蛇足ながら来年はイタリア年だそうなので、この国から1本挙げれば『若者のす  べて』などは如何なものか。これぞヴィスコンティの手になる美しいアラン・ド  ロンは目の保養になる事請け合い。                                 鳥野 韻子 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆2☆ルアンの歌☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     So Close to Paradise     1998年/中国/90min/カラー/ビスタ     監督・脚本:ワン ・シャオシュアイ     出演:ワン ・トン、シー・ユー、グォ・タオ     www.bitters.co.jp     12月23日(土)よりキネカ大森にて公開  1980年代末の中国。急激な経済成長で田舎から都心への労働力の流出や、町では  売春などが問題化してきている。トンツーは同郷のガオピンを頼って上京し、船  の乗客の荷物運びをしている。ガオピンは彼の面倒をよく見るがヤクザ稼業。ガ  オピンはある日裏切り者を知る女、ルアンに近付くうち彼女と同棲するまでにな  る。が、彼女はヤクザのボスの情婦だった・・・。  「ウサギとカメ」のお話に『ディーバ』で味付けした社会派といったところだろ  うか。「経済成長と問題点」というTV番組が2度にわたって映し出される。物語  の進行役はカメさんのトンツー。こつこつ働けばいつかはまっとうな暮らしが出  来る、と信じる青年。一方ガオピンは一獲千金型。彼がボスの配下に襲われる寸  前トンツーにした警告は「女には気をつけろ」。  彼はとんでもない女に惚れてしまったのだ。このルアンがまた曲者。表向きナイ  トクラブの店で彼女の持ち歌は2つだけ。「狼と小羊」それに「小さな楽園」。  暗い室内でカーリーヘア−をざっくり束ね、後れ毛をライトに照らされながら退  廃的に歌う。ざらついた画面に彼女のルージュが妙にグリッターだ。しかし勝ち  気そうな眼差しが時に寂しさをたたえるのをトンツーは見逃さなかった。  後半で彼女がパクられた時「更正」の名のもとにその「可哀相な生い立ち」を教  材として一般公開?させられる。その時の彼女はただの「女の子」だ。そして出  所後には髪もストレートにし、ざっくりした洋服でトンツーの前に登場する。主  人公3人の(ってガオピンはあの世で?)再出発。そこで流れる「小さな楽  園」。・・あなたが私に残したものは、散らかった紙切れ。あなたの楽園で、私  のこの歌を聴いて・・・。なかなか憎い演出である。  フィルムノワール的要素あり、ラブストーリーあり、ドキュメンタリー的カメラ  ワークあり、で気の抜けない90分だ。                                 鳥野 韻子 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆3☆贅沢な骨☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     Torch Song     2000年/日本/107min/カラー/35mm     監督:行定勲     出演:永瀬正敏、麻生久実子、つぐみ     TOKYO FILMeX・コンペ作品     2001年夏テアトル新宿にてレイトショー公開  コールガールのミヤコ。その同居人のサキコ。ミヤコは少し前から咽に小骨が刺  さったような痛みがある。彼女の客として出会った新谷。不感症だと思っていた  彼女は初めて別の感情を彼に抱くようになり、そのうち3人の風変わりな関係が  築かれていくが・・。  何かこう、五感に訴えるような作品だ。物語のそこ、ここで流される「トーチソ  ング」。最初はギターでメロディラインを、そして話の内容が進むにつれヴォー  カルが入り歌詞がシンクロしていく。そこへ嵐、雷、風といった自然音、花火や  ディスコなどの人工的な音・・。  ミヤコのぱくぱくした呼吸の動きと金魚の口。新谷の白いシャツとサキコの青い  トレーナー。ミヤコのキャミソールドレスと夏の風にそよぐカーテン。新谷とミ  ヤコの情熱的なセックス。  サキコを愛するあまり自分と同じ体験を共有したいと思いながら、一方で新谷を  独占したいという狭間に揺れるミヤコ。ミヤコを愛していながら新谷との関係を  見るにつけ、自分は邪魔者だと悩むサキコ。それはまた彼女の原体験・・実父に  「穢い」といわれ、後妻と馴染めなかった自分・・を思い出させた。こんな2人  の間で、自分が彼等の関係を変化させていると気付く新谷。  全員が善意なのに何故か傷つけ合ってしまう。ミヤコの咽には小骨など刺さって  はいなかった。こうした心の痛みが咽の痛みとして表面に出ていたのかもしれな  い。一種のパニック症候群の兆候ではあったが、とすればミヤコの死因は何だっ  たのだろう。「人間は皆汚いんだ」・・そう呟きながらサキコを抱いた新谷は、  もしかして2人の中に同じ苦しみを見、身体は別でも同じ人間を抱いていたのか  もしれない。  ミヤコの咽の骨を拾うサキコのラストシーン。ミヤコが永遠に彼女の心に染み付  いた一瞬。哀しいはずのシーンがどこか爽やかな感情を残して幕となる、不思議  なエンディングだ。                                 鳥野 韻子 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆4☆いわゆる親友☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     So-Called Friends     2000年/香港/90min/カラー/35mm     監督・脚本:タイ・タイロン、リェン・チンホァ     出演: リン・チャン、ホァン・レイ、ワン・チンソン、タイ・タイロン     TOKYO FILMeX・コンペ作品  台湾からやってきたTVのアシスタントカメラマンのリン。北京で万里の長城の撮  影も仕事だったが、解雇された上に身分証明書を紛失し、再発行迄友人のチョウ  の実家に転がり込む。チョウは先祖伝来の?宮廷の時計を高値で売り2人で事業  を興す算段だったが、ひょんな事から借金を抱えてしまう。競技用の鳩を売ろう  と買い手の要求に応じて鳩をウルムチ迄飛ばすが戻ってこない・・・  台湾は今年、蒋介石以来の大変革を迎えて世界的にも注目を集めたが、これは永  年の課題である台湾の存在・・中国の一部か、統一国家か・・について真っ向か  ら取り上げた作品。冒頭の中国人と台湾人の会話。  中国人「台湾は統一国家の方がいいよ。折角遠くから来てまだ中国だったら海外  旅行の気分になれないもの」  台湾人「台湾は中国の一部がいい。国内旅行の代金で行けるから節約になる」  監督は2人とも台湾人だが「生活感を出す為に言葉の違いを出してみた。実は北  京には色々な方言が行き交っていて、意外と国際的な都市だという事を知らない  人が多い」そうで、主人公達の会話にも学校で台湾も中国も互いに相手を「貧し  い国」と教えられていたりする意外な誤解が描かれていて面白かった。  主役の2人も台湾と中国の出身。歌手のリン・チャンは寡黙で「日本人的なイ  メージ」。中国の俳優ホァン・レイは監督の留学時のクラスメイトで、中国での  生活経験を生かして起用した。それにレイのようなアイドルと仕事をしたかった  監督の希望もあるとか。2人の相性もよかったというから、主人公そのまんま  だった訳だ。  この2人をトラブルに巻き込む男の存在が可笑しい。さながら坊さんのバック  パッカー然としているが、平気で他人の身分証や車を拝借する。台湾が中国の一  部になったらこうしたいかがわしい人物も増加するかもしれない。ラストは互い  に新天地を求めて台湾に向かう2人の姿。「台湾と中国だけの問題でなく世界中  の問題として描きたかった」というのはこの辺りにも出ているのだろう。  デイリーニュースで「中国政府の検閲で苦労した」と掲載されていたが、通過す  る為にどこか変更を余儀なくされたりしたのだろうか?                                 鳥野 韻子 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆5☆反則王☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     The Foul King     2000年/韓国/112min/カラー/35mm     監督:キム・ジウン     出演: ソン・カンホ、チャン・ジンヨン     TOKYO FILMeX・特別招待作品  父と2人暮らしのデホは親も認める?ダメ息子。勤務先の銀行では契約数はゼロ  で遅刻の常習犯。ある時上司からふいにかけられたヘッドロックの恐怖から、レ  スリング道場へ。館長はデホが憧れていた嘗てのウルトラタイガーマスク。彼は  興業主から、反則王を使った八百長試合を持ちかけれてデホをその役に訓練す  る。こちらの成果は上がってきても勤務先では相変わらずのダメぶり。そして試  合の日・・。  韓国で今年の上半期大ヒットしたという話題作。劇画風のアクションと、先の読  める笑いなのに、これが結構可笑しい。本人は一生懸命なのに何故か全て裏目に  出る・・ダメ男なのにどこか憎めない奴。デホ的な奴は会社に必ず存在している  筈だ。本当は全支店中契約数では最下位なのに、辞職を迫られるのは何故か彼で  はなくブービー。ダメな奴と知りつつ手放さない上岡龍太郎みたいな上司も面白  い。  仕掛けの詰まった筋肉マン風コスチュームも可笑しいが、マスクを着けると人格  が変わるところはまさに『マスク』。冴えないダメ男もリングに立てば、反則と  いうブラックな役割ながら人々の注目の的だ。誰もが持っている変身願望を体現  している。が、好きな人にはこの手は通じなかったのが味噌。館長の娘がほんの  り彼に心を寄せているようだが鈍い彼は気付かない。ちょっと韓国版『Shall We  Dance?』か。  この作品で登場する女性達は皆一様に可愛い。中でもどうしてこの親で?と思え  るのが館長の娘。対して男性陣は、何故か皆ぱっとしない。冴えない代表のデホ  だがリングでの粘りようは大仁田厚。「やれば出来る」の自信がついた彼はこの  先も二足の草鞋を履き続けるのだろうか?  「ゲラゲラ笑えると同時にぐっと胸に迫る状況を作ろうとしました」という監督  の狙いは的中。同時に、日常での社会的反則行為・・権力によるものだったり、  犯罪であったり・・と、明らかに金銭的理由でのみ行われるリング上の反則行為  の比較というテーマも明確だ。                                 鳥野 韻子 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ ┏━┓                       I N F O R M A T I O N ┃i┃登録・解除・お問い合わせなどについて ┗━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◇◇星(★)の意味___________________________◇ ◇   このメールマガジンで表示されている星は5つが最高で、1つが最低です。 ◇◇メールアドレス変更・解除______________________◇ ◇   このメールマガジンの購読解除は、ご登録された発行元のホームページより出   来ます。こちらでの作業は一切しておりません。   まぐまぐ   (http://rap.tegami.com/mag2/m/0000007585.htm)   Pubzine (http://www.pubzine.com/detail.asp?id=1547)   Melma     (http://www.melma.com/mag/31/m00000031/)   マッキー!  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QT MAI               吉田 浩二 ◇◇ScreenKissについて_________________________◇ ◇   映画に関して、「人物」「作品」「映画祭」「制作」と言った観点から紹介・   論評するメールマガジンです。   Copyrights(C), 1998-2000 ScreenKiss  掲載された記事はいかなる形式であれ許可なく転載は禁じられています。 ┼                                   ┼

ScreenKiss Vol.201

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>☆ C O N T E N T S ☆−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−☆<   ■TOKYO FILMeX特集   □井戸(The Well)/ 蜂の飛行(The Flight of the Bee)   □ジョメー   □ジュリエット・イン・ラブ   □ただいま   □天上の恋歌   ■200号記念プレゼント・ScreenKiss映画大賞募集投票受付中    詳しくはVol.200で! >☆−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−☆S_c_r_e_e_n_K_i_s_s☆< >>☆1☆井戸 / 蜂の飛行☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛  □井戸(The Well)     2000年/タジキスタン/48min/モノクロ/35mm     監督:ジャムシェド・ウスモノフ     出演: タゴイムロド・ロジク、グルチェブラ・ナイモヴァ  □蜂の飛行(The Flight of the Bee)     1998年/タジキスタン・韓国/88min/モノクロ/35mm     監督:ジャムシェド・ウスモノフ、ミン・ビョンフン     出演: ムハマッド・ジョディ     TOKYO FILMeX・特別招待作品  牛の世話に明け暮れる毋と、日がな一日ヴァイオリンを弾いている父。少年は水  汲みの重労働に辟易し家出を宣言。父は井戸掘を始めるが水は一向に出ない。し  かも大きな岩が邪魔をしていて掘り進む事もままならない。手伝いと引き換えに  牛を殺してラジカセを買って貰える約束だった少年は遂に牛を殺してしまう。  (井戸)  貧しい小学校教師の隣家の金持ち男。境界にトイレを設置し教師の妻を覗き見す  る。教師は村長に相談するが無視され、村長宅の隣家を買い取り境界に公衆トイ  レを掘り始める。村長は権力を傘に応戦し、教師は疲労で倒れる。が、回復後穴  を見に行くと、そこに湧水を発見する。(蜂の飛行)  製作年代は逆だが、上記の順番で連作になっている。前者は製作途中にソ連が崩  壊し、未完になっていたのを今年ヨーロッパファンドで完成させた。同じモノク  ロながら後者はややセピアっぽい色調だ。先生、穴、水、馬、一人息子、永年連  れ添っていながら夫に無視されていると感じる妻、古くからの言い伝え・・2作  に共通するキーワードである。  どちらも穴掘りに夢中になって、当初の目的を忘れるところは何だか安倍公房の  『砂の女』みたいだし、闇が怖くて一人でトイレに行けない息子や、母親の語る  迷信などは『日本昔話』みたいで可笑しい。特に『蜂の飛行』の由来である物語  は、老親を捨てる命令に背いて親を隠しながら戦争に赴いた息子が、蜂の性質を  知る父の知恵で兵隊を助けた・・というものだが、日本の姥捨て伝説にそっくり  だ。  蜂が水を求めて飛行する性質・・これがそのまま2つの物語の中心に据えられて  いる。生きるために必要なものは水だけでなく、家族や隣人、ひいては互いの  「愛」。それを求めて人々は生きているんだ・・なんていうメッセージに受け  取ってしまった私は大袈裟でしょうか?                                 鳥野 韻子 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆2☆ジョメー☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     Djomeh     監督・脚本:ハッサン・イェクタパナー     TOKYO FILMeX 2000  アフガニスタン人青年のジョメーは、同郷の兄貴分と2人でイランの酪農家へ出  稼ぎにきている。農場主の中年男は独身。2人は日課のように、トラックの中で  恋愛や生活について話を交わす。ジョメーは雑貨屋の娘セタレ(星という意味)  に恋をし、結婚を取り持ってもらいたいと農場主に相談する。仕事帰りの夜に娘  の家に立ち寄り、親と縁談進め、報告してくれる約束だったが・・・。  イラン人のアフガニスタン人に対する差別的な態度が見られる作品。青年の恋物  語だけではなく、小さな保守的な村の中にもある社会問題を的確にとらえるとと  もに、主人との男同士の約束が不可解な結末で終わりを告げるという、無常な作  品。  会話を楽しむことができなければただの退屈な映画という印象で終わるだろう。  結婚式の風景やイランの小さな村の様子がリアルに映し出されるが、民族的な興  味をそそられるほどではない。見慣れたイラン映画の雰囲気というより、見たこ  とのある人も少なかろうが、中央アジアの映画のようだ。  監督がQ&Aでコメントしたことを以下抜粋。  「アフガニスタン人とイラン人の結婚はありえるか」  新しいイランの法律で、それは禁止された。理由としては、過去に多くのイラン  人女性が結婚し、子供を産み、その後アフガニスタン人が故郷へ帰ってしまった  という社会問題があった為。以前は400万人くらいのアフガニスタン人がイランに  いたことがある。  「小物や風景の中にブルーが印象的に使われていたが」  ブルーは意図して使った。空の色であり、どこの空も同じ色ということを言い表  したかった。また、観客にはそのブルーの色のような感想を持ってもらいたかっ  た。  「キアロスタミ監督の「桜桃の味」と共通の撮影手法が見られたが」車の中の撮  影は、彼の下手なまねごとになるのではないかと思い、キアロスタミ監督に相談  をした。2人が愛に関して話あうとき、それは町中ではなく、車の中という狭い  空間が必要だった。  また、セタレはペルシャ語で星を意味する。イランの哲学では、天にたどり着く  までには動きつづけないといけないから、(車で)動き続けていたんだ。坂道を  自転車で走るシーンなど、上に登り天に近づくというイメージから。  最後に監督は、映画のエンディングに関してコメントし、「(農場主が)セタレ  に恋をしてしまったのかもしれない」と、少なめの観客に重要な意見を述べてく  れた。たしかに、それは間違いないでしょうね。                                 立野 浩超 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆3☆ジュリエット・イン・ラブ☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     Juliet in Love     2000年/香港/89min/カラー/35mm     監督・脚本:ウィルソン・イップ     出演: フランシス・ン、サンドラ・ン、サイモン・ヤム、エリック・コット     TOKYO FILMeX・コンペ作品  乳癌で片乳房を失い、離婚したジュディーは祖父と2人暮らし。祖父が交通事故  で入院した病院へ、勤務先の料理店でもめ事を起こした客のジョーダンが入院。  チンピラの彼はボスへの借金の返済が出来ず殴られた。そこへ、彼の退院と入れ  代わりにボスが不倫を理由に妻に刺されて入院してくる。不倫相手との子供の世  話を条件に借金を半減されたジョーダン。行き掛り上一緒に世話する羽目になっ  たジュディとのおかしな同居が始まるが・・。  面白うてやがて哀しき・・の典型的なお話。偶然の出会いから、行き掛り上共同  で名前も知らない赤ん坊を育てる羽目になった男女。前半はその騒動がコメディ  タッチで描かれる。「こんな筈じゃなかった」事がどんどん自分の思惑からそれ  ていく二人。それが「これも悪くない」から「実はこれが本当の目的だったん  だ」と気付いた時点で悲劇が待ち受ける。これが人間の哀しいところだ。  天涯孤独なジョーダンと人生に絶望したジュディとその祖父。彼女を密かに愛し  ている教習所教官・・それにここには大事なキャストがもうひとりいる。それは  何とコーラ。壜入りのコーラを求めるジュディのシーンに始まり、時に凶器にな  り、常に重要なシーンの目撃者だ。何よりコーラを愛する祖父の口癖は「人生に  はコーラと希望。女には健康と家庭」。そして後半の主人公二人の心情を代弁す  るように、スマイルマークのキーホルダー。小道具の印象づけが実に心憎い。  ジュディの元へ戻ろうとキーホルダーに手を伸ばした途端、頭を強打され絶命し  たジョーダン。その手からキーホルダーが消えてジュディの家のドアにささって  いるラストシーンは特に印象的だ。彼の帰りを待ちわびるジュディの側に、確か  に彼は1度戻って来たのだ。  子煩悩でちっとも凄みのないマフィアのボス。チンピラの端くれの癖に?情けな  い表情のジョーダン。ステレオタイプなヤクザが多い中で、かなり人間臭くて面  白い。  俳優もかなりはまっていて飽きない。                                 鳥野 韻子 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆4☆ただいま☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     Seventeen Years     2000年/中国・イタリア/89min/カラー/35mm     監督:チャン ・ユアン     出演: リウ・リン、リー・ビンビン、リー・イエッピン     1999年ヴェネツィア国際映画祭銀獅子賞(最優秀監督賞)     TOKYO FILMeX・特別招待作品     12月30日(土)よりテアトル池袋にて公開  毋の連れ子タウ・ランは活発な16歳。高校卒業後は工場で住み込みを希望してい  る。彼女の義姉ユー・シャオチンは勉強好きで大学進学が夢。ある日、消えた父  の5元を巡って朝から両親が大喧嘩。盗んだ姉は金を素早く妹のベッドに隠し、  犯人にされた妹は憤懣やるかたない。はずみで義姉を殺したが、模範囚だった彼  女は17年ぶりに正月を家で迎える許可が出るも出迎えがない。見兼ねた刑務所の  主任が彼女の帰郷に同行するが・・・。  見終わってまるで1つの舞台劇を堪能した樣な気分だった。特に後半の彼女の帰  宅からは、各人物の今にも破けてしまいそうな心の襞をそっと拡げていくよう  な、それは丁寧な演出だ。台詞もここからは極端に少なくなる。さながら昔の日  本映画のよう。表情と動作で心の表現を余儀無くされた俳優の力量が伺える。  が、驚いた事に彼等の大半は映画初出演だそうだ。主任役のリー・ビンビンの美  しさはリアルな演出の中に1点華を添えている。  まるで「父帰る」の娘バージョンだが、夫のお気に入りの娘をわが子が殺めてし  まった、という負い目から常に感情を押し殺して生きてきた母親。どうしても赦  す事が出来なかった父親。この家族の氷解の触媒となる刑務所の主任。少しだけ  明らかにされるこの若い主任の家族の様子は、タウ・ランの重苦しい家族と対称  的だ。  翌年には釈放も決まっているタウ・ランだが、この一時帰郷はそれからの彼女の  運命を決めかねない程大きい筈だ。社会に受け入れられる前に、その最小単位で  ある家族の対応が受容しなくてどうして社会で生きていく自信が生まれよう。  『ショーシャンクの空に』という映画で人生の大半を刑務所で過ごした老人が娑  婆に出た途端自殺してしまう。老人には最早親しい家族もなく広すぎる社会は脅  威だったのだ。  実を言うと馬鹿な私は最後までこのタイトルを『おかえり』だと思っていた。苦  しんで来た娘を「おかえり」の一言で包み込めるのは家族しかいない。それが出  来ない親も辛いのだ、と。「あの5元は私が盗ったの」・・タウ・ランの父への優  しさ。  解説によれば今でこそ400円程の価値しかないが、17年前では部屋代と光熱費で3  元だったそうだからちょっとした大金と言える。  実はこの作品、本物の刑務所内にカメラが入る事を政府が初めて許可した事でも  話題だそうだ。公開は作品の時期とほぼ同じ12月の末。たまにはこんな映画でし  みじみとした年末を過ごしてみるのもいいかもしれない。                                 鳥野 韻子 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆5☆天上の恋歌☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     Love Will Tear us Apart     1999年/香港/109min/カラー/35mm     監督・脚本:ユー・リクウァイ     出演:レオン・カーファイ、ワン・ニン、リュ・リーピン、        ロルフ・チョウ     TOKYO FILMeX・コンペ作品     香港国際映画祭国際批評家連盟賞     2001年春シネ・アミューズにて公開  レストランの受付をしている年上の女性ヤンと同棲するジエン。彼の経営するAV  ショップでぼったくられそうになって恨みを持つエレベーター整備士のリー。ジ  エンがコンビニで一目惚れした娼婦のエン。中国本土から香港に渡ってきた彼等  の触れあいと別れのちょっと切ない物語。  この作品には、中国返還を巡る人々の心情を香港側から描いた『ホールド・  ユー・タイト』が記憶に新しいスタンリー・クワン監督と、ノーギャラでもこの  作品への出演を引き受けたというレオン・カーファイがプロデューサーに名を連  ねている。  こうした錚々たる面々をそれ程までに惹き付けたこの作品の魅力・・・それは香  港という一種独特の場所で繰り広げられる、人間関係だろう。同じ中国人であり  ながら「大陸」の人間を拒絶するかのような香港。触れあえそうでいて、一定の  距離以上には縮めないハリネズミのような関係。ある程度はあうんの呼吸で通っ  てしまう我々日本人のぬるま湯的な社会からは想像出来ない厳しさが感じられ  る。  「女の子が一人でやっていくのって大変なのよねー」とは、結局娼婦の道を選ん  だエン。恋人は強盗の罪で銃殺。香港で巡り会ったジエンもノラリクラリしてい  る。大陸でのエリート軍人もここではただの掃除係。ビルの壁面に「香港を愛  せ。祖国を愛せ」と書かれていてどうやら祖国と香港は別ものらしい。最後に彼  女は大陸への帰郷を決断する・・。  ジエンもリーに店を爆破されて結局はヤンの元を離れられない。古い映画の陳腐  な台詞とラジオのデート番組で気を紛らわす。ヤンは彼の女癖を知りつつ孤独が  怖い。足首から先の義足の原因を毎回でっち上げては自分を正当化している。彼  女もまた過去に恋人を失っているようで、彼が夢中だったテレサ・テンの歌が慰  め・・皆現実からの逃避を試みながら生きている。  香港と言えばちょっとエキゾチックで華やかで「買い物ツアー」的イメージの強  い日本人。香港の別の顔を見られる作品だ。コメディでも2の線の域を越えな  かったレオン・カーファイが女に殴られて止血にタンポンを鼻に詰めている・・  なんていう情けないシーンも見られるおまけ付き?だ。                                 鳥野 韻子 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ ┏━┓                       I N F O R M A T I O N ┃i┃登録・解除・お問い合わせなどについて ┗━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◇◇星(★)の意味___________________________◇ ◇   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QT MAI               吉田 浩二 ◇◇ScreenKissについて_________________________◇ ◇   映画に関して、「人物」「作品」「映画祭」「制作」と言った観点から紹介・   論評するメールマガジンです。   Copyrights(C), 1998-2000 ScreenKiss  掲載された記事はいかなる形式であれ許可なく転載は禁じられています。 ┼                                   ┼

ScreenKiss Vol.200

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>☆ C O N T E N T S ☆−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−☆<   □200号記念プレゼント   □ScreenKiss読者が選ぶ映画大賞募集   ■TOKYO FILMeX特集   □サークル   □私が女になった日   □ダイ・バッド >☆−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−☆S_c_r_e_e_n_K_i_s_s☆< >>☆1☆200号記念プレゼント☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛  ついに、横浜フランス映画祭で知り合った映画ファンで始められました  「ScreenKiss」も200号を迎えることが出来ました。現在では、国内だけでは  なくヨーロッパの国際映画祭まで取材できるようになりました。  200号を記念して、読者プレゼントを行います。皆様ふるってご応募下さい。  今後ともScreenKissをよろしくお願いいたします。 ■ヴェネチア国際映画祭パンフレット  先日ヴェネチア国際映画祭での取材の際に入手した、公式パンフレットを5部読  者の皆様にプレゼントします。 ■ScreenKissオリジナルポストカード  はずれた方にも抽選で10名様にオリジナルポストカードをお送りいたします。 ■アンケート  1)スクリーンキスの発行回数について    a)多い b)普通 c)少ない d)その他(理由を)  2)一回発行分の記事の数・量について    a)多い b)普通 c)少ない d)その他(理由を)  3)1つの記事の量について    a)多い b)普通 c)少ない d)その他(理由を)  4)記者のコメントは適切と思うか    a)適切 b)普通 c)おかしい d)その他(内容を)  5)映画を見る上でScreenKiss参考にするか    a)する b)しない c)特に気にしていない d)その他(内容を)  それではふるってご応募下さい。 ■応募  ご希望の方は、   郵便番号*   住所*   氏名*   メールアドレス*   性別・年齢   アンケートの答え*  を必ずお書きの上、[email protected]宛までご応募下さい。*は必須  メールのタイトルは「SK Present200」として下さい。  また、今後の内容充実のために簡単なコメントなども、是非お書き下さい。  (注:住所などをお書きになられませんと、発送することが出来ません。当選さ  れても無効になり他の方に振りますのでご了承下さい。また当選は発送をもって  代えさせていただきます。)  〆切:2000年12月30日24時(必着) __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆2☆ScreenKiss読者が選ぶ20世紀の映画大賞募集☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛  ついに2000年も終わろうとしています。西暦1001年(そんな映画があれ  ば)から2000年までの全映画、つまり今まで制作された全ての映画を対象  に、読者の方から最高と思った映画を募集いたします。 ■応募概要・ルール  当メールマガジンの読者で登録されているメールアドレス1つにつき1票を付与  されます。読者以外の方は、当選できません。  投票者は各ジャンルにつき3作品までを選ぶことが出来ます。  1位5点、2位3点、3位1点の得点が投票されます。  該当作品がない場合は、記入しなくても結構です。 ■ジャンル一覧 内容別 □ロマンティック作品賞  一般に言われているジャンルを越えてロマンティックと思える物なら全て対象に  なります。 □コメディー作品賞  同様におもしろかった物 □アクション・SF作品賞  アクションシーンや視覚的な効果を狙った作品。 □歴史物作品賞  歴史的な事実に元付いて制作された作品。 □ドキュメンタリー作品賞  社会現象、問題などをテーマにした作品やドキュメンタリー作品。 □短編・インディーズ作品賞  実際公開されていない作品や特定の映画館以外でしか上映されなかった物や配給  されなかった物の中から特に優れている物。 □その他作品賞  上記に当てはまらない作品の内容の物。プロパガンダ映画、広告などで映画とし  て認められる物。 制作的側面 □映画技術賞  映画の技術の発展に貢献したと思われる名作、もしくは代表的作品。その技術が  使われるようになった先駆者的作品。  投票方法:使われた技術名(作品名) □ストーリー賞  脚本、原作などストーリーの部分で映画史上代表的と思われる作品。常に同様の  モチーフを使われる先駆者的な作品と思われる作品。  投票方法:作品名(場合によっては特定のシーン) □町並み賞  撮影で使われた町並みの中で、最高と思われる作品(シーン)やその都市の認知  の絶対的の影響を与えたと思われる物。  投票方法:都市名・ストリート名など(作品名) □物賞  大道具・小道具関わらず、映画で使われ、特に印象的で優秀と思われる物。元々  ある物でも、映画のために製作された物関わりません。  投票方法:物の名前・製品名(作品名) □低予算作品賞  作品の質の割には制作費が非常に低い物や発展途上国もしくは以前発展途上で  あった国々の作品の中で優れている物。  投票方法:作品名(費用・制作国) 人物(必ず人物名とその作品名を記入して下さい) □ベスト子役賞  今大人になっていても、子役として最高だった人物。そしてその作品。 □ベスト超脇役・エキストラ賞  あれっきり全く顔を見せなくなったけれども脇役として最高だった役者(作品)  名前が分からない場合は、どの作品のどのシーンかをお書き下さい。  特にマイナーな作品を選ぶ場合は、上演が確認できた資料、入手方法などを記述  して下さると助かります。 応募方法  上記のアワードにおいて、ジャンル毎に作品を選んで応募下さい。投票する必要  のないジャンルは空欄でもかまいません。各作品について、コメントもお願いい  たします。  投票〆切2001年1月15日まで  発表20001年2月15日  投票された方から10名様にScreenKissポストカードをプレゼントします。応募  されたい方は、郵便番号、住所、氏名もお書き下さい。 投票フォーム メールのタイトルを「SK AWARD2000」として下さい。 送信アドレス:[email protected] ■メールアドレス:  購読発行サイト:まぐまぐ・メルマ・Macky・Pubzine ■性別: ■年齢: □郵便番号・住所: □お名前: ■投票 内容別 □ロマンティック作品賞   1)   2)   3) □コメディー作品賞   1)   2)   3) □アクション・SF作品賞   1)   2)   3) □歴史物作品賞   1)   2)   3) □ドキュメンタリー作品賞   1)   2)   3) □短編・インディーズ作品賞   1)   2)   3) □その他作品賞   1)   2)   3) 制作的側面 □映画技術賞  投票方法:使われた技術名(作品名)   1)   2)   3) □ストーリー賞 投票方法:作品名(場合によっては特定のシーン)   1)   2)   3) □町並み賞   投票方法:都市名・ストリート名など(作品名)   1)   2)   3) □物賞     投票方法:物の名前・製品名(作品名)   1)   2)   3) □低予算作品賞 投票方法:作品名(費用・制作国)   1)   2)   3) 人物(必ず人物名とその作品名を記入して下さい) □ベスト子役賞   1)   2)   3) □ベスト超脇役・エキストラ賞   1)   2)   3) __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆3☆サークル☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     The Circle     2000/イラン/90分     監督:ジャファル・パナヒ(「白い風船」)     2000年ヴェネチア映画祭金獅子賞     TOKYO FILMeX 2000  正直な感想で言えば、映画祭が好むスタイルの映画。日本で上映されても、興行  的には厳しいのではないだろうか。  しかしそれにしてもパワーのある映画だ。力強い映像、メッセージがズンズンと  伝わってくる。しかもこの映画はイランの検閲にひっかかり、国内上映禁止。映  画を見ると、この映画は一生上映禁止のままではないかと思われる。このきわど  い内容、セリフの映画がイランで作られたこと自体がすごいぞ。  映画は出産シーンから始まる。女の子の誕生。それは望まれていない性だった。  母親が動揺して病院をかけ出すと、電話ボックスに他の女性がいる。カメラの被  写体は3 人の女性に切り替わり、その内1人いなくなり、また1人いなくなる。  残った1人を被写体にしたかと思えば、すれ違うほかの女性にカメラは向かって  いく。そしてまた他の女性へ。意味をつかむ前に話は先へ先へとひた進む。映画  の意味を見出そうと躍起になる観客をあざ笑うように、ストーリーは先を急ぐ。  まるで謎解きでもしているようだった。彼女らはなにもの?どこへ行こうとして  いるのか?楽園への逃避か?  群像劇という言葉は適切ではない。それぞれが小話的にしっかりとした短編に  なっているのだが、それにしては各短編だけでは意味がたりない。この長編とし  ての1本の作品と仕上がってこそ、その細部が意味を持つ。女性達は最後に一箇  所へ集まるのだが、この手のストーリーが新鮮なのではなく、題名の持つ意味が  エンディングで身にしみるほど見事に完結する点がすごい。よく書けた小説のよ  うな後味がある映画は久しぶりだった。  以下、パナヒ監督がQ&Aで質問に答えた内容を抜粋する。質問もよく、返答も分か  りやすく、聞きごたえのあるQ&Aタイムだった。  「勇気をもって作った映画だと思う。テーマを選んだ理由は?」  以前作った映画は子供が主人公で、大きくなった少女達がそのまま純粋であった  なら、社会はどんな苦しみを与えてしまうのかを考えてつくった。どこかの国  で、母親が子供2人を殺して自殺したというニュースを読んだとき、この母親は  サークル(円)の中から抜け出せなかったから自殺したと感じた。唯一抜け出す  方法が自殺だった。我々はサークルの中に住んでいる。人はこの円を大きくしよ  うとしているものだ。みんな自分の円を破りたい。どんな状況下でこの円が小さ  くなってしまうかを考えて映画をつくった。  「町なかの撮影ではエキストラか」  普通の人々です。ただ、自分の存在を慣らすためにしばらく一緒に過ごした。す  ると彼らは我々の邪魔をしないように振舞ってくれるようになる。この時間は簡  単なことではないが、メリットがあるから我慢する。  「望みがないエンディングに感じたが」  社会の現実はとても暗く、でも目を閉じておくことができない。映画を作ってい  るときは社会の問題を描きたかった。イランの中では公開許可が未だおりていな  い。社会の現実でも、結婚式のシーンなどもあり、人生は流れていると見せた  かった。また、自分に嘘をつきたくなかった。ハリウッド映画で人殺しが殺人を  する。でも現実はそんなことばかりではないでしょ。  「役者はプロか、しろうとか」  2人がプロだ。妊娠4ヶ月のしている彼女と、子供を捨てる彼女。この役はこの  人に演じてもらうのがいいと思った。プロといっても、映画に何本か出演してい  る程度の人。他は素人だった。                                 立野 浩超 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆4☆私が女になった日☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     The Day I Became a Woman     2000/イラン/78分     監督:マルジエ・メシキニ(モフセン・マフマルバフの妻で31歳)     脚本:モフセン・マフマルバフ     TOKYO FILMeX 2000  少女・大人・老人を主人公にした3部構成。9歳の誕生日を向かえ女として見ら  れる初日を描いた「ハッワ」、離婚をしたいがこの村ではタブーであると、家族  や長老から強引に止められる女性を描いた「アフー」、遺産で買い物をしまくる  老女を描いた「フーラ」。その女性達の名前がそれぞれの題名になっている。  「ハッワ」はその日が誕生日。9歳の誕生日を境目にチャドルをかぶり、髪や笑  顔は男性に見せてはいけないと教えられる。昨日まで遊んでいた少年ハッサンと  は自由に会うことすらできなくなる。生まれたのが正午だから、それまでの1時  間を遊んで過ごそうとするが、ハッサンは宿題を終えるまで遊べない。鉄格子が  はめられた窓ごしに、お菓子を分けあう2人。「棒を立ててその影がなくなるま  で」遊んでいいといわれる事で、まるで今日一日がゲームのようになっている。  反面そのことが幼さを象徴しておもしろい。もちろんそこに問題が潜んでいる。  「アフー」はキッシュ島を一周する自転車レースに参加している。自転車で走っ  ている最中に、馬に乗った旦那から離婚を止められる。馬に乗った長老がきて、  父親がきて。最後に兄によって自転車が持っていかれるシーンを他の走りぬける  女性の視線でとらえる。その後、我々は彼女が「他の自転車を借りて走り続け、  優勝した」ことを知らされるが、真実かどうかは分からない。彼女の意志は変わ  らないことはその表情から分かる。つまり演技もしっかりしているのだ。女性か  らは離婚しにくい環境。それは先進国でもまだまだ同じことではないか。  「フーラ」は買い物の為にキッシュ島空港に降りたった車椅子の老女。遺産が入  り、欲しい物を全て買おうとしている。冷蔵庫、洗濯機、テレビ、ステレオ、家  具。しこたま買い物をして船で帰る。この歳になって、この体になって初めて自  由をえたというようだ。ポーターの子供に車椅子を押してもらい、荷物を運ばせ  て、キッシュ島を後にするところを海岸で見送るハッワと母親。よくある手法で  永遠に変わらぬ女性の人生を象徴している。  マルジエ監督はQ&Aで、「決してイランだけの状況を描いたのではなく、世界中の  女性を描いた」。それと同時に「私が監督なんだとみんなに毎朝言い聞かせない  と、誰もついてこない」という女性の立場の弱さを語った。「イランでは男性監  督は500 人。女性は10人。」世界的に見ても女性の監督が十分に活躍している国  はほとんどないが、その中ではイランの比率は高いのではないだろうか。「テヘ  ランでは女性は自転車に乗れないが、キッシュ島では大丈夫。それがキッシュ島  を舞台にした理由でもある」という言葉を聞くと、やはりイランのもつ宗教的  な、伝統的な女性への制限がいかに大きいものか理解できる。                                 立野 浩超 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆5☆ダイ・バッド☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     Die Bad     2000年/韓国/98min/カラー(一部モノクロ)/35mm     監督・出演:リュー・スンワン     出演: パク・ソンピン、キム・スヒョン、ペ・ジュンシク     TOKYO FILMeX・コンペ作品  『ケンカ』芸術系と工業系高校の生徒が玉突き場で乱闘し、ソンビンは過って殺  人を犯してしまう。『悪夢』殺人犯として7年間刑務所暮らしをした彼は出所後も  死んだ少年の霊に脅かされる。娑婆でも前科が知れると働けずマフィアと知り合  う。  『われらが時代』ソンビンの親友で、今は彼を取り締まる側の男とソンビンの親  分が、その逮捕劇の様子の合間にそれぞれに人生観を語る半ドキュメンタリー  風。『ダイ・バッド』刑事の弟を子分にしたソンビンと刑事の一騎討ちが、ソン  ビンの配下の乱闘シーンと交互に進行。そして悲惨な結末が・・。  「韓国でカルト的ヒットを記録!」の宣伝文句にまんまと引っ掛かった私。なる  程ジャッキー・チェンやタランティーノの影響、と解説にある通りアクションや  カメラワークはそのまんま踏襲という感じが強い。全体にざらざらした雰囲気、  早いコマ回しやぐちょぐちょの血なま臭さは、韓国版タラちゃんと言っていい。  でも、あまりに臭い演出も鼻につく時があり、ちょっと下手なPFF入選者作品な部  分も多い。  4話オムニバスの中でも一番印象に残るのは3話。刑事もマフィアも表か裏かの  道の違いだけで、目指す人生は同じ。つまり根っこは一緒で、こんな立場で出会  わなければ結構意気投合したんじゃないかという気がする。官僚主義が強いと言  われる韓国の現状を巧く表現している。  監督自らが主演をこなしているが、ちょっとカッコ良く構えすぎていないか・・  という気も。その辺りも色々と聞いてみたいと思っていたら何と「今成田から会  場へ向かっていますが、渋滞に巻き込まれて何時到着するか判らないので、  ティーチ・インはキャンセル」・・・虚しく帰路に着いた私でした。                                 鳥野 韻子 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ ┏━┓                       I N F O R M A T I O N ┃i┃登録・解除・お問い合わせなどについて ┗━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◇◇星(★)の意味___________________________◇ ◇   このメールマガジンで表示されている星は5つが最高で、1つが最低です。 ◇◇メールアドレス変更・解除______________________◇ ◇   このメールマガジンの購読解除は、ご登録された発行元のホームページより出   来ます。こちらでの作業は一切しておりません。   まぐまぐ   (http://rap.tegami.com/mag2/m/0000007585.htm)   マッキー!  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QT MAI               吉田 浩二 ◇◇ScreenKissについて_________________________◇ ◇   映画に関して、「人物」「作品」「映画祭」「制作」と言った観点から紹介・   論評するメールマガジンです。   Copyrights(C), 1998-2000 ScreenKiss  掲載された記事はいかなる形式であれ許可なく転載は禁じられています。 ┼                                   ┼

ScreenKiss Vol.199

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>☆ C O N T E N T S ☆−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−☆<   ■TOKYO FILMeX特集   □ブラックボード -背負う人 -    □メイキング『ブラックボード』   □異邦人たち   □シンポジウム   □記者会見 >☆−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−☆S_c_r_e_e_n_K_i_s_s☆< >>☆1☆ブラックボード -背負う人 - ☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     Blackboards     2000年/日本・イラン・イタリア/85min/カラー/35mm     監督:サミラ・マフマルバフ     出演: サイード・モハマディ、バフマン・ゴバディ     2000年カンヌ国際映画祭審査員賞     TOKYO FILMeX・オープニング作品(特別招待作品)  爆撃で学校を破壊された教師達が、子供達に読み書きを教える為に黒板を背負っ  て歩いて行く。その中の一人、サイードは老人の一群に遭遇しイラクとの国境迄  の案内を申し出る。グループの中の子持ちの未亡人と結婚するが、国境で離婚。  国境近くで叉もイラクからの攻撃。彼等は爆撃で故郷を追われたクルド人だった  のだ。一方、子供の密輸品運搬グループに出会ったレブアルもイラク軍の襲撃に  遇っていた。  17日から開催されるTOKYO FILMeX/アジア[新・作家主義]映画祭のオープニン  グ上映作品である。映画祭のチラシ表面にはこの作品の母子が登場している。  「学問」のセールス?の為黒板を背負って歩く姿は異様で、滑稽ですらある。長  らく読み書きなしで生きてきた老人一行は誰も興味を示さないが、将来のある子  供のグループの中には学びたい者も出てくる。が、その将来も銃弾で永遠に終わ  りになてしまうのだ。ペンは剣より強し・・が通じない世界の脅威。  黒板は、あるときは戸板や骨折の添木であったり、ある時は弾よけや物干竿の代  替品となって活躍する。この作品にはもろに戦争を批判する台詞は一切出ていな  い。が、夫を失い精神のバランスを崩してしまったハラレと彼女が必死に守る幼  い息子、膀胱炎に苦しむ老父や幼い運び屋・・戦争は常に弱者に多大な被害をも  たらす。  「私の心は汽車のよう。一人が乗れば一人が降りる。常連は最愛の息子だ  け」・・どこかずれた動作と間延びした受け答えしかしないハラレが、唯一言う  まともな台詞がこれだ。彼女は息子によってかろうじて生きている。  前作『りんご』で都市の暗部を描いた監督が、今度は戦争が民衆にもたらす普遍  的な悪について骨太な作品に仕上げた。それでも、おしっこの出ない祖父とまだ  一人で出来ない孫や、カラスの群れから身を守る黒板集団の、狂言『棒しばり』  のような動きなどに彼女独特のユーモアを織りまぜている。黒板を画面割に用い  て観客の興味をひっぱる技もなかなか。  上映当日はサミラ監督(まだ20歳!)のQ&Aも予定されている。なお、レブアル役  バフマン・ゴバディは今回上映する『酔っぱらった馬の時間』の監督でもある。                                 鳥野 韻子 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆2☆メイキング『ブラックボード』☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     How Samira Made The Blackboard     2000年/イラン/76min/カラー/ビデオ     監督:メイサム ・マフマルバフ     FILMeXビデオプログラム  サミラ・マフマルバフ監督作品『ブラックボード』等の製作過程を追ったドキュ  メンタリー。作者は監督の弟。こちらはビデオ上映で会場は、ル テアトルのそば  の映画美学校。『ブラックボード』の同日に上映されるので本編が気に入った方  は是非お薦め。カンヌ映画祭での記者会見や、インタビューなども交えてあり、  彼女の映画への考えなども理解出来る。  何しろ有名な監督でプロデューサーでもある父、モフセン・アフマルバフ(彼の  作品『サイレンス』も渋谷で上映中!)と今回コンペに出品している(『私が女  になった日)』)毋マルジエ・メキシニを両親に持つサミラ。何しろ映画初出演  は生後数カ月の時、毋に抱かれてだし、8歳の時には既に主要なキャストを務めて  いたという筋金い入りの映画作家。が、そうしたプレッシャーをバネにしたかの  ように、自分というものをはっきり持っている。  ドキュメンタリーの前半は『りんご』のメイキングで、これに出演した事件の当  人達も今は14歳になってカメラの前で発言している。今回の作品も、前作同様ほ  とんどの出演者が素人で、台詞のタイミングや視線など、サミラがほとんど手本  を見せている。対話で自分が写らないで相手のに合わせてタイミングよく台詞を  言うとき、彼女は彼等の後ろに廻って手で口を塞いだり離したりしながら言わせ  ているのだ。  まさに体当たりの撮影現場だ。特に今回の撮影は気紛れな?老人集団をまとめる  のでかなり苦労している。ハラレの父にプロの役者を起用したところ、あまりに  オーバーアクションで監督と意見の対立し、彼から降番を申し出るシーンは迫力  だ。「自分の思うようにやらせてくれ」と言張る役者・・この辺、いくら監督で  も女性の地位が厳しいイランの背景も投影されているのでは?と思えてしまっ  た。  彼女はまた、唯一のハラレという女性の存在を、同じ女性という点から興味があ  る、と言っている。男性の職場的イメージの映画界で、特にイランでこうした優  秀な女性監督の出現は頼もしい。  ロビーで監督の姿を目にした。小柄で可愛い、少女とも言える感じの中に聡明さ  が見えるなかなかの美人でした。                                 鳥野 韻子 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆3☆異邦人たち☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     The Island Tales     2000年/日本・香港/103min/カラー/35mm     監督:スタンリー・クワン     出演: ミッシェル・リー、スー・チー、大沢たかお、桃井かおり     TOKYO FILMeX・特別招待作品  報道陣がつめかけ、一人の遺体が運ばれる・・。ここは香港近くの蜉蝣島。島を  去る人、訪れる人・・。結核の療養を兼ね滞在していた作家、春樹。マスコミか  ら逃れてきたスターのハン。米国で成功した銀行家シャロン。その友人の写真家  マリアン。恋人の電話を待ち続けるメイ。何の繋がりもなかった彼等は、政府の  伝染病隔離政策で14時間あまり島に閉じ込められ、その間に彼等に不思議な絆が  出来て・・。  前作が香港返還を背景にしたものだったが、今回はリアルタイムな2000年の終わ  りだ。ひとコマ、ひとコマが1枚の絵葉書になりそうなスタイリッシュな撮影  と、ポップミュージックのお洒落なコンビネーション。その中に効果的に挿入さ  れる「ネッスン・ドルマ」と「レクエイム」。引き寄せられる孤独な人々・・。  スタンリー・クワンの真髄が全て詰め込まれたような作品だ。  多国籍な巨大都市香港と、その目と鼻の先に位置しながら、その縮小版ともいえ  る蜉蝣島。その名のようにはかない繋がりながら、その閉鎖空間で芽生える、国  籍や言語を超えた人々の結びつき。主な会話は英語だが、時折成りゆきを春樹の  ナレーションが補う。大沢の柔らかな声がいい。ハンが日本語について「くす  ぐったい音」と評しているが、物語が進むにつれてその感じがわかってくるから  不思議だ。  「太陽は自分から手を拡げない限り抱き締めてはくれないんだ」  「最初はね、愛がなければと思うでしょ。そのうち一緒に寝てくれるだけで嬉し   くなる。同じ布団を掛けているってだけでね」  登場人物の放つ何気ない台詞それぞれに、実は真実が込められている。切なくて  ちょっと哀しくなって、そして元気になれる映画だ。  余談ながら今回プロデュースに当たった附田斉子氏によると、特別出演の桃井か  おりは、監督が長らくファンだった事で起用になったのだが、彼女はリハーサル  を希望し、大沢たかおは役づくりの為に1ヶ月香港暮らしを体験し・・と真剣な  取り組みに監督はいたく感動したらしい。実は香港の俳優は撮影当日になって、  その日の分だけ台詞を覚える、という泥縄形式が普通らしいのだ。意外な裏話で  した。                                 鳥野 韻子 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆4☆シンポジウム☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛  16日に行われたシンポジウムと記者会見に出席させてもらいましたので、簡単な  レポートです。  シンポジウム第一部「東アジア映画の現状」報告  聞き手:市山尚三  出席者トニー・レインズ:映画キュレーター。バンクーバー映画祭で東アジア映  画を紹介するドラゴン&タイガー部門の作品選考担当などを務める。  トニー・レインズからタイ、韓国、台湾、中国などの映画産業の現状に関してコ  メントがあった。タイや韓国ではここ2年の内に自国の作品がヒットし、再度映  画産業が活性化している点。中国では政府の規制がマイナスの効果を与え続けて  いて、国を逃げ出す作家と留まりながら低予算の中国人向け映画を作る作家に分  けられるということ。台湾では定期的に映画を作っている製作会社がなくなって  しまった点。フィリピンでも期待できる監督が育ってきたことなどをコメントし  た。  中でも印象的なことは、台湾では年間10〜15本程度が製作されているが、50%の  確立でいい映画が生まれているとのコメント。  またこの時市山氏が言われたことだが、今回の映画祭期間中に上映される「プ  ラットフォーム」(監督:ジャ・ジャンクー)は、おそらく最後のロングバー  ジョン上映になるとのこと。上映時間194分という長編で、彼の前作「一瞬の夢」  が好きな人はカットされていない作品を目にする最後の機会になる可能性があ  り、見逃せない。  シンポジウム第二部「アジアにおける共同製作」  ヘンガメ・パナヒ:「白い風船」や「キッズ・リターン」「河」などの海外配給  を手がける、セルロイド・ドリームス社長  彼女が強調した点は、数字。フランスでは40万人以上の観客が動員されれば大  ヒット。「ユリイカ」は5,475人の動員。Festival Filmと呼ばれる映画祭だけで  人気のある作品にチクリと釘をさした。たしかに利益のあがらない映画は人が作  品を見ないということで、強いて言えば駄作。受賞しているだけに芸術として100  年後に認められる可能性は残されるわけだが、訴えたいことが100年後に意味のあ  ることである事はなかろう。  チョン・テソン:プサン国際映画祭でPPP副ディレクターとして、アジアの監督と  プロデューサーの掛け橋となるプログラムを推進している。「スプリング・イ  ン・ホームタウン」のプロデューサー。  彼がPPPでやっていることは、アジア共同体で映画を作るということ。魅力のある  ことだし、高額の予算が必要な映画を自国で資金調達するのは容易ではない現状  において、各国が寄り添えばカバーできる部分が生まれる。思想としては重要  で、日本人の私にとってはやはり日本映画界にこそ、その牽引役をしてもらいた  いと感じる。  附田斉子:「ヤンヤン 夏の想い出」「異邦人たち」をプロデュース。  「ヤンヤン」はフランスでも大ヒット中だそう。すでに25万人を動員している  点、パナヒさんの言葉を思い出す。日本でも16日からロードショウ公開中です  ね。映画を見る目が確かなのだろうか、今後も今回の経験を生かして、よりいっ  そういい映画作りに関わってもらいたい。                                 立野 浩超 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ >>☆5☆記者会見☆<< ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛  17日からの映画祭開催に先駆け、来日ゲストの記者会見が執り行われた。  出席者  宇治田隆史 (『悲しくなるほど不実な夜空に』監督:コンペ)  行定勲 (『贅沢な骨』監督:コンペ)  篠崎誠 (『忘れられぬ人々』監督:コンペ)  塩田明彦 (『ギプス』監督:ビデオプログラム)  レイモンド・レッド (『アニーノ』監督:特別招待)  ロニー・ラザーロ (『アニーノ』主演俳優:特別招待)  ケネス・ビー (『スモール・ミラクル』監督:ビデオプログラム)  マルジエ・メキシニ (『私が女になった日』監督:コンペ)  サミラ・マフマルバフ (『ブラックボード』監督:特別招待)  メイサム・マフマルバフ (『メイキング「ブラックボード」』:                ビデオプログラム)  コンペ審査員からは  荒木啓子(ぴあフィルムフェスティバル・ディレクター)  キム・ジソク(プサン国際映画祭アジア映画部門プログラマー)  出席者からは一様に映画祭への参加に満足の声があがり、中でも低予算、デジタ  ル使用のケネス・ビー監督や、同様に商業映画に比べて難しい立場に位置するイ  ンディペンデント系のレイモンド・レッド監督などは一般に公開する機会が極端  に少ないという事で、映画祭での公開を喜んでいた。  また同時にフィリピンのレイモンド・レッド監督は、米国を中心とする外国映画  の無制限は公開に対し、年々減少している国内映画産業の衰退(1999年で約140  本、2000年は約70本)を心配していた。一方ケネス・ビー監督は多くの低予算映  画と数本の多額な製作費の映画が蔓延する香港の映画業界で、その中間に位置す  る作品の希薄さについて述べていた。  毋、娘、その弟と一家で記者会見に臨んだマフマルバフ家では、毋(マルジエ・  メキシニ)は激しい男女差の残るイランだけでなく、世界的な規模での男女差の  緩和に映画で貢献するべく女性を扱い、娘(サミラ・マフマルバフ)は今回の作  品を「テーマ、ロケーション等が巧くひとつになって構想が出来たので映画化し  た」と言い、「これからもイランの中で作品をつくりたい」と述べていた。  サミラの弟メイサムは「二人とも父親の学校(Madresse Film)で学び、姉は監督  に、自分はカメラに興味を持ったので今迄スチルを担当していた。そこで今回も  スチルカメラマンとして姉の現場に同行したところ、大勢の人々の中で仕事する  彼女をみて、その事を伝えるのも面白いと思った」ので今回の作品が出来あがっ  たそう。  ちょっとおとなしめの日本人監督。落ち着いた語り口のフィリピン組。あっけら  かんとした香港のケネス・ビー。優しい雰囲気のマルジエ・メキシニと静かなメ  イサムの間に座ってよく動く大きな目で、ハキハキと発言するサミラのマフマル  バフ組・・とそれぞれ個性的なゲスト陣だった。今回臨席出来なかったゲストも  会期中に顔を出すそうなので、是非会場でナマの人々に接してみるのも映画祭の  楽しみの一つだろう。                                 鳥野 韻子 __________________________________________________S_c_r_e_e_n_K_i_s_s_____                                     □ ┏━┓                       I N F O R M A T I O N ┃i┃登録・解除・お問い合わせなどについて ┗━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◇◇星(★)の意味___________________________◇ ◇   このメールマガジンで表示されている星は5つが最高で、1つが最低です。 ◇◇メールアドレス変更・解除______________________◇ ◇   このメールマガジンの購読解除は、ご登録された発行元のホームページより出   来ます。こちらでの作業は一切しておりません。   まぐまぐ   (http://rap.tegami.com/mag2/m/0000007585.htm)   マッキー!  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QT MAI               吉田 浩二 ◇◇ScreenKissについて_________________________◇ ◇   映画に関して、「人物」「作品」「映画祭」「制作」と言った観点から紹介・   論評するメールマガジンです。   Copyrights(C), 1998-2000 ScreenKiss  掲載された記事はいかなる形式であれ許可なく転載は禁じられています。 ┼                                   ┼